反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

日本は世界の工場、中国。新興急進主義輸出工業立国韓国。凶暴化した軍事大国アメリカに囲まれて揺らいでいる。

 感覚的な事を書くが、日本では地政学という分野がこれまで軽く見られ過ぎてきたと思う。この分野で近年、論陣を張る学者評論家が出てきているが、ほとんどすべて、凝り固まった保守の論客であり、本当の日本国民の利益よりもアメリカの利益、アメリカの観点に立って、思考する匂いがして馴染めない。
 偏った論客しかいないのは、日本が戦争に負けて、独自の戦略展望を喪失し、アメリカの世界戦略に寄り添わざるえなかった戦後の内外環境が大きく影響していると思う。
 
 冷戦体制の崩壊、続く、アメリカの経済的力の後退、新興国の台頭は否応なしに、日本に世界を本格的に意識させ、自らの世界戦略的展望を思考させる機会を与えた。
 抽象的にいえば、今まで冷戦体制という特殊歴史段階によってかくされていた事態=本質が世界に全面開示されていくすう勢が来た。
 
 そこで、庶民レベルでも地政学的観点によって日本の周囲の環境を見渡して日本人のおかれた状態を再構成してく必要に迫られている。そうしなければ、アメリカ流の反国民的排外主義に足元をすくわれる。
 
 私はエマニュエルトッドの信奉者だが、彼から学んだ事を集約すると、以上の様な問題意識に尽きる。
 
 そのトッドの近年、発行された著書「民主主義以後」。
 
 読み込もうとしたが、EU保護貿易論の論陣を張るため、サルコジを登場させざるえなかったフランス国内政治を中心とする詳細を極めるヨーロッパ論は特殊ヨーロッパ論に傾きすぎると、結局、読まずに今まで来た。
 
 明らかに自分の問題意識の浅薄さあった。
 
 この間の極東情勢の緊張化や民主党政権の「急旋回」などの底流を見て行こうすとすると、どうしてもアメリカを含めた極東情勢(もちろんロシア、北朝鮮を含むものだが、経済関係から、除外できる)という日本国民の周辺を理解する必要に迫られる。
 各々個別を取り上げて分析するよりも全体としての関係論が重視される。
 
 そこでタイトルの様に大きな関係をつかむ事ができる。
 
政権交代を掛けた民主党政権のマニュフェストは日本の支配層に旧来の内外政治路線と違った別の選択肢を提起したモノだった。これは政権獲得を目指す民主党が得て勝手に提起したもう一つの日本の進路という、よりも日本支配層の冷戦崩壊後内外情勢に対する潜在的なもう一つの意見、政治路線とみなす。
 
 支配層そのものが、冷戦崩壊、アメリカ一極体制の崩壊、新興国の台頭、先進国世界不況を前にして政治路線的に動揺している現状を反映しているモノと見る。
 
>>> しかし、日本を取り巻く極東情勢という特殊性が政治路線的動揺からの想い切った別な道の選択を困難にしている。<<<
 
 日本の資本と労働層は中国と韓国というタイプの全く異なる、異常急進的な政策を選択せざるえない新興国の経済パワーの前に立ち往生している。
 
 資本は中小資本を含め、経済インフラのいい中国に流失する。貿易立国で異常な輸出攻勢をかけるしか資本と国民の生存権を確保できない韓国との日本の得意としてた工業製品分野での競争にさらされている。
 
 また両国は第二次大戦の傷跡を引きずった分裂国家としての政治的許容力の狭さも併せ持っている。
これに敗戦国日本の特殊な戦後民主主義が対応しているところからの矛盾も次第に露呈してきている。
 
 日本国民の多数を占める労働層の直接的観点からすると、低賃金の中国人労働者と結果的に同じ労働市場で競争している様な状態に見える。韓国の技術力も脅威となる。
 
 以上に、政治路線選択を完全に誤って体面面子重視で独裁軍事政権のタコつぼにはまってしまった北朝鮮
20世紀の主人公の位置から脱落中で凶暴化し、軍事的突出で後退を押しとどめようとするアメリカが、軍事によって政治経済情勢を切り開く路線をハッキリと選択している。
 
 これらの要因の複雑な絡み合いの方程式を政府ばかりでなく国民が読みとかなくてはならない時代だ。
複雑極まりない情勢が進展している時、対処する側も多岐にわたる変数を考慮して柔軟に事にあたり認識を深める必要がある。
 今の日本の政治状況を見ていくと政治家、官僚、国民の間に、そういう初歩的な構えがないように思う。
 
政治家は国民生活や日本の進路と関係のない所での政争に明け暮れるというボケた政治手法をこの困難な時期に未だに踏襲している。
 
 実務派である官僚層の総意は情勢への完全な日和見主義、保守主義的対応から来る、勝手なアメリカ追従をもはや路線的に徹底化するところまで至っている。
 
 国民の間には内外の政治情勢に対しての単純認識が浮上してきているが、短時間で情報を処理するマスコミの問題の単純化の影響を強く受けている。
 
 国民意識を語る場合、日本ではマスコミの影響力の強さを抜きに語れない。マスコミから流される情報量が余りにも多すぎる。法的規制が多く、資本として淘汰が遅れている事から、全体としての巨大寡占状態が温存されている。国民の必要情報よりも、トータルとしての寡占マスコミの資本量が大きすぎるのだ。
 
 かくして日本は半民主主義しかないのに多くの国民に民主主義があると錯覚させている。
肝心な事を語らないために多くを語る。そういう世論が形成されている。
 
>>これからの日本でアメリカサイドに立ちきった政治路線が選択されるのを危惧している。
これは、重大な軍事的問題を必ず、内外に発生させる。その結果気がついたら今以上に日本を孤立に追い込む危険がある。今でも日本は極東で孤立した特殊な国と世界からはみなされている。激動の世界情勢で政治的選択肢をできるだけ確保するのは常識だろう。
  
 軍事的武装は国民個々人の積極的な問題であって、本質的にアメリカの助けを借りる問題でない。
訳のわからんまま、アメリカ刷り込みの単純意見を開陳しているモノは本家本元の合衆国憲法修正条項第二条をじっくりと読んでみよ!しょせん、戦後民主主義に閉じこもった意見だと気付くはずだ。
 いい加減なところから発する軍事論の本質的間違いに気付かなければならない。
 
 さらに重要な事は、国益、国民益の毀損が激しく発生する可能性が大である。一端、アメリカに都合のいい様な「国のかたち」にしてしまえば、後はアメリカと運命共同体と暗示を掛けて突っ走っていくしかない。
 TPPで譲歩する路線を官僚どもは完全選択している様だが、これはアメリカ好みに国のかたちをそっくり変えていくことである。ため込んだドル紙片が幻になる事もある。長期的には世界から食料が消えることもある。アメリカの世界農業資本の独占問題もある。自由貿易はずっと続くとは限らない。帝国主義的要素が頑固に残る以上、世界的な分業体制などなりえない。
 日本は激動世界情勢を前にして指導層が大きく判断を誤った過去がある。
 
今回も同じような誤りの道を進んでいる。
 国や資本は破滅しない。破滅するのは庶民の生活生命だ。