反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

日本は特別会計を含めても市場原理主義の総本山の米国に比べて、対名目GDP比の歳出は少ない「小さな政府」。人口当たりの公務員数は断トツに少ない。富裕層、カネ持ち企業、宗教金融マフィアへの課税の強化を。

  財政の事はよくわからない。
しかし、戦前と今の日本の経済社会システムの特徴を抽出し、其れが共に、メダルの表と裏側の歪なバランスを欠いた状態であり、戦前の軍需に偏ったシステムが破たんした様に、戦後の公共福祉、社会保障、公共セクターを蔑にしてきた会社社会システムは行き詰まり、破たんする(破たんするのは国民生活であり、日本国家と企業ではない)と決めつけた以上、
今、野田内閣が推し進めようとしている消費全増税法案について言及しない訳にはいかない。
 
 最近の記事で、小沢さんの橋下容認TBSインタビューを批判した。
このインタビューの主要な眼目はこれから、緊迫度を増していくだろう消費税増税絡みの政局について小沢さんの見解、戦術を探ることだった。
 
 増税問題へのアプローチの仕方も小沢さんとは意見が違う処がある。
 
 インタビューメモを基すると
 
 小沢さんは増税問題を語る冒頭で建前の様に、直接税と間接税の比率の見直しは自民党時代からの基本意見だったと断った。
 
 確かに直接税の最高税率は1983年当時、75%だったが、今は小沢さんの自民党時代の理念の通り、40%に引き下げられている。
 
 年間所得1億円の富裕層は様々な手段を用いて、実質26、5%の支払いで済ます事が出来る、と云う。
100億円の富裕層は分離課税を用いることで実質的な所得税は14、2%で良いと。
 
 その他税金を節約する方法はたくさんある。会社法人を設立し、家族親族の名を役員に連ねて、給与支払いにする方法。それで、儲けを少なくしておけば、法人税は少なくて良い。
 
 サラリーマンの様に給与から所得税源泉徴収されているモノは、ガラス張りの収入から、自動天引きされる。給与のみに頼った生活者は節税の土台の給与が丸裸にされている。
 
 さらに、出所明らかでない英文の棒グラフによれば、日本の税収における直接税の比率は2005年で27%程度で、米国29%よりも低くなっており、30か国中下から5番目に低い数字になっている。
 
 >と云う訳で、小沢さんが増税問題発言に置いて、冒頭に断っている直間比率見直しの建前としての正当性を持ち出すのは、格差社会の進行のただ中での増税反対論としては、現状の不公平を語りつくしていない狭い、片手落ちの議論である。
 
 小沢さんは税制改革として、タイトルに示した様な、富裕税創設、法人は社会保障費をもっと負担せよ(社会保障費を負担しないで、他人の労働力を使っている処も日本の場合、多い。)無税で金融マフィア化している宗教法人に税負担させたらどうか?
などの領域には一切触れない。
尤も小沢さんにそこまで要求する無理はある。
小沢さんに社会民主主的政策を徹底しろと要求するのは土台無理と想うが、一応自分との違いは明らかにする必要がある。また日本に社会民主主義的政策を適応できる土壌があるかどうかの問題もあるが、遅きに失してもその理念は持つ必要がある。
 
 小沢さんは、この民間への税制確立をスルーして、1)経済情勢による増税時期不適切論や2)統治機構行政改革による無駄省き、3)社会保障のビジョン提起なしの増税論議先行への批判を持ち出してくる。
 
 それはそれで間違っていないが
1)資本海外流失によって、国内産業空洞化の傾向は回避できない先進国では国民経済の循環そのものが委縮することは避けられず、いつまで景気の様子を見ても、増税の機会は失う。
TPPに向かうと、デフレ要因はもっと強まる。
景気の上昇はがあっても、富裕層、大企業だけのことで、あくまで労働生活への収奪対象に過ぎない多数派国民は蚊帳の外だろう。
 
 特に日本は少子高齢化の進行が速まっており、高齢化要因による支出が急増しているのは事実。
GDPにおいて、現状の小さな歳出規模では対応できないのは明らか。
ナントカしなければならないのはコンセンサスになっていると想う。
 
 そのナントカしなければ、と云う時に税制確立を持ち出さないのは自分の意見とは違う。
 
2)統治機構、行革による無駄省き。
 コレは幻想ではないのか?別の処で小沢さんは、行革による無駄省きで2~3兆は生み出せると語っている。
民主党政権交代前に確か、20~30兆円の資金が行革によってねん出できると語っていたが、小沢さんの今現在の数字はかなり後退している。
 
 行革によってアチコチから巨額のカネが湧きでてくるというのは幻想。あり得ない。
 
そもそも、日本の経済社会システムは公共セクターへの支出を比較的少なくして、会社、団体を成長させるものであった。この構造を徹底化させ、今日に至っているのであって、その意味で、公共支出の経済的効率性も、多分、先進諸外国よりも追及されてきた。
 
 確かに特別会計に置いて、既得権益分が多いことも確かだ。
しかし、ここでも単に無駄にカネが垂れ流される一方ではなくて、其れなりの経済活動が展開されている。
支出があれば、それに応じた収入が特別会計にもたらされる。
 
 民主党政権事業仕分けを行って、云う程の無駄省きができなかったことが明らかになった。
審査対象にはそれなりの経済合理性、必要経費が存在した、と見る。
 
 その結果に対するネットでの一般的反応は財務省主導の増税を実現するためのセレモニーと切って捨てるモノが多かった。
 
 確かに、年間2000億を上納する中央競馬会(JRA)は仕分け対象となっていなかった。仕分けでガンガンやられると、ギャンブル熱に取りつかれた競馬ファンが腰を引いていまう危険性があるともいえるが、非常におかしいと想って、自分なりに事業仕分けをやってみた。
無駄省きだけでなく、どうやったら、売り上げが伸びか、まで視野に入れて計算してみたところ、せいぜい年間100億も行かない数字だった。
 
 一番、カネが動いている事業所がこの程度なのだから、特別会計関連を総合しての無駄省きも大きな限界があると想う。
 
 天下りと無駄な支出の関係も確かにあると想うが、12兆円が無駄に使われているという、そのリアルな根拠がはっきり示されていない様だ。ただ漠然とそういう数字が独り歩きしている。
 
 そもそもが、特別会計分を含めて、日本の歳出規模は「小さな政府」。
コレをさらに絞り上げようとしても大きな限界がある。
 
 ヨーロッパ諸国の様に元々「大きな政府」だったら、濡れた雑巾を絞ったら、水が相当出てこようが、日本の様な「小さな政府」を絞っても、それこそ、庶民の生き血が出てくるんじゃないのか。
 
 今の消費税議論の主流方向から出現するのは小泉改革のもっと進んだ市場原理主義改革になるしかない。
 
その果ては企業もヒトも日本を離れていく。国家が潰れるようなことはあり得ない。しかし国民の多くは市場原理主義の檻に閉じ込められる。
 
 その見えない檻を自覚させないために政治、教育、マスコミは存在している。
 
>やっぱりどう考えても、小沢さんの中途半端では、橋下の様な市場原理主義台頭の路を掃き清めるだけになる様な気がする。
>全ては、そんなに遠くない時期の政治結果が明らかにする。 
 
>>小沢さんは政治家として責任を持って、キチンと橋下批判をする時期である。