反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

拘束したカダフィ、問答無用の射殺は、ビィンラディン射殺と同じ手法。アメリカ当局との癒着の証拠隠し。凋落し凶暴化するアメリカ国際政治の謀略テロの本性暴露。

 昨日、カダフィが出身地、シルトで射殺された。その手法にウサマ、ビィンラディン射殺を直感した。
吐き気を模様すような残虐さをそこに見る。
 しかし、テロであろうが、小戦闘であろうが、戦争であろうが、いわゆる抑止力であろうが、そこにあるのは政治の厳然とした手段であり、、どんなに残虐、非情であってもジッと見据える。
 
 そいう云う次元まで至ることが政治の本質だ。日本国憲法の平和幻想やアメリカ占領軍の軍事力による保護の幻想にすり替え、他人事のようにリビアを含む中東情勢一般を語ることはしない。
 解った様な一般論の中に中東諸国の厳しい政治、軍事の現実、庶民の生活は零れおちている。
 
 政治暴力の行使にはイロイロナ形態がある。
戦争や軍事行動は政治の一つの完全な手段である。軍事力、政治力を背景とした敵対する者同士の政治力学が大きな局面でバランスを失った時、大きな軍事力が実際に発動される。これが戦争だ。
 
 今回のカダフィ射殺に一つの区切りを見たリビアにおける政治の手段である国内戦争は、途中から、リビア中東民衆決起を受け継ぐ民衆蜂起が欧米帝国主義の侵略戦争に転化している。
 
 ちなみになぜ?今回のカダフィ射殺をこのような方向から問題にするかと云えば、他ならぬ日本の小沢政治弾圧も同じ次元の事とみなしているからだ。
 特捜検察が小沢氏らにやっている事は剥き出しの暴力を使わず、先進国における国民の政治幻想を含んだ国家の権力の暴力の行使であり、間接的政治テロに等しいものと以前からみなしている。
 
 以前から、その視点で一貫した記事を書いきた。
だから、三秘書さんたちへの陰謀的判決は、裁判所が検事調書を却下しても、ある程度予測できた。
 
 カダフィ射殺を一面に掲げた朝日新聞を購入した。10年に2度か3度しかない。
中東総局長の解説如きものが載っている。わざわざ中東まで派遣されて、肝心な時に、この程度の一般論の記事しか書くことが許されていないとは、イロイロな意味で苦労が忍ばれる、良い様に解釈すれば。
 
 「浅き新聞」2面論説は一般論としてはよくまとまっているのでそれを基に突っ込んだところを記していきたい。
 
1)「歯にきぬを着せぬ言動で反米の反逆児と云う道化を演じてきた」時期。
冷戦体制の一方が崩壊したからと云って、その体制は後進性から出発して少なくとも80年近く存続してきた。存在理由の大半は資本制とその発展形態の矛盾にあった。
 従って、同じ位相の矛盾が再発すれば、世界の人民はまた、もう一つの道を必然的に渇望する。
それが、「共産主義」ではないだけだ。その志に正当性はある。
 
 カダフィの存在、独裁政治体制はスターリン主義の体制の形態をとらなかったその時代の後進国の反植民地、民族解放の一形態であって、それは決して「浅き新聞」の様に漫画的に総括するモノでない。
歴史を奏して結果解釈し、漫画化する姿勢からはほんとのモノは生まれない。
ただ、日本ジャーナリズムは丸山真男の戦前軍部総括の漫画化以来、そういう歴史総括しかできなかった。
 そもそもの認識主体の姿勢が弱く軽いのである。世界には思想として通用しない。
 
朝日新聞」の中東局長のイデオロギー的立場で日本がアジアアフリカの後進国民衆に臨めば、侮蔑されるであろう。これらのヒトは当地の民衆とは本当の接点はないし、できない。一部の上澄みと仲良くしているだけである。
 こんな態度では、いくら、ODAを積み上げても当地支配層が喜ぶだけである。
 (社会の木鐸だって?もうこの期に及んでそういう言い訳は通用しない。朝日は支配層の根幹の構成員であり、いわゆる、ジャーナリズムの時代は自分たちで積極的主体的に、その時代と己を屑かごに投げ入れた。)
 
 また、資本制下に住むモノとしてスターリン主義陣営の存在が高度に発達した資本制の法則的盲動を自制させてきたことは事実である。
 この観点は昨日の記事に「パンドラの箱」が開かれたと書いた。
 
2)「2003年暮れ、イラクフセイン政権崩壊を受けて米英両国との間で大量破壊兵器開発の即時無条件破棄
に合意した。石油資源目当てに接近した欧米各国や企業にとって独裁はむしろ好都合であった。
ブッシュ政権の高官は北朝鮮が見習うべきモデルと称賛した。
日本は利権獲得で後れを取ったままだった」
 
 カダフィは2003年i以前に変身していた。冷戦体制崩壊によって中東におけるスターリン主義陣営の政治的軍事的影響力に結局は依存したてたモノは、国と云わず、団体と云わず、勢力を衰退させた。
カダフィ体制もその中の一員である。
 
その代替えとして、スターリン主義と距離をおいた地元に根差したイスラム宗教勢力が台頭した。
 
カダフィの政治体制はイランの様なイスラム宗教民衆革命として成立したのではなく、クーデターから出発した一部の軍事政治エリートの独裁に帰結するしかない。
 
 民衆のカダフィへの熱狂は石油う収入によるものだ。
リビア民衆の生活水準は同じジャスミン革命チュニジア、エジプトの4倍程で、先進国に近いモノである。
この意味でも独裁は桎梏になっていた。
 
従って、カダフィ体制が冷戦崩壊後、支配の根幹を宗教に求めるのは土台、無理。
 
冷戦崩壊後の世界政治の不均衡がカダフィ体制の足元を動揺させた。
 
そこにイラクフセインに対する二度にわたる英米帝国主義の侵略、経済制裁がさらなる圧力となって、大量破壊兵器開発即時無条件破棄から、欧米諸国、企業との癒着に行き着いた。
 
この点において南米ベネズエラチャベスの様な政治路線が選択可能だったかどうかと云う問題は残る。
また、南米は近年、親米政権が選挙で次々と敗北している。
 
 しかしこの観点からの論説のための資料がない。リビア政治研究の学者さんの研究成果を検討するしかない。
 
 「日本は利権獲得に後れを取ったままだった」?
寝言の類である。アメリカに隷属する日本に北アフリカの利権に手を突っ込む帝国としての独自の政治的軍事的展開力はない。まさにそうした独自性のなさが全く受け身の立場なのにTPP開国を云わせている。
 白を黒と言いくるめ幻想の中に安住する、原発安全神話の日本独特のあり時なるな戦前から続く政治手法である。
 
3)リビアの事態はチュニジア、エジプトのジャスミン革命に連動して立ち上がったリビア東部の民衆蜂起を利用した当該石油利権やジャスミン革命による中東体制支配崩壊を阻止線とする欧米帝国主義の侵略行為と位置付ける。
 
 リビア東部ベンガジの民衆が最初に立ちあがり、軍基地を襲撃して手に武器を獲得し、地域自治組織を結成しながらト政府軍と戦い、リポリ方面に進撃した。
 
 処がこの様な戦いとまったく関係なく、成立されたのがアブドルジャイル前司法長官を議長とする国民評議会であり、暫定首相にはマフムード、ジェイルが選任された。
 ジェイルはアメリカで大学教授を長年務め、1998年より中東地域の経営コンサルタントを務め、04年からカダフィの次男の下。経済開発局長を務め、外資導入計画を立案している。
 欧米外交官、石油資本、と接触を深め、特にアメリカ大使との恒常的接触はウィーキリークスで暴露されている。
 
