財政の事はよくわからない。
しかし、戦前と今の日本の経済社会システムの特徴を抽出し、其れが共に、メダルの表と裏側の歪なバランスを欠いた状態であり、戦前の軍需に偏ったシステムが破たんした様に、戦後の公共福祉、社会保障、公共セクターを蔑にしてきた会社社会システムは行き詰まり、破たんする(破たんするのは国民生活であり、日本国家と企業ではない)と決めつけた以上、
今、野田内閣が推し進めようとしている消費全増税法案について言及しない訳にはいかない。
最近の記事で、小沢さんの橋下容認TBSインタビューを批判した。
このインタビューの主要な眼目はこれから、緊迫度を増していくだろう消費税増税絡みの政局について小沢さんの見解、戦術を探ることだった。
増税問題へのアプローチの仕方も小沢さんとは意見が違う処がある。
インタビューメモを基すると
年間所得1億円の富裕層は様々な手段を用いて、実質26、5%の支払いで済ます事が出来る、と云う。
100億円の富裕層は分離課税を用いることで実質的な所得税は14、2%で良いと。
さらに、出所明らかでない英文の棒グラフによれば、日本の税収における直接税の比率は2005年で27%程度で、米国29%よりも低くなっており、30か国中下から5番目に低い数字になっている。
>と云う訳で、小沢さんが増税問題発言に置いて、冒頭に断っている直間比率見直しの建前としての正当性を持ち出すのは、格差社会の進行のただ中での増税反対論としては、現状の不公平を語りつくしていない狭い、片手落ちの議論である。
小沢さんは税制改革として、タイトルに示した様な、富裕税創設、法人は社会保障費をもっと負担せよ(社会保障費を負担しないで、他人の労働力を使っている処も日本の場合、多い。)無税で金融マフィア化している宗教法人に税負担させたらどうか?
などの領域には一切触れない。
尤も小沢さんにそこまで要求する無理はある。
小沢さんに社会民主主的政策を徹底しろと要求するのは土台無理と想うが、一応自分との違いは明らかにする必要がある。また日本に社会民主主義的政策を適応できる土壌があるかどうかの問題もあるが、遅きに失してもその理念は持つ必要がある。
それはそれで間違っていないが
1)資本海外流失によって、国内産業空洞化の傾向は回避できない先進国では国民経済の循環そのものが委縮することは避けられず、いつまで景気の様子を見ても、増税の機会は失う。
TPPに向かうと、デフレ要因はもっと強まる。
景気の上昇はがあっても、富裕層、大企業だけのことで、あくまで労働生活への収奪対象に過ぎない多数派国民は蚊帳の外だろう。
特に日本は少子高齢化の進行が速まっており、高齢化要因による支出が急増しているのは事実。
対GDPにおいて、現状の小さな歳出規模では対応できないのは明らか。
ナントカしなければならないのはコンセンサスになっていると想う。
そのナントカしなければ、と云う時に税制確立を持ち出さないのは自分の意見とは違う。
2)統治機構、行革による無駄省き。
コレは幻想ではないのか?別の処で小沢さんは、行革による無駄省きで2~3兆は生み出せると語っている。
行革によってアチコチから巨額のカネが湧きでてくるというのは幻想。あり得ない。
そもそも、日本の経済社会システムは公共セクターへの支出を比較的少なくして、会社、団体を成長させるものであった。この構造を徹底化させ、今日に至っているのであって、その意味で、公共支出の経済的効率性も、多分、先進諸外国よりも追及されてきた。
しかし、ここでも単に無駄にカネが垂れ流される一方ではなくて、其れなりの経済活動が展開されている。
支出があれば、それに応じた収入が特別会計にもたらされる。
審査対象にはそれなりの経済合理性、必要経費が存在した、と見る。
確かに、年間2000億を上納する中央競馬会(JRA)は仕分け対象となっていなかった。仕分けでガンガンやられると、ギャンブル熱に取りつかれた競馬ファンが腰を引いていまう危険性があるともいえるが、非常におかしいと想って、自分なりに事業仕分けをやってみた。
無駄省きだけでなく、どうやったら、売り上げが伸びか、まで視野に入れて計算してみたところ、せいぜい年間100億も行かない数字だった。
一番、カネが動いている事業所がこの程度なのだから、特別会計関連を総合しての無駄省きも大きな限界があると想う。
天下りと無駄な支出の関係も確かにあると想うが、12兆円が無駄に使われているという、そのリアルな根拠がはっきり示されていない様だ。ただ漠然とそういう数字が独り歩きしている。
そもそもが、特別会計分を含めて、日本の歳出規模は「小さな政府」。
コレをさらに絞り上げようとしても大きな限界がある。
ヨーロッパ諸国の様に元々「大きな政府」だったら、濡れた雑巾を絞ったら、水が相当出てこようが、日本の様な「小さな政府」を絞っても、それこそ、庶民の生き血が出てくるんじゃないのか。
その果ては企業もヒトも日本を離れていく。国家が潰れるようなことはあり得ない。しかし国民の多くは市場原理主義の檻に閉じ込められる。
その見えない檻を自覚させないために政治、教育、マスコミは存在している。
>やっぱりどう考えても、小沢さんの中途半端では、橋下の様な市場原理主義台頭の路を掃き清めるだけになる様な気がする。
>全ては、そんなに遠くない時期の政治結果が明らかにする。
>>小沢さんは政治家として責任を持って、キチンと橋下批判をする時期である。