反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

ロシアの「ウクライナ侵攻」が、 日本に突きつける“残酷な現実”とは? 中野剛志:評論家を批判する。財政膨張、軍事費増強で庶民の生活は潤うのか。真逆だ。

 引用

なぜロシアはウクライナに侵攻したのか。なぜ米国をはじめとする西側諸国は、それを阻止できなかったのか。どうすれば阻止できたのか。さまざまな解説がなされているが、侵攻の理由は明白である。

 ロシアがウクライナに侵攻したのは、1997年から続くNATO北大西洋条約機構)の東方拡大、とりわけウクライナの加盟を阻止するためだ。

ロシアにしてみれば、歴史的・文化的にも関係の深い隣国ウクライナNATO加盟は、自国の安全保障に対する直接的な脅威であり、喉元に匕首を突きつけられるに等しい。だから、ロシアは、ウクライナNATO非加盟を何度も要求してきたのだし、実際、2014年にはクリミア奪取の挙にも出た。

米国は戦争を回避したければ、少なくともウクライナNATO非加盟を約束し、ウクライナをロシアとの間の地政学的な緩衝地帯とすべきであった。

W参考資料

redtigerkun.hatenablog.jp

W YAhoo,ブログ時代は(7年前の記事)まだ頭もはっきりしていた。多方面にわたる記事も検索サイトに分散し、そこからの訪問者も多かった。いい記事と失敗記事は散らばっていることで見分けがついた。今は他人にとってたわごとを並べているだけとの自覚はある。

 

大前の記事を取り上げているが、中国の経済改革とソ連の経済化改革への着手の違いが判る興味深い。庶民に目に見える形の即効性、実利性のある農業改革から市場形成を図る中国のしたたかさと重工業改革から始めるソ連に納得するが、こんな記事をアップしたことは全く記憶にない。

ソ連のサウジ化。将来の自国生産を見据えた地元への外国企業の誘致をする中国輸入すればいいと短絡するソ連

学ぶ姿勢の有るモノと学ばないもの、の違いが拡大していった。

  中国にはないロシア市場の魅力。
「中国では~日本製品と他の国のと天秤にかけられ苦労する。
ロシアでは、日本製品が他の国と同じように並んでいれば少しぐらい値段が高くても日本製品を買ってくれる。
>このように特別待遇してくれる点が、他の国と決定的に違うのだ。」
 
@偽ブランド品を作ってでも儲けようとする人々のいる国とブランド品に飛びつくだけの人々の国の違い。製品の創造は模倣から始まる。ロシア人は気位の高い人たちなんだな。気位の高い人が憧れを抱いたり挫折するところから文学が生まれる。文学は空想的ボヘミアン的でなければ生み出せない。中国文化は実利と趣味の文化。12億の量の質への転化という真理もある。

***

⇒W。簡単に緩衝地帯にできたのだろうか?

過去のウクライナ政策はロシアから離反させ、ロシア敵対国家に育て上げる政策

国内政治はリアルな政治勢力同士の鬩ぎ合い。米国やEU肩入れの勢力の伸長は止められなかった。国内が三つの地域に分裂している現実も政治軍事の統括を難しくしていた。近親憎悪を叫ぶ声が大きくなるのは政治の常。そもそも、ウクライナに政治史はなかった。ソ連時代に民衆は政治の訓練を経験していない。

***

 引用 中野

「しかし、米国がそうしなかったのだから、ロシアがウクライナへの侵攻を決断したのも、当然だ。

ならば、米国に、そこまでしてNATOの東方拡大を達成したいという強い意志と戦略があったのかといえば、そんなものは、まったくなかった。⇒W?ネオコンも政策決定には関与している。ヌランド。米国政治はポトフ状態。

ロシアとの緊張が高まる中で、バイデン政権は、軍事対決の選択肢を早々に排除した。これを弱腰と批判する声が米国内にはあるようだが、核大国であるロシアとの戦争のリスクなど冒せるはずがないだろう。

核抑止力などと言うが、核兵器の存在が戦争を抑止するとは限らない。

保有国同士の紛争は、実際には、核兵器の使用の本気度を試す”チキンレースになる。

ウクライナNATO加盟は、米国自身の安全保障に直接関係するものではないが、ロシアにとっては、自国の安全保障上の深刻な脅威である。

そう考えると、チキンレースの勝者は、おのずと明らかであろう。

これは、1962年のキューバ危機と同じ構図である。⇒W。反俗日記も直ちにキューバ危機を連想した。あの時代を知る機会があったもので、まるっきりそのような政治感覚がないのは、一方的な政治感覚で頭が占領されている証拠だ。

