反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

台湾状況にリアルに切り込む。①前回記事の核心。日本のアジア太平洋戦略家たちのリアリズム記事再録。②台湾ナノ半導体特化企業TSMCについて②台湾ナショナリズム、台湾アイデンティティー(中道多数派)、中国ナショナリズム③総統(半大統領制)外交防衛治安に限定権限。と立法院の分裂統合<軸政党>と腐敗。総統、立法議員選は政策論議かすむ台湾存在論の連呼。

1,4前回<台湾、関連記事>の訂正。

反俗日記の上記の記事の核心的な問題意識は台湾をめぐるリアルな内外政治経済情勢であった。その後、この方向で深堀してみた。

>前回の記事で引用した参考資料で新鮮だったのは、下記の台湾現地の新聞社説である。その記事を関連で紹介している評論も参考になった。そのほかの引用した資料はほぼ既知情報だった。

やはり台湾の外部から、どうこう言うよりも現地発の地に足の着いた情報が大事だと改めて確認した。***********************************************************************

  • 前回記事引用。
  • W.結論。
  • 「2022年地方市長選挙のまともな結果分析はネット上で探しても一切見つからなかった。⇒地方市長選挙と同時に自治体議員選挙が行われた!下の挙げたものが唯一読み応えのある記事だった。その関連で紹介された繁体字社説記事が現地情報である。
  • *******
  • 2022年台湾統一地方選挙の分析 | "Japan In-depth"[ジャパン・インデプス]

  • この記事の作者の立ち位置は

     

  • 日本戦略研究フォーラム(JFSS

  • W.同じサイトにまとも選挙分析結果の記事を見つけた。繁体字国語で書かれた社説。翻訳アプリにかけてみた日本の台湾中国報道はネットまで情報量が少なく、「偏向」してる。限られた情報提供者が同じ方向の記事を発信している。
  • 日本戦略研究フォーラム(JFSS
  • 系の筆者の記事は非常に戦略的立場による見地なので逆に台湾現地のリアルな事実を無視できなかったものと考える。学者やマスコミ情報よりもリアリズムが溢れている。*******************************************************************************
  • 评论:民进党擅长政治斗争台海局势更凶险
    时间:2022-11-28 09:32内容来源:联合早报 版阅读:新闻归类:观点评论

    来源:《星岛日报》

    《星岛日报》社论 「シン・タオ・デイリー」

    台湾前天举行的九合一选举,在野国民党大胜、执政民进党大败,民进党之败不是输给国民党,而是输给自己。民进党蔡英文政府在选举中,大打“抗中保台”牌失效,并非因台湾人对大陆恐惧感减低,而是对民进党执政的不满日益升高,加上台湾治

    コメント:民進党は政治闘争が得意で、台湾海峡の状況はより危険です⇒W。本文を読むと、地方選挙で敗北した民進党は今後、反中宣伝に精を出すしかなく、海峡情勢の緊張はより高まる、と。

    時間: 2022-11-28 09:32 

    出典:「シン・タオ・デイリー」

    「シンタオデイリー」社説 民主進歩党蔡英文政権が選挙で「台湾を守るために中国に抵抗する」というカードを出して失敗したのは、台湾の人々が本土に対する恐怖を感じなくなったからではなく民進党の政策に対する不満が高まったためです。

  • TSMC ⇒W注1工場を設立するために米国に移動したことで、台湾の経済が空洞化するのではないかという懸念が生じ⇒W人口過密、面積九州ほどの小さな国の先端企業の米国移転だから耳目を引く。米中ハイテク覇権を巡って~~。

    党は中道の有権者からの支持を失いました。⇒W注2

    2年後の総統選挙を控え、政争が得意な民進党が権力維持のため、より思い切った手段で大陸への恐怖心をあおる可能性があり台湾海峡情勢はさらに悪化する可能性がある。危険な

  •  
  • 第二に、台湾の公安の腐敗が国民を不安にさせている台湾の法と秩序はますます悪化しており、昨年、台湾では100件の銃撃事件が発生し、平均して4日以内に1件の事件が発生し、警察の規律が緩く、警察と裏社会との深刻な共謀も深刻な被害をもたらしました

