反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

多数派日本国民にとって、歴史的結節点は1985年のG5プラザ合意によるドル高是正、円高誘導の急激金融緩和と世界同時株安懸念からの利上げ見送りによるバブル経済だった。日和見主義による政策選択の失敗だ。

 今日は極端な時間不足のため、情報を頭の中でまとめ上げることができない。
従って、感情論が優先する冒頭のタイトルになってしまう。
 
 故大森実さんの戦後秘史は何回か記事に使わせてもらった。晩年の著作で完全口述筆記の部分と自分で書いた部分の内容密度の落差が激しいが、現場記者として体験した戦後史を実にリアルに記述しているモノで一級品の歴史書となっている。文庫本になっているが、絶版になっているかもしれない。
 
 あの著書で敗戦直後の日本国憲法成立のリアルな過程やマスコミ各社へのGHQの統制、介入の実態を知った。
 
 山崎行太郎さんと云う文芸評論家がいる。
 
 有料ブログを展開しており、なかなかいい線いってるな、と想ってよく目を通す。
個人的見解としては天木直人さんより、ワンランク高い思想性がある、と理解している。
 
 その彼は、師匠格?の江藤淳の、GHQのメディア言論統制とそれに粛々と従ったマスコミの今の言論の自由の在り方批判に拘っているようだが、大森さんの著書を読めば、GHQ言論統制とマスコミとの関係がアメとムチの如き関係として、立体的にリアルに解る。
 記者クラブ再販制度などもろもろも世界に例を見ない特権はこの時、形成された。
 
 日本歴史上初の戦後の完全普通選挙において、いわゆる革新票は少数派だった事実。多数派は相変わらず、戦前保守政党の流れを汲む政党が握っていた。
 
 そこでGHQ言論統制を含むマスコミ介入による、アメリカ流民主主義のマスコミ報道を通じた日本国民への刷り込みとなっていく。
 
 言い換えるとGHQがそのまま放置しておけば、戦前軍事翼賛体制の重要な構成部分だったマスコミは戦前の残滓をもった報道を繰り返して、占領軍の戦前日本のアメリカ好みの改変政策=アメリカ刷り込みの障害になる。
 
 そこでGHQは単に上から言論統制の様に強圧しただけではなく、マスコミに過分の特権を与え、つき従わせた。
 
 それはマスコミだけでなく、共産党社会党政治勢力助長政策にも表れている。
特に社会党は、日本国憲法にピッタリと貼り付いたアメリカ好みの政党として利用価値があった。
この党は日本共産党GHQの逆コース冷戦構造選択によって、弾圧されると、とって代わって浮上した。
ただし、その後、鶏がアヒルになった。日本の社会構造はヨーロッパ流の社民の存在基盤は狭かったため、日本型社民として戦闘化した。
 その後のこの党の衰退解体は日本の帝国主義としての成熟に原因がある。
社会全体の右傾化云々は表面的議論に過ぎない。
 
 >江藤淳の論理展開をそのまま素直に受け取ると、GHQのマスコミ介入に不快感を表し抵抗した正力松太郎の様な軍国主義者として札付きで戦前の内務官僚上がり新聞経営者が立派だったと云うことになる。
GHQは正力の様な頑固派に対しては公職追放で臨んだ。同時の新聞労働組合を意図的に育成した。
 
 山崎さんの様なこの問題に関する江藤淳への拘りは全く一面的であり、いくら保守を自任しても、もっと多角的方面から、考え抜いた方が良かろうと想う。
 
 江藤淳さんは再販制度が国会で取り上げられた時、マスコミ側に立って、制度維持の必要性を国会で語っている。
 
 と、ここまで、書いてきた事とタイトルは直接関係がない。
 
>>が、ここまでして、大森実さんの視点の確かさを証明しなければ、彼の{バブル前後を日本敗北}とする言説が解ってもらえそうにない。
 
 勿論、当方も大森さんの著書を読む前から、このままでいけば、多数派の日本国民は敗北するとしていた。
 
 大森さんは国家の敗北としているが、国家は負けない、負けるのはいつも国民である。この両者は=で直結できない。誰が国家を主人公であるかと云うことに尽きる。決して多数派国民でない事実。
主人公になれない社会経済構造が厳然としてあるから、わざわざ日本国憲法主権在民を明記している。
 
 ただし、大森実さんの様にキチンと時期を区切って考えることができなかった。
 
 今、イロイロ関連の本をひも解くと、どの著者も
 
 1985のプラザ合意によるドル高是正ー日本の公定歩合急激大幅引き下げー急激な円高進行ー円高不況発生ー公定歩合の引き下げによる景気刺激ー1987年、アメリカ株式市場暴落=ブラックマンデー世界同時株安、世界金融市場混乱を懸念しての国内景気過熱抑止のための、利上げ実施見送り。
 
