反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

5、4「たねまきジャーナル」。京大小出、元安全委員長代理、住田の発言の肝を技術問題への理解足りない水野晶子アナで話上滑り。突っ込めたら、いい話が引き出せたのに残念。

 前日のブログ記事は本当の所、時間をかけて調べていた、東電の原発事故初動対応の問題を掘り下げて書くつもりだった。
 大きな視点として、今現在の事故現場の東電、政府その他の作業体制への漠とした疑問があり、特に現場を任されている東電への不信感がある。本当にコイツラに任せて、やっていけるのか?
 
 そこで、これまで記事に取り上げてこなかった事故発生直後からの、1号格納機ベントまでの空白の10数時間をネットで検証していった所、やはり当日の現場の技術的なリアルな対応問題に踏み込まざる得なかった。
 
 最初にザジャーナルで高野論説で、AERA、新聞が報じている限りの3,11から3,12水素爆発までの東電側の生の動きをチェック。
 ところがこの記事は報道を手際よく、まとめただけで当日の生々しい現場作業の技術的問題まで踏み込んだものでないとすぐ解った。
 
 例えばこういう所。
 やっと最初に到着した全部で6台呼んだ中の2台の東北電力の電源車からの電源の繋ぎ口が津波に浸かって、使用できなかった、仮に使えたとしても、高電圧の電源車を繋ぐための低電圧用のケーブルは短すぎて使えない、差し込みプラグが合わない。500Mのケーブルが必要で東京から空輸手配する必要があった。
 
 高野さんは適当にまとめているようだが、この個所の技術的問題は重大、とみたので、ネット上のあれこれの意見を調べてみたが、要するにカンカン諤々、専門知識を持って論じているが、福島第一原発の電気系統の基本配置図、当日の生の現場被害状況、作業の指揮関係を知らない者同士が議論しているので要領を得ない。
 
 記事を書く為の壁にぶつかっていまった。
 
繋ぎ口が津波に浸かって使えなかった?水をかぶって、絶縁できなくなっていた、としか想定できない。
仮に使えたとしても、とは飛躍がある。絶縁を確立してから後、という意味だろう。
 
 低電圧用の500Mのケーブル線ぐらいは福島県内で調達できないか?
仮に遠距離輸送が必要であっても、自衛隊のヘリを使って何とか緊急輸送できるはずだ。
電源車と現地にあった短いケーブルのプラグは合わないって?
超緊急事態だ。現地でそれくらい何とか応急措置できないのか?
 
 >だいたい、ここで高野さんが書いている作業内容は推察すると圧力容器を冷却するためのポンプに電源をつなげる作業とは思えない。
 
 建屋内で真っ暗闇になっている中央制御室への通電作業の様に想える。
大きなポンプは低電圧なんかで回らないはず。
作業員たちは、とりあえず、今できることとして、中央制御室に通電して、重要な計器類を見渡すことを優先していた、と考えられる。
 
 高野論説ではこの辺のこと混同している。
事実、ネット上の意見の中に大きなポンプを回転させる容量を得るため、複数の電源車の並列接続の問題まで論じられている。東電の当該作業は中央制御室への電源確保作業だよ。
 
 ところが、不思議な事実がある。
今回に事故を受けて全国の各原発では高出力の電源車の確保が点検され、一部では今回の福島の様な無電源状態に陥ったとの想定で訓練が行われたと報じられている。
 
 ならば、まず第一に。
福島ではまず何より、電源車は現場に用意されていなかった、という想定ミスがある。
これだけは確実なことだ。
無電源状態は想定外ということなんだろうが。
 
 第二。
電源車が全部到着すれば、何とかなったのではないか?という疑問がある。
なぜならば、各原発の無電源対応は電源車の配置となって、実際に訓練まで実施している。
 本当に当日の現場の被災状況から、電源車は利用できなかったのだろうか?
現場が混乱の極にあって、機転が利かなかった、ということも想定できる。
プラグの問題なんか、切断したりしてなんとでもなると想うが。その程度の機材さえ東電は現場に備えてないのか?
 
