反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

認知症と嗅覚の関係を調べてみた。嗅覚皮質は記憶を司る海馬の直近に存在し、認知症の中核症状である記憶障害、見当識障害の発現よりも先に、鼻の奥にある嗅神経の細胞がダメージを受けることがわかってきた。⇒W。正確に言えば、海馬に隣接する嗅内皮質が先に老衰する。動物的自然現象であると同時に脳の発達しすぎ人間的な自然現象だ!

においが分からない原因は?原因としてあげられるのが、鼻の病気やかぜ、加齢、認知症などです。

W。見守りケアの人。流し台の下から取り出した鍋から強烈な臭いが発していた。当方は息もできないほど「ウッ」という感じだったが、本人はあっけらかんとまったく匂わないというので唖然とした。

研いでかなり日にちの経った米を鍋に入れたまま流し台の下に放置していたのだ。

手の込んだコメの焚き方をする。洗米し水切りしたコメをざるに入れて数時間干す、その後、沸騰させた湯を冷ました水を入れて炊飯する。まともに炊けると非常においしいご飯が炊けるが、失敗が多くなった腐敗させた洗米は干しの段階のモノを炊飯し忘れたもの。)なお、見つけて処分しようとしたが私がやるというので任せて置いたら、そのままにしておいたようだ。後日、ヘルパー責任者がやってきて、どうしようかなどと云うので、Wが出向いて処分した。

 後からその匂いを想像すると、琵琶湖の鮒ずし(フナのなれずし?)の匂いは、こんなものじゃないかな、と思った。研いだ米に蓋をして暗部で腐敗させると(常温暗所だから発酵は抑えられている⇒琵琶湖名物フナのなれずしは付け込む樽に酵母菌が普茶いうしているの発酵作用が働き殺菌作用もあり食い物になる。)、何とも言えない嫌な臭いが発するのか。

その匂いは同じ発酵したコメでも麹の上品な臭いとかけ離れている、まさに腐敗臭そのモノ。

         麹の作り方

前日準備

1. お米を洗う 2. 洗米したお米を水に漬ける

1日目

3. 洗米したお米の水を良く切る 4. お米を蒸す 5. 蒸したお米に種こうじをふりかける(種切) 6. お米を布に包んで保温する(引き込み)

2日目

7. 麹の手入れ1回目(切り返し) 8. 布に包んだお米を麹蓋に移す(盛り) 9. 麹の手入れ2回目(中仕事) 10. 麹の手入れ3回目(仕舞仕事)

3日目

11. 麹の完成(出麹)

>琵琶湖の鮒ずしや今回のケースは洗米の発酵過程において、窒息、腐敗させているので何とも言えない腐敗臭を発するのだ。もっとも鮒ずしの場合、付け込んだ樽に発酵酵母菌が住み着いているので殺菌作用が働き、腐敗を抑え込んでいるのだろうか?

鮒寿司 - Wikipedia

 以下の解説を読むと、WがTVでみた塩切り」後、飯に漬け込む製造過程であった。勘違い!

夏の土用の頃まで塩漬けにした後、フナを取り出して水で良く洗い塩抜きをする。塩味が少し残る程度で塩抜きを終え、次にをフナの身の中に詰める。この飯には塩を混ぜる。

桶の中にフナだけでなく飯も交互に敷き、フナは身の内と外から飯に囲まれた状態で敷き詰められる。落とし蓋の上から重石をかけ冷暗所に保管する。乳酸醗酵には、空気を遮断することが重要であり、重石をした後に桶に水を張ることが行われてきた。」一口大に切り分けて食卓に上げられた鮒ずし/白く見えるのは乳酸発酵した米飯。黄色く見えるのは卵。

W。見るからに珍味。

 同じような嫌な臭いのする食べ物に関東圏のクサヤがある。アレは伊豆諸島方面の特産でムロアジを長年付け込んだ樽で発酵させ日干しにしたもの。大昔居酒屋で仲間から勧められて喰ってみたが、わざわざこんなモノを喰う必要はない、とその場で断言した。

 このヒトは前から臭いはあまり感じられないとわかっていた。

流し台のシンクの三角コーナーの容器から腐敗した臭気が立ち上っていたことがあって、指摘すると本人は激しく反発した。この時は近所の人も居合わせた。今想えばナルホド、その臭気が全く感知されないのであれば当方の臭い臭いという言い分は不当な言いがかりになる。それ以来、三角コーナーの容器の掃除はWの仕事になっている。

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W.左右の鼻の穴の壁は奥で合流し上気道へ。臭い感知の神経は副鼻腔内?

