反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

H23年度、経済財政報告。第二章、新たな「開国」とノイベーションの誤魔化しを明らかにする。

 昨日に続いて「経済財政政策担当大臣報告」ー日本経済の本質的力を高めるーを批判的に検討する。
 
>この報告書は内閣府の官僚が多数寄り集まって、任務分担して書きあげたモノであり、本来ならば、客観的記述に終始して、数本の政治的選択肢を並列提起し、上司である、国会議員の選択支持を仰ぐべきモノである。
 
ところが、これら内閣府官僚どもは、この報告書に置いて、政治的立場を先見的に自ら選択し、その立場を正当化するための、説得活動の重要な一環として、各種数値、グラフを操り、客観的な現状説明の中に自分たちの意見を混入し、許せないことに政治課題さえも大胆に提起している。
 
 こういう作法が、これまでの霞が関官僚文化?として当たり前の様に営々と継続してきた。
政治家はそれを鵜呑みにしたり、修正調整したりすることを政治の本線としてきた。
コレが戦後長らく続いた自民党政治の実態であり、その政治的ヒエラルキーにぶら下がって、各業界団体、野党、労働組合は各々の役割を果たしてきた。
 
 >コレは一種の完成したコーポラリズム体制だった、と云わねばならない。
 
 が、そのコーポラリズム体制は冷戦体制崩壊後のグローバル資本制によって、なし崩しに熔解し、新しい体制を模索して、混迷を深めている。
 
 処が、こうした政治の模索状態のさなかにもかかわらず(というか、模索状態であるが故に)、
官僚どもは従来の霞が関政治を推進するばかりか、グローバル資本制の政治的立場を鮮明にし、政治家に対する説得活動を言葉、暴力などあらゆる方途を駆使して、大々的に展開している。
 
 その証拠物件が「経済財政担当大臣報告」だ。
 
 以下、記述に沿って、批判していくが、時間が足りず、次回に継続する。
 
また、この報告は真面目にキチンとかれたモノであることも押さえたておきたい。非常に参考になる。
本屋に並んでいるダボラの如き、政治本を読むくらいなら、この手の官僚作文を読みこんだ方が、よっぽど世界が開ける。
 読み方にはイロイロあるという訳だ。
 
 
>>第2章、新たな「開国」とノイベーション。
冒頭で官僚たちはこの章の問題意識と課題を短くまとめている。
なお、ノイベーションの意味は技術、経済、社会の相互連関の「革新」再編と取りあえず、理解する。
 
 >まず、いきなり、日本の高齢化人口減少にはもう打つ手はないと、割り切っている。難しい論理的言葉で云えば、<所与の前提>。
 
中長期展望に立った、冷めた認識であり、できない事をやろうとの無駄な努力が生まれない正しい認識である。この報告は民主党政権の担当大臣の報告書の形態をとって、昨年7月に発行されている。
 
 日本では、フランスに典型的な少子化対策は、できる財政基盤がないし、やっても効果がない、問題意識の状態のまま終わる。ここまで歩んできた長い歴史と文化の大きな違いが、横たわっている。
 
 日本社会の少子化の真の原因は、急速な経済成長に伴う社会システムの急激なアメリカ化(欧米化ではなくアメリカ化)にある。
 
コレによって、地域、家族、教育、習俗が対応できず、余りにも急速に分散し、個別的対応に終始せざる得ないようになった。極論すると、資本の蓄積過程だけが、こうした崩壊、分散を集約してきて、その状態を政治はズット追認してきた。
 
 この方向を修正できるチャンスはあったが、、目先の経済幻想によって、足早に通り過ぎてきてしまった。
 勿論、今に至って、そのままにしておいてよいうと云う事ではないが、やらないよりまし程度の効果しかない。
 
>経済急進主義政策の付けは、経済下部構造の繁栄は達成されても、上部の政治文化の独自性の中でじっくりと民族国民規模でボディーブローのように効いてくる。
日本は民族と国民が病んでいる。
 
 >官僚どもがこんなグローバル資本制の論理の使いパシリの様な報告を書きあげている事は戦後長年続いてきた経済急進主義政策の積み重ねによる民族国民への弊害に、さらに、市場原理主義の劇薬を刷り込む様なものだ。
 しかし、彼らの基本姿勢としては、高度成長経済成長政策(経済発展急進主義)-市場原理主義(グローバル資本制至上主義)は一貫している。
 
 一隻の巨大船のパイロットが前方に大障害物を見出しても回避行動がとれない様に。
 
 ある説では、前方に氷山を発見した時点のタイタニック号はスクリューを全速逆回転させた回避行動をとり、つまり、急ブレーキをかけたから、惰性で直進してしまったのであって、そのまま、舵を切っていれば、氷山をすり抜けられた可能性もあると。確かに物理的な観点からスクリューを全速逆回転すれば、舵の効力はほとんどなくなる。船はほとんど真っすぐ進む、と想う。
 
 支配層の中長期的?政治戦略?がパックリ開いた傷口に劇薬を刷り込むことになるのか?
タイタニック号の舵に頼った前方巨大氷山すり抜けになるのか?
もっとも巨大氷山との認識すら乏しい場合もある。
 
 <時間切れ次回>
かなり読み進んだが、とっかかりしか書けなかった。
問題点は以下の通り。
 
 1)官僚も「開国」については、現状認識への着目点、立場、視点によって意見の大きな違いが出ると、ハッキリと書いている。
それを承知の上で開国の立場を選択し、徹底して説得に乗り出している。
 
 >が、そこまで強固な立場に至る説明が全く不十分。
まさかアメリカが、TPPに乗り移ったから、同伴しているだけでは
「開国」のメリット、デメリットの整理と云うが、デメリットである裏側の記述は全く見当たらない。
 
2)イノベーションなどという曖昧、学問風概念で開国デメリットの実態をごまかす!
 
3)FTAによる新興市場の取り込みと、実際のTPPとは政治的経済的に実態が違い過ぎる。
一般論を語っても大して意味はない。リアル論を。
 
4)新興国の台頭を受けて、先進国は資本と知識の集中に活路を見出す他ないのは解るが、その説明にどうして、米国における中国人韓国人台湾人などの留学生の量と質の躍進に日本人が劣勢に立っているとだけ説明するのか?
 
>日本の多国籍企業は自前の資金を投下して研究開発する段階にある。間接金融で資金調達しなくても、直接金融で資金調達し、研究開発を自前でやることができるし、互いの連携開発もできる段階に達している。
 従って、米国大学留学生がどうのこうのは、もう古い視点。日本経済の成熟した到達段階が解らず、古い時代の対米隷属思想が抜けきってない。
 
>。日本政府はイランによるホルムズ海峡封鎖に対して特措法検討との情報。
出口がなくなれば、戦争を仕掛ける。
「諸君砲撃せよ!しからば、国民は団結する!」戦争を繰り返してきたヨーロッパの格言。
経済政治長期停滞の中、今年は主要国で政権選挙がおこなわれる。
オバマに戦争でもしかけない限り、大統領再選はない。