反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

11月6日投票日。オバマ46%、ロムニー44%の最大の焦点は経済再建、雇用創出。カギを握る米連銀の<第3回ヘリコプターからの約50兆円サブプライムローン金融証券救済作戦=QE3>を考える。

 11月6日の大統領選挙投票日に向けて10月3日発のTV討論が行われたと云う。
それを受けて、両者の支持率は2ポイント接近したと報じられている。
選挙戦の主要論点は<経済再建、雇用創出>に絞られている様だ。
(なお、情報源はネットだけなので限界がある)
 
 バブル崩壊後、未だその後始末の付けられない米国経済の実態があるからこそ、10月3日のTV討論で、その点を突いた共和党ロムニーの支持率が上昇したのだろう。
また、現在の失業率は7,8%で回復基調にあるとの当局の発表にもかかわらず、ロムニーによれば、実態は11%程度であり、オバマの息のかかった当局の数値操作があると云う。
 
>以前ブログ記事でオバマベトナム敗戦後遺症を引きずる情勢で大統領に選出されたカーター元大統領と同じような役割を果たして、一期で終わり次は共和党から大統領が選出されると云う予測をチラッとしたが、ネットで調べてみると、当時の予測は、踏み込みが足りなかった様である。
 
ロムニーモルモン教徒だと云う。
宗教色の強い米国民の感覚では(教会に週一通うと自称する人半数、実際に通っているヒト4分の1、禁酒法まで成立させる政治風土)モルモン教徒は異端視される。
 
>さらにロムニーも指摘している、当局から毎度、発表されている失業率よりも実際の失業率大幅に上回っている、リアルな実態はチャレンジャーのロムニーに必ずしも有利になっていないようだ。
バブル崩壊後、失業率が高いレベルで張り付いたままだと云う事は、それが沈め石の様に下方圧力となって、庶民の生活と労働の現場を痛めている。
1%の富裕層と99%の格差拡大の問題は想像以上にバブル崩壊後の米国庶民の実感となっているようだ。
TV討論でも中間層の苦境が論点になっている。
 
こういう庶民レベルの実態を受けて、99%は大げさにしても、一部富裕層と圧倒的な庶民の格差の拡大=貧困の広範な浸透、固定化の現状があり、増加、固定化された後者の層からみるとロムニー共和党の伝統的な「小さな政府」指向には感覚的な忌避感が生まれる。
ティーパーティーの様なバックに富裕層を背景した活動家がいる運動は異端モルモン教徒の大統領候補ロムニー共和党中道派候補選出に着地した処を見ると、バブル崩壊後、顕在化した99%側の国家の経済過程への強力な関与を求める潜在的救済願望の国民間の強さと広がりに事実上押し返された、と云える。
異端派モルモン教徒を承知で共和党内中道派を候補にしなければ、バブルとその崩壊で痛めつけられた米国多数派の政治感覚に対応できない、という政治結果になった。
 
>他方、オバマバブル崩壊を受けた基本経済政策の方向をみると、格差拡大を意識したり、実際に痛めつけられた多数の潜在的政治要求に呼応する様な<大きな政府>指向がある。
窮地に陥った時に、その政策が自分たちにとって、実際に得になるのか損になるのかと云う当たり前の政治嗅覚は、多数の米国民の中に定着している、とみる。
 
 >日本の現状の様に、ティーパーティーモドキの橋下維新やみん党、ポンポン痛いで最高政治責任者第失格の烙印を押されていいはずの安部の復活を選択しる次元よりも、国民政治意識としてはランク上だろう。
尤も、両者のマスコミ報道の違い、日本の今が果たして米国並みの深刻な格差を掛けているかと云う位相差はある。
 
>そこでオバマの米国バブル崩壊後の経済政策の中核は何か?と云う事になる。
就任当初の民間医療保険制度の政府補助による適応範囲の拡大政策は共和党や伝統的な米国ポピュリズムの反対を押し切って、2年後実施される法案を通過させている。実施されると年間10兆円程度の出費になるらしい。
>こういう政策の財政的基盤は増税で確保されている様だ。
コレも所得税の累進制となるから、共和党が反対してきた。
>以上、日本の<税と社会保障の一体改革>を自称する方向と違う。
 
>が、伝統にもなっている赤字財政では賄いきれない訳で、米連銀のヘリコプターから、大量のドルを投下する作戦がキーポイントになっている。今実施しているQEとなずけられたモノは3回目を迎えている。
 
>[ニューヨーク 5日 ロイター] 9月の米雇用統計後に実施したロイター調査によると、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)の下で買い入れるモーゲージ担保証券(MBS)の規模は、総額6000億ドルと予想されている。
 
QE1、2の内容は米連銀の米国債直接、大量引き受けだった、とネットで確認した記憶がある。
ただし、破たん寸前の民間金融機関への資金注入も並行していた様な気もする。
いずれにしても、日本で云えば、日銀が直接、国債を大量引き受けしている状態だが、日本では民間金融機関の巨大貯蓄が国債ファイナンスしている。バブル崩壊の米国ではその大本の民間金融機関が破たんしていた。
その意味で、日本の1990年代初頭のバブル崩壊時と様相は似ている。
が、内外政治経済環境の当時のバブル崩壊後の日本と今の米国とでは違う処が肝心な点だ。
 
