反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

世界経済生成統計ツールによる日米英独仏、主要項目のトレンド比較を一挙記載。庶民生活の視点から、デフレ、増税、TTP事態への道を考えてみる。

 まず、記載するトレンドグラフはIMF世界経済統計のアウトルックの書式で発表をトレンドグラフにしたモノであり、全面的に信頼できない。フィルターがかかっている可能性を疑っている。
 
 と云うのは例えば、日本の法人税の実効税率IMF統計ランキングによれば世界一。
ところが、手元にある「増税はだれのためか」の神野直彦、東大名誉教授、地方財政審議会会長の示しているデータでは2010年時点で米国と同じ水準。イギリスより下位。
 
 確かに2005年までは最高水準であったが、その後、引き下げられて現在に至っている。コチラはOECD統計。
ドイツの法人税率の低さは「大企業でも法人の形態をとらず、個人の形態をとっているケースが多い」ことが理由との事。
 
 また、共産党の「赤旗」7、29付によれば、
大企業の法人実効税率(3法人税合計=1、法人税。2、法人事業税。3、法人住民税)の
合計負担率は計算上約40%になるはずが、大企業優遇税制のため、2003年~2011年の9年間で10ポイント減だと云う。
 
  上位400社、2003年34、4%~2011年24、7%。
  上位50社、 2003年34、9%~2011年23,0%
>背景には2009年に導入された「海外子会社配当金益不算入」制度によって、海外子会社から受ける配当などの額の95%、非課税の影響があると云う。
 
もちろん「赤旗」の主張の裏も考えて気なければならない。
海外子会社の配当金を本国に送金する場合、現地で課税対象となる
新興国は海外資本を呼び込むため、法人関連の課税は低く抑えられているはず)ので二重課税を避ける措置だと云う側面もあるが、それを理由としても95%非課税は酷すぎる。
 
 また、親会社と100%出資の子会社の損益合計が課税対象になる連結納税制度も税逃れの抜け道になっていると云う。
 
 例えば、この前、非正規従業員を低賃金劣悪労働条件で収奪していて、暴動を起こされたインドスズキ。
ここでの儲けが連結勘定になれば、当然、現地での課税と日本との二重課税が問題になって、現地収益分が減額されるが、その減額幅が大きくなれば、スズキは実質上、税逃れができると云う仕組み。
 
 大企業の繁栄のお零れが国民に回ってくると云う寝ぼけた思考の国会議員を国民が選んでいるから、こういうお目こぼしがまかり通る。
 
三橋貴明等の日本国民経済パンパカパ~ンもこういう細部を問題にするなら多少信用できるが、何しろ、経済分析に偏狭国粋主義を当てはめようと云う邪念が渦巻いているから信用できない。
日本の現状が生み出した一つの症候群と診断する。
彼の経済理論の中心部はGDP至上主義でブラックホール
  
 >ちなみに3法人実効税率税の低い大企業の例。
三井物産。 9,1%。
住商。    9,9%。
京セラ。  18,2%。
 
 >先日も韓国企業など後発の追い上げに苦しむシャープは海外子会社への部品輸出を高く見せかけた脱税行為17億円を摘発されたが、追徴課税は5000万円で済むと云う。
日本資本の海外展開に、徴税システムが追いつかなくなっている。
世界に散らばるタックスヘブン(無税天国)を利用する巧妙な手口を摘発するのは不可能に近い。
オフショアなどと云う紛らわしい横文字はやめてもらいたい。
 
 >>物凄く前置きが長くなっている。
要はIMF統計の数値は、鵜呑みにはできない、一つの目安、と云う事だ。
日本の当局の発表する数値の精度は高い。綿密、几帳面な対象の調査を前提としており、米国などのいい加減とは違う。 
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>主要国と比較した日本の特徴と問題点。
日本の平均的な失業率は最下位。
日本は失業者が街に溢れだしている国ではない。その意味で住みやすい国。
ただし、1980年~2012年の上昇幅は2倍以上と他国にない大きさ。
トレンドの基調の変化はやはりバブル崩壊後発生。
特に1996~2003年にかけて大きな山ができている。
 
