じっくり、ネット動画で視聴させてもらった。
専門家たちの意見は凄く真っ当な意見に想われた。いわば常識論であり、彼らには人間としての良識がある(私と違って)。
終わったことや、現在進行中のことを語っても、解説の域を大きく出るモノではない。
この日本に賢者は何処にも、育まれなかった。
彼の意見は過去や進行中の事態の説明を乗り越えた、未来への夢、構想力がある。
未来への夢、構想力である。
これら、瀕死の事故は日本の行き詰まりから、政権交代をやっと選択できた、にもかかわらず、それが無に帰そうとしているときに発生している。
絶望の上に絶望と不信が渦巻く事態が進行中である。
だから、この事態への根本的対処をしなければ、国民にとって地獄の階段を下に降りていく一階梯になってしまう。
そうならないための大方策=「乗り越えていく原動力」は「未来への夢、構想力」と云う逆の大きなベクトルを働かせるしかない。
率直に云えば、この原発事故で小出さんたちをアンチ、ヒロー的に持ち上げる、ことも間違いである。
そんな後ろ向きの議論ではこの事態は超えられない。
賢明な小出さん自身がそのことを理解しているようだ。
彼は、東電を含めた事故現場作業に従事する人たちへの配慮を見るとそのことがよく解る。
イロンナ意味で解ってない人が多すぎる。
それはともかくとして、
>どうして小出さんたちの様な真っ当な常識論が片隅に追いやられ、異端視され、特殊イデオロギーのレッテルを貼られ続けていたのか?今更ながら、唖然とする。
一方で、東大のシステム管理工学とかいう訳のわからない学問を専攻する教授の様な原子力安全神話を公開討論の場で得意げにふりまく輩もいる。むしろこちらの方が圧倒的多数派だった、と云うのだから、クルッテイル、という以外にない。
>クルッテイル方が真っ当な側を物量で抑え込んで、多数派意見として常識を形成してきた。
自信たっぷりでクルッタ意見を吹聴できた彼らのよって立つ所ははっきりしている。
国家と大資本。それとマスコミの宣伝、洗脳力だ。
前者は明確な物量と具体的な支配力の世界である。物量を基礎とする国家の実効支配者であり、ハッキリとした実体がある。
得体のしれないヌエでも何でもない。具体的に実存するヒトとモノだ。
後者は人間の頭脳支配の世界である。本来、真っ当でない間違った意見、見解でも国民多数派を形成できる支配層のイデオロギー宣伝媒体である。
原子力村の一員としての東大教授の得意げな、自信たっぷりの様子は、そういう力を根拠にしている。
>もうイチイチ論証する時間もないから、結論から書いておくと、日本はある時期から、こういう輩が主流派を形成してきた。
>人格的にいえば、中曽根康弘。
私の知っている限り、あの男なんか、自民党保守政治の中でも完全に傍流だった。
ズット以前はまともに相手にされていなかった。首相になるには適正を欠く、偏ったイデオロギーの持ち主とされてきた。
中曽根の様な憲法「改正」と核武装にまで行き着く意見を持ち、アメリカと和合する特殊な政治的意見(不沈空母発言は本音)の持ち主には危なくて政権を任せられないという、健全なコンセンサスが日本の保守本流政治の中にあった。
その中曽根が首相を務めることになってからの日本の従来の保守政権の経済発展ー利益分配方式が否定され、大資本への富の拡大をアカラサマナ基本原則とする社会システムが採用されるようになっていった。
換言すれば、先進国の資本の利潤率が低下して、従来通りの経営、統治方法では儲けられなくなった、からだ。
右肩上がりの経済発展の要素がなくなったら、行き着くところは、パイのできるだけ多くの部分を支配層がその人民支配力を使って、奪い取る、と云う粗暴な事態が当たり前に発生した。
支配層自らが、過去の統治方法をかなぐり捨て、上から反乱しだしたのだ。
(小沢さんはこの辺のことを政治中枢にいたから、肌身で理解していない。だから超法規的措置でやられた)
原子力村の異常性もこういう環境の中で育まれ、膨張して今日のクラッシュを迎えた。
京大の小出さんたちの真っ当な意見が系統的に排除されてきた、経緯の大枠は以上の様なものである。
昨日の参議院行政委員会でやっと、小出さんたちの意見が国会の場で取り上げられるようになったが、よくよく考えてみると、それはある種の戦争で敗北した支配層のモノどもが、それまで排除、抑圧してきた二とたちの意見も聞いておきたい程度のモノであろう。
日本の支配層の実行力の根幹は今もって、中曽根流(与謝野経済財政担当大臣を見よ)にあり、小出さんたちが呼ばれた所は全体の日本からすると特殊小宇宙だ。
彼らの意見を聞いたところで、福島原発事故現場の現状が打開の道筋がつけられる訳ではないのは、誰でも解っていることだ。
現場作業をやりきるのは、事故を引き起こした東電と労働者である。実際に他のモノにやれることは限られている。
当初、発表してきた炉心損傷をメルトダウンに言い換えただけだ。
第一。海水注入まで一番時間がかかったのは1号機で1時間30分以上。
2、3号機で40分程度らしく、識者によれば、30分程度の炉心露出時間があれば、メルトダウンは完成する。
第二。
一部MOX燃料3号機の水素爆発の威力は一番、凄まじいモノだったが、ベントによって建屋内にそれだけ大量の水素が溜まっていた、とみなされるが、その水素ガスは何処から来たのか?
答えは簡単で、燃料棒被覆ジルカロイドが大量に溶けた結果、炉内の水から大量の酸素を奪って、水素ガスが発生した。
従って、3号機は完全メルトダウンしている。
第三。
3号機の温度圧力上昇は燃料棒が溶融し、底に溜まって、水位が下がり、容器上部からの注水が燃料棒支持するラックに阻まれ、届かなくなっている、と説明されていた。
原発事故収束に当たる東電や保安院政府が今頃になって過去のデータ解析から、2,3号機のメルトダウンを云いだしている意図は新収束工程の実行に目途が立っていない、困難が余りにも多すぎる、と今からいい訳の材料小出しにして異常事態に慣れさせようとしている。
>異常事態が続くと感覚がマヒして、異常を異常と感じなくなる。戦時中の国民心理だ。
そこで何があっても受け入れて、強いモノの傘下に寄り添って、事態をやり過ごしたいという、動物次元の本能に支配される人が多くなる。
当局は新収束工程表の眼目である汚染冷却循環は無理筋だと今から、危ない情報を小出しにして、人々を納得させようとしている。事故作業現場はどうしようもない状態ですよ、と情報を小出しにして順次、国民に刷り込みをしようとしている。
そういう情報操作に疑問を感じつつも、刷り込まれる国民多数派がいる。
>まるで大人しく、危機的事態に際して既存の支配層に寄り添っていく多数の国民がいるが、支配層は中曽根流儀からもっと、悪い方に進化している。
歴史は同じ所にとどまっていない。この点が大問題である。