反俗日記

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ゴールドマンサックスを超える米国一の金融機関JPモルガンチェース債券為替調査部長さえ指摘する、橋下維新、自民安部、民主前原等のインフレ待望論の<危険な罠>

 このコラム(ロイターのネット版記載)の筆者、佐々木融サンは米国ウォールの最大手、JPモルガンチェース銀行の債券為替調査部長。
 本来でならば、市場関係者として日銀のカネばらまき政策によって、市場に流入する投機資金が潤沢になるから利益を得る役職の立場上を離れて、所謂リフレ派の台頭による、<政策の危険な罠>を心配してくれているのである。コレは余りにもひどすぎる、と。
 
<インフレの方が貧富の格差は拡大>
 佐々木さん。
 「日銀にさらなる積極的な金融緩和を求める人々は、貨幣価値の低下によってインフレを発生させることを求めているとしか思えない。金融緩和で貨幣価値を微妙に1―2%だけ下げること(つまり1―2%のインフレ)は、かなりの至難の業だ。大量の貨幣供給を目の当たりにして、人々の貨幣に対する価値観が群集心理で変わり始めたら、その変化は一度に大幅に発生してしまう可能性が高い。そうなれば、日本の個人金融資産の過半を占める現預金は実質的に大きく目減りすることになる。」
 
>ネットで盛んに書かれている所謂リフレ派の議論は佐々木さんの様に日本の資産の過半を占める貯蓄の目減り、による経済的マイナス面をまともに考えようとはしない。
団塊の世代を中心とする高貯蓄をインフレを巻き起こす事で目減りの心配を引き起こさせ、投機にシフトさせようと云う意図がアカラサマニ語らてている。世代間の怨嗟も多分にある。
 
 コレは貯金としての現金保有の日本的事情。
社会保障不備を見通しての備え、と云う面を軽視している。
金融オタクの単純思考。日本社会と米国社会の根本的違いもあって、このカネは簡単安易に投資に分割されない。
そもそもが賭けをため込んできたのはセコイ生活が前提。日本に米国的浪費の風習はない。あれば内発的高度成長は厳しかった。
 
従って、意図的インフレは単に貯蓄の目減りだけに終わり、社会不安、政治不安を増すだけに終わる。
中途半端な資金や情報しかない庶民が投資で簡単にカネ儲けできる訳がない。
 
 また、インフレ率を数%上げることが<至難の業>と真面目に考えていない。
金融機関はカネ余り。金利は目いっぱい下がっている。物価は低下のままだが、
コレはグローバル資本制によって、安価な産品、商品が流入して、労働力商品の再生産費が必然的に低下している事も原因しており、給料の低下だけに原因を求められない。両者の裏と表のセットの関係だ。
デフレは生産的資本が安価な労働力求めて海外に出て行く歴史的趨勢=産業空洞化も原因している。
 
 >「流動性の罠と云うのは民間金融機関などに資金が大量に余り、金利が十分に下がっている状況になっているにもかかわらず、おカネが民間金融機関から貸し出しとして企業や個人の家計など民間部門に流れ込んで、設備や在庫(商品)、株式、不動産などの投資や消費が増える状況にならないことをいいます。」
 
>だからこそ、インフレを引き起こす為には予定以上の大量のカネをばらまく必要がある、とみている。
コレによって生じる弊害はメリットよりも余りにも大き過ぎる。
そんな事を仕掛ける必然性が本当にあるのかどうか。
勿論一般国民にとってと云う意味だ。
 
それを待望する強欲貧欲な少数者いることは確かだが。
コレら内外のモノに奉仕するのがインフレ派の究極の存在理由だ。
 
>「また、インフレになれば給与が上昇し国民は幸せになれると説く人がいるが、名目の給与額がいくら増加しても、物価がそれ以上に上昇すれば、実質所得は低下し、労働者の購買力は低下、生活は今より貧しくなる。今どき、インフレ率以上に社員の給与を上げてくれる会社などそうそうないだろう。加えて、賃金上昇率はおそらく非正規雇用者の方が低く抑えられてしまうだろう。}
 
>本当にこんな能天気がどのくらいいるのか。論外。
インフレ進行のただ中にもかかわらず、賃金上昇率は非正規雇用者の方が低く抑えられる、とは「永遠の真理」
橋下など純、市場原理主義者を支持している若者はまず、自分の足元を見詰めよ!
 