 当時は、自国の安全保障を直接的に脅かされようとしていた米国が、チキンレースに勝利したのである。

軍事介入をするつもりがなかった米国は、経済制裁によって、ウクライナ侵攻を阻止できるとでも考えていたのだろうか。

しかし、ロシアにとって、ウクライナNATO加盟阻止は、安全保障上の核心的利益である。

国家にとって、自国の安全保障は最重要課題であり、経済的利益よりもはるかに優先度が高いのだ。

しかも、経済制裁の効果は相互破壊的、すなわちロシアだけでなく西側諸国にも打撃を与える。

ロシアは、安全保障上の核心的利益を守るために相当の経済的損失に耐える用意がある。しかし、西側諸国がウクライナを守るために耐えられる経済損失は、ロシアほどは大きくない。

要するに、米国には、そもそも、ウクライナNATOに加盟させたいという強い意志と戦略があったわけではないということだ。⇒W。米国政治はポトフ状態。強硬派のネオコンもいる。最もそれでも覇権を維持できて来たのはのは地政学的他立ち位置。金融軍事力による。

なぜ、ロシアの「ウクライナ侵攻」を防げなかったのか?

引用

「ならば、ロシアに、ウクライナNATO非加盟を条件に、侵攻を思いとどまらせればよかったであろう。ところが、それができなかった。なぜか。

 それは、おそらく、米国にとって、ウクライナNATO加盟は「鶏肋(けいろく)」(さして役には立たないが、捨てるには惜しいものこと)だったのであろう。

 米国は、冷戦終結以降、リベラルな国際秩序を建設するというリベラリズムの戦略思想に基づき、世界各地に軍事介入を行ってきたNATOの東方拡大も、その一環である。⇒W?

しかし、このリベラリズム大戦略は、イラク戦争に典型を見るように、多大なコストを払いながら失敗に終わった。米国の覇権は凋落する一方で、中国の台頭を招き、国際秩序はかえって不安定化した。

***

⇒W。中国の台頭は米国覇権の凋落とは直接関係がない!

中国はもともと保持していたファンダメンタルズにふさわしい地位に立った。

冷戦体制前と崩壊後のロシアと中国の歩みを比較すると党と国のファンダメンタルズの違いにたどり着く。

世界資本制とはもともと、変転するもの。その意味で日本バブル崩壊までの日本も同じ。成長条件がなくなれば後退する。

>ロシアがこの戦争で後退すれば米国は中国を標的にする。日本国民の多くは同調すると損をする。支配層の一部は資産的に海外逃亡できる。利害一致ではないところが肝心。

***

米国には、もはや国際秩序を維持する覇権国家としてのパワーはない。米国民にも、その意志はない。バイデン政権にも、それは分かっていた。だから、アフガニスタンからの完全撤退を決定したのだし、東アジアにおける中国との競争に集中しようとしていた⇒W。なぜ太平洋を隔てた東日アジアで中国との競争をしなければならないのか?

自国の利益のためである。

***

ユーラシア大陸の東側で中国と対峙しながら、西側でロシアと事を構えるような二正面作戦をとるパワーは、米国にはなかったはずだった。しかし、バイデン政権は、長年に及ぶリベラル戦略、そしてNATOの東方拡大を諦めきれなかった。だから「鶏肋」なのである。

***

⇒W。第二次世界大戦帝国主義戦争)の勝者、米国のリストラされないままの最大の国家機構は膨張した軍隊とその(拡大)再生産機構=狭義には軍産複合体~バイデン政権軍事予算100兆円なので戦争や軍事危機を世界中で醸成させなければ、軍事商品の需要は衰える。冷戦終結しても仮想敵はある時はテロリズムある時はロシア中国、と果てしない。

その勢いの根源は国内の貧富、世論の分裂にある。

 

@世界の戦争危機の過半は米国の国内問題である。

国内問題を海外に輸出している。もう信じる者の少なくなったアメリカ流儀の民主主義は世界を紛争に陥れる口実に過ぎなくなってきた。100兆円の軍事予算は必ず世界に戦争を呼び起こす。中国を挑発しても米本土は無傷でいられることがウクライナ、ロシア戦争で明らかになった。

 

その2。米国の覇権力の2大要素は軍事力、金融力。これによって基軸通貨ドルの威信を維持し世界中からカネとモノを集めている。

中野のバイデン政権評価は米国のもう一つ世界的力の源泉である文化力に影響されている。

長年に及ぶリベラル世界戦略の実態は何か?