     

  • 第三に、DPP は、米国経済が台湾を空洞化するのを助けたとして疑問視されています。

    かつて、民進党国民党の「台湾の政治的売却」に疑問を呈し、本土に降伏したが、現在、台湾は民進党の「台湾の経済的売却」を懸念している。

    そのため、TSMC は最近、米国にある同社の新しい 5 ナノメートル チップ工場を支援するために、600 人の従業員とその家族を米国に輸送するためのフライトをチャーターしました。米国の 3 ナノメートル チップの生産のための高度な工場の建物. .

    ハイテク産業は空洞化を恐れている台湾は2年後に総統選挙を控えており、民進党が教訓を学ぶなら、過去から学び、統治能力を向上させ、民進党に対する民衆の信頼を回復するために、実際的な行動をとらなければならない.⇒W台湾ナショナリズムに走って上からイデオロギーにたよって統治しようとし末端に行けば行くほど実務が疎かになる。当然、腐敗もはびこる。大陸独裁体制に対峙する政権支配は大陸に似てくるので自由で民主であろうとすれば、腐敗勢力の「民主」に依存する。台湾型民主主義社会である。当たり前の政治原理だ。

    蔡英文の6年間の権力のすべては、党がスローガンだけに頼って台湾を統治し、統治能力を欠いており、党内の権力闘争と汚職の問題が際限がないことを反映しています。⇒w。決定的な批判である。中間選挙で負けた原因はココにある。こういう視点のない日本発の台湾情報は地に足がついていない。正面から台湾情勢に向き合っていない!

     民主進歩党にとって、総統選挙に勝つための最も簡単な方法は、依然として中国と戦って台湾を守り⇒W。ナショナリズムの基本形は対外を意識した自己認識への拘り、クレオールナショナリズム(米、南米独立戦争、俗語ナショナリズム(ヨーロッパスペイン、イタリア文学運動)、公定ナショナリズム国民国家形成)~~~~~  人々の本土に対する恐怖をあおることであり、状況は 2 年前の総統選挙と同じです。⇒W。周囲の応援もある!結論的に言えばこの方向で事態は進むしかない!調べた結果、台湾民主政はグローバル資本制が深化し、日米欧にとって大陸封じ込めを前提にし台湾のゲームカード化の比重が高まれば高まるほど流動化する<構造>を持っている。

  • @もう一本のアベ系中国封じ込め戦略チームの筆者の全面記事同じ問題点を指摘しているので、重複部分は台湾社会のリアル現状を指摘している、と認定できる。念のために引用しておく。
  • 引用
  • 「第1に、有権者が選挙を通じて、与党・民進党が世論に近づくよう警告した。つまり、民進党が世論から遊離していたと鋭く指摘している。
  • 第3に、蔡英文総統は県市長候補者を自ら決めていた。だが、党内から、今後、民主主義的な手続きを踏む事が望ましいという声が出ている。これは当然だろう。⇒W。台湾の大統領制(公選)~外交防衛治安に権限は特化政策立案に直接関与できない⇒憲法を作成した時点で大陸の独裁を意識し対外的に民主政を強調しようとしたのだろうが情勢が緊迫化すると、現実不適応な部分が露呈してきている首相(立法院委員長~大統領任命)立法院議員(公選)及び政党の関係は大統領の政策的な意向は政党の主導権を握って発揮できる仕組み、
  • >従って、所属政党の長を兼務し政党の主導権を握り一体性を前提(=反中イデオロギーや改革主義スローガン政治手法で党内とりまとめ)に政策に関与するしかない。今回の地方選敗北の結果を受けて辞職したのは所属政党のトップの地位である~立法院議員選挙制度小選挙区補助的比例代表制である。民進党は本来、未熟な分権的な政党であり、主導権は小選挙区に強固な地盤のあるベテラン議員が握っており、大統領の政策関与は党ベテラン議員に配慮したものとなる。しかもベテラン議員はグレーな議員が多い。この半大統領制と議会圏の構造が民進党の統治能力が問題視される要因となる。結果、民進党は上部のイデオロギー的体質と下部の未熟腐敗土着体質の股裂き状態にあり、その隙間に腐敗が入りこむ余地がある。
  • 第1に、米国の中間選挙と同様、台湾の統一地方選挙は、元来、与党に厳しい。⇒W.もっと根が深い。第2に、台湾の治安が良くないという見方がある。第3に、民進党の米国へおもねる「台湾空洞化」(TSMC等の米国移転)政策に対し、疑問の声が上がっていた。⇒w。ナノ、レベルの超ハイテク半導体、世界一の台湾企業が600人の中核社員を引き連れ、米国に工場移転した。ハイテク米中覇権競争にそった移転だろう。
  • 実は、かつて李遠哲台湾出身者として初めてノーベル賞1986年ノーベル化学賞)を受賞した(受賞時はアメリカ国籍も保持)~~~~~民進党は腐敗していると喝破した。他方、民進党幹部と黒社会との関係が取り沙汰されているが、蔡総統も黒社会と関わっていると噂されている
    *******反俗日記本文記事に戻る********

