反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

日銀白川総裁。日本の人口動態の変化が成長率に影響、と発言。が、単なる出生率の低下ではなく近代以降の皆婚社会の終焉。近世以降の日本庶民の原型の表面化ではないのか?

 前回の記事を改めて読み直す機会があった。粗製乱造の典型の乱文である。
やっぱり、運動強化と記事の製造は両立し難いと改めて想う。
今日もキツイ。
 
が、書かねばならない。
一応、現実の政治過程から、パラレルな距離間を持って、理屈の体系をまとめる作業を期間を区切って、やるつもりでいる。
自分の能力には激しい限界があるが、こうした基礎作業をいつまでも続けている訳にはいかない。早く切り上げたい。
非公開でもいいのだが、それでは緊張感維持できない。
 
 8月6日の広島原爆投下、祈念の日の記事も乱文ではあったが、過去現在未来を見通した中国共産党の人民の海へのメルトダウンの必然性、それでも中国の再勃興の傾向は続く、とした日中国関係論と
現下の日本の政治混乱を奇貨としてTPP事態を当面の着地点として、橋頭堡をさらに打ち固めようとして嵩にかかって攻勢に転じる米国支配層と買弁的役割を果たすしかない日本支配層という独自?視点は打ち出せたと想う。
 
 さらに1943年の時点で米英は日本原爆投下を想定している、と云う現実。
アメリカとカナダ在住の日系人の収用所、強制収監の歴史的事実も蔑にできない。
ソ連対日参戦と戦後処理における米国主導権確立と原爆投下、それに付随した樺太千島ソ連領化という時系列のリアルなパワーポリティックス
本当に平和を祈念するとは、そういう視点も蔑にしないで、現実の情勢に立ち向かう事ではないのか?
 
>>さて、
日銀の白川総裁の「人口動態の変化が経済成長率に影響」は日本国内で、金融の長的緩和にデフレ脱却を求める安易な方策に頼る声が増している日本の政治状況からして、この種の発言をすれば、何かと騒ぎが大きくなるので、出張先のヨーロッパでの発言。
多分これは本音。多くの情報に常日頃接している官僚層にもこういう歴史的(白川は趨勢と云う言葉を使っている)とでも云える認識は共有されていると理解する。
 
 白川発言の前半部分は金融政策に関わる基本的問題意識を示している。
「2000年代の10年間の先進24カ国の人口増加率とインフレ率を比較すると、両者の間に正の相関が観察されるようになっている。
この事実は先進国では、マネーの増加率とインフレ率の相関が近年弱まってきている事と対照的だ」
 
日本の様な特殊な人口減少形態に突入している国ではマネー供給増加率によって人為的なインフレを起こそうとしても、インフレの正の効果は薄く、トレンドから大きくかい離した金融政策は多数派国民にとって、益よりも害が多い、と云っている。
が、投機筋と庶民のますます利害は一致しなくなっている。通貨供給率の大きな上昇は投機筋の利益になる。
大企業の腹は痛まない。消費税増税とインフレ物価上昇のダブルパンチで苦しむのは庶民。
 
 コレに引く次ぐ発言内容は持って回った表現だが、在る程度わかり易い。 
 
「趨勢的な成長率の低下(趨勢的という言葉は世界史的潮流の意味で、足掻いても、押しとどめられないと云う意味だ)は今後さらに高齢化がすすむと予想される人口動態の下で(日本の少子化、高齢化の人口動態の中身はもっと根深い、近世、近代以降の日本民族の人口、家族、社会の歴史が内包されているから厄介)
人々の中長期的な成長期待を低下させ、家計の所得を下押しする可能性がある。」
「人口動態問題は当初あまり意識されず、在る段階から強く意識されるようになった。(評論家風情だ)
「その段階で将来起こりうる成長率の低下を先取りする形で、需要が減少し物価が下落する一因となった」
 
 ある段階とかその段階において、少子高齢化対策を蔑にしたまま、成長率低下を強く意識させたり、可能性としての成長率低下=家計所得低下を<先取りする形で>国民に将来不安を煽って、自己弁明をし、得をするモノがいる。日本支配層は日本と日本国民を蔑にして市場原理主義政策による国内秩序の維持強化と海外での荒稼ぎを画策している。
 
 その単純な対極には、米国市場原理主義の申し子、みん党、橋下、リフレ派や、日本の経済成長の古き良き時代への郷愁を醸し出す積極経済政策派がいて国民を誤った道に引きづり込もうとしている。
 
