反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

原発建設現場を指揮してきた故平井憲夫さんは緊急炉心冷却装置は原発の安全を守る最後の砦。これが効かなかったら終わりです、と断言している。

 続けてこう書いている。
緊急炉心冷却装置が自動的に作動せず、手動で動かした美浜原発の事故というのは、一億数千万人を乗せたバスが高速道路を100キロのスピードで走っているのに、ブレーキも利かない、サイドブレーキも利かない、崖にぶつけてやっと止めたような大事故だったんです。
 この時は土曜日だったが、たまたま、ベテラン運転員が勤務していて緊急事態に冷静に対応できた。
 
 平井さんの記事はカナダdeブログのミニーさんのサイトから拾ってきた。
原発建設現場の生々しい実態を踏まえた貴重な意見の数々は今回の原発大災害事故を伝えるマスコミ報道と現場の実態がかなりかい離している、と想っていた疑問点にこたえてくれるものだった。
長文だったが、読みやすく一気に読み上げた。
 残念ながら平井さんは1996年にがんで逝去されている。
 
 マスコミに出演する識者たちは今まで立地条件の極端に劣悪な日本での原発建設を推進、容認してきた立場から、自分の立場を防戦するのにきゅうきゅうとした論陣を張っているのが真相だろう。
だから説明、解説は目の前に起こっている事態を故意に楽観的に描きだしているように思えてならない。
 
 勿論、不必要な動揺、ましてやパニックを避ける意味で事態を科学的見地で分析する必要がなによりも求められている。
 
 私がこれまでこの原発大人災に立ち入って書けなかったのは、自分の知識不足を率直に認めていたからだ。
何処かで聞きかじったたり、拾い読みしたりした意見をあたかも自分の最終的見解のごとく、述べ立てることはできない。いくら読んでくれる方が少なくても、そういう知ったかぶりは慎んできた。
 
 原発建設現場に実態のど素人性、管理運用面での杜撰さ、東電そのものの技術力の疑問。
原発建設ってはたして世界の技術水準から見てそんなに高度な技術力を用するにかどうか?
結局は人の労力と知恵に頼っている以上、その点での間違いは常に起こってしまう。
 
今回の原発災害現場での対応にしても、平井さんの断言している様な事態とマスコミや政府、東電の発表する現場の報告とは大きくかけ離れている。
 
 岩上安見さんのサイトで燃料棒で高温の湯を沸かし蒸気をつくる圧力容器の設計担当者と圧力容器を保護する格納容器の設計者が詳しい解説をしていたが、マスコミ出演のどんな解説者よりもわかりやすかった。
 
 例えて言えば、一つの燃料棒がオリンピックの競泳プールに満タンの重油に等しい火力を有するという。
この燃料棒が核分裂するとき発する熱量で湯を沸かし、蒸気を引っ張ってタービンを回して電気を発生させている。
圧力容器の中の燃料棒は一本ではない。
 大きなプール程の油が一斉に燃焼する火力を消し止めることはできるが、それでも容易ではない。
まして、核燃料棒は制御棒を入れて核分裂を押さえつけても、緊急冷却装置をはたらかせて、冷却し続けなければ、火力は収まらないばかりか、燃料棒が溶解し、危険な核物質を発散する。
 
 だから、緊急冷却装置が効かなかった圧力容器が何台も並んでいる事態は超危険事態なのだ。
 
特に3号機はウラン燃料廃棄物を再処理したプルトニウム原子炉でその威力は通常のウラン原子炉の何倍にもなる。世界でこの型の原子炉は余りにも危険性があるため、余り建設されていない。
日本で作っている大きな要因は使用済みの核燃料を再処理できる(フランスに委託している
強力なエネルギーを発するので当面は安上がりで発電できるなど、まさに安全無視の体制だからできた。
 
 3号機で水素爆発が発生したと伝えられているが、この原子炉が他の原子炉と別モノだという報道は余りきかない。
 
 今、敷地内から高濃度プルトニウム検出の報を呼んだ。
多分水素爆発の際、圧力容器を外側から保護する格納容器が損傷したのだと思う。
 格納容器の設計圧力は4、3気圧ぐらいだから普通の大きさのボイラー程度の耐圧しかないシロモノ。これに圧力容器の逃がし弁から噴き出す、放射能一杯の蒸気が8気圧ぐらいでたまっている。
 
