W。以下に挙げた報告書は<内閣府、2011年5月28日レ>の要約メモ。
官僚、政府の長期的な政治経済の見通しが述べられており、長期的な政治経済総路線を確定する場合、参考にするものと想って間違いない。
両レポートの特色は、うがった見方かもしれないが、2011年、3、11大事態に動揺した日本支配層が常日頃の衒学的ごまかし報告書のつい忘れて正直な本音を吐露しているところである。
その後、政治情勢の自分たちに有利な展開に従って、こうした正直な部分を多く含む報告書は公開されておらず、元の高度な学問的概念を多用した衒学的なものに戻った。
上記を踏まえて、以下にあげる報告書は大切なものである。
既にブログ上で何度も指摘している、戦前戦後の主要国の経済ポジションの推移はこういった官僚レポートでも証明されている。
>第4節 歴史的転換期にある世界経済 内閣府、2011年5月28日レポートの要約メモ。
<中国>は
1979年からの一人っ子政策の効果?ー出生率が低下し、2015年頃から生産年齢人口割合が減少に転じ
生産年齢人口の伸びが鈍化するなど、人口構造の変化により、成長率の鈍化はみられるものの、先進国に比べて高い成長率が続くことが見込まれる。
2011年に日本を抜いて世界第2位となった中国は、25年頃にはアメリカを上回るGDP(市場レートベース)となる見込みである。
1979年からの一人っ子政策の効果?ー出生率が低下し、2015年頃から生産年齢人口割合が減少に転じ
生産年齢人口の伸びが鈍化するなど、人口構造の変化により、成長率の鈍化はみられるものの、先進国に比べて高い成長率が続くことが見込まれる。
2011年に日本を抜いて世界第2位となった中国は、25年頃にはアメリカを上回るGDP(市場レートベース)となる見込みである。
<インド>
25年頃にはドイツを追い抜き、日本に迫る見込みである。
25年頃にはドイツを追い抜き、日本に迫る見込みである。
>その結果、中国やインド等の新興国のGDPが世界全体に占めるシェアは、市場レートベースでみると、09年時点で18.9%であったものが30年には36.6%まで拡
大し、アメリカ・ヨーロッパ主要国・日本等の先進国と拮抗する。
大し、アメリカ・ヨーロッパ主要国・日本等の先進国と拮抗する。
実質成長率 潜在成長率 潜在成長率
2000年代 2010年代 2020年代
2000年代 2010年代 2020年代
中国 10.0 9.1 7.9
インド 7.2 6.9 5.7
日本 1.4 0.7 0.4
アメリカ 2.4 2.2 1.6
英国 2.5 1.9 1.3
ドイツ 1.4 0.9 0.1
フランス 1.9 1.1 0.7
インド 7.2 6.9 5.7
日本 1.4 0.7 0.4
アメリカ 2.4 2.2 1.6
英国 2.5 1.9 1.3
ドイツ 1.4 0.9 0.1
フランス 1.9 1.1 0.7
第1-4-2図 GDPの長期的なシェアの変化:
中国、インド等新興国のプレゼンス拡大
中国、インド等新興国のプレゼンス拡大
(1)市場レートベース
(2)PPPベース
中国 8,3 23、9
米国 24、9 17、0
EU 12、7 6、2
日本 6,0 3,3
>W。OECD統計の相対的価格レベル(米国100で換算)
米国 100
日本 150
ドイツ 109
仏 119
英 137
韓国 83
メキシコ 70
>W。日本は元々高物価体系の国。庶民は多少、名目の給料が上がっても、国内に居住している限り、それで買えるものは、サミット参加国の中では群を抜いて少ない。
それにもかかわらず、インフレ政策をやるとどうなるのか、結果はこの面からも、自ずからはっきりとしている。
アベは先に物価が上がるノハ仕方がない風の答弁を国会でしているらしいが、給料が物価とスライドして上がることは絶対にない。
ということは煎じ詰めると、一部企業、極少の金融寡頭支配層だけがアベによって潤う。
さらにインフレによって政府などの借金が目減りする庶民にとっては、インフレ税になる。
<中国やインド>
高い経済成長や人口増加を背景に、これまで「世界の工場」とし
て世界経済をけん引してきたが、今後とも経済成長が続くことで中間層が一層増えることとなり、消費市場、すなわち「世界の市場」としての存在感も一層増すと考えられる。
て世界経済をけん引してきたが、今後とも経済成長が続くことで中間層が一層増えることとなり、消費市場、すなわち「世界の市場」としての存在感も一層増すと考えられる。
< 先進国の企業は>
自国の人口減少による将来的な市場縮小を見据え、一層、活躍の場をこうした新興国に求めることも考えられる。
<アフリカ地域>
近年、資源価格の高騰を背景に全体としては高い成長を続けている。また、人口増加が続くことが見込まれ、レアメタル等の希少資源を豊富に有していることから、既に進出している先進国企業に加え、中国等からも投資が行われている。
こうしたことから、アフリカ諸国は、今後、資源輸入国からの所得分配等を梃子に、経済成長を続けていくことも考えられる。
(2)アジアのプレゼンス拡大の歴史的文脈
世界の歴史を振り返れば、アジアのプレゼンス拡大は、決して新しい現象とはいえない。
例えば、紀元1000年頃から19世紀初めの時点においては、<農業生産力がある、すなわち人口扶養力がある>中国やインド等のGDP(PