反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

EU中心部、縁辺部の経済混乱とアフガン、リビア内紛への戦争介入。EUはミニ帝国だった。

 全く、マスコミ報道との接触がないわけで、世間で承知の今現在の円高基調の訳知り解説にも、直接ふれたことが一切ないから、今頃になって、検索で、EU諸国の経済没落ぶりを知って唖然としている。
 
 こんなことになっている。
 
2010年世界のGDPランキング  2009年ランキング   2008年ランキング
 1)アメリカ    14,6     14,1            14,3
 2中国        5、8     
 3)日本       5,4      5,0            4,9
 4)ドイツ      (3,3)    (3,3)           (3,6)
 5)フランス    (2,5)     (2,6)          (2,8)
 6)イギリス     (2,2)    (2,1)          (2,3)
 8)イタリア     (2、0)    (2,1)          (2,3)
 
 >イギリスを除けば、EU主要国は軒並みGDPが7~8%も後退している。
とんでもない事態だと想う。恐慌状態ではないか。
乱暴にいえば、生産コストは変わらないとして、儲けが7~8%も少なくなれば、経営体力のない会社は早晩、倒産してしまう。安売り競争が始まるだろうし。おそらく巷は失業者であふれかえっていると想う。
 
 加えて、EU縁辺諸国、ギリシャアイルランド、スペイン、イタリアなどでは政府債務の危機が問題化している。要するにこれら諸国にバブルを見込んで流れ込んでいた、投機的資金が一斉に引き上げられた事が経済混乱の根底にあるのだ、と想う。
勿論、無傷で資金回収できていないから、主要国の経済活動の停滞がある。
 EU帝国の縁辺からの金融的収奪と中心部のミニ、バブル的繁栄という経済循環が大混乱している。
 
 なんだ!アメリカを帝国に擬えた識者たちの足元もミニ、アメリカ帝国としての構造をもったEUだったのだ。
ヨーロッパ統合は綺麗ごとじゃない裏面がある。
 
 EUの様に国境を取っ払ったら、規制緩和された資本の移動の自由は極度に保証され、無国籍性、無政府性を発揮し、あらゆる手段で最大限の金儲けを目指す。
低コストを求めて、低賃金地域に押し寄せていく。
 
 処が使われている側は生身の人間。子供もあれば家族、家庭がある。簡単に移動できない。
中心部から縁辺部への資本移動で中心部の失業は慢性化する。
 
 国境がないのだから、この事態が資本流失ではなく、日常的企業活動である。
 
 EUトータルとして低賃金構造が出来上がり、消費需要が増えない。
 
 
統合は良い面ばかりでなかった、と云うことか。反対意見も多かったが、社民主義者も先頭に立って統合の旗振りをした。
 
 結局、統合によって、損をする人、企業。得をする人企業、と明暗はハッキリしたのではなかったか。
尤も得をしたのはグローバル資本である。その野望が統合の根底にあった。
 
 EU統合から、もっとも大きな利益を引き出したのは分裂国家統一、過剰ドイツ資本EU内拡張が保障されたドイツであろう。
 
国民国家、民族国家による従来の分配、庇護機能は、統合によって薄められうることは避けられない。
そういう事も含めての統合議論と選択だったのだろうか?
 
また、域内で戦争の契機をなくすだろうが、アフガン派兵、最近では石油埋蔵量豊富なリビア内戦ではカダフィ側を空爆して、戦局のターニングポイントとしてきた。この戦争行為は完全な帝国主義である。 
 
つい最近、ユーゴスラビア内戦の本を読んで、ドイツの強い関与をしった。
日本人はEUを美化しがちで見る傾向がある。
間違っていたなと最近つくづく、想っている。
 
あそこにもアメリカに劣らず、悪い奴がたくさんいる。
 
ヨーロッパの格言に「諸君!発砲せよ!しからば国民は団結する」と云うのがあるらしい。
 
アフガンやリビア戦争介入でEU諸国民が団結するかどうかはわからないが、
これからの多極化していく不安定世界において、この格言が真実味を帯びるのは東アジアじゃないのか?
 
もうこの世界に日本がお手本にする国や地域はないとハッキリした。
自分たちで道を切り開いていくしかない。