まず、中央当局と政府の感染対策の現時点の基本戦略を、
①北海道(緊急事態宣言解除)、東京、大阪の医療現場を実際に「把握する」地方当局のリアル報告書や
②感染の急速に進行するUSAの現状ルポから、はっきりとしておきたい。
A、厚生労働省の発表する全国の感染状況報告や民間機関の報告では、感染者は緩やかに右肩上がりで増え続けている、と漠然と想定できるだけである。
B、日本の検査数は欧米に比較すると少ない。
>実際に検査を受けるまでのハードルが高く設定されている。各地方の具体例を見ればよくわかる。
W。北海道の公表されている報告書はリアル事例を検討するうえで最適である。
新型コロナ:道内の発生状況 | 保健福祉部健康安全局地域保健課
↓ ↓
>小樽市3,22具体例
*60代男性
W。各地方報告書をざっと閲覧した感想は、感染し、帰国者接触者外来経由(相談センターに相談すると、身近な病院受診受診→感染特定病院外来、検体採取という複数の病院を回っているケースが多い。)検体採取→保健所にて陽性反応が出ている患者の多くは壮年の人たちであり(60代前半含む)、それに対して高齢者の割合は少ない。仕事の都合などで外出し感染するケースが多いが、体力、免疫力があるので隔離されて「自然治癒」しているようである。一方、割合の少ない高齢者の感染者は高熱などの基本症状が引かない。
↓
3,13高熱発症
3,17<帰国者、接触者外来相談センターに相談
>医療機関A受診
>3、20体調不良にてB医療機関受診
胸部レントゲン、肺に炎症無し
*同日
帰国者、接触者外来を受診→検体採取
3,21
小樽保健所にて検査実施陽性反応
3,22
体温36,6度 倦怠感、頭痛、軽症会話可能
海外渡航歴無し、
>>行動歴、濃厚接触者についてが現在調査中
**************************
W。隔離措置が取られた時点で高熱などの顕著な症状は治まっていた。
症状露見以降9日経過しているのだから、当然のこと。
>A型インフルエンザの場合も平熱に戻るまで約1週間は要する
この事務職の男性患者の経過報告から推察される疑問点
W.なお、地方自治体が公表している報告を私的な記事に使っている。
①3,13高熱発症
↓
帰国者接触者外来相談以降
3,20
帰国者、接触者外来を受診→検体採取。
>A,B2つの医療機関を受診している。
*A、医療機関受診の際、院内感染を引き起こす可能性があった。
Bは感染特定外来なので、医療関係者もそれなりの院内感染対策をしていると想定。
>その他多数のリアルな事例は時間の都合上省略した。
**********************************
>ただし、3,23に点で次のような記事もある。
*>行動歴、濃厚接触者について現在調査中。
行動歴、濃厚接触者へのPCD検査が必要であるが感染経路をはっきりできない可能性もある。
***************************
東京 北海道(非常事態宣言→解除の経過)のような具体例にアクセスできない。数字、グラフなどの公表に限っている。
>数字やグラフに限った情報からは現状の感染状況や基本対策の実態がリアルに把握できない。
大阪府 W,3,22、ライブ参加による集団感染6名の事例である。
>6名全員の詳しい感染状況の報告
40 代 妻・子2人 3月18日 ・129、130例目の同居家族
・海外渡航歴有(3/4~3/18 スペイン)
・帰国時マスク着用
・帰国してから自宅待機
発熱咳倦怠感 軽傷
40 代 夫・子2人 3月19日 ・128、130例目の同居家族
・海外渡航歴有(2/9~3/18 スペイン)
・帰国時マスク着用
・帰国してから自宅待機
発熱咳 軽傷
⽗・⺟・姉妹 3月22日 ・128、129例目の同居家族
・海外渡航歴有(2/9~3/18 スペイン)
未就学児 ・帰国時マスク着用
・帰国してから自宅待機
くしゃみ 軽傷
2/9から保育園 への通園無し
>W.上記。帰国時マスク着用。自宅待機の中身は不明。
自宅待機中にスペインから持ち込んだ潜伏状態ウィルスによって他の参加者に感染させたのか、
それともそれとは無関係に複数の保菌者のライブ参加があったためなのか、特記事項空欄を見ると追跡調査ができない状況なのか予測できない。
>参加者の集中PCD検査ができる名簿があるのかないのかもわからない。
>W。126(40代男)発熱咳の軽傷特記事項欄は空欄、,127(40代男右に同じ)、
