日本の主要項目のパフォーマンスを米英仏独との比較してトータルとしてみた感想は、今の日本国民は、経済問題に関しては必要以上に騒ぎ過ぎ、と云う事。
悲観し過ぎている。
よく考えてみれば、バブル以前の日本のパフォーマンスがそのまま持続していれば、今頃日本は大変な経済大国になっている。
戦前戦後の日本の経済史を丹念にたどれば、、そういう事は奇跡というか、マジックの如きものであって、絶対にあり得ない。こと、経済に関しては、唯心論は通用しない。現実が裏切っていく。
また、妙に単純な理屈に頼って、実体経済、実物要因を蔑にした政治幻想を作り出すのも唯心論の一種。
「中央銀行は貨幣を発行する権限を持つため、常に政府との距離が重要となってきた。<政府は支出を増やしたい欲求>と<増税への抵抗を忌避する性質>があるため、貨幣発行を財源としたい動機がある。もし中央銀行に十分な独立性がないならば、政府の云うがままの貨幣を発行する可能性がある。」
現時点で早くも日銀法を改定して、想うがままの紙幣増発を声高に主張する既成体制の反対者面したモノたちが増えてきている。
今とコレからの日本と世界は1930年代とは時代状況が大きく異なる。
また、日本の基礎的経済条件のパフォーマンスにとってそういうモノは害あって益なし。そんな政策を選択するほど基礎的経済条件は他の先進国に比べて悪くない。
日本経済の弱点は財政の赤字とデフレ基調である。
その他のパフォーマンス、他と比べて優秀と云って良い。
だから、<日本の長期金利の低、インフレ率の低、現時点での通貨供給率の低>は日本経済と社会の要素に踏まえた独自の均衡点と考える。
従って、この様な長期トレンドの是正と称して、非伝統的な手法を採用するのは間違い。
日本経済の弱点は長所によって、カバーされており、そこまでの極端な金融政策を現段階では不要としている。
そういうモノは緊急事態の最後に残された措置であり、その先にもっと混乱混迷を生みだす事、必至。
日本の財政赤字、デフレ基調は金融財政政策で今すぐどうこうなる性質のモノではなく、税制、人口問題、貯蓄投資性向、交易条件悪化など根本的な複合要因が原因となって発生している。
云わば、ここまで世界に類を見ない形で特殊に発展出来てきた<日本経済の不治の病>である。
不治の病は自力自闘、養生して、病を飼いならしていくしかない。
>また、先進国の主要な項目のグラフと数値を一眼でみると、アメリカのトレンドは他の国とかけ離れたところを特徴としている。
ほとんどすべての項目において、他の国とかけ離れた特異なトレンドを示している。
基本的にヨーロッパ諸国のトレンドと日本のトレンドはアメリカに比べて、ずっと相似関係にある。
そもそもこのヒトは日本社会の伝統や歴史を踏まえているとは思えない。
大きな政策提言はそういった領域を踏まえてのモノでなければ、単なる経済幻想を煽るだけに終わる。
1985年ごろから現在まで、ほぼ横ばい、30%を維持している。
コレ、B)の歳出の右肩上がりと、比較してみると、国債を発行しての収入の横ばいが大きくかい離している。
非常に不思議。
>>考えられる事は、
1)国債に利払い、償還費の歳出における%が高過ぎて、歳出の負担になっている。長期国債が買われているとこういう債務累積の事態になる。私に知っている限り、現状の歳出に占める国債利払い、償還費は27、8%。
そのことで財政が硬直化、拘束を受けているのは間違いない。
2)歳入における税収部分が対GDPで少な過ぎる。
法人税は基本的に少な過ぎると云う事はない。
勿論最高税率引き下げ、資産課税の引き下げなどが追い打ちを掛けている。
3)が、それでも歳入と歳出の不均衡は説明できない。
このツールの歳出の解説によれば、歳出とは経費と国債利払い、償還費。
理解不能。知識乏しく、考え過ぎなのかもしれないが。
1990年初頭の30%から、途中の2000年初頭から米国バブル崩壊期の除けば、右肩上がりで40%に達している。
これは各国と比較して一番、上昇ポイントが高い。
ただそれでも、大震災原発事故を受けた2011年12年に至ってやっと米国を上回った程度で2000年ごろまでは断トツの低水準30%。最高のフランス、最低のイギリスとの間に10~20ポイントの開きがある。
多分、こんな状態をさして、大騒ぎしているのだろうが、元々、日本はGDP比で政府の歳出は断トツに低い訳だ。