 「貧富の格差」拡大の主因をデフレに求める主張は、間違っていると思われる。過去20年以上資産価格が上昇せず低水準の状態が続いていることに対して、本当に頭を悩ましているのは資産家なのだ。デフレ環境下では、資産のほとんどが銀行預金である人と資産家の格差はむしろ縮小している。
インフレ下の方が、持てる者の富は増え、持たざる者の購買力は低下する。つまり、インフレ下の方が、貧富の格差は拡大するのである。保有金融資産に占める銀行預金の割合が多い人は、インフレになったら本当は自分が困るということは認識しておいた方が良いだろう。」
 
>貧富の差の拡大の主因は冷戦体制崩壊後のグローバル資本制、自由貿易によって、金融寡頭制が跳梁跋扈する環境が世界的に整えられているにもかかわらず、それを規制調整する側の政治軍事力が低下して、資本蓄積過程がアダムスミスの時代の原始資本制の歴史段階に逆行したからだ。
 
 一方に置いて資金力、資産を有する会社経営者がいる。
他方に自分の肉体や技術を前者に売る事によってしか生活の糧が得られない労働者がいる。
後者は自分の肉体、技術力の労働力を一個の商品として売るしか己の労働力商品として再生する道はない。また時代の労働力商品(家族子供)を再生産するという制約もある。
 
 1)仮に、生活に何ら不自由しない資産を有する会社経営者と
家族を抱え、自分の肉体や技術を何としても売らなければならない労働者が毎日、労働力市場で出会って、経営者は労働者を一日、一定の金額で雇い入れる、と仮定する。現実にあり得る事だ。
 
 2)この両者の関係は本質的に不平等な力関係なのはハッキリしている。
 
 3)自分の労働力を商品として売った労働者は経営者の指示に従って、働かなくてはならない。経営者を満足 させる働飢餓なければ、明日、雇ってもらえない可能性がある。だから懸命に働かざる得ない。
 
>その場合、1、2の本質的に不平等な力関係を前提として、
 
>会社経営者は3)の先に一日当たりの給与を決められた労働力商品を仕事現場で使用して、原材料を加工させる。
その場合、製品を生み出す生産過程より先に、相互契約で決められた一日当たりの労働力商品のコストをオーバーして働かせることができる。
 
>この生産過程を8時間一日労働時間の観点から言い換えると、労働力商品の一日当たりのコストは事実上、4時間で終わっている。(あくまでも目安)
>が、残りの4時間を労働者は経営者(会社のために)のために<追加の製品を生み出している>。
 
>従って、生産過程で労働者に賃金として支払われた労働部分は4時間。
>支払われてなくて、新たな追加製品を生み出した労働部分は4時間、となる。
 
 この生産過程の労働者に賃金として支払いされた労働時間と不払いの労働時間は
労働力商品の価値(その国で社会的文化的一般生活が営まれ、労働力商品再生産のコスト。従って、端的に云えば、中国と日本のでは大きな格差が出てくる。産業資本の中国シフトの優位性は中国の方が労働商品の価値が圧倒的に易く、経営者の不払い労働部分が大きいからだ。)を生産過程で使用した結果得られる新たな追加価値、つまりは、<剰余な価値>と云い換えることができる。
 
 経営者は資本と賃労働の形式的(法的)平等関係、実は本質的な不平等関係を前提に生産過程に置いて労働力商品を使用することでその価値(自らの再生産コスト)を超えた価値を増殖させている。
 
 従って、資本の生産過程は価値増殖過程であり、流通過程で商品として販売さてれ、資本家に利潤をもたらす。
 
 原材料や生産設備(減価償却費)は商品価値に価値移転しているだけであり、労働力商品も価値通り、予め支払われている。
が、この特殊商品の使用価値が生産過程に置いて、剰余価値を生み出している。
 