@というのも台湾は1996年の普通選挙導入以降、1971年中華人民共和国、国連加盟と引き換えに国連での議席を失っているそれから実に25年後大衆社会状況を反映した普通選挙が実施されるという世界史上<特異>な状況にある。

当然、その後、のグローバル資本制のさらなる拡大深化によって、この特異サンプルは内部から外部からの影響を受けて<化学的な変化を強いられる」>=台湾の政党、総統選は異常な熱狂の下に実施される。どこまで民意が反映されているか、疑問である。

>地方市長選挙自治体議員選挙結果は4年前も民進党(大統領と立法院多数派)の敗北、国民党優勢に終わっている。

>したがって、国政選挙と半大統領(台湾総統)選挙と地方市長自治体議員選挙結果の違いは、一般的に言われるような、米国中間選挙を模した政権党にとって不利などという見方では不十分である。

台湾の選挙制度統治機構

海峡を挟んだ大陸政権と民衆レベルの交流及び米中対立演出の現状に、機動的に対応できるものではなく、民進党の立ち位置が不安定流動的なものとなっており~~軸は台湾ナショナリズム、そこから翼を台湾アイデンティティ―の中間層に広げ多数派獲得~~⇒一方国民党の軸は少数派中国ナショナリズムと統治経験、大陸交流成果~~~対外的な民主制度の宣伝効果に比重がおかれるようになり実際行動において大陸政権挑発が構造化する。小選挙区比例代表制と大統領権限の外交防衛限定は統治能力に問題が出てくる)。大陸政権封じ込めのための台湾カード化の比重増大推移に機動的戦略的に台湾民衆の利益第一に対応できない。この構造が現下で直接反映しているのが、民進党地方自治体選挙2回連続敗北と総統選、立法議員選挙勝利の構図である。台湾ナショナリズムを「飼いならす」~~クレオールナショナリズム、俗語ナショナリズム⇒公定ナショナリズムへの回路をコントロールすること~~政治体制がなければ大陸との緊張関係は増し、危険水域に入る。一番困るのは台湾民衆だ。

@反俗日記が深堀した範囲では、

①世界史上<特異>な状況、という認識=固定サンプル。例、朝鮮半島、北南国連加盟

②内部から外部からの影響を受けて<化学的な変化を強いられる>。=サンプルの流動

という基本視座からの認識が甘いようである。

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  W注1

business.nikkei.com

  時価総額トヨタの2倍 「化け物のような会社」

引用

「2021年8月にTSMCが製品値上げに踏み切ると、世界が震撼(しんかん)した。高度なチップの製造技術と供給力を独占する同社には半導体チップの価格決定力があるからだ。2021年6月時点で時価総額は約15兆6,000億台湾ドル(約63兆5,000億円)。世界で10番目に価値のある企業として市場に評価されている。