>>確かに少子高齢化の事態は急速に進行しており、日本経済の成長率に影響を及ぼしているのも事実。
 
 しかし、日本経済の横ばい状態の原因はそれだけではなく、大きな複合要因が重なっている。
ザット挙げるだけで次の様になっている。
 
1)資源一次産品価格上昇を相殺しにできない新興国の台頭による輸出製品価格の競争条件の悪化=価格停滞による国民所得の海外流失=賃金低下=需要停滞。コレを主要因に挙げる人も多い。歴史的要因とも云える
 
2)所得分配機能乏しい税制は総支出の58%を占める民間消費を停滞させている。
日本は、米国型の格差社会では国内経済が回っていかない。余りにも基礎的経済条件が違い過ぎる。
キチンとしたセフティーネットを張った上での内外の競争条件強化と云う主張は正当なモノである。
それをやりたがないモノがただただ、危機意識や不安感を煽って、弁明と支配の正当化を謀っている。
ヨーロッパではどのようなリアルな政治過程を通じて、現在の様高い消費税が導入されてきたのだろうか?
こう考えると、今の消費税政局は日本の戦前戦後史の限界が生み出していると解る。
 
3)貯蓄消費性向の悪化。
日本の貯蓄率は1%台。貯蓄があまりにも高齢者に偏在し過ぎている。1000億円の貯蓄があっても、銀行は国内に儲かる仕事がないから、安全な国債投資に回す。
このサイクルを変化させるのは年月がかかり、急にできない。
ただし、TPP事態によって、強制変化が訪れよう。
 
 以上1~3までの一つ一つの項目を論じるだけで各々が深刻な事態にあることが解るが、先の人口動態問題も含めて互いの項目が複合し連鎖している。
 
>>最後に成ったが、日本の人口動態の中身(少子化、高齢化、直系家族、婚姻)の特殊事情を挙げておきたい。以前の記事でも取り上げた「歴史的に見た日本の人口家族」を参考にした。
 
<皆婚社会の終わりと今後の日本の家族形態>
「江戸時代のにおいては、経済力の弱い小農や小作人は十分な数の子供が産めず、絶家に至る例が多かったし、都市の庶民は生涯未婚者が多かった。
宗幼児死亡率の高かった時代にそれでも人口が維持できたのは、地主や比較的規模の大きな自作農を中心に旺盛な出産力があったからである。
 翻ってみると、<二人りっ子社会>とはすなわち<皆婚に近い状態を維持しないと人口が減少に転じる社会>
である。
経済的理由から実家に留まり続ける未婚者の存在や都市における未婚率の高さはかつての日本でも同様の傾向があったのであり、都市農村階層の違いによらず、<皆婚、子供二人前後>と云う状況が実現した1950年台~1970年代がむしろ特殊な時期だった、とも云える。
問題は子供が消費財化した現在では経済力の強い層の多産は期待できないことである」
 
「今後日本の家族が一部欧州諸国の様に従来の婚姻制度にとらわれない個人を単位とした社会に変化していくとの予測もあるが、現時点で見る限り修正的直系家族に代わる新たな家族スタイルは見えてこない」
 
>この報告書は古代まで遡っての日本の人口動態を数値で示し、論証をきめ細かく展開しており、日本人口動態論となっており、日本歴史の大きな底流を知る上で貴重な資料となっている。
例えば、NHKの日曜大河ドラマ平清盛」の時代の日本の総人口は700万人弱。
平安初期の800年(550万人)~室町幕府の時代1300年(810万人)の500年間で人口は300万人しか増えていない。
人口増加の急激な時期は戦国時代から江戸初期にかけて(400年弱)で(約3倍強)、明治維新から敗戦まで(77年間)で3870万人増、2倍強。敗戦から、2000年まで55年間で5496万人増、約1、76倍。
 
そうすると、うがった見方をすれば、コレから将来の人口減少期において、イデオロギーとして、戦後経済発展時代への郷愁とその陰に戦前の人口爆発時代の勢力旺盛な時代のモデル化がチラつく。
同時に全社会的様相として、現代日本人の原型を形造った江戸封建制の位階制社会の諸要素の地肌が表面化していく。
 
一言で云えば、民主主義がさらに空洞化し、金融寡頭支配の様相が強化される。経済が停滞すれば、国内においてはどうしても、同じ大きさのパイから、支配層は安定的に大きな取り分を得るシステムを制度、政策的に固定する。
まさに「増税はだれのためか」
支配層のヒエラルキーを維持するためである。
隠された政治目的が反民主主義的だから、実現する手段も内実のない形式民主主義に成り、民主主義はまさに空洞化している。
その先にTPP事態が待っている。