>またこの関係は資本蓄積過程に置いて労賃である可変資本が合理化技術革新によって縮小し、原材料生産手段の<不変>資本が拡大していく傾向を意味する。
コレは言い換えると資本家にとっての一般的利潤率の低下傾向であり、労働者にとって、そうてい的過剰人口として失業の圧力を受けることである。
この様な資本の蓄積過程は労働者に資本への隷属を強いる。
また、資本側も、本国での一般的利潤率低下傾向の圧迫を受け、安価な労賃を求めて海外流失する。
産業が空洞化すれば、賃金は低下する。
 
>以上で経営者と労働者の関係は利害が本質的に相反する、と解る。
一方の取り分が大きくなれば、他方は小さくなる。
給与の労働の成果に対して、後払いされていると云う時間のズレは法的習慣からきており、実際は労働協約に置いて先払いされている。先払いされた労働力商品が剰余価値、流通過程を経ることで利潤を生みだしている。
 
>そもそも両者の関係は資本の所有者と自分の身(唯一所有するる労力商品)を売るしかない労働者の支配と隷属の関係は資本家に<剰余価値の搾取>をもたらしている。
 
>資本制勃興後、このリアルな利害相反する現実は資本家層有利に自由放任(アダムスミスのいうレッセフォール、神の手)野放し、アカラサマニ進展したから、労働者層側に反抗の戦いが粘りず良く継続した。
 
そして、労働者側の粘り強い戦いによって、この両者の本質的不平等関係を自由放任、野放しに任せたら、上手く社会全体が機能しないと社会全体に認知されるようになって、労働市場で、職場で働くモノの権利が擁護される規制が強化され、20世紀半ばを過ぎた。
 
>以上の資本家層と労働者層の利害対立を巡っての戦いが展開された主戦場、労働者の権利擁護の歴史的に進展した場は欧州で在った。
>米国などの歴史浅く、資源豊富で資本の置かれた環境の違うアングロサクソン移民国家では事情が違っている。
>またアジアの後進地域でも欧州の様な階層間の戦いと権利擁護は進展しなかった。
 
ロシア革命は欧州の様な社会民主主義な階層間の戦いが非合法、圧迫状態に置かれ、他方に置いて、各種の革命党の戦いが独自発展し、階層間の抗争が大衆実力闘争として実現した結果、勝利をおさめたモノである。
その意味で大きな意義があった。
スターリン主義体制があったにせよ、ロシア革命と国家は全世界の階層間の闘争、被圧迫民族の民族解放闘争に貢献した。
 
>>やはりソ連邦、東欧の崩壊は世界の資本家層の社会保障福祉による国民の統合、包摂の必要を減少させた。
これまで労働組合と政党によって戦い取られてきた労働市場、職場での労働者を権利守る規制は大きく緩和され、本質的に労働者側の不平等な立場が剥き出しにされた。
 
>>さらに自由貿易体制によって二つの側面で格差拡大の主要因が必然化した。
 
1、モノとカネ(投機資金の破局的動き拡大)の移動のスピードが格段に上がった。安価な労働を求めての資本の国境を越えて移動の自由が地球規模になった。よって先進国本国の産業は空洞化し、失業賃金低下圧力は慢性化する。賃金と労働環境は傾向的に悪化する。
 
2、安価な食料品、製品の交易によって、労働力商品の再生産費は低下するすう勢にある
労働力の再生産費を低下は全般的な賃金低下に直結する。
農業部門を蔑にして、自由貿易体制を分業体制と勝手に想いこむ韓国や日本の支配層の思惑のひつつがこれである。
国民国家、国民経済を放棄し、国家は資本と内外の治安維持のためだけにあると云う事だ。
 
 エマニュエルトッド。
「米国システムへの全面的統合を指向する勢力も最近20年の間に姿を現した。自由主義革命は欧州の上層部に新たな欲望の如きモノを生み出した。先進国世界は寡頭制的傾向の勢力の影響を受けている。
浮上しつつある新たな社会勢力はリーダーを必要としている。
その軍事的役割が必要と見えるのをやめたまさにその時に、アメリカ合衆国は不平等革命、寡頭制への転換の世界的旗頭となったのだ。
その様な転換は世界のすべての国の指導層の気をそそっている。
今後米国が提起するモノは、もはや自由主義的民主制の保護ではない。
すでに豊かで最も力のあるモノに、さらに多くのカネと権力を提案している。」