アテネ商工会議所の会頭の見解によれば、現在のギリシャ債務危機は現在、ソブリン危機下にあるイタリア、スペイン、アイルランドなど多くの国の中から、ギリシャが引き出され、見せしめの様な目に会っている、としている。危機を叫ばれている当事者からこのような見解が出て来るのは、現状のギリシャ経済危機はEU統合=ユーロ共通通貨導入に根本的原因があると、暗にほのめかしている。
しかし、他方、放漫財政、公務員の数が多過ぎる、などを口実とした急激な増税、財政縮小によって、乗り切ろうとするIMF、EU中央銀行隷属の政府に対してストなどの手段で抵抗する庶民に対してギリシャのテレビのコメンテータはIMF的観点から経済危機に切り込んでいく、問題指摘を過激に繰り返している。
このような国が世界中に増えると、ダメージを一番受けるのが、世界市場における過酷な競争にさらされ利潤率低下する先進国の輸出特定企業と賃金低下傾向、不安定雇用、失業、に歯止めがかからぬ多数の国民生活である。
そこで、それへの処方箋がFTAやTPPの様な無関税経済「同盟」による排他的寡占市場の創出となる。
しかしそれがまた、世界市場の競争要因となる。
EUの経済危機は元々、各国の経済格差をドイツ的政策手法で蔑にしたユーロ通貨同盟を解散できない以上、必然的にEU共通通貨ユーロの支柱であるドイツ金融資本の発言力は増大し、さらに強固なEU中央集権制へのベクトルが働くだろう。
しかしこの方向に対して、通貨同盟を結んでいる各国の反発を招くだろう。
英仏のリビア侵略への突出はユーロ経済危機において、重みを増しながらも、敗戦国の限界性をもつドイツ金融資本への海外侵略できる戦勝帝国主義としての特権をちらつかせた牽制の意味がある。その背後にはアメリカがいる。
さらに、勢力圏を拡張していく周辺国に再び三度、「ドイツの脅威」を呼び起こしていくだろう。
もはや現時点や将来のEUにドイツ拡張主義を我慢するだけのメリットが喪失してきている。
そもそも、ドイツ周辺国(ポーランド、チェコ、ハンガリー)は厳格変動幅を維持するEU為替相場メカニズムに参加していない対ユーロ通常変動相場制を維持している独自通貨の国々である。従って、EUに加盟していてもユーロは導入していない。
ドイツ周辺国国民には戦前の「ドイツの脅威」への警戒心が根強くある。支配政党がユーロ導入を図っても国民投票で否定される。
このような政策をとっている国は他にイギリス、スェーデン、ルーマニア。
ヨーロッパ金融資本が周辺部でに流入し荒稼ぎを実行していたことが解るが、そもそもはこれらの足元に火がつきだしたのはアメリカバブル崩壊によってアメリカ金融商品への巨額投資が水泡となって消えた事に起因している。
各国通貨当局(主として中国、日本)4879億ドル、金融商品、5178億ドル、在米銀行対外借入金5178億ドル」
その手口は傘下の投資機関によってタックスヘブンから自己資本の20倍30倍の資金調達をし、梃子の原理を働かせることによって、証券化金融商品を購入していたが、その一方、高利回りのサブプライムローンに積極的に投資していた。
だから、悪い奴は誰なんだと云うことである。
ギリシャは見せしめと云う考え方も多いに頷ける。
ユダヤ金融投機資本に国家経済をメチャメチャにされた揚句、金融をガッチリ握られ金融的生き血を吸い続けられる「あなた好みの国」に改変されてしまった。
>>>ヨーロッパ主要国は第二次大戦の混乱から、アメリカドル散布の手助けもあって、経済復興を遂げて、高度成長に突入した。
この際、内発的経済成長に見合う国内安価労働力不足を補うため、北アフリカ、トルコなどから移民を大量に導入した。
高度成長が終焉してからのヨーロッパ主要国が慢性的に経済停滞に見舞われている中で、輸出主導で西ドイツ経済は成長力を維持していた。日本経済の高度成長終焉後の姿とよく似ている。
>>しかし、ドイツ民族は観念的にクルッテイル。
そこが日本と大きな違いである、と「発見?」した。
私は不勉強だから、戦後のドイツの歩みを日本と対比して、買い被っていた。
この間の読書の結果、ベルリンの壁崩壊を受けて、当時の英仏トップであったミッテラン、サッチャーが統一されたドイツに戦前の悪夢を蘇らせて、統一ドイツによって高まっていくだろう拡張主義をヨーロッパ連合の枠の中に閉じ込めようと即座に反応したのは解る様な気がする。
これがEU結成の動機らしい。
そういう意味での政治統合だった、と云う読み方もできる。
>そもそもが、どのような内的エネルギーに突き動かされて、ドイツは20世紀の世界資本制の時代にイギリス、フランス、アメリカの世界市場の既得権に二度もチャレンジしたのだろうか?と云う素朴な疑問がある。
パレスチナの地を追われ、全世界に拡散したユダヤのその後の動向もヘンだが、収容所のガス室で大量処刑し、民族消去を画策したモノたちは、丸山真男がいくら、ならず者がならず者まま、権力の座に就いたと説明しても、そこから零れおちる部分があまりにも大き過ぎる。
このような丸山の視点に大きな違和感を感じたが、その後の読書において、正解だった、と解った。
ドイツ帝国主義的拡張主義を熱烈に支持している。ドイツ皇帝と官僚制への戦いにおける議会の重要性の指摘は議会の政治訓練を通じたカリスマ政治指導者の出現こそが第1次大戦後のドイツの低迷を救うとしている。
従って、ワイマール時代のドイツは「左右の対立」が相当激化していただろうと想像する。
しかし、政権の座にあった社会民主党は不況、大量失業、インフレを解決できなかった。
そこに1919年民衆蜂起のドイツ革命の配備くとその結果としてのワイマール体制が出来上がった。ドイツ社民は政権担当した。
ドイツのクルッテイルところは、マックスウェバーの様なモノがワイマール以前から、カリスマ政治指導者出現によるドイツ民族救済に、実に論理的に辿りつき、論証を極めるところにある。その論理的狂気である。
このような大きな政治傾向の類似点のある流れがナチス党に収れんしていった、とみる。
その様なドイツ人の政治思想の基本的流れはヒットラーやナチスの登場はなくても、戦後も途絶えていない。今のドイツ憲法の精神にワイマール憲法の精神が反映している。社民党、ドイツ保守主義の位相も戦後的に衣替えしただけではないか。緑の党の様な環境保護派も戦前から伝統を引き継いでいるらしい。
そもそも。ヨーロッパ周辺国がドイツの論理的狂気に同調しない事にはリストラの道はない、と云う通貨統合の枠組みがクルッテイルのだ。
経済格差あると処に、共通通貨を適応すれば、弱い国、特殊事情の国は政策的選択肢がなくなっていまうのではないか?
だから、一歩も2歩も身を引いた国、参加しない国は出てきた。