基本は応分負担を蔑にしてきた事。
>今日本の経済の現状に大袈裟に騒いでいる連中は、当たり前の真実に目を閉ざしている。
日本の戦前戦後の社会経済政治国土資源のパフォーマンスからして、ある時期を境にして、上昇基調は潰えて、緩やかな下降線を辿っていくのは必然の領域。
戦前戦後の世界史の歴史的必然が支配する領域の問題だ。
日本の様な狭い平地面積、耕作面積、人口が密集し、優秀な人的資源の国は一端、キャッチアップすると、モノ、カネ、社会の、回転率が高いから、急速に<質量ともに発展>する。
そういう、軌道の延長線上で、70年代の二度のオイルショックを生産性向上、優れた規格品の大量生産と生産管理による国民経済の充実で乗り切って、先進各国の中で歴史的視点からみても、抜群の経済成長を達成してきた。
同時に、資本主義国に補助的に対抗する社会主義(冷戦体制)の世界史の特殊な歴史的安定期に恵まれ、資本主義の本来の法則の発展としての、高度金融資本主義的利害対立、混迷が覆い隠されていた、という時代的内外環境に恵まれていた。
第二次大戦の不安定要因抱えた東アジアおける無条件降伏国日本の戦略的脆弱性の矛盾が<経済発展と冷戦体制の中に埋もれていた>。
この歴史的条件においての、世界市場における日本の急激な台頭で在り、世界市場の成長率は日本の急成長ほど拡大していないのだから、世界市場と云うパイの多くの部分を分捕った日本への現実にパイの分け前を譲ったアメリカなど戦勝国、旧世界体制からの反発は、不可避だった。
そして、戦前戦後史の在り様から、当時の日本政府にコレを拒否する国家戦略は在るはずがなかった。
>現在、この様な隷属状態の歴史を<日本の独立>と云う視点から、戦後史に名を連ねる首相たちのリアルな政治的軌跡や国民の大衆運動を振り返って、再検証する人たちが生まれてきている。
政権交代の事態の中に<日本の独立>のアカラサマナ実態がリアルに提示され、日本人の戦後史観の中身を深める大きな一助となっている。
「革命の進行」は反革命を密集させる。
たかが、政権交代如きに、この種の政治過程が発生する処に戦後日本史、東アジア史の特性がある。
確かに戦後日本は特殊な恵まれた環境に置かれた国だった。
こうして、世界史の中で、プラザ合意によって、日本史の盛衰は凝縮された。
同時に、この経済大国に潜在する戦略的脆弱性を露呈させ、日本経済成長によって、市場を奪われた旧既得権国の政治的反撃への新たな屈従の道に引きづり込んだ。
>現時点でも、日本経済の、近隣の東アジア諸国、アジアア諸国との経済相互関係は緊密化しており、この地域での経済的利得は事実上、米国関連を上回っており、将来的にこの傾向は深化していく。
自由貿易体制を続けていけば、当然そういう事になるのは世界中で確認されている。
米国側の立場からすると、経済関係で距離間が出てきた日本を「世界帝国」の東アジアに置いて築いてきた政治力軍事力をなどあらゆる方途を駆使して繋ぎとめていくしかない。
こう云った経済下部構造で遠ざかる日本を政治的軍事的に手元に引き寄せていくことで利得を得ると云う、外交における経済と政治の矛盾に直面し、
日本を枠内に操縦しようとする米国の立場(この表現が日米同盟の強調)からすれば、小泉完全従属政権による国内矛盾の露呈とその反動による民主党政権誕生に過大な危機意識を持つのは当然である。
同時にこの様な米国の日米同盟強調の立場は、日本支配層とその補助要員層の政治的立場を動揺させる側面がある。
東アジア、アジア諸国からの経済利得を棄損させる恐れを多分に含むと想定させる。
この様な高度な政治軍事判断の領域は冷戦体制におんぶに抱っこ的戦後日本支配層と補助要員の最も不得意としてきたところであった。
>誤解を承知で云えば、核カードを片手に危なっかしい軍事冒険の綱渡り外交を展開中の北朝鮮の方が日本より、中身は兎も角も、持てる政治と軍事の総力を発揮している。
日本は持てる政治と軍事の力を発揮しないで、最終的にあれかこれかの単純選択をしているにすぎない。
微妙なグレイゾーンを行くのを怖がって、思い切って明るいところに飛び出した。
が、前回の記事に在る様に、バブル崩壊後、保守的政策を守ってきた日銀の白川総裁でさえ、
コレからの世界は<海図なき航海の時代>と結論付けている。
日本は一応民主主義国。国民の責任でもある。
<追記>