 >明らかにこの間に日本社会、経済、労働市場の構造変化があった、とみる。
 
 1997年のアジア金融危機とその日本への悪影響と重なった橋本内閣の緊縮財政、消費税増税3~5%、健康保険料自己負担増額を問題にする向きもあり、それは事実だが、トレンドを遡って推移をみると、上昇基調をそれらが後押ししたかが、右上がりの基調はたいして変わらなかったとみる。
失業率上昇基調の主因は市場原理主義徹底化の構造変化の問題とみる。
 
 が、増税時期の不適切はある。
山一、長銀破たんなど、アジア金融危機増税のダブルパンチの不況になって、減税などの需要創出措置をしているが、意味がなかった。
 
 この時点での失策が尾を引いて、後の小渕政権~小泉内閣の財政金融政策のジグザグをもたらし、日本経済にダメージを与えた。
 ただし、橋竜の改革に拍手していたモノが、様子がおかしくなった途端、反対に転じ、今に至って、彼にデフレの原因をひっかぶせていると云ういい加減を問題にする。
今でいえば、橋下徹への幻想、リフレと同質。
 
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>コレがリフレ派の諸君が大好きな絵。
他にも別なサイトにインフレ率、長期金利、通貨供給増加率の3つを総合して点に表し、日本経済財政金融の特異性が1眼で解る有名なグラフがある。割愛。
 
小泉時代になっても、トレンドに変化なし、に注目。
 財政緊縮、金融の量的緩和規制緩和、従来の円安持続=為替介入は右肩下がりを何ら、修正できなかった
と云う事は同じような事をやってもダメだってこと。また小泉時代の内外環境が今はない。
 
 だから、高みの見物人のクールグマンは<政府貨幣>発行しかデフレ脱却の道はない、などと無責任にのたまう。
こんなの真に受けたら、酷い目に会うのは国民。リフレ派は真面目に考えろ!
 
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>アジア金融危機、橋本内閣の緊縮財政、消費税3~5%増税のダメージはトレンドにハッキリ出ている。
今、野田内閣、自公は消費税増税から来る、景気後退を通算100~200兆円の国土強靭化構想なる公共事業で緩和しよう、誤魔化そうとしている。
その財源に消費税増税分を振り向ける画策もあると云う。野田首相の答弁では頑として否定しているが。
 
 私が、ラジオの国会中継で聴いたり、小沢派の政調副会長のブログで確認した限りでは、従来社会保障関連の赤字の埋め合わせに回されていた赤字国債分は増税によって<余裕ができる>(自民税調会長野田毅、国会発言)から、それを公共事業にぶっこむ、と。
そういう議論は民主党政調会で表面化したこともあって、中村てつじ議員は副会長を辞任した。
 
 >共産党の主張は消費税増税分を直接横流しにする様なニュアンスだが、詳しい説明をしてくれないと私にも真相が明らかにならない。党利党略優先では説得力が落ちる。
 
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アメリカの消費者物価指数の完全右肩上がり、を見て欲しい。
コレは価格変動差の激しい食料品を含む物価指数。アメリカの食糧品の自給率は高い。
従って、それを取り除いたコア消費者物価指数はもっと高いと想定できる。
   <米国消費者物価指数
1980年~82,66    1990年~130,66   2012年~229、66。
>こんな消費者物価指数の上昇の激しい国の庶民生活は大変だ。
ゆったりと暮らしていたら、忽ち貧困層転落の危機。
いつも何かに急きたてられ、万人が万人相手に競争する社会構造が一目瞭然。
だから、荒唐無稽な宗教原理主義や薬、銃に計測からの脱出口を求める。
>そういう社会をモデルにする人たちがこの日本に37~8%固定的に存在する。
コレも数点の数値で証明できるが割愛。
 
 
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アメリカの経常収支のトレンドの異常さを見て欲しい。
先に上げた消費者物価指数の他国とかけ離れた完全右肩上がりのトレンドと併せて考えると、この国が自国の庶民に厳しい世界にない異常な<帝国>であるとハッキリと解る。ローマ帝国以下も甚だしい
 
 この様な異常な経常収支のトレンドの国と双方合わせたGDP90数%の無関税同盟を締結すれば、どうなるか
 
 解り易く云えば、日本の庶民の汗水たらして働いた富はアメリカの金融寡頭支配層の懐に転がり込むと云う事でなかろうか?
 
 小泉時代のより深化した社会構造が日本に進行する。
一部の寡頭支配層と圧倒的多数の国民に階層分解する。
現時点の日本支配層はこの構造の中での「繁栄」を想定している。