>米国基準のグローバル資本制の刷り込み押しつけである。

>行き過ぎたグローバル資本制によって発展よりも疲弊の契機が目立つようになった。特に日本の場合、その欠陥が明らかになっている。その基本認識は中野にはあるので、一般に流布されているこの戦争の認識とは違っているが、次の見解まで発展させていない。

@このウクライナロシアの戦争は帝国の戦争であり、その根底にはグローバル資本制VS国家資本制の世界市場分割が潜んでいる。

@中野の著書でグローバル資本制を是正するために国家の役割の強化、再分配、社会主義などと唱えるがそこまで言い切っていない。ニューディール政策でさも国家の経済過程への強制関与と財政膨張政策がセットにされていた。

 

したがって、中野は米国世界戦略を長年に及ぶリベラル戦略、その惰性などと甘く矮小化して見積もっている。

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W反俗日記4月28日記事引用。エマニュエルトッド

米国の目的はウクライナNATOの事実上の加盟国とし、米国には対抗できな従属的な地位にロシアを追いやることでした。

一方でトッドは米国を予測不可能な国としている。

米国内にはネオコンもいれば、そのほかの戦略家もいる。

下記に引用した見方を一言で表現すると新大陸巨大海洋国家米国の圧倒的な地政学的戦略的優位性。危うくならない足元の地盤にたって、遠く離れたところに戦争を発火拡大させ(戦争を発火させるが積極的に止めたことは一度もなかった)、その地で身が危うくなると固い地盤に引き返せば何とかなった。この繰り返し。

第1次世界大戦、欧州戦線への派兵は遅れ、スペンイン風邪を持ち込んだ。

第2次世界大戦への本格的な参戦も真珠湾攻撃を待って世論を統一してからだった。

朝鮮戦争ベトナム戦争、その他諸々の戦争に対する米国の参戦過程もすべて事前の工作をしてからだった。

米国⇒予測不能な大きなリスク。プーチンを中心とするロシアと対照的に中枢がいないからです。

米国の脳内は雑多なものが放り込まれた<ポトフ>のようです。

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⇒Wアメリカ合衆(州)国。アメリカ的民主主義は権力、権限の分散と統合の過程が必要。トランプ大統領末期の支持者の国会乱入において、国内世論、階層分裂顕著になって戦争による人心の統一、財政拡大=軍事予算拡大しか出口がなくなった。バイデンはこの道しかトランプに勝てなくなっていた。コレが米国政治の現実態。

巨大軍事予算とその執行は民生品生産と違って戦争と軍事危機がある限り供給過剰になって過少消費が先延ばしにできる最も有効な経済成長の達成手段。

1930年代の世界恐慌アメリカ発の恐慌(この時点で世界の生産力の工業生産値の40%以上を占めていた)、ニューディール政策では危機を回避できず結局、世界戦争によってアメリカ経済は回復し、戦後、西側の復興過程へのドル散布によって、世界覇権国家になった。

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 エマニュエルトッド引用

「思想的にも冷静な現実主義者がいる一方で、断固たるロシア嫌いのネオコンもいて破滅的な対外強硬策を後押ししています。

@アフガン、イラク、シリア、ウクライナと米国は常に戦争や軍事介入を切り返してきました。

@戦争はもはや米国の文化やビジネスの一部になっています。

@こうなってしまったのは、戦争で間違いを犯しても、世界一の軍事大国である米国自身は侵攻されるリスクがないからです。⇒W。まさにこれが新大陸米国の地政学的な位置。カナダ。、オーストラリア、USA,イギリスはインフォーマルな情報共有、軍事協調のグループ。」

       反俗日記エマニュエルトッド 引用終わり

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中野 引用に戻る

そのことは、バイデン政権の顔ぶれを見れば明らかだった。例えば、国務次官(政治担当)のビクトリア・ヌランドは、オバマ政権時の国務次官補であった当時、ウクライナに親米政権を樹立させようと画策したことが電話記録の流出により暴露された人物である。そして、そうした動きがロシアの怒りを買い、2014年のクリミア奪取を招いた

>そのヌランドが国務次官に任命された時点で、ウクライナ有事は決まっていたようなものだった

この米国の「鶏肋」と化したリベラリズムが、今般のウクライナ侵攻を招いたのである。この失敗の結果、米国は、欧州にも深く関与せざるを得なくなった。その分、対中戦略は、手薄にならざるを得ないだろう。」

