引用します。
このことに関する日本のメディアの論調は、米系主要投資銀行はFRBによる監督管理の目に晒されることになり、これまでの様なレバレッジ投機(梃子の原理の様に手持ち投資資金を数十倍できる金融投機の仕組み)は封印されるだろうと云うものであった。
処が実際はそうでなかった。
それどころか、この動きによって、彼ら<は投資銀行と商業銀行の二枚看板>を掲げることができるようになった。
従来通りのハイリスクな投資業務を行いながら、銀行持ち株会社となった。
要はFRBはこの二社に一挙両得の二足わらじをはくことを許していまった。
投資銀行の十八番である自己資金を数十倍借り入れて行うギャンブル投資を手控えさせることもできたはずである。
信用創造の中枢を担う商業銀行がハイリスクの投資業務(証券)に狂奔、経営破たんが続出した。
投資銀行と商業銀行の垣根をキチンと分けるべきだと云う議論は、過去2回のG20会合でも上がっていたが、勇気をふるえなかった。
恐慌前の元の木阿弥状態へ引き戻されると云う事態も、避けられたかもしれない。」
モルガンスタンレーは2007年からの金融危機の影響を大きく受けるが{2008年FRBによって{金融持ち株会社への移行}が認められ、また翌週には<三菱東京UFJフィナンシャル、グループと資本提携し、九十億ドル分の優先株を発行するなど、矢継ぎ早の対応が功を奏して、復活を遂げる。
>引用部分は「ドル終焉」より。
三菱東京UFJとモルガンの資本関係は注目に値する。国際金融資本は同じ穴のムジナである。
TTP実現の暁には日本の銀行もゴールドマン、サックスなどと一体化して同じような投機行為に精を出すだろう。
そこまでカジノ資本主義が経済活動の中枢にビルトインされてしまっている。
だからこそ、冒頭のタイトル通り、バブル経済の制度化であり、恒常化である断定できる。
<米国への国際過剰貨幣資本の大規模な流入>
「2006年には流入規模は二兆億ドルに達した。
東アジア諸国の通貨当局による大規模な米国債投資によって長期金利は低下し、住宅ローン金利も連動する形で低下してローン借り入れを容易にし、この結果2004年以降、特にサブプライムローンが急速に拡大することになった。
つまり、東アジア諸国の通貨当局による対米投資は住宅バブルを資金面で支えることになった。」
「第三。(4620億ドル)、在米銀行のタックスヘブン金融センターからの借り入れ」
>東アジア金融当局とは端的にいえば、中国、日本の財務当局のことである。
仕組みとして、よくわからないが、この資金を国内投資に振り向けるためには円に交換する必要がある。
それが可能かどうか、正直なところわからない。為替市場で円に交換すれば、ドル安に振れ、円高から輸出特化型産業がダメージを受ける。
この前の記事に書いたように日本経済は輸出特化型の自動車、電気製品、機械製品に主導され、景気を維持してきた。この三大産業は韓国と世界市場でバッティングしており、その追い上げに会って、焦りが生じている。
日本も韓国と50歩100歩の経済構造の国になってしまっている。
日本の輸出依存率17%とは国内に付加価値の低い産業部門が多数を占めると云うことを指示しているだけだ。
ただし、元々、日本経済は頂点の少数の高収益企業と下方に行くほど収益性の低い膨大な事業所が共存という二重性が歴史的に存在し、公的政策もあって、こうした二重性が経済循環として全体として、それなりに機能してきたという側面を評価しなければならない。
収益性の低い事業所も全体としてそれなりに経済社会にとって重要な役割を果たしてきた。
個々が諸外国と日本の決定的違いであり、日本の良いところと云っても過言でない。
日本ではどんな職種、業態、金儲けの多寡にかかわらず、真面目に働く、優秀な人材が配置されている。
日本経済の発展を下支えしてきた一方の原動力がここにある。
経済ばかりでなく、日本社会の安定に大きく貢献している。
グローバル経済の冷たい非人間的合理主義で日本の良いところを蔑にして、掘り崩してはいけない!
ところが現状、日本支配層の思惑は、それをぶち壊して、内容空疎な愛国の大合唱と云う架空性、幻想性に置き換えようとしている。最低限の生活しかできないモノの増加を幻想で埋め合わせている。
おそらく、TPPをやれば、この部分が相当なダメージを受ける。日本社会は様相を変えていくしかない。
日本には日本の立場がある。
官僚、は多数国民の生活生命を蔑にして目先の金勘定の亡者になっている。
元々、高級事務屋に過ぎない彼らに政治が結果的に政治判断を委ねてしまっている事に問題がある。
外務省経産省のTPP推進記事など読むと、大局的な政治判断を優勢しなければならない大問題を経済的な利害損得勘定に置き換えている。典型的な経済幻想である。