>131例 無職、発熱咳、70代男、特記事項欄空欄。
*********************
*********************
W。上記のような具体的資料の読み込みをいくら重ねても
>日本のコロナ対策の全体像を浮かび上がらせるのは困難。
>厚労省などの発表する日本全体の感染状況の数字やグラフからわかることは、右肩上がりの緩やかな感染状況が続いているという事実だけだ。
*********************
そこで、日本の感染状況や政府の感染対策の概略を中央発表のグラフや数字以外に想定できる格好の記事がある。(日本政府が強い権限を発動して統制していない段階も考慮に入れる必要があるが、)
W。日本政府の基本的な戦略は最初から、緩やかな感染状況の公表を維持する政治目的(仮想現実維持)で検体確保まで高いハードルを設けて検査数を制限し検査に優先順位を付けるものだった。専門家会議も露骨な表現は避けているが、要約するとそういった趣旨の発言をしている。
>検査の間口を広げると、市中の感染者数は大きく炙り出され該当者は医療機関に殺到する。
アメリカは途中から突如、検査の間口を広げて感染者数の増加に対応できず、検査に優先順位をつけなければならない事態になっている。
日本の各地方の具体的な事例を参照すると、壮年の感染者は多い。
潜伏治癒、待機治癒のヒトもかなりいる(症例に当てはまらない感染者は体力のある人に多い)。
また、検体まで1週間以上経過するケースが多ければ、その間に自覚症状がなくなってしまうこともある(健康な壮年者、若者、幼児子供)。
さらにそういった人々は通常の行動をとることもあるだろう。
>これらのケースはCVID-19市中や家族内感染を増進させる。
だから、緩やかな右肩上がりの感染者の傾向は、簡単には止まらない。
>また、発症ケースの追跡と集中検査もどこまでやれるのか具体例の報告が簡単すぎて想像できない。
UAS現状報告記事引用
「集計は、アメリカでの感染者数の急増を示している。3月21日は前日20日より約7000人も感染者数が増えていた。
検査数が増加しているから感染者数が増えるのも当然ではあるが、このペースで増えて行けば、イタリアの感染者数を超えるのは時間の問題かもしれない。
外出禁止令はカリフォルニア州に続き、ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州、イリノイ州、オハイオ州、ルイジアナ州、デラウェア州でも出され、全米の3分の1にあたる1億100万人の人々が外出禁止の対象となっている。
トランプ氏は、ニューヨーク州に対しては「大規模災害宣言」も行ったが、同様の宣言はカリフォルニア州やワシントン州に対しても行われる可能性があるという。
感染者数予測は様々
ジョンズ・ホプキンス大学のマーティー・マカリー教授は「米国内では、5万〜50万人の感染者が歩き回っている」と話している。
国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ氏は「思い切った封じ込め策を取らなければ、感染者数は数百万人に達する」という見解を示した。
医療崩壊を懸念
医療用マスク不足から、病院の従業員たちは、マスクの手作りまで始めた。また、市民の間からは、マスクを寄付する者も現れている。
ベッド数不足から、閉鎖されていたLA郊外のロングビーチ市の地域病院も再開されようとしている。
LA郊外のポモナ市にあるシェラトン・フェアプレックス・ホテルは、23日から、ホテルの244の客室を、新型コロナの感染者や症状があり検査結果を待っている人々の隔離用に提供することになった。
官民一体となって、地域ぐるみで、新型コロナと闘おうとしている姿勢が見てとれる。
しかし、そうしなければならないほど、アメリカはリソース不足のため、増える感染者に対応できない状況になっており、医療崩壊の危機に瀕しているのである。
検査に優先順位へ
この状況から、検査数拡大を重視してきた米政府は、ここにきて、検査に優先順位をつける方向へとシフトし始めた。
米国時間3月21日、ペンス副大統領は検査のガイドラインを発表、
感染リスクが高い「入院している患者、医療従事者、症状を見せている介護施設の居住者、心臓や肺に基礎疾患を抱える65歳以上の高齢者」を優先的に検査することに対して、国民に理解を求めたのだ。
>日本同様、軽い症状の人々の検査は後回しにされることなったのである。