 すでに、ロシアのウクライナ侵攻を見て、中国による台湾あるいは尖閣諸島への侵攻もあり得るのではないかと不安視する声が出てきているようだが、当然である。

尖閣」は自国の力で守らなければならない

引用

「 われわれは、ウクライナ侵攻で何が起きているのかをよく見て、それを東アジア情勢に置き換えて考えるべきだろう。

 第一に、核保有国同士の紛争は、チキンレースになり、安全保障上の核心的利益を守ろうとする国の方が、その勝者となる。

 中国にとって、台湾は、中国の安全保障上の核心的利益である。他方、米国にとっても、台湾は戦略的に非常に重要であり、ウクライナよりも積極的に軍事的な対抗措置を講ずるだろう。

 しかし、台湾が中国に占拠されても⇒W占拠するということは政治的軍事的に中国本土に戦争を呼び入れることになる!日米安保の米軍世界戦略に従属する拡大も考慮に入れると台湾限定作戦に終わらないのは火を見るよりも明らか。

こういう現実離れした論法がまかり通る世の中になれば東アジアの戦争危機は高まり庶民生活は窮迫する。戦争危機になれば得をするものと大損するものが生まれる。

***

「米国本国の安全保障が直接的に脅かされるわけではない。米国が、核を保有する中国との戦争のリスクを冒してでも台湾を防衛するとも思えない。そう考えると、このチキンレースでも、最終的に先に降りるのは、米国であろう。」

>W。中国通史において周辺拡張や保護国化はあっても欧米のような植民地主義は見いだせない。何よりも植民地主義を正当化する思想や強制力が中国には一貫してなかった。中華思想は中国領域内で通用する思想であり、諸民族を包摂するイデオロギーではないし、本来漢民族という規定も純粋性に乏しく怪しいものだ。

20世紀の半分の中国は帝国主義国の分割の餌食になるような半植民地状態だった。

それ以前は辺境民族の支配が合計300年ぐらい続いた。その象徴である万里の長城は破られた。

国家統一した共産党政権によって中国は実験国家のような状態に陥って、国民は多大な犠牲を払った。

@それが、改革開放の80年代後半から、たった40年後に強国にのし上がったのか?

@後発国において資本の巨大化を短期間で達成できる環境は国家の統制下で成長が保障される、という資本制の真理だ。

@イギリスアメリカなどのアングロサクソン型、部分的にはフランス型の資本主義発展コースは例外であるという歴史的事実である。以上が世界市場に先発した資本制国であり、それに二度もチャレンジしてはいたいしたのがドイツ型である。日本資本制は先発資本制国の利権とアジアで衝突し排除された。

@今回、世界市場で型の違う資本制がぶつかり合っている。ロシア資本制はソ連邦崩壊後、普通にやっていれば強国状態を維持できていたものが、経済機構の手綱を握る独裁政党が国家権力を手放すと同時に経済運営の主導権を民間に売り渡し、多大な公共財が消失した。この時点で冷戦時代の一方の雄であり軍事大国を引き継ぐソ連邦を引き継いだロシア国家は一気に後退し経済的にも行き詰った。プーチン政権のウクライナ侵略は、ソ連崩壊と資本制のタイプ分類を理解しなければ真相はわからない。プーチンソ連邦崩壊時の欠損感は異常に大きいくそれが追い詰められて方初してという側面がある。

もっとも、共産主義政党とは言っても、社会民主主義の要素から出発したソ連共産党ロシア社会民主労働党、多数派、少数派、内乱で成長した党)と中国共産党(健軍=健党)は完全な別種類。前者が長年の統治で役人化し構成員が弛緩すれば社会民主主義に展開する余地があるが、後者から社会民主主義が出てくる余地はない。

 

>中国専制国家史の王朝没落の特徴は、専制による国家事業の拡大のいきつく先の自己崩壊や他民族の征服があった。それでも中国民衆は専制支配と別の世界を築き上げ生き続けてきた。

@中国脅威を過度に主張する者の下心には、そのような中国史を知りながら中国本土分割の野心がある。中国政権はそれを感知している。

朝鮮戦争時のように限度を超えると、新しい専制は国民の多大な犠牲をいとわず、最後は大事になる(国境地帯に国連軍が迫って核使用の脅威にさらされていた)。コレがロシアとは違うところだ。

