反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

第13回。日本マスメディアとアメリカの総合マスメディア、コングリマットの報道支配の現状。

  日本メディア資本関係におけるクロスオーナーシップの規制がないことも事実である
クロスオーナーシップ。ーグーグル引用。ー
「新聞社が放送業に資本参加するなど、特定資本が多数のメディアを傘下にして影響を及ぼすことをいう。アメリカではこれを排除する。」
 
 ところが冷戦体制崩壊後のアメリカの総合メディア、コングリマット支配体制は、日本などを遥かに凌駕する異常な集中集積を遂げて現在に至っており、ここから発信される支配的イデオロギーアメリカ国民に充満し、それが報道に跳ね返り、総体として全世界的波及効果を生んでいる。
 
 その根底には次のような事情がある。 
 
 引用。エマニュエル、トッド「経済幻想」。解説、松岡正剛<千夜千冊>よりー
>「むしろ自由や平等の価値が資本主義社会のなかで下落していったから、グローバル金融主義が自由や平等の“嘘の衣”を着るようになり、それを標榜するようになったのだと見た。」
 
 続いて引用。ーネット掲載論文ー
ーボーリング・アローン:アメリカにおける社会資本の衰退の和訳ー1992年。
 
「まさにリベラル・デモクラシーがイデオロギー的にも地政学的にもライバルを一掃したその時に、既存の民主主義国家において、公的機関の効率性に疑問を投げかける市民が増加しつつあるのは皮肉である。
 
少なくとも、アメリカにおいておこっている民主主義の混迷は、四半世紀前から始まった拡大しかつ持続している市民参加の衰退と関係があるとみなす十分な理由がある。
制度的・行動的外見は異なっても、合衆国同様の社会資本の衰退が進行中である。」
 
 また、1972年のフィンリーは「民主主義ー古代と現代ー」では
現代のグローバル資本の世界規模の財閥化、各種テクノロジーを操作する者に「規模においても高度な専門化においても未曾有の力を与えている」状況を指摘をし、その範疇にマスメディアを入れてる。
 
「マスメディアは<価値を創造し、強化する力>を持っているということ、
並びに、それは<<知的受動性を生み出す>>。」
「そしてそのことは古典的民主主義理論の「教育的」目標の否定であるように想われる。」
>>ここで云う、教育的目標とは民主政の下での<<政治行政司法への市民の直接参加による実践的体験的な政治文化面での教育効果>>のこと。
 
>>直接的な各種政治参加による生きた政治判断力の主体側の獲得、蓄積、成熟。
端的に云えば、専門職の政治家に任せておけば、どうにかなる、という安易な政治観の拒否やマスコミや政治家がその時々に提出する政治課題への即時の反応に終始する、ことの拒否を出発点とする様々なその次、その後の行為。
 
>近代以降、民主政の原理原則は個的主体のあり方に立ち返る。
 
JSミルの100年以上前の次のような主張がある。
「人類が、
個人的または集団的に、誰かの行動の自由に正当に干渉しうる唯一の目的は、
<自己防衛>だということである。
 
 すなわち、文明社会の成員に対して、
彼の意思に反して、
正当な権力を行使し得る唯一の目的は、<<他人に対する危害の防止>>である。
 
人間の行為の中で、社会に従わなければならない部分は、他人に関係する部分だけである。
 
自分自身にだけ関係する行為においては、
彼の独立は絶対的である。
彼自身に対しては、彼自身の身体と精神に対しては、個人は主権者である。」
 
>「行政官の専制から身を守るだけでは十分でない。
支配的な世論や、感情の専制に対して防衛することも必要である。
 
つまり、社会が法的刑罰以外の手段を用いて、
自己の考えや習慣を
それに同意しない人々に
行為の規則として押し付けようとする傾向に対する防衛も必要である。
>J、Sミル。
1806年~1873年。イギリス。」
ー反俗日記、2013年4月17に付け記事よりー
 
 日本はアメリカ経由の政治文化軍事の手を変え品を変えた日本版イデオロギー対する対抗要因が脆弱なため、国民的政治過程が突き動かされている。
翻弄されているといって過言でない。
 
 この点に関して、フランスの哲学者政治家のジャック、アタリの以下の指摘がある。
 
>「毎日新聞のウェブ・インタビューで日本の将来について答えたアタリは、日本人が子供を生まなくなったこと、
若者がアメリカ文化に靡きすぎて自国文化とアジアに関する知識に乏しいことを指摘して、日本は“日本版マラノス”を試みたらどうかと提案していた。
マラノスとは中世にカトリックに改宗したユダヤ人のことで、表向きは改宗したが、むしろそれゆえにユダヤ信仰を深めた者たちのことをいう。
スピノザマルクスフロイトはマラノスだった。アタリは、日本人が欧米志向になっているのはもう仕方がないから、これからはマラノスとして日本=アジアにひそむ信仰を深めなさいというのである!」
 
 よく理解できない論法だが、
回を重ねた、古代ギリシアの戦争と民主政の、念頭にはいつも中国文明とその歴史及び日本がチラついていた。
(省略)
 