>今の様に、<世界経済の基軸が分裂し、世界的経済不均衡>の少なかった当時の日本でさえ、バブル崩壊から立ち直るまで長い年月を要した。今は世界経済は複雑化混沌化し、分裂不均衡が拡大している。
<海図なき航海>と日本官僚の報告書の最後にある。
 
 従って、基軸通過を要する米国といえども、はバブル崩壊後遺症から、立ち直っていない。
崩壊後遺症は大2ラウンドを迎えようとしている。
 
>その証明がQE3の中身である。
米国FRB当局は6000億ドルを投じてモーゲンソー担保証券を購入する。
モーゲンソー担保証券を解り易く説明したモノが以下である。コレを読めば<崩壊後遺症は第2ラウンド>は明らかになる。なかなか秀逸な説明だ。
 
モーゲージ証券アメリカの一般的な住宅ローンを証券化したものです。
日本で言うと住宅ローンが、例えば3%だとすると。その証券の価値はほぼ3%のリターンのものになるはずですね。
住宅ローンを受けた銀行が、資金繰りが欲しい場合、その住宅ローンを譲ることは難しいわけですが、証券化により可能にしました。
アメリカではその市場が認められ、流通も潤滑にいったので規模が大きくなりました。
土地の値上がりが続いたので、貸し倒れも余りありませんしね。

が・・・、そのモーゲージ証券となったもとの住宅ローンを借りる人にも種類があるわけです。
現状日本だとよほど堅くないと、住宅ローンは借りられませんね。
しかし土地バブル気味のアメリカでは適当に借りても、その土地が値上がりしたために、結構返済できる可能性が高かった、その時点の実績としては。
ついでに金余りなので、貸したい気持ちも強い。なので、多少金利は高いが微妙な人にも貸しました。
日本で言うところの、銀行で金を借りれないので、消費者金融で高い金利で金を借りる感覚ですね。
そんな人の住宅ローンを証券化したモーゲージ担保証券、をちょっとプライムでないのでサブプライムローンといいますね、流行です。

さらに、じゃーなんでいま欧米の銀行でそんな危なっかしい商品を皆持っているんだっ手不思議がります。
別にそのサブプライムローン自体が欲しくて持っている人は少数でしょう。
その住宅ローンをいろいろごちゃ混ぜにして1つにして、販売するんですね。
通常のモーゲージ、8%くらいの金利の人の証券が80円だとして、
サブプライムのは50円とします。
例えば2対1で組み合わせると、価格は70円となります。表面上リスクは80円の商品と70円の商品と50円の商品と・・・比べるとなんとなく50円というより、80円に近い商品性ですね。
しかも好景気のときの実績からいって、安い割りにリスクが少ないって統計になるわけですし。投資したくなりますね。
しかし、崩壊したらその前提自体が壊れますので・・・。

さー、ふたを開いて、住宅バブルが崩壊気味になると・・・50円の商品価値はほぼ無にちかく、買い手がいない状態です。
どうしたものでしょう。今いったいいくらなんだ、わかんねーなーってかんじで。というのが現状です。」
 
>ま、一種の金融的詐欺行為が必然的破綻したと云う事。
ここに、こういう事をやれるためにはいくら信用の膨張と云っても、巨額のカネの裏ずけは必要な訳で、勿論米国一人でできない。
>欧州金融機関はこのマネーゲームに直接、参入し、バブルがはじけて、担保なしだから負債だけが残った。
EU金融危機は一方の原因である。南欧諸国の放漫財政ばかりが原因でない。
 
>日本も大いに貢献している。政府の米国債購入は欧州の金融派生商品購入額とほぼ同じと確認している。
 
内外の経済は均衡状態になるのが好ましい。資本制だから差異はある。
差異はあっても均衡状態が持たれていれば、カネとモノの循環はスムーズにいく。
 
>今の世界経済にそれがない。分散しつつある基軸が反面で固まりあう方向にある。
その代表例のTPPは両米国大統領候補とも対外政策の大きな柱に掲げている。
>第二ラウンドのQE3では国債購入も予定されている様だが
>その後の第4ラウンドはTPPを梃子にした日本国民収奪になろう。
米国の資本財製造(生産手段の製造)の割合は日本の半分程度で、金融部門の対GDP比は余りにも大き過ぎる。今度は日本の金融資産をTPPによって介入し取り上げる方向にある。日本支配層と独占体は共犯して金儲けするつもりである。
 
    
         <追記>
FRBのQE3の6000億のモーゲージ担保証券購入をみても解る様に新大陸アングロサクソン移民国家米国と日本の歴史、風土、経済環境の違いはあまりにも明らか。米国では住宅は事実上の半不動産。
日本のインフレ派は米国と猿まねの余計な事してはダメ。この呼応ぶりでは謀略論を今後、使わないと事態がつかめない、とも思う。
基軸通貨国の米国のカネばらまき政策、ドル安、連動する欧州金融危機新興国経済に台頭から、円高基調、海外資本流失のすう勢は修正不能。こういう低成長時代には日本の様に成熟したモノ作り国家は厳しい。
おまけにEUドイツと違って地域での孤立があり、太平洋を隔てた米国しか「相互理解」できる相手がいない。
巨大経済規模の先行的国内経済構造改革は資本制に置いて、歴史に例がない。政治は自然淘汰に任せて、犠牲を斬新的にすべし。明治維新、敗戦後と今の日本は置かれた内外事情があまりに違い過ぎる。「改革」は野心先行、状況に必要以上にツマ先立つ政治家の振りまく幻想。マスコミ上層部の本質はニヒリズム