 ただ中央制御室で計器を見て、点検したりの事務的技術屋さん、出入りの業者の管理業務が東電社員の現場日常作業の実態ではないのか?
 このレベルでは今回の様な超緊急時の対応力はみじめなモノになる。
現場作業は常日頃から慣れて経験を積まなくてはできない。理屈だけ解っていてもだめだ。
 
 第三。
電源車の手配はどうして東電、東北電力に限ったのだろうか?
自衛隊にもあるだろうし、民間にもある。近場から手配するのが、緊急時の対応だ。
 
 低電圧ケーブルはどうして東京からの手配になるのだろうか?
 
 第四。
自衛隊、警察は機動力を持った非常時の超法規的存在。
活用すべきだった。政府、どうこうの問題もあるが、東電側の技術陣に事故への危機感が直ちに生まれていたら、率先して技術者として、自衛隊、警察を活用していた。
 
 第五。
東電は海水注入の保安院、政府の意見に廃炉を恐れ、当初抵抗し、時間を無駄にしてきた事は今やはっきりしている。
 管が東電に乗り込んで長時間文句タラだらだった、と小沢熱烈支持者は人使いの稚拙さと受け止めていたようだが、この時点で私は彼らは何も解ってないな、と感じた。
 政府が強制力を持ち得なかった責任はある。強い調子で東電には対応しなければならなったのは事実だ。
普段の人使いと混同してはだめだ。
 
 <こういう東電の今現在、これからの現場指揮には限界があると見るのが、普通の見方>
 
>>>と、ここまで書いてきてやっと、タイトルに入ることになってしまった。
時間不足で展開できないが、
 
自称、元原子力村の端っこにいた、元原子力安全委員会委員長代理で80歳の住田健二さんが「たねまきジャーナル」で言いたかった事の核心は「どうして東電の技術者は10数時間の間に何もできなかったのか?保安院、政府がどうのこうのという以前に技術者として、本当に現場で踏ん張りきれたのかどうか?
何か対応の道はなかったのか?」という同じ技術者としての素朴な疑問と怒りだ。
 
 >彼が原子力安全委員会委員長代理であった、まさにその時、1999年。
東海村の核燃料加工工場(JCO)が手抜き作業で国内初の即発臨界事故を起こしている。
住田健二は現場に乗り込み、陣頭指揮して事態を収束に向かわせている。
以前、この収束作業を記事作成の必要からネットで調べたが、その時の責任者に住田健二がいたとは知らなかった。
 
>ただ、事故の収束の仕方に凄く感銘を受けた。
 
事故を起こし、何が何だか分からなくなって、弱気になっている当該企業に対して、毅然として、「あなた方が収束作業に今、尻込みしたら、政府側から作業強制命令をだすしかない」といいきっている。
 で、具体的な作業手順を指示し、危険承知で実行させている。
それで事故は収束に向かった。
 
 >住田健二はその経緯を筑摩書房から本にしている。
まだ読んでないが、原発非常時、現場作業のリアルな実態、現場に精通する学者の指導的役割がハッキリとそこに示されているだろう。
 
 「たねまきジャーナル」で住田さんの口から、東電の現場対応への意見を聞き出すことが、5、4の放送での水野晶子アナの役割、と瞬間的に想ったから、話が抽象的な安全神話流附の道義問題に横滑るしていくのが歯がゆかった。
 
 >目の前で問われていることは、技術、作業、指揮の問題。
 
一度にイロイロなことは議論できないし、解決できない。意見も小出さんの様な立場から、住田さんはまだしも、徹底した原子力推進の立場の者までいる。
 
 >リスナーに解り易い方向に話題を持っていくのがマスコミの習性である。
それを聞いて解ったような気になる人が多いから、前に進めない。
複雑な問題は複雑に考えなければ。
 
>小出さんへのリスナーからの質問と回答も尻切れトンボだった。
3号機のプールは臨界爆発をしているのではないか、というリスナーからの質問への回答も「臨界爆発の可能性は高崎の公的放射能測定機関の観測した異常値から否定できない」。
ここまでで事実上、話を途切れさせている。
 
 話を原因の3号機プールの現状、現場の放射性物質と作業環境の方に持っていかず、今現在の住民への飛散影響の方に振っていくから、小出さんとしては、現状では影響はない、と答えざる得ない。
 
ところが、爆発したプールはどうなってるの?作業への影響は?という根本問題は問われず、終いだ。
 
>何度も繰り返して書いているように、現場作業の進捗状況がカギを握っている。
 
 本末転倒と云えば言い過ぎだが、焦点の当て方がクルッテイル。
確かに理に走れば角がたつが、情に流されたらきりがない。