 日本で圧倒的な首位であるトヨタ自動車のほぼ2倍だ。他社から受託して半導体を生産するファウンドリーの市場で60%のシェアを占め、2位のサムスン電子(13%)を大きく引き離している。」

台湾には、この他にも聯華電子(UMC)、力晶科技(パワーチップ)、世界先進積体電路(バンガード・インターナショナル・セミコンダクター)など有力なファウンドリーがある。」

難度が高いチップ⇒W,4ナノmレベルの微細化、シリコンチップに紫外線を時間をかけて照射。化学工場の生産スタイル。しかし分子レベル以上は微細化できない限界、微細化はいつかは止まる~~になると、メーカーはTSMCに頼まないと作ることができない。TSMCの顧客は自社の工場を持たない世界のファブレス企業だが、顧客であるファブレス企業よりTSMCの立場の方が強いかもしれない。

 その強みの一つは、世界の半導体企業とつながるネットワークにある。」

「7ナノで生産できるのは、2021年夏の時点で、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子、米国のグローバルファウンドリーズ、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)、そして韓国のSKハイニックスの5社。

 さらに細かい5ナノになると、グローバルファウンドリーズ、SMIC、SKが脱落し、TSMCサムスンの2社が残る。その先の3ナノで量産段階に入っているのはTSMCだけだ。さらに2021年には2ナノの新工場の建設を始める。⇒W。ナノチップ製造特化の生産ラインの精密機械と資材は他から調達するしかない。1ナノメートルとは1メートルの10億分の1で、原子を10個並べたほどの長さだという。病原体のウイルスよりさらに小さい極小の世界で、TSMCは王者の座を守り続けている。⇒W。H2O水分子<原子10個よりも小さい。新型コロナウィルス>たばこの煙。人間のやることは所詮限界がある。

     3年で11兆円の投資 強さの秘密は?

「製造と開発・設計を分離することで、1社が背負う投資リスクを減らすというアイデアである。2020年の売上高は5兆円を超えるが、2021年の設備投資額も3兆円の規模を想定し、同年から3年間に予定する投資額は合計11兆円に上る。巨大な投資リスクを背負いながら貪欲(どんよく)に高速回転を続ける

いくら資金があっても、技術がなければ成長はできない。TSMCは技術者を大切にする会社で、エンジニアが得る報酬は、日本企業の3倍とも4倍とも言われる。

 さらに、徹底した情報管理で顧客企業から信用を得ている点も見逃せない。」

   地政学を意識して米中両国とバランスを取る

トランプ政権がファーウェイへの輸出にストップをかけるまでは、TSMCの売り上げの約半分は米国向け、約2割が中国企業向けだった。中国向けの多くはファーウェイの子会社、ハイシリコンからの受注である。TSMCにとっては、米企業だけでなく中国企業も大事なお客さんだ。

 米政府の立場からすれば、米企業の技術情報がTSMCを通して中国に流失するのではないかと心配するのは当然だろう。米商務省と国防総省は2018年から2020年にかけて何度も担当者を台湾に派遣し、TSMCからのヒアリングを実施したという。米国の信頼は、TSMCにとり絶対に守らなければならない防衛線だった。

 ただし、完全に米国の軍門に下るわけではない。米政府の要請でアリゾナに建設する新工場には、5ナノの技術を移転するが、台湾では既にその先の3ナノを量産し、さらに2ナノの製造ラインの建設にも入っている。⇒W.軍門に下る?日の丸半導体の発想。この半導体特化企業は不変資本部門の重圧下の独特の拡大再生産過程の論理に忠実に従っているだけ。日本は対米貿易摩擦の経験がある。欧米は日本を追い込み、経済成長のエンジンだった経済システムの変更を迫った。プラザ合意受諾⇒日本バブル発生、崩壊。リアル経済実態を無視した財政緊縮路線。アリゾナ工場が完成するのは2024年だから、その時点で5ナノはもはや最先端ではない。たとえ相手が米国であっても、虎の子の技術は手渡さないのだ。当然ながら貪欲な米政府は、3ナノ以下の技術移転を要求しているが……。移転するのが中程度の技術であれば、米国も目くじらを立てないと読んだのだろう。地政学に敏感なTSMCリスクヘッジ策である。

