反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

韓米FTAを検討することで、TPPを利用した米国側の対日画策の実態判明。強固な反対派の韓国民主労働党幹部の民主党勉強会の発言よりも中野剛志さんの解説の方が解り易い。

 原発事故による放射能汚染で全国民的規模の一種の人体実験が行われているは間違いない事実である。
福島から遠く離れた処に暮らしていても、様々なルートでの汚染があるはずだから、無関係はあり得ない。
 
 ただ、政府の立場に立とうが、反原発の立場に立とうが、共に絶対の基準はあり得ないということである。
 
ところが、今現在の直感では、日本がTPPを締結した場合の国民への被害は原発事故による放射能汚染に強烈な上書きをして、子々孫々にまで及ぶ。
現在の年間自殺者、約3万人のかなりの部分は経済苦に原因するモノと想われるが、この数値はもっと増える。
言うまでもなく、原発事故の放射能被害や東日本大震災による生活健康被害も加わる。
 
 こう考えると、今現在、政府財界、マスコミなど日本支配層とその使用人どもが米国支配層と結託して、国民的合意形成過程を無視して、拙速、秘密裏に推進しているTPPなどはとんでもない事と云わねばならぬ。
 
 先日、岩上安見サイトで、民主党TPP慎重派議員の第23回勉強会に招かれた韓国民主労働党幹部議員の韓米FTAの見解と報告を視聴した。
 後にいつかは記事にしようとメモって見たが、自分のこれまで把握している韓国事情に照らし合わせて、今一納得しかねる部分があった。
 
 尤も1時間の予定の原稿を用意していたが、30分程度に時間の都合で省略したと。
同時通訳なしだから、発言時間の割に中身が時間的に制約される。
 
それでも、解らない処があった。
例えば、農業分野の説明は省略するというが、自分の関心事からすれば、最重要ポイントの一つになり、時間の都合で省略されたら、堪らない。
 
 >>そこで韓国農業の現状を調べざる得なかった。
 
韓国政府は米韓FTAにおいて、米は自由化除外品目とした。リンゴ、梨は20年間自由化が据え置かれた。
 
 2国間交渉のFTAであれば、こういった、特殊事情も考慮されるが、10か国以上も参加する多国間自由貿易協定においては、こういった配慮は不可能だと云われている。
 
 >しかし、TPP交渉において米除外が国民へのTPP強制のためのウルトラCの謀略になる可能性も否定できない。最大最高のTPP反対組織の農協を突き崩すにはこれが一番手っ取り早い。
TPPは実質的に日米自由貿易協定の様相だからだ。
さらには、これまでの交渉で米国は農業部門への補助金は譲っていないらしいことも考慮にいれる必要がある。
 
 >韓国農業の現状は日本農業と似通った面が多いが、決定的な違いは、一戸当たりの耕地面積がほぼ同じにもかかわらず、日本よりも兼業率が相当低いことである。
適当な働き口がないため、農業収入を補てんできない。兼業さえできない経済環境がこの間の韓国の急速な経済発展で構造的に出来上がってしまっている。
 
 財閥企業主導の輸出型経済の川上は裾野の深く広く存在する川下に依拠していない。必要物品は海外から輸入する。だから韓国経済が発展すると日本側の黒字になる。
国内市場の狭さもある。
 ソウル地区に全人口の半数が集住することになってしまった、国土利用上の歪さもある。
 
 個別農家の家族構成がたったの2、4人程度で日本の4人を大きく下回っている。
農家は耕作地を借地にして、高齢化して孤立して暮らしている。
 数字で見る限り、輸出産業優先政策のため、農産物輸入量も多く、大規模経営化にも大きな限界があるようだ。
 
 今後、10年間で117兆円の農業部門への投資は、輸出がGDPの70%を経済構造では生産的投資と云うようりも完全な補助金手当といった側面になる。
 
 日本側のTPP推進者は韓国政府の10年間117兆円投資を強調するが、韓国農業、引いては韓国経済発展の日本と違った歪さを意図的に隠している。
 
  日本は韓国と違った経済発展と経済構造でここまで来たという事実を隠して、韓米FTAに「バスに乗り遅れるな」と煽動し国民間に焦り、を呼び起こそうとしている。
 どうして日本が韓国の社会や経済をを羨ましがったり、真似をしなければならないのか?理解に苦しむ。
 
