引用
「◇感染症2類→5類に格下げの「拙速」
新型コロナウイルスの第5波が収まらない。東京五輪閉幕後、全国の新規感染者や重症者の数は連日、過去最多を更新している。その新型コロナを季節性のインフルエンザ並みに「格下げ」する動きがあるというのだ。だが、先に打つべき手があるのではないか。 昨年12月のことだった。旧知の厚生労働省健康局の官僚がこう言った。 「(感染拡大を抑えるため)年末年始の人流を徹底して抑え、酒もダメ。でも、これからは常に新型コロナを『インフルエンザにしていくタイミングも考えていかなければならない』という議論が内部にあります」
@この官僚は早くも〝出口戦略〟が省内に出ていることを明かしたのだ。
「保健所を通し、入院・隔離や就業規制を行い、濃厚接触者や感染経路の調査も徹底的に行う。ただ、これによって地域の医療は入院などで逼迫(ひっぱく)し、保健所や自治体も相当な負担になる。医療費は公費、財政負担は続く。 そんな新型コロナを5類の季節性のインフルエンザ並みに扱おうというのだ。近所の医師でも診ることができる。入院勧告や隔離も不要になる。医療費は患者負担になる。そうなれば自治体や医療機関の負担は、大幅に軽減される。
この官僚の話を思い出したのは今夏だ。政府は入院対象者を重症者や重症化リスクの高い人に絞り込み、それ以外は原則自宅療養とする方針を発表していた。感染者が爆発的に増え、病床と医療が破綻するからという理由からだ。
⇒W。急増する感染者に対してキャパ圧倒的限界の保健所機能をそのままにして血中酸素濃度などの基準を設けて患者を救急搬送せず自宅待機にする<原則自宅療養>方針。
その一方で、五輪開催の迫った時期の無分別なワクチン接種枠の設定にも関わらず、五輪開催を強行するにしては全く不十分な国民規模でのワクチン接種率(ワクチン接種進捗率後進国状態はそのまま)
また、各自治体レベルや臨床現場でのリアルで思い切った感染症対策は、突出した例を除いて、何もやられていない現状放置。
重症化率も感染急増の母数アップと共に急上昇している。(他方死亡率は低下している。⇒高齢者優先ワクチン接種効果だけが要因ではないと思う。繰り返される緊急事態宣言やマスコミ報道により危機感醸成の長期化=刷り込み効果が最も有効なのは身に覚えのある高齢者層であり、長期自粛効果は高い。重症化したくない死にたくないという情緒は深く広く浸透した。もう一つは、この層においてコレまで危機的な感染状況が身辺に迫った。長期にわたる感染状況に対する備えは、啓蒙や理屈を超えたところにあった。自分や身内がコロナ以外の疾病で入院することがあっても、その入院先がコロナ感染の直接間接の被害を被っていれば、思うに任せない、とリアルにわかれば自重する。)
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「今は感染力が強く、重症化するのが早いデルタ株が主流。自宅療養で急変し、死亡するケースも増えてきた。だが、自宅療養者への訪問診療や保健所の電話聞き取りの体制整備もされていない⇒W今後とも無理だと思う。患者急増、保健所、病院改革(隔離施設増設)なき現状保健所のままでは患者の足切り、自宅待機の道具化する!