 この暫定政権のもと軍事部門が組織されている。
その構成は次の通り。
最大勢力はリビア国民救国戦線。指導者ハフテ大佐は元、カダフィのチャド紛争派遣先でイスラエルアメリカの手引きのもと反政府活動をして失敗、アメリカに亡命した。
ハフテは国民評議会設立とともに救国国民戦線を率いて<<国民評議会の実権を握った>>
アメリカの仲介でカネはサウジ、武器はエジプト軍部から調達した。
 
 その他勢力はアルカイダ、王党派などである。
こうしてみると、アメリカ影響慮kの強い国民救国戦線が軍事と政治の主導権、実験を握っている事が解る。
国民評議会は錦の御旗に近い、飾りモノであり、合法を装う、国民的受け皿の様なものである。
 
 さらに、今回のカダフィへの問答無用の射殺行為における、アメリカ特殊部隊の手法は必然だった、という事だ。
 前以って補足した場合の、即刻殺人は軍事作戦として決定されていたモノと想われる。
それはパキスタンの潜伏先で米本土から派遣された特殊作戦部隊によって射殺され、空母に移送され、海上に投棄されたビンラーディンと同じく、生け捕りにできるのに、そのままにしておけば、何を言い出すかわからないので、即刻処刑を予め作戦として決めていたのである。
 
 カダフィは内戦が発生する前にアメリカと深い関係に会ったのだ。己の政治生命と利権を守るためである。
 
4)カダフィ政府軍の反撃によって、形勢不利になった「国民評議会軍」にとって、3月17日の国連決議よるNATOアメリカ軍による空爆実行によって、戦線を立て直し、カダフィの軍の軍事力を壊滅させ、トリポリ占拠に至った。
 
 >3、17国連リビア空爆介入決議の背景は
A)イタリアはリビア最大に利権をもっており、石油輸入の20%を頼っている。
 この国は先に反原発決議を含む国民投票実施している。原発ゼロの国である。
 
B)中国、ロシアはこの間、投資と貿易額を増大させてきた。
 
C)NATO空爆の主軸を担ってきたフランスは利権拡大を狙っている。
ジャスミン革命の発端となったチュニジアは元々フランスと結びつきの強い国。打倒された政権も当然、フランスの影響力が強かった。
そのリビアのもう一つの隣国、アルジェリアの元宗主国はフランスであり、リビアへのフランスの強い介入は帝国主義としての戦略性からである。
 
D)アメリカは軍事費を多額に投入する介入はNATOまかせ、国民評議会を操ることで影響力を行使している。
アメリカは現在は
イラクに3万、アフガンに3,5万の兵力を投入している
NATOイラクに合計1万以上の兵力を投入している。
 
>>世界の時代基調は新帝国主義の段階である。
ソ連東欧崩壊、新興諸国の台頭が進展すれば、高度発展資本主義は必然的にそういう方向に向かわざる得ない。
 
>>だからこそ、TPPは単なる損得勘定の問題を大きき超えた世界経済のブロック化において、日本がどの道を選択していまうかと云う世界史的結節点になる。
 
           <追記>
「浅き新聞」。TTPは「メリット」
小沢氏前向き発言。
と、いうタイトルの囲み記事が記載されている。昨日のネット会見の内容がどしてそういうタイトルになるのか?
「交渉参加に前向きな姿勢を示した」とも記し、一方、とか称して「セーフティネットを構築した上でやらないと競争力の弱い分野は生活できない恐れがある。国民生活が大変なことになる」と付け加えている。
 インチキ、記事もいいところであり、完全にTPP論議を農業標的に押し込めるやり方である。
TPPの本質は競争力云々でない金融、医療、医薬品、メディア、情報を含めたあらゆる分野に及ぶものである。まさしく国のかたちが問われる問題である。また日本の国家戦略の問題である。
なんで日本がアメリカにならなければならないか!と云う根本問題である。
 
軍事的に従属している国が経済、社会もアメリカ好みに変えると、完全隷属の完成となる。
 
 それではアメリカの一特別州になった方がマシだな。
なまじ国境障壁があるだけにアメリカは権利を与えなくて、負担を押し付けるだけでいい。