結局どういうことかといえば、日本には文化や歴史、風土の特殊性はあるがそれに文明的基盤が伴って来なかった、ということである。
 
 日本人はある意味、古代ギリシア人の対オリエントの立場とよく似ている。
文明的先進と後進の立場が逆転したとき、一気に侵略を含む排外に転じる。
フィリッポスーアレクサンドロスギリシア世界をイデオロギー的に飲み込んだ最大の理由である。
ギリシア民主政はそういったイデオロギーに一切抵抗するものではなかった。
 
 現代の民主政はそういう意味でギリシア民主政とは区別されるが、民主政と帝国主義的政治は並存し得るのも歴史的事実だ。
 
>>だから、まず何より、次のようなアメリカ、マスメディアの凄まじい寡占化の進展をみると、100年前のJS、ミルの先にあげた原点的立場を再確認したい。
 
アメリカ3大ネットワーク、プラスFOX。4大ネットワーク。
 
ABC 1997年ウォルト・ディズニー・カンパニー買収。
NBC 1986年 親会社「RCA」がゼネラル・エレクトリックに買収されたため、ゼネラル・エレクトリックの傘下となる  
CBS 2005年12月 新生バイアコム発足により、CBSコーポレーションに社名変更。
   2006年1月 タイム・ワーナーとの間で、CWテレビジョンネットワーク発足で合意
FOXテレビ 
  ニューズ・コーポレーションは1979年、ルパート・マードックがニューズ・リミテッドの持株会社として設立した。
   彼の経営手法は、赤字を出すなど財政基盤の弱い新聞を買収し、過激な経営強化と劇的な編集方針転    換、ライバル紙との戦争開始といった方法で財政を立て直すことにあった。
   こうして得た豊富な資金を、彼は更なる買収に使用していった。編集方針は新保守主義に極めて近い。
   1969年。 ロンドンの新聞ザ・サンを買収、これを扇情的なタブロイド紙に変えて成功。
   1981年。 ニューズ・コーポレーションはイギリスの名門紙タイムズを買収
   1976年。 タブロイド紙ニューヨーク・ポストを買収。   
   1984年。 20世紀FOX買収。
   2000年の買収によって全米の96%以上の世帯をカバーし、三大ネットワークに並ぶ規模となっている。
   1996年。 ニュース専門の24時間放送ケーブルテレビ放送局・FOXニュースを設立し、CNNのシェアに挑     戦した。2000年代にはFOXニュースは「最も観られているケーブル・ニュース・チャンネル」を称するほど成    長。
    これには2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降の不安な世相に愛国的報道がマッチした影響が強い。
   2004年の視聴率調査ではFOXニュースはケーブルニュース番組の視聴率トップ10のうち9番組を擁するま   でになり、CNNを引き離している。
   2007年。 ニューズ・コーポレーションはウォールストリート・ジャーナル買収。
   2012年。 出版部門と娯楽部門に分割されることになった。ただし、議決権の4割はマードック一族が保有
 
 ー<FOXニュースの「大本営発表」がアメリカ戦争報道を支配する。>よりー
>「FOXニュース・チャンネルは戦争以外のニュースをほとんど報道し
なかった。そして今回のイラク戦争に対する批判をいっさいせず、ひたすらアメリカ軍を賛美し続けたのだ。
FOXニュースは 「公正で公平」を売り文句に開局した二十四時間ニュース・チャンネル。
       
しかし、その「公平」というのは
「今までのジャーナリズムは政治家や大企業や警官に対して批判的 すぎた。うちは違う」という意味だ。
 
アンカーやコメンテーターは共和党貞であるビル・オライリー をはじめ保守の論客ばかり。
開局時に面接をうけたテレビレポーターのアンドリユー・カーツマンは 「民主党員だと雇えない」と断られた。

 

FOXニュースの論説委員ブリット・ヒユームはアフガン戦争時に「民間人の被害なんか報道する 必要はない」と断言した。
FOXはイラク攻撃でも怯える女子供や泣く老人など戦争の悲惨な側面を 隠し、まるで地元チームのフットポール中枢のようにイケイケGOGOと米軍を応援しまくつた。
湾岸戦争時にCNNがバグダッドからの中継で公平に戦争を報道して名を上げたのと正反対だ。
FOXが戦争中枢で隠したのはイラク市民の姿だけじゃない。
石油業界との癒着やエンロン旋惑など、プツ  シユ政権の問題も「なかったこと」にしてしまった。
 
03年10月の調査ではFOXニュースの視聴者で「イラク大量破壊兵器が発見された」と信じる人
は他のニュースを見ている人に比べて三倍、「イラクアルカイダと手を組んでいた」と信じる人は
四倍だった。
「新聞を読まない人々」をFOXは間違った方向に誘導していたのだ。
それもそのはず、なにしろ、FOXニュースの社長ロジャー・アイルズはレーガンと父プッシュのメディア担当で、テ レポリティツタスのプロ、「共和党ゲッペルス」と悪名高い男なのである」
 
>政治的な<何とかの巨大な壁>がアメリカで完成している。
>日本マスコミはその後追いをするだろう。
 
>フランスでは市民の「報道からの自由」が問題意識にある。
「日本ではメディア、ジャーナリズムがあたかも市民の代表のように扱われているが、フランスでは市民の側にあるというよりも、むしろ<市民から距離を置いた存在である、と見た方がよいだろう。」
「ジャーナリズムに中立や不偏不党という概念は余りなされていない。求められるのは多元性でできるだけ多様な意見を取り上げるべき、というものである。」
ーフランス事情よりー