W。この指摘は間違っている。~~日本の基本政略はなし崩し的な<由(よ)らしむべし知(し)らしむべからず >~~《「論語」泰伯から》人民を為政者の施政に従わせることはできるが、その道理を理解させることはむずかしい。転じて、為政者は人民を施政に従わせればよいのであり、その道理を人民にわからせる必要はない。~~~
検査規模拡大を訴えていたファウチ氏も「すべてのアメリカ人が検査を受ける必要はない。みなが検査を受けにいくと、感染防護用具、マスクやガウンなどが無駄に使われることになるかもしれない。それらは、患者のケアに当たっている医療従事者のためにとっておかなくてはならない」と訴えた。
アメリカでは各地でドライブスルー検査が始まり、FDAは45分で結果が出る検査キットも認可したばかりなのだが、検査態勢が整い、感染者が増えても、医療側が感染者の受け入れに対処できない状況を、米政府は懸念し始めたのだ。
少数にしか検査を行わず
実際、ロサンゼルス郡は検査により感染者を発見して隔離することで感染拡大を封じ込める戦略を断念し、感染のピークを遅延させる戦略へシフトした。米紙ロサンゼルス・タイムズは、「ロサンゼルス郡は感染封じ込めのために患者を検査することは断念し、陽性という結果が出た時に治療法を変更する可能性がある患者だけ検査するよう医師たちに通達した」と報じている。
医師たちは、この通達について、感染は疑われるものの、風邪のような症状で自宅隔離できる患者の検査は行わず、入院治療が必要だと判断した場合だけ検査を行うということだと解釈しているという。
同じ状況はニューヨークでも見られる。
米紙ワシントン・ポストによると、ニューヨークのマウント・サイナイ病院には、毎日、呼吸器症状がある100人以上の患者が緊急治療に訪れているが、そのうち、新型コロナの検査が行われるのは少数だという。医師たちは、市中感染拡大の状況から、発熱、咳、呼吸器症状、風邪のような症状で来る患者はみな感染していると仮定してはいるものの、治療薬がまだない以上、彼らを検査してもどうにもならないと考えているようだ。
>つまり、医師は感染を疑っても、患者が治療が必要になるような症状を示していない限りは検査を行わず、自宅で隔離させる方針を取っているのだ。それだけ、リソース不足は深刻ということになる。
検査拒否され、死亡か
フリオさんは16日朝、亡くなった。
「病院側は、車椅子に乗った呼吸困難な夫を目にしたら、診察すべきだった」
とジュリーさんは涙ながらに訴えている。
フリオさんが感染していたかは不明だ。検視局は、病院側が死因を肺炎と断定したため、検視を行わないという。そのため、ジュリーさんは夫が新型コロナで亡くなったか、独立機関で検査してもらうという。
フリオさんのようなケースは、氷山の一角ではないのか。検査を受けられず、新型コロナが原因なのかわからぬまま、命を落としていく人々。
そうならないためにも、誰もが等しく検査を受け、治療を受けられるよう、リソースが拡充されなけばならない。
ロサンゼルスでは、前記したように、閉鎖されていた地域病院が再開されたり、ホテルが感染者のために客室を提供したりする動きがあるが、今は、地域ぐるみでリソース拡充を図り、新型コロナと闘う時なのだ。」
引用終わり
>~~日本政府の基本政略はなし崩し的な<由(よ)らしむべし知(し)らしむべからず >~~だったと思う。
>なし崩し的に、というところがキーポイントである。
世界の先進国に例をみない日本独自の新型コロナ対策、実施中といったところか。
2020年、東京オリンピック開催
長期経済低成長 世界経済における相対的地位の後退
長期政権のアベノミクス 日本の国内政治状況
少子高齢化社会
などなど
その要因は複層しているのではないだろうか。
>ただし、日本庶民には数百年来、清潔循環型社会の歴史と伝統が根付いている。
日本文化の独自性もこういった伝染病に強い。
しかし検査のハードルを高くするやり方で、ピークを先延ばしすることができても、長期的に見ると、検査数を増やすやり方は、医療混乱を招こうとも、一端は現実を直視したわけで、その経験は将来に生きると思う。
最初から現実に蓋をする方向に進めば、新たに得られることは少ない。そのうち延期された東京オリンピック開催でこの経験は全社会的なものにならず、消しゴムで消されるように忘れ去られる。
日本には無常という独特の作法があり、それが今の世界でどういう相互作用をするのか、