  中国軍基地の目と鼻の先にある台湾の半導体拠点図表1 台湾が半導体サプライチェーンの要衝

 W.かなり政治思想が混乱しているようである。香港割譲はアヘン戦争敗北時代の19世紀=西洋時代区分でも近代。香港はイギリス「租界」の一種。その後、一種の都市「国家」。台湾割譲は日清戦争敗北、台湾は国民国家であろうとしている存在。

台湾海峡での武力衝突は考えにくいとはいえ、習近平政権には、香港で実力を行使し、民主化運動を抑え込んだ前歴がある。中国は台湾を自国の一部とみなしているから、その意味では香港と台湾は同じ位置づけである。⇒W.この方針は間違っていると考える。台湾は独立し国連に加盟すべきである。

1991年
(166カ国)
朝鮮民主主義人民共和国エストニアミクロネシア連邦ラトビアリトアニアマーシャル諸島韓国

コレが反俗日記の結論。

そうすると日米欧の対中台湾カードの性格は変化する、一方でアンビバレント熱狂台湾ナショナリズムと日米欧の結合は中国大陸への浸透、中国分割の橋頭保を与える。以上が政治のリアリズムある。

 新竹が万が一“陥落”すれば、世界のサプライチェーンは崩壊する。⇒Wアップ携帯の世界市場占有率よりもGOOGLEアンドロイド優勢(日本65%アップル)。崩壊しない。米国が台湾への関与を強めたのは、民主主義の陣営を守るためだけではない。半導体を守りたいだけだ。」⇒W。戦略的に特化しているのは事実。先端技術、軍事、外部を取り込み内在化<自己権益に転化>する。複合的先軍政治。当然、1990年ごろまでの安保体制下の日本規模では抵抗には限界(交渉⇒譲歩)があったが、独立した大国相手ではそうはいかない。ロシアは戦端を開いた。

 W注2

 パワーポイントのコピーは1回しかできなかった。

閲覧⇒台湾ナショナリズム29,3%(独立支持)と中国ナショナリズム15,6%(統一支持)の中道に位置する現状維持49,4%(台湾アイデンティティー)への支持拡大を巡る多数派獲得が総統選勝利の肝としている。学者的固定的な見方であるが「常識」として参考になる。こんなのはどこの国の普通選挙にも当てはまることである。今回の記事で指摘しているように、台湾の半大統領制と任命首相、議会(小選挙区比例代表制)、政党の制度、実態構造は設計当初の民主台湾アッピールを世界にくめてすることを優先した仕組みでああり、中国封じ込め=台湾カード化の進展にたいしてナショナリズムを飼いならすためには不適当なマッチしていない制度である。対ロシア戦争前のウクライナ国内の政治状況を回避するためには制度を変える必要がある。

総統選、議会選の度に海峡情勢の危機を煽り、中間層を取り込むことが民進党の主眼になっている。他方、地方選にける度重なる民進党の敗北は民衆の日常生活を置き去りにし政治闘争に走ることへの民衆側からの拒否感の現れである。腐敗と治安に問題が出る一因もこの制度の現実不適用にある。

http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ogasawara/analysis/past_seven_presidential_elections_in_taiwan.pdf

 

   参考資料 2016年総統就任3か月の混乱を観察した論文である。

>学術会議補助金と記されているが呆れる。解り難い。グラフの添付がない。政治センスにかけている。

   蔡英文総統の政権運営に関する一考察  松 本 充 豊 

引用

「発足から 3 カ月あまり、
蔡英文政権も内政面で迷走した感が否めない。行政部門と立法部門との間で意見の食い違いや摩擦が生じ、蔡総統に対する支持率の低下にもつながった。