W.ある耳鼻咽喉科院では内視鏡の実況映像で見せてくれるところもある。不動産屋のおっさんみたいな雰囲気だが、名医じゃないかな。

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下の図で臭気を司る脳皮質の位置がはっきりとわかる。記憶の<イソギンチャク>海馬のすぐ隣にある!

39. 学習と記憶;海馬の新生ニューロン - 論文・レポート

W。怪しい匂いのするおかずを喰うケースがある。どんどん廃棄すること。

W.認知症の方の焼死事故は動きが超緩慢だったせいばかりではなかったのだ。火災の焼けこげる臭い、煙の臭いをいち早く感知できなかったことも原因だった。嗅覚を完全に喪失していたのだ。

火災事故対策が必要!

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気になる嗅覚と認知症の関係

日本の認知症患者に最も多いアルツハイマー認知症の症状は記憶障害から始まるといわれてきました。脳の中の記憶をつかさどる海馬という部位が萎縮することにより記憶障害が起きるのですが、

>それより前に、鼻の奥にある嗅神経(きゅうしんけい)の細胞がダメージを受けることがわかってきたのです。⇒W。厳密に言えばこの説明が間違っている。後で挙げる研究書を読めばわかる。「鼻の奥にある嗅神経(きゅうしんけい)の細胞がダメージを受ける」のではなく海馬の隣にある臭いを司る皮質が老衰する(海馬の老衰よりも先に)だからアルツハイマー型の痴ほう症の場合、記憶障害よりも先に嗅覚が弱くなる~理屈の上では~このことは認知症の解説書にはあまり書かれていない~ところが、人間は嗅覚が弱体化してもほかの脳機能が発達しているので日常生活動作を左右するような問題が発生しない。しかし、嗅覚を頼りにしている動物だとその失陥は空間認知機能に大きな悪影響を及ぼす。後で挙げる論文は実験用ラッドによる研究であり、人間にストレートに当てはめることはできない。

嗅神経は鼻から吸い込んだにおいの粒子を電気信号に変えて脳に送る(W。電気信号の出力は臭い皮質から送られてきている?)働きをしているため、嗅神経がダメージを受けると、においが感じられなくなります。このことから、においに鈍感になったら、アルツハイマー認知症の初期症状が疑われるのです。最近では、においの認識により認知症を早期発見する検査方法などの開発も進められています。

 

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W.ここから本題に入る。臭いを感知しないこと、と居場所認識ができないこと、の関連性を学的に究明している。実際に起こっていることで、症状への一層の理解の助けになる。

海馬体-嗅内皮質における空間認知システム

2015/01/08
北西卓磨・松尾直毅
大阪大学大学院医学系研究科 分子行動神経科学)

海馬体-嗅内皮質における空間認知システム : ライフサイエンス 領域融合レビュー

要 約

引用

内側側頭葉の海馬体-嗅内皮質には,場所細胞,格子細胞,頭部方向細胞が存在する.これらのニューロン,壁やオブジェクトなど外界のランドマークを基準とした空間選択的な発火を示し,動物の空間認知をささえる“地図”としてはたらくと考えられている.⇒W。眠りから目覚めると一瞬、居場所が分からなくなる。その場合、室内のランドマークを探し当て、それを目安に記憶を紐解いていくと、自分の居場所を認識できる

 室内のランドマークの基準が認識できないと、自分の居場所を認識する糸口がなくなる。その際、沸き起こる恐怖心は大きい!身近なヒトに助けを求めるのだ!この構造を理解する必要がある!

 

 また,外界の変化や連合学習に対する活動パターンの様態から,空間記憶やエピソード記憶にも関与すると考えられる.

 近年になり,空間選択的な活動パターンを生成する回路機構および細胞機構の解明にむけ多彩な研究アプローチが適用されるようになり研究が加速している.」

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1.場所細胞の発見

 “いま自分がどこにいるのか?”という空間認知は,われわれが生きていくために重要かつ基本的な感覚である.空間のなかでの自分の居場所を認識することができなければ,知らない土地を旅することはもちろん,毎日の通勤すらままならない.空間認知能力の低下は認知症の中核症状でもある.空間を正しく認知するために,脳はどのようなしくみを備えているのだろうか. 

    場所細胞(place cell)

1971年,O'Keefeらは,空間のなかでの動物の位置に反応して活動するニューロンが存在することを発見。

海馬に留置した微小電極を介してラットが部屋のなかで自由に活動するときの神経活動を計測したところ,

>ラットが部屋のなかの特定の場所で特定の方向をむいたときにだけ活動するニューロンが存在することを見い出した.