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W。中国は台湾に侵攻するとすれば、

台湾が現状の対中軍事バランスを逸脱し中国本土への攻撃的な軍事配置をした場合、

あるいは中国の経済成長が停滞したとき、

共産党政権の土台が緩んだとき

だけだろうがその侵攻も防衛的措置にとどまるだろう。⇒中越戦争

なお、台湾の野党国民党と中国共産党国共内戦で戦い、敗走した国民党は地元民のいる台湾を占拠し弾圧し独裁政権を築いた。この歴史経過より台湾本土包摂は中国共産党の党是の意味合いで強調されているところもあるが、中国民衆レベルでどこまで台湾包摂願望があるのか怪しい。

尖閣が日本の領土などと声高に主張しているのと比べてもトーンは低く現状維持、と思う。

中国社会の基本構造は歴史的に民衆世界と専制為政者世界の二分構造。さらに中国社会は複層構造。

民衆が専制を打倒したことも、外征が歴史的に専制支配したこともあるが民衆世界はそれなりに順応して続いてきた。

 

参考資料1。台湾をめぐる覇権争いの過去現状。事実を知らない人が多い。

米華相互防衛条約 - Wikipedia

大事なところはここだ。

Wの注目点は日米安保と米国が台湾有事などといって台湾をウクライナのように台湾関係法」以上の相互安保体制の枠組みで中国本土への攻撃性の強い武装化に着手したとき日米安保との連携を強化したとき、中国の軍事的なリアクションの可能性は高まる。

引用

1971年10月にこの条約は中華人民共和国国際連合の代表権を獲得し、中華民国が脱退するという国際政治環境の変化の中で次第に無力化していく。1972年2月ニクソン大統領の中国訪問、同年9月の日中国交正常化

>1979年1月の米中国交樹立によって

この条約は無効化し、アメリカは台湾協防司令部英語版軍事顧問団を廃止して台湾に駐留するアメリカ軍中国語版を撤退させた。

中華民国との国交断絶後は、1979年4月に事実上の同盟の継続となる「台湾関係法」を制定し、現在に至っている。

 

台湾関係法 - Wikipedia

引用 基本的にこのような「法律」(条約ではない)の修正とは関係なく、NATO非加盟のウクライナのように攻撃的な武装化の実態が進んでいく。

台湾の安全保障のための規定を含むアメリカ合衆国の法律である。同法は、カーター政権による台湾との米華相互防衛条約の終了に伴って1979年に制定されたものであり、台湾を防衛するための軍事行動の選択肢を合衆国大統領に認める

>米軍の介入は義務ではなくオプションであるため、同法はアメリカによる台湾の防衛を保障するものではない

>台湾有事への軍事介入を確約しない台湾関係法に基づくアメリカの伝統的な外交安全保障戦略は「戦略的あいまいさ」(Strategic Ambiguity)と呼ばれる。」

 

***

 引用

「他方、尖閣諸島については、中国にとって、台湾ほど重要ではない。しかし、米国にとっても、尖閣諸島の重要度は台湾よりはるかに低いので、米中戦争のリスクを冒してでも守る理由はもっとない。米国とその同盟諸国が、尖閣諸島を守るためにしてくれることは、せいぜい経済制裁であろう。」

W。岩礁でもそこが中国本土からたった、300キロしか離れていない海上にある現実は直視すべきだ。日本軍事力が防衛の題目を掲げようが本格的に軍事展開すれば軍事緊張は高まる。尖閣が緩衝地帯ではなくウクライナ要素が加味される。それ以上のの事態を招き寄せるか否かは日中国民の政治判断にもかかわることである。

 動物レベルに近づいた人間は大脳辺縁系の諸器官から生まれるテリトリー(縄張り)意識に行動思考が左右される。この手の人たちを政治権力から遠ざけるべきことは政治の知恵。この知恵を蔑ろにすれば苦しむのは民衆自身。どこの国にもいる。暴力や戦争選好の人が。

***

日本は、今のウクライナ同様、領土を自らの手で守らなければならないだろう。⇒W。現状維持である限り中国から攻めてくる理由が見当たらないが

>日本が中国を挑発する必然性はある⇒エレファントカーブの図と日本列島のユーラシアへの経済的沈み込み現象によって中国排外は必然化する。

www.youtube.com

「これも歴史の中の1ページとしてとらえるのか、それぞれの人の自由だが、俺らが日常的にあるものと隣り合わせやと思っている。

唯一の日本人ガイドの方がいて、その人がここの強制収容所に入っていた生存者の人から、いろいろ同情的になって涙を流すよりも、考えてほしいと。

でも俺はこうやって考えたときに、

>日本人に例えるとしたら、いじめであったりとしたり

>どこかの国に対して批判的な気持ち、なんかそういう思いを持っている人はおると思う。

>そのうわさや情報がどっから流れてくるのかとか、

>メディアに踊らされて実際に自分たちが勝手なイメージを持っていることだって実際はあると思う。

>未来実際起きるかも知らん。実際そういう風にいろんな国に対して~。」

 