>現在の制度設計では、総統による行政院(政府)、政権党の立法委員(議員)に対する影響力の行使が大きく制約されている。
>こうした公式の制度の不備を補うには、非公式な手段や非憲法的な仕組みに頼らねばならないが、その代表的なものが政党組織である。

     

    二 台湾の半大統領制 

   1 半大統領制とのその特徴 
 台湾の現行の執政制度は半大統領制とは大統領制とも議院内閣制とも異なる執政制度の類型の 1 つである。⇒W。国連議席を失って以降の外国向け民主主義制度の過度のPRが過ぎ、台湾カード化進展に対する国内統治に即応していない!コレに尽きる。一種の愚民民主主義(ウクライナ化)に至る危険性さえある。

@、半大統領制を「任期が固定している民選の大統領が、議会に責任を負う首相(W.大統領任命)や内閣と並存している状況」と定義している。
半大統領制は、議会からの自律性をもつ大統領と、議会多数派の信任に依拠した首相という 2 人の執政長官による行政権の分有を特徴とする。

しかし、大統領と議会との関係では、大統領制と同じように、別個の選挙で選ばれる大統領と議会がそれぞれ違う民意を代表している。

   

  2 総統と行政院長―権力の「分有」

行政院が国家の最高行政機関であり(第 53 条)、行政院長こそが行政府の首班である。
総統が行政院を直接指揮するための制度的なメカニズムは存在しない。

>総統は国家の安全保障に関する重大方針を決定するための諮問機関としての国家安全会議と国家安全局を設置できるが(追加修正条文第 2 条第 4 項)、
>重要法案や予算‧決算案などを決める行政院院会(閣議に相当)を取り仕切るのは行政院長であり(第 58 条)、
>総統は行政院院会に参加することができない

総統は国防、外交および両岸関係(中台関係)を司る権限を有すると考えられている。⇒W.だったら、総統選の争点が究極のところ、台湾の在り方という、政治軍事課題に集中せざる得ない。この構図は台湾ナショナリズムを基軸とする民進党に優位に働く、言い換えると民衆の生活とは遊離した危機意識のあおりが有効な政治武器になる=「政治闘争の得意な民進党


つまり、総統と行政院長による権力の分有のあり方とは、
@制度的には行政院長こそが行政府の首班なのであり、
@総統の権限は軍事、外交、両岸関係に限定されているのである。

>ただし、総統は議会である立法院の同意なしに行政院長を任命することができる

@そのため、行政院長は総統を補佐するスタッフの 1 人にすぎず、

@住民に直接選ばれた総統こそが事実上の最高リーダーであるとの認識が広く存在している
@そもそも総統はその意中の人物を選んで行政院長に任命しているわけで、行政院長も総統に任命されてその職にある以上、総統の意思に反してまで独自の主張をつらぬくことはできないのが実情である。
@したがって、総統は自らの意向を行政に反映させることが可能になると考えられる。

******最大の問題点はココ****

@政策課題を立法化できる度合いで大統領の「強さ/弱さ」を判断するなら、

@台湾の総統は限られた憲法上の権限しかもたない「弱い」総統である

総統は人事権を使って行政院長に対する影響力を行使し、総統の意向を行政院の政策に反映させることはできるとしても、
@総統には大統領令5を発布する権限はないし、
@法案提出権もない。

@政策課題の実現に向けた法案の立案、そして議会である立法院への提出以降の作業は、行政院に委ねられることになる。

総統は行政院を直接指揮することができない。

>「部長」(大臣)や「政務委員」(無任所大臣)と呼ばれる閣僚の指揮は行政院長
に委ねられるため、総統が各閣僚の言動に直接口を挟むことはできない。

   3 総統と立法院―権力の「分立」

大統領は固定任期であり、議会は大統領やその政権の存続に責任を負わな
い。そのため、大統領と同じ政党(政権党)に所属する議員であっても、彼らには大統領を支える誘因があまり存在しない
***************