そののち,方向選択性は実は平面的な広がりのある部屋では弱く(ただし,1次元の通路状の環境では顕著な方向選択性がある),動物が特定の場所を通り抜けるときにおもに活動することがわかった.これが場所細胞(place cell)である(図1a).⇒W。マーキングは特定の場所、記憶作用と同時に嗅覚ニューロン誘発海馬と臭い皮質隣接し海馬の弱体化以前に臭い皮質の脆弱化が発生する!

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図1 場所細胞と格子細胞
(a)場所細胞は,動物が環境のなかの特定の場所を通り抜けるときにのみ活動する.動物の移動の軌跡を灰色の線で細胞の発火活動の位置を赤色の点で示す.場所細胞が発火を示す場所(赤色)を場所受容野とよぶ.場所受容野の位置は個々の場所細胞により異なる.
(b)グリッド細胞は,環境のなかの複数の場所で活動し,この場所が正三角形をしきつめた格子の頂点に位置する.
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場所細胞が発火活動をしめす場所である場所受容野は,場所細胞ごとにさまざまである.たとえば,ある場所細胞は部屋のある角で活動し,別の場所細胞は部屋の中心で活動するというぐあいである.したがって,多数の場所細胞を集めると,場所受容野が動物の歩きまわる環境全体をおおいつくす

また,場所細胞のきわだった特徴として,特定の感覚情報に依存しないことがあげられる.たとえば,暗闇にして視覚情報をうばっても場所細胞の活動はもとどおり維持される.嗅覚,触覚,聴覚の情報も不要である4)

さらに,動物をカートに乗せて動かしても場所選択的な活動は生じることから,

>歩くという運動指令の情報も必須ではない5)

したがって,場所細胞の活動は特定の感覚情報により一義に決まるのではなく,さまざまな情報を統合した結果として,脳が内的に生成する空間認知を反映するものと考えられる.

@このような特徴から,場所細胞は認知地図の神経基盤であると提唱された6)

マウス,コウモリ,サルでも場所細胞がみつかっている。

場所細胞は哺乳類に共通の普遍的な空間認知システムを構成すると考えられる.

       解読に時間を要するため次回にする。

2.場所細胞の解剖学 図2 海馬の構造

3.場所細胞と記憶.じつは,海馬にはさまざまな感覚情報も入力しており23,24),ものの位置や匂い25),時間26) により発火頻度の変化するニューロンが存在する.

4.格子細胞内側嗅内皮質に格子細胞が存在することを発見した(図1b).2人はO'Keefeの研究室で学んだのち,当初は場所細胞の研究を行っていたが,しだいに海馬への入出力を担う嗅内皮質に目をむけるようになった.嗅内皮質と海馬は背側どうしおよび腹側どうしが密に連絡している

嗅内皮質のニューロン場所細胞とは異なり環境のなかで多数の受容野をもっていた.この受容野の配列をみきわめるため,より大きな環境を用いて記録を行ったところ受容野が正三角形をしきつめた格子の頂点に規則的に配置することを発見し,格子細胞(grid cell)と名づけた28)

W。動物にとって嗅覚が大事だが、人間は退化しているということか。

W。人類は海馬以上に発達した脳に比べて原生的な海馬の老衰が先行し、認知症を発症している。認知症は頭の老衰だ!

>>格子細胞の受容野のあいだの距離は環境によらずおおよそ一定である.また,格子細胞は場所細胞とは異なり,どの環境でも活動しつづけ経験による影響をさほどうけない(ただし,論文30,31) も参照のこと).これらの性質から,彼らは,格子細胞は普遍的な距離の指標(動物的な自然なのだが人間だけは例外!だが臭いは距離の指標にはなっている。臭いは自然と距離感を測る要因)であると提唱している.

5.そのほかの空間選択的なニューロン

W.読み込んでいくと非常に面白い。科学が人間的な(動物的な)事実と照合している。

6.空間選択的な神経活動の回路機構および細胞機構

W。この辺りから難しくなって速読できない。

7.ガンマ波に着目した回路機構の解明図4 新奇の環境における海馬体-嗅内皮質の回路活動のモデル

おわりに

W。ざっと読んでみたところ、脳が発達しすぎた現生人類には

海馬体-嗅内皮質の回路活動のモデルをストレートに当てはめることはできないような感じがする。

>しかし、認知症と海馬ー臭い皮質の回路不全の関係は明らかだ。人間は嗅覚だ弱体化してもほかの脳内細胞の力を動員して活動できるようになった。