医療関係者や世論からは当然、「救える命も救えない」「死の選別」と猛批判が出て、この方針を政府は事実上撤回した。
◇薬やワクチンが整わず時期尚早
W。2類⇒5類議論とインド株による感染者急増などのコロナ感染状況、政府の自宅対方針をネット上でみるにつけ、2類の隔離入院の基幹方針はなし崩し的に捨てられたと直感した。
だが、その一方で、保健所差配、公費負担などの2塁の法的人的金銭的枠組みは維持されているのだから、コロナ渦状況になし崩しで追従する対応をしているだけだ。
しかもオリンピックパラリンピックなどという純コロナ対策を大きく阻害する難題を抱え込んだままだった。
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「この方針は菅義偉首相、田村憲久厚労相、西村康稔コロナ担当相ら関係閣僚会議で確認されたという。批判は予想できたはず。そこには先述の「インフルエンザに……」が潜在的にあったという。首相官邸に出向する官僚がこう話した。「菅首相がワクチンに全力を挙げ、政府は『最後の段階に入ってきた』という空気が大きくなってきている。『コロナを5類に』という出口戦略は、ずっと官邸や厚労省の頭の中にあった。何かきっかけがあれば、そこへ持って行こうと。今回は感染者が増え、医療逼迫を避けるという大義ができた。そこで自宅療養中心に方針転換し、インフルエンザと同じ扱いに一歩近づけようと……。関係閣僚会議の中でも反対論が出なかったのは、そうした空気が根底にあったから」⇒W。水は高いところから低いところに流れる。コロナパンデミックも同じ!東アジア東端日本列島の感染大拡大はパンデミックの周回遅れになる。この地政学的法則に加えて、オリパラ開催の呼び水注入で一気に。常日頃勇ましいことを言っているが頭の中は「平和」であった。アフガン撤退を決めたトランプに及ばない情勢認識である。
新型コロナの治療に当たる都内の大学病院の専門医は時期尚早と言い切る。 「抗体カクテル療法も入院患者にしか使えない。5類になり、今、かかりつけ医のところに患者が押し寄せたとしても、⇒W、法的には診療拒否できないが断る診療所が一杯出る、閉鎖するところも出る、と思う。まともな薬もない。入院可能な病院へ送り込もうとしても(患者が)詰まってしまう」
「過去に本欄でも取り上げたが、独自対策を進める福井県は、これまで全ての陽性者を病院や宿泊施設に収容してきた。今回の感染爆発に対し、準備してきたのが体育館に100床の臨時病床の設置だ。いわば野戦病院を作ったのだ。 「県は、医師会とこれまでしっかり連携し、信頼関係を作ってきた。東京都や他の自治体でできないのは、爆発的感染に備えて話し合いなどをやってこなかったからではないか」(県幹部)
これらの手は感染が落ち着いている時期にこそ打たなければならなかった。感染が増えてから慌てても追いつかない。自宅療養中心は「逃げ」に見えてしまう。政府や東京都は「インフル化」の前にやるべきことが、まだまだあるはずだ。
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W。参考資料①
W。一見、もっともな意見だが、Wの知っている医療機関やその相互関係の現実とは違う。医者、診療所、病院=性善説の前提に立っている。国の政治と法律を上から変えてこそ、通用する議論だ。一種の形を変えた市場原理主義!そもそもこのように発言する本人が政権と昵懇の「いしん」への鞍替え議員の大矛盾。上っ面撫でただけの耳障りの言い見解。欧米の医療の主力は大病院。日本は個人病院圧倒的多数の国民皆保険制度。
「 ーーそれで先生は、昨年3月末に日本維新の会の党の中で『コロナを2類相当から外した方がいいのでは』と発言し、国会でも昨年6月と8月の2回、2類相当外しを提案したが『コロナを軽く見ている』と袋叩きにあった…。 「今回のような未知のウイルスの流行は、実際に目にするのは初めてだから最初はどの医師たちもわからなかった。私や長尾先生だって最初はわからなかったが、各種データに加え、オンザジョブトレーニングじゃないですけど、実際に多くのコロナ患者に対応して重症化を防ぎ、亡くならないようにする中で、コロナはかかりつけ医を中心に早期発見、早期治療をしていけば、かなり管理できる病気であることがわかってきた。 ところが保健所縛りによりコロナ患者に接することがほとんどなかった医師には、なかなかそれが実感できなかったし、政治家や官僚、マスコミも理解できなかったのだと思います」
医療と保健所のバランスが大事
ーー至極、真っ当な意見だと思うが…。テレビと新聞がコロナの恐怖を煽り過ぎたため「季節性インフルエンザと同じ扱い」にすることへの不安が国全体にあるのかもしれない。 「私は“新型コロナはインフルエンザと同じで怖がらなくていい”とは一言も言っていません。私は2類だろうが感染症指定が外されようが、当然、これまで通り自分のクリニックの感染予防対策を徹底します。⇒W。感染対策をするだけではなくコロナ疑惑の患者を率先してみているのか?PCR検査を実施しているのか? すでにワクチン接種によりこちらの防御態勢は整っています。私が言いたいのは、患者さんと医療者双方の感染拡大を防ぎつつ、医療の基本である早期発見、早期治療を進めようということなのです。 日本の医療はある程度進んでいるから、公衆衛生(保健所)ではなく、医療が前面に出ていこう。そういうパワーバランスの話をしているのです」 ーー本来なら、開業医を先頭に、発熱患者を奪い合うぐらいの態勢を作るべきだった。 「熱が出ても診てくれないという状況を変えるために、発熱したら、かかりつけの医師がせめて診療時間の一番最初か最後に、1日3人でも5人でも診てくれたらと思う。