台湾の総統は、韓国の大統領と比べると、その憲法上の権限はかなり限定されている6

総統には大統領令を発布する権限がなく、立法院で通過した法案に対する拒否権もない。

総統が有する立法院解散権も立法院で行政院長に対する不信任案を可決されないと行使できない。
******
拒否権をもたず、
解散権も行使できない総統は、議会多数派すなわち政権党の個々の
立法委員を直接コントロールできる制度的な手段をほとんど持たな
い。せいぜい可能なのは、総統が握る人事権を使って、立法委員を
総統府の要職につけて一本釣りする程度のことである。

   4 行政院長と立法院―権力の「分離」 


台湾の執政制度の制度設計では、行政院長立法院内の
多数派によって、立法委員の中から選任されるわけではない総統が行政院長を任命する際にも立法院の同意を必要としない

純粋な議院内閣制に見られるような、行政権と立法権が首相の手の下で融合するという権力の「融合」が導かれることはなく、台湾では行政院長と立法院の間で権力はむしろ「分離」している。
*******************
重要
立法委員は省庁大臣などの行政職を兼任できないことが定められている(憲法第 75 条)。
このことは政権党の立法委員が政府内での政策決定から事実上排除されていることを意味する。⇒W。意味不明。
@立法委員にとっては議員としてのキャリアがすべてであり、
@彼らの議員としての実績や政治生命は政府の政策実績とは切り離されていることが多い。

 

⇒W.政党ポスト、経験を通じたキャリアが政治生命であれば、腐敗の温床となる。

要は、総統と立法院を結ぶ要は政党の一体的な力(まとめるのはスローガン、政治スタイル)という政治構図があるから、総統選、立法議員戦は政策抜きの熱狂政治状況になる。

逆に身近な地方選はこの状況から遠くなるから民進党は敗北する。ここに台湾の人々の冷静な判断がある。こういった見方をするのは反俗日記だけだろう。グローバル資本制をまともに運用すれば近隣との経済交流の比重が高まるのは理の当然。類似製品ならコスト重視だから当たり前。

 かつて候補者への銃撃もあった。政策論戦抜きの衆愚選挙に陥る危険性がある。

であれば核心的に問われるのは毎度のことながら台湾という存在論日本の総選挙に移し替えるとこういった状況が如何に拙いかわかる。

*******

したがって、たとえ統合政府が実現していても、政権党の立法委員が行政院(政府)の政策(つまり総統の意向)を支持するとは限らないのである。

 

    三 政治制度と政党組織 
総統は政権党の立法委員たちに、行政院が提出した法案への支持を促すための制度的な手段をほとんど持たない(この点は、行政院長も同様である)。

総統が政権党の立法委員たちに影響力を行使するには、
その代表的なものが政党組織である
歴代の民選総統が政権党の党首兼任という強いインセンティブに駆られたのも、そのためである。
政権運営を安定的に進めていくためには、政権党の「一体性(party 

 

 台湾の基幹的政治制度はどうかといえば、
半大統領制小選挙区比例代表並立制の組み合わせである。すでに見たとおり、
@台湾の半大統領制では、政権党も立法院の多数派も、総統および行政院長を
支える責任を負っておらず、政権党の立法委員には総統や行政院長を支えようとする誘因が乏しい。
@また、台湾の小選挙区比例代表制
日本や韓国と比べてさらに比例性が低く

政党システムは二大政党制となっている
@つまり、台湾における現行の制度配置の下では、政権党内で統一的な方針を決める誘因がほとんど作用せず、規律による一体性が形成されにくい。

@ただし、イデオロギー的な団結などの凝集性によって政権党の一体性が確保される可能性は高く、その場合には総統の意向、および行政院の政策が立法院の多数派(政権党所属の立法委員)の支持を得やすくなる。

     四 蔡英文総統の取り組み
  1 民進党の掌握
 民進党はもともと分権的な政党であり、派閥連合的な性格が強く一体性に欠け雑居性が高い(政治的投機者、台湾ナショナリスト、進歩改革主義者、利権代表者の雑居)。党首である党主席の権限はさほど強くはなく、意思決定では合議制が採用されている。民進党の政党組織のあり方が
党主席のリーダーシップを制約する部分が少なくない。