 
 次に、時間もわずかになってきているが、韓米自由貿易協定の中身をTPPに関連ずけて、特徴的な点に絞って羅列しておきます。
 
 1)韓米FTAはノ、ムヒョン大統領時代に合意された。
韓国経済はアジア金融危機によって破たんし、IMFの管理下で市場原理主義を強制された。
 
 それまで韓国経済を主導してきた財閥統合の結論として、金融部門の頂点は外資系が過半数の株式を取得している。各財閥企業の株式所有形態はどうなっているか調べた事はないが、多分外資が多くに部分を握っているだろう。
 
 従って、韓国人は一生懸命働いた労働の成果を外資による資本所有によって、外国、特に米国に吸い上げられる構造で、国民経済として循環しない。循環しないから、またGDP70%の輸出の頼らざる得ない。
 このアジア金融危機以来の、内外経済循環を前提として、ノ、ムヒョンの韓国民主化時代の裏側でTPP合意が為された。
 
 >ここで確認すべきは韓国民主化運動を支える核的実体は昔の日本で云えば、官公労、大企業労働組合、青年学生であったし、今もあると云う現実である。
誤解を恐れずに云えば、韓国民主化運動の戦闘的担い手は、日本の昔の総評、革新勢力や学生運動に近いモノといえよう。
 
 >が、彼らの民族分断と云う事実を基盤とした民族性、戦闘性を権力や財閥は簡単に突き崩せないでいる。
ここが日本と大きな違いである。
 
 日本の場合、社会党や総評の最後は冷静体制崩壊を背景に自壊作用の様相だった。
戦わずして、自壊作用を起こしただらしなさを、55年体制崩壊と新たな政治方向にすり替えている。
その結果の連合、民主党結成と云う事実は見逃せない。
 
>今回、民主党の勉強会に来日した民主労働党幹部の方の語りが日本の議員さんと大きく違っている処にそれが表れている。
彼は国民の運動の力によって、粘り強く戦っていこうとする観点が強烈にある。
日本のTPP反対議員は日本国民に頭だけのTPP反対を啓蒙しようとしている。これで長期反対の姿勢が国民の間で保てるのか、また反対を戦いの文化として、国民生活第一にしていけるのか疑問である。
 
 
>>>>中野剛志さんの議論は個別案件の解りやすい解説の前に、自由貿易交渉の中身は結局、法律、ルールが政治力軍事力によって決定される、している処。
 
 それは韓米FTAの個別案件を具体的に見ていくと全くその通りだと納得する。
これは、余りにも酷い不平等条約であると米韓FTAの中身を検証すると具体的に解って日本人なのに怒りさえ覚える。
 
 FTA反対の声が韓国中に充満していたちょうどその時、北朝鮮による韓国島砲撃事件が発生した。
その前には韓国哨戒艇、撃沈事件もあった。
これらは、軍事力と政治力を発揮して自国に有利なルール、法律の策定につなげた。結果的にそういうことになっている。
 
>日本の反TPPの理論の水準は低いモノではない。
以前、ニュージーランドのおばさん学者を東北の人たちが招いて、講演会を開いていたが、公園さyの話の中身よりも、質問者の質問の方が鋭く要を得ていた。
 
>今回の韓国反対議員の説明も運動方面に重点を置き過ぎて、今一FTAの本質の簡単な説明になっていなかった。
国がらの違いと云うことなのだろう。
日本の反対運動ももっと自信を持って、やっていく必要がある。
ただ、その為には米国論は欠かせない。
中野剛志さんは悲観論に傾いているが、この種の運動は結果も大事だが過程も大事なのである。
政治過程がしっかり捨ていれば、未来に繋がる。
 