 私がずっと前にマスコミ主演のセンセイ方の説明を聞いていた時、最大の疑問点は運転時70気圧にも達する圧力容器内の逃がし弁から噴き出した放射の蒸気にボリラ程度の耐圧性しかない格納容器ではずっと耐えられないというところにあった。まして水素爆発を起こしてた時の爆発力が加重する。
 
格納容器にはボルト締めなんかの弱い部分も実際にはあるだろう。
 なにせそこは普段1気圧以下の窒素が密封されている所。
そんな高圧にずっと耐えられる設計になっていない。
 
 プルトニウム格納容器の一部破損。一番危険な3号機のプルトニウムが漏れ出している可能性が強くなっている。
 
 これは福島第一原発の現場作業を大変に停滞させるであろう。
ホントにどうするつもりなのか?当事者にも正直なところ、先が見えていない、と想う。
 
 対応の遅れを云う意見もあるが、最初からこの事故はそういうレベルの問題ではなかった、みる。
何も実際にできない、精々、危険状態をかいくぐっての放水、非常電源の開設ぐらいしか打つ手はなかったのではないか。
  
 また水をジャボジャボかけているが、放射性物質まみれの水を全部回収できているのかどうかも怪しい。
 
現状、全体の作業の進捗状況を掛け値なしに心配している。
 事態の深刻性はもはやだれかの責任を云々する段階ではない。それは後で十分やったらいい。
こんな立場に自分が立つのはめったにないが、今回は例外だ。
 
 作業員の方へ配慮がいる。がんばれはもちろんだが、保障の裏付けがいる。
 
> また最近公開された自衛隊機からの航空写真から判断するとシロウトの私でさえ、現場作業の困難性が伝わってくる。
 あのような破壊状態で原子炉本体にどうやって被ばくによる生命、健康の危険に最大限の配慮をしながら緊急冷却装置を破壊された配管に接続するのか、サッパリ解らない。配管系はズタズタになっているはず。
 全ては手作業です。
 
 >平井さんの書くところによれば、放射線を防御する作業服なんかないそうだ。放射能物質を遮る作業服程度だろう。
その作業服の下にチョッキに基準値を超えた時に発するアラームをつけて放射能を浴びる限度を決めて短時間で人海戦術のように作業しなければならない。
 
 以前、作業員の方が海水注入ポンプの燃料が切れたの巡回点検中だったとか。
水たまりに足を踏み入れた時、アラームがけたたましくなったのに、放射線の基準値を超えた警報とは思わなかった、長靴をはいていなかった方の被曝が一番大きかった、とかの事態は被災原発作業現場の実態のヒトこまが表面化していると受け止めている。
 水をかけるのは高度な技術はいらないが、被曝危機状態の中での集中、短時間作業ができる人材はできるだけ多く確保した方がいいが、それができているか疑問である。
 
 そもそも原発は建設も点検も、今回の様な大災害時も現場作業は人のやりたがらない超危険作業と云う意味でこの職種を希望する人材の確保は困難。特殊な環境での、短時間作業の繰り返しで人材が育たないと云う指摘ももっともである。
 
彼らはそれをあえてやっている方たち。その彼らがこの大災害に駆り出されざる得ない。
政府が安全基準値を引き上げたのは深い意味がある。
  
 また、海洋汚染、水質、食糧、人体への長期的影響が広範囲にわたることは避けられない情勢だ。
事故は収束するまで何年も掛かるとみているがどうだろうか?
その間の放射性物質の広範囲の拡散、人体内などへの蓄積は避けられない。
 
云うまでもなく、今回の激甚災害原発だけでなく地震津波災害で多くの犠牲者を出している。
今後の対応いかにとっては助かった方から犠牲者の出る可能性が常にある。
 
一体どうするつもりなのか、正直、シロウトには具体的に理解できない側面がある。
民主政権の対応のまずさだけではない。自民党長期政権がこの日本に原発を林立させてきた。
この点をあいまいにすると薄っぺらな現政権批判だけに終わる。
 