>>この期間を戦後日本経済史の大きな曲がり角としている。
 
>>特にプラザ合意を受けての激烈な円高進行と円高不況。
 
財政再建途上と云う事から財政出動を避けた、金利大幅引き下げによる景気刺激とその効果による国内景気過熱の兆候への対策として金利引き上げに向かおうとしていた時、アメリカ株式の未曾有の暴落の世界への波及を恐れた低金利政策の継続。
 
 >>ここが最大にポイントだった。
 
 以前、この点と東日本大震災福島原発事故を絡めて記事を作成しようとした事があった。
イロイロあったが、何はともあれ、内外環境に恵まれ、ここまで成長してきた日本の幸運が反転して不運に裏返っている様な気がした。
 
 お祓いでもやってもらった方がいいんじゃないか、とタイトルにするつもりだった。
ま、余りにもふざけ過ぎているので中止したけど、気持ちとしては今でもそんな気がする。
 
 鎌倉時代の蒙古襲来の時、幕府、有力寺社の権門支配層は大阪と京都の境に位置する八幡山神社に集まって、国家安泰を祈願する。
 
 まさか今そんなことはできないだろうが、プラザ合意後の金利引き上げがブラックマンデーによって機会を失って、バブルの本格化に立ち至ったこと。
戦後初の有権者多数の選択による政権交代実現と大震災、原発事故発生。
 
やはり、日本にとって不運の感を拭いされない。
 
>ギャンブルの「法則」には幸運が続けば、その裏面が必ず、出て来ると云うのがある。
 
繰り返しになるけど、1985~1987までの日本はギャンブルの出目ではないが、良い面ばかりに恵まれていたような気がする。
 他の国と国民はその間、もっと苦労していた、のじゃないかな。
 
 大震災、原発事故。その前のブラックマンデーバブル経済
 
歴史的ともいえる不運が重なっている上に、あろうことか、TPPの様な過激市場自由化ー経済圏確定にハマりこんでいこうとしている。
 ここにも、不運の影が認められる。国家として選択肢が狭まってきた結果、こうなっている。
悪い方悪い方に選択せざる得ない、様に追い込まれている。
 抜け出すにはなし崩しを断つ勇気がいる。一番犠牲にならなければいけない支配的部分が、自己益のみを追い求め、逆に派かに犠牲を転嫁している。それがTPPじゃないのか?
 
>>尤も、今、挙げた不運の中には、日本の戦後政治がキチントとしていれば、ナントカなったモノが確実にある。
 
プラザ合意に集まったG5に中で日本と同じような輸出主導の経済成長をしてきたドイツは、ドル高是正のための急激な内需拡大政策を拒否したと云う。
 
アメリカ未曾有株安にしても、ある程度、事前に予測できたのじゃないかな。
 
>>また、アメリカ株安の世界への波及を懸念しての低金利政策の継続は完ぺきな属国政策ではないのか?
このときの首相は竹下、日銀総裁は澄田。
政治責任は大きい。
 
 ただ、日本の支配政党、自民党の権力派閥田中派への一連の特捜検察の政治弾圧は結果論として、アメリカへの利益供与であり(思いやり予算など)、対米従属(自立傾向のある田中派弱体化、対米隷属、官僚政治派福田、中曽根ライン強化)を深めた、と改めて確認できる。
 
>>さらに、云うまでもなく、福島発事故は間違った戦後政治の延長線上に発生し、今もなお被害を拡大している。
 
    <追記>
ギャンブルをやる方はお分かりだと想うがギャンブルの本質は丁半博打にあり。サイコロを振っていけば、丁半の目の出る確率は50%。
 
 戦後日本はほとんど丁ばかりの出目だった。
 
日本人の努力もあるが、何より環境に恵まれてきた。
 
 これは、韓国、中国の立場に立って見るとよくわかる。
彼らは、国民同士が血を流して争ってきての今日である。
彼らの戦後史は半が多かったが、やっと丁の出目の順番がきた。
 日本の経済成長は彼らの半の時期に流した血の礎を一つの支柱にしてきたことは間違いなかろう。
 
アメリカ側からみれば、実らせた稲穂を刈り取る時期に来ている、という下衆な見方もできる。
 
だから、日本の丁の続く出目は好条件の重なったモノだった。その意味で、歴史の必然ではなく、まさしく運が良かったのだ。
 
 ところが、日本にとっての重複する好条件の環境が潰えようとしている。
だとしたら、今度は半が続く順番を覚悟しなければならない。
 
今、多くの日本人の対外意識は血塗られた自分たちのアジアの礎を蔑にして、アメリカに実った稲穂をどうぞ、刈り取ってくださいと云っている様なモノだ。
 
TPPには韓国、中国、インドネシアは参加しない。インドが参加すると云う話も聞いたことがない。
 
 日本が参加しなければ、アメリカにとって何のメリットもない。