Wは韓国の高校歴史教科書(日本語訳、図書館所蔵)を読み込んだ。非常に細部にこだわる難しい本だった。古代史において明らかに怪しい記述もあるが、歴史教育は日本よりもきめ細か学問的にやれていると感じた。現代史は討論形式を重視している。日本帝国主義の植民地支配と抵抗史をあげるのはそれ以外に自国史の書きようがないので仕方がないことだが、無理な記述はなかった。

それ以前に通史も読んだことがある。朝鮮戦争前後の様々な民衆がらみの事件も調べたことがある。民主化以前のパク大統領射殺犯のKCIA長官の実行前後のドキュメントも読んだことがある。韓国の本は理論書も含めてなんとなく著者の緊迫感が伝わってきて、日本のものよりも面白いものが多い。北朝鮮の実録本も読んだ。何か儒教精神と国家体制が一体化しているような国と感じた。この意味で非常に窮屈な国である。対外的緊張を取り除いたら支配に正当性はなく中身のない国におもえる。

韓国の民主化運動の過程から韓国を評価する基本視座を持った。

元来中国嫌いだったが、毛沢東思想には興味があったので主要な著作はほぼ読んだが個人崇拝を嫌悪する者にとって文化大革命は批判的な目で見ていた。ただし党内闘争は中国共産党を鍛え上げ、改革開放期の試練と理論化に役立った。この点が国家権力を手放したロシア共産党との大きな違いである。

 ある時、図書館で偶々手に取った中国史の研究家たちの論文集で中国の歴史がわかったような気がした。中国の歴史を理解するためにはキーポイントがありそれが明快になっていた。その本はボロボロで今は所蔵されていないようだ。

ただし、今でも中国には根本的に関心が薄いがその歴史を知ると急速な経済発展は理解できる。古代文明発祥の地で営々と国家の興亡を繰り返し、人類史に残る発明品を創造してきた大陸国歴史文化伝統の蓄積は、遅れても現代化すれば、中国人民の中に受け継がれてきた。人の要素と元来のファンダメンタルズが合致した。中国の台頭があるとすればソレ帝国の再興ともいうべきものだ。中国文化は日本文化より欧米先進文化を受容する特性がある。いったんキャッチアップした中国を止めることはできるのは大戦争による敗北だけだ。今の中国が世界大戦前のドイツになるかどうかは、中国支配層の決断次第だが、中国には侵略戦争の歴史と動機が内在化していない。

 

ジョーブログのワイマール憲法状況の中で反ユダヤ共産主義で台頭し旧体制に支持を得て権力を手に入れたヒットラー政権が公共事業拡大を通じてドイツ国民に受容されていく政治過程のとらえ方はナチズムに対する一刀両断ではなく、公平でよく考えている。

EUの東方拡大はNATOの東方拡大と軌を一にしている。ユーゴスラビア分割紛争ではドイツ空軍はセルビアを猛爆撃し地上軍を派兵した。

@民主主義とかの名目に関係なく事実行為を取り出してみると、ドイツはNATOの東方拡大を容認しウクライナを人間の盾にしてナチスに代わってロシアを攻撃している、とみなすこともできる。コレがEU,とNATOの歴史の現時点での結果である。

ドイツ資本制の東方拡大の縁辺を守るためウクライナへの武器供与は当たり前にする。もともとウクライナ地域はドイツ人入植者の多い地域でもありナチス支持層の塊がいた地域。20世紀初頭、ユダヤ人虐殺暴動(ポグロム)の多発地域でもあった。

>しかし、ファシズムもナチズムも醜悪極まりない最終局面は当初の政治運動レベルにあったが(だから当初から運動の本質を見抜くために気分で判断するのではなく考えろ、と。)人々の支持と旧国家体制の支持が政権に押し上げた。

@だったら、もう一方の世界覇権を争った帝国である英米仏の連合国に正義があったのか。

帝国主義戦争における人の殺し方にキレイも汚いもない!