その中で統一地方選挙がおこなわれるが、国民もよく考え直した方がいいと思う。
贅沢な暮しと安心安全な生活は両立しないことが多すぎる、のは事実だ。
今のままの日本が経済発展を望むなら、立地条件に根本的無理がある原発を肯定するしかない。
 
津波災害にしても同じようなことが云える。沿岸部の防御態勢はほとんど無防備なところが余りにも多すぎる。
 
 今日たまたま全国何か所もの原発建設に携わった職人さんの話を聞く機会があり、長時間話し込んだが、特殊作業なので現場の責任者クラスは経験を買われて全国の原発建設現場を渡り歩くようなことになっているようだ。
 
 私の話した方は職人さんの班長クラスの人だったが、破壊された現場の修復作業の実態を当該関係者やマスコミは伝えていないと云いきっていた。被ばく覚悟で作業する人が必要とまで言っていたが、それを言い出す人はいないだろうとか。
 
 
 >>話は本題から全くそれるが、全国何か所もの原発建設現場を渡り歩いた腕に覚えのある職人さんが今、高齢になって、検察官と共謀するその種の病院によって、あわや本物の精神病者に仕立て上げられるところだった。
 
検察官が精神病院と結託するルートが開けているとは私は今まで知らなかった。社会の裏側である。
 
 不起訴が自分たちの汚点になる検察官にとって、犯人に「仕立て上げられない」「仕立てるのに面倒」な案件は精神病院送りのルートがあったのだ。検察と精神病院はツーカーの関係にあった。精神病院はこういうルートからも入院患者を確保し、ベッドをいつも一杯にしているようだ。彼は冷静で頭のさえている人だったから、精神病院で不必要な反抗を繰り返すと薬漬けにされると察知していたようで自力で3か月、出所を果たした。
 
 彼の事件は公営住宅でのよくある隣人のカラオケ騒音トラブル。隣人の騒音で追いつめられた彼がとった行動が刑事事件に相当するとされて、私の感触としたら、証人を呼んでの面倒な裁判の手間を省くため手っ取り早く精神病院に送られた、とみる。
 
 人権無視の一種の保安処分だ。職人さんを長くやっていた方はどうしても市民社会の常識からすると突飛な行動に出る傾向もある。そこを法的処断に委ねられるとこういう結末になる。
その時点で身元保証人がいないことも検察のこういう安易な行為を許す原因になっているようだ。
 
 人が司法伝動ベルトに乗ったモノ扱いにされている。
 
 検事側とすれば真面目に生活する彼を裁判にかけず、配慮した、と云うことになろうが、彼が冷静な対応をせず、反抗を繰り返したら一歩間違うと強烈な薬を打たれ、挙句の果てに本物の精神病者に仕立て上げられるところだった。こういうアリ疑獄に落とされていった方は全国でたくさんいるのではないか。一種の隠れた冤罪である。
 
 これが日本社会の底辺での実態である。
社会構造としての格差社会は、こういう実態を拡大させていくが多くの人の目には止まらない。マスコミはめったに報じない。
 
 が、こういう社会の実態は多数派国民の自由と民主主義を侵食する。
頂点での小沢さんの無理やり起訴の一方で底辺ではこういう事態が進行していると見る。
その間の人たちはマスコミに洗脳され、自分の立ち位置さえ忘れて、利権集団に同調する。
 
反抗、別の道は定型のレールを想定できない。
 一つ一つの具体的事例に想像力を働かせ共に立つ。これしか自分にできることはない。
 
 建設作業現場では平井さんの云っていた人為的ミスが発生しているようである。
大きなところは見つかるが小さな所は発見されず、そのままやり過ごし後の重大災害につながる要因は平井さんの記事にある。
 
 現場作業の実態のうちベールに包まれている部分が余りにも多すぎて国民の間に疑心暗鬼を生んでいる側面が強くある。
 
 作業のいく末も見通せないから、発表しても混乱を招くだけとの見方もできるが、自衛隊撮影の航空写真でも現場の破壊状態はある程度、想像の範囲内だから、あれ以上の生々しい報道が何の修飾もなく、思い切って公表されたら、国民はむしろ納得して事態に備えるのではないか。国民は作業の困難性を理解できると見る。
 小出しに事態の悪化を伝えるのは逆効果なのではないか。