 
 >>>>米韓FTAの個別案件の問題点は列記に終わる。
 
1、米国自動車を輸入させるための、排ガス規制緩和
米国大型自動車輸入に有利な大型自動車減税。
 
2、米国、医薬メーカーの韓国市場での不利益に対する第3者機関への不服申し立て
 
3、共済保険、郵便局の保険サービスは発行3年後に解体し、米国保険業界の韓国市場進出の有利な条件確保。日本で云えば簡保、各種共済保険。
 
4、法律、会計、税務事務所の開設権利保障による米国の法的風習の導入。
 
5、ラチェット規定。
 自由化後に自国民に不都合、不利が発生しても修正権利なし。
逆回しの歯車(ラチェット)は効かない規定。
 
>6、ISD条項。
投資家の国との紛争解決手段は世界銀行傘下の調停機関の判定に持ち込まれる。
が、その判定過程は非公開。不服、上訴もできない一回きりの判定。
判定基準は規制を受ける投資家が経済的理由だけで被害を受けたかどうかの理由を判断材料にする投資家有利な条項。
国家主権、国民主権の否定。
 環境基準などにゆるい米国基準が結果的に入ってくる。
 
>>ところが、民主党TPPプロジェクトチームに回ってきた資料では日本側はISD条項を日本側要望事項に入れているという。
 
 
     <追記>
 植草一秀さんは12月19日付の有料ブログ記事のタイトルを「反消費税、反TPP、反原発国民会議創設を」としている。
そうとう、頭の中が混線しているとみる。
この三課題が日本国民の重要政治課題だとはわかるが、並列的に並べる政治感性は如何なものか。
この人は、政治の本質が解ってない、お人なんじゃないかな?と。
 
 この三課題の政治的位相の大きなヅレに気づかないとは、もう政治を語る資格の大部分は喪失している。
 
この政治的位相の大きなヅレのある三課題のフィルターを通して、なおかつ、国民会議とやらの緩やかな政治連合に人々を結集させる、政治的四重苦を、この人は、政治を主体的に実行する側に立って真面目に思考できているとは、私には到底考え辛い。
 あくまでも、自分の思考の肥大した延長線上で、個の様な提起を行っているにすぎない。
 
だから言っている。
 
あまり政治も事には深く立ち入らない方がいい、と。
 
本業の経済財政分析にも疑問符が付けられる。
 
自分を知ることは大事である。天に二ぶつ、三物を与えられている人間は歴史的人物しかいない。
大きな勘違いをしない様に。
また周りは批判して挙げるべきである。
 
 小沢支持者にはこういう勘違いの人物が周囲にいる。勿論、植草は小沢周辺ではないが。
それが小沢一郎の悲劇の一因でもあると常々断定してきた。
 
小沢一郎氏支持を中核に一般の支持者が敵と味方の境界線を独断することは、ネット言論の長期スパンから言って、決して生産的なことではない。
ネット右翼と同じ地平である。
 植草氏のネット上の言論活動も、小沢一郎の政治的思惑を勝手に解釈した、政治的敵味方論理に左右されている部分が多い。
 
 橋下への評価が180度とは言わないが90度たった、3年程度の経過で変わっているのにはビックリした。
橋下がこの三年間、かわったのではなく、むしろ悪い方に進化した。
 
 他方、植草氏の評価の変化は、単なる小沢氏の政治的思惑を勝手に忖度し、橋下氏の評価を変えただけだ。
 
 政治には変身はつきものだが、橋下の様な輩への政治評価は庶民の生活労働に直結する根本的な政治信条の表明であると考える。
 
 だからここにおける橋下評価は激動期における己の政治信条の在り方が問われたモノと考える。
 
 柔軟に政策実行のための考えろなどと云うのは、この期の政治状況のリアルな把握にかける論理である。
 
多くの国民に負け戦を強いる論理である。時代の基調を読みとってない過去の政治手法である。
 
それで上手くいっているのならまだしも、負けてきたのじゃないか?甘ちゃんで云いように翻弄されて。
 
 今後は小沢熱烈支持者とも論争しなければならぬと考えている。
尤もヤッテも受け止める人たちではないと想うが。