先に獲物にありついたものがたらふくきれいに食べて新参者のハイエナは意地汚く獲物を分捕ろうとする。それだけに違いしかない。

ムッソリーニファシズムヒットラーナチズム、日本軍国主義英米仏の違いはただそれだけだ。それが総力戦の特質である。国民軍はその国の文化、生活様式を反映する(映画「戦場のメリークリスマス」で大島渚が提示したのはこれだ。203高地に屍を超えて突撃を繰り返す乃木将軍の戦いに対して日本の保守論客の文学者は日本の悲しみをみた。それはガダルカナルインパール作戦に継承され地元民に対する戦時を超えた非人道的残虐行為もあった。

しかし国民に武器を持たせて互いに争わせる支配層のやり方の本質に何ら違いはない。

 国民に武器を持たせるためには、それなりの報酬が必要だった。

大戦後の階層間格差の縮小の要因は世界戦争への国民規模の動員であり、戦後の経済成長の平等的中間層創出の様相を刻印づけたが、今の戦争にその様相はないことは戦争国家アメリカの階層格差の広がりを見るとはっきりしている。

***

 引用

「第二に、中国が台湾や尖閣諸島への侵攻を決断したら、経済制裁によってこれを抑止することはできない。

 もちろん、経済制裁ともなれば、中国経済は大打撃を受けるだろう。しかし、経済制裁は相互破壊的であり、米国とその同盟国もまた、大きな損失を被る。そして、台湾併合を政治的な最優先目標とする中国の方が、より大きな経済損失に耐えられるのだ。」

さらに、尖閣有事について言えば、米国とその同盟諸国はもっと損失を恐れて、手ぬるい経済制裁しかしないだろう。ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁ですら、侵攻を止めるには不十分な程度のものだったのである。

 このように、ウクライナの現状は、米国のパワーに依存することも、経済制裁など非軍事的な措置に期待することも無駄だということを教えている。ウクライナ国民は、自ら武器をとって、自力で強大なロシアに抵抗している。⇒W。エマニュエルトッド

@今の状況は『強いロシアが弱いウクライナを攻撃している』とみることができますが

地政学的により大きくとらえれば『弱いロシアは強い米国を攻撃している』とみることもできます。

>ロシアの侵攻が始まると米英の軍事顧問団は大量の武器だけおいてポーランドに逃げてしまいました。

@米国はウクライナ人を人間の盾にしてロシアと戦っているのです。

 米国もプーチンがここまでの決断をしこれほど大規模にウクライナに侵攻し

米国主導の国際秩序には向かうとは思っていなかったのでしょう。」

W.帝国同士の戦争において、片方に加担することなどあり得ない!即時停戦せよ!

ゼレンスキー、プーチンなどの戦争主導者を民衆は引きずりおろせ!

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 以下の言説は許せない!この人は歴史を無視できる。

日本を東アジアの戦争の泥沼に陥れたのは高橋是清の金融財政膨張政策だった。

出口政策を模索していた時期に2,26事件で斬殺された。

積極財政は支配層の政権が続くかぎり主として軍事膨張に回りそのおこぼれが庶民に。

もちろん、日本だけがそうするのではなく周りも重武装化するので、大事になる。

そもそも支配的階層関係の交代を抜きにした積極財政は過去も現在も支配層の延命策

日本のようなファンダメンタルズの脆弱な国は現代戦争の肝である総力戦(中野のようにハイブリッド戦と言い換えようが本質は同じでその国も本来的なファンダメンタルズがあらわになる。その意味で日本は大国ではない!)に圧倒的に不利、戦争的事態を招き寄せると一番苦しむのは大多数の国民。支配層の上の方は海外逃避するのはミエミエ。

  中野

「ところが、わが国の防衛力の強化に対しては、厳しい経済制裁がすでに課せられていて、できないことをご存じだろうか?

 いったい、どんな経済制裁を、誰が課しているのか。

 財政規律という経済制裁を、日本政府自身が課しているのである。

 プライマリー・バランス(基礎的財政収支)黒字化目標などという財政規律がある限り、防衛費を大幅に増やすことはできないし、国力も衰弱するばかりだ。

 しかも、日本の財政破綻はあり得ず、財政規律など不要なのだから、この愚劣さときたら、平和ボケどころではない。」

W中野剛志「変異する資本主義」。本屋で買ってきた。

日本経済の長期停滞は本来のファンダメンタルズに相応しい地位への回帰であり、それを前提に政治経済戦略を立てるべきだ。

中野は積極財政などという言葉でここを覆い隠し軍事費に水増し紙幣を使えという

第二次世界大戦前の1930年代の日本の支配層の政策よりも愚か。

あの時代の日本の周りは植民地、半植民地状態。日本資本主義は上り調子の途上で先発資本制国の権益とぶつかった。

それでもアジア太平洋市場を望み通り再分割しようとしていた。その点今の日本はどうか?引き返せる余地もない。

中野の基本認識は完全に矮小、的外れ。日本の経済力の後退を財務省の基本政策にしている。一国の相対的な経済地位低下が財務省の政策の如何で是正できるなんてことがあるだろうか。

冷戦構造の最大の受益者、日本は歴史段階が変わっているので、その段階にふさわしく分相応に立ち回ることが求められている。

 

    財政金融積極論者の足跡。

A)日銀の政策が消極的すぎる⇒リフレ派=アベノミクス

      ↓A)をやってもダメだった。今度は。

B)財務省の財政政策が消極的すぎる⇒いわゆる現代貨幣理論=A)+B)どうなる?

ナルホド、財政破綻はない。しかし、ある一定のスパンを経るとヘリコブターからカネが降ってくるところにいるものと、

いないものの格差は拡大していく。輸入に頼る経済体質なので庶民に近い物価は高騰する。ロシアや中国よりも日本国民の生活は戦争的危機に窮乏する。

@ロシア、ウクライナ戦争と東アジア情勢は同じところと違うところがある。

@中野の言説は短絡すぎる。

@日本はウクライナとではその歴史、経済規模、政治力軍事力にあまりにも違いが大きすぎる。

>戦争前のウクライナは3つの地域に国家が分裂した事実上の破綻国家。近親憎悪もあるのか自分がわからなくなっていた。そういうものは他の誘導に乗って一線を踏み外す。ロシア実効支配地域に先に戦争を仕掛けると軍事大国ロシアが出てくるのは予測できたこと。

@東アジアにおける日本政治の選択の幅を狭める言説はだめだ!

@政策的な実効性は、タカだかケインズ政策に毛の生えたような程度に過ぎない経済理論に大層なラッピングをして売りさばくのも如何なものか。

>ステファニーレイトン来日時の質疑応答の動画を視聴すると、実際の経済政策には慎重でケインズ政策と大して変わらないとの印象を受けた。ま、新ケインズ派ていどかな。それを日本の論者が唱えると、過大なラッピングを必要とする。

なぜか?過去の金融財政政策が行き詰ってノーマルな政策の選択肢が極端に狭まっているので、極端を宣伝しなければアブノーマルな政策に着手できず地道に政策展開するものを道化に見立てる必要がある。リフレ派の日銀攻撃の様相と似ている。そして採用されたアブノーマルな金融政策が国債大量買い付けだった。しかしその資金の多くは当座預金に眠ったり、投機市場や海外投資に回って、列島のファンダメンタルズに従って民間投資は滞った。

 金融と軍事の覇権がまだ残っている米国ならまだしも日本でそういう政策をとれば経済がもっとガタガタになるのは明白。後戻りはできない。それは圧倒的な経済不平等感が付きまとうのでファシズム政治の経済政策に結果的になってしまうという大局的な政治感覚が完全に欠如している。中野はこの点を意識しお題目として空疎、実体のない社会主義によるできもしない是正を掲げる。

 国民全体の強力な合意を得るための手っ取り早い手段は対外危機の手前勝手な醸成。相手もあることだからそのうち実際の戦争事態が生じる。そのような政治軍事経済情勢の中で国民生活は疲弊していく。

戦争は政治の継続なのだから、日本のファンダメンタルズで軍事的な政治を推し進めていくと庶民生活は窮地に陥っていく。中野ような言論の徒は、危機的事態になればもてはやされるが庶民は生活で苦しむ。

 1930年代日本にもそういう輩がいた。軍事的言説が正面に出てきて国民も同じように考えるようになった。他の意見は排除された。

中野が「変質する資本主義」で唱えている社会主義はこの日本で何ら実体が見いだせないものである。その意味でサンダースの米国よりも支持者は少ないし中枢政治への影響力もない。山本太郎の令和何とかでも軍事予算云々は同調しないだろうが、旧財閥系の製造資本にとって中野の言説は軍需増大の強力な援軍になる。それ以上に軍事予算100兆円の米国政権にとって強力なお得意先となる。敵対情勢が激化すれば仮想敵国も同じように構える。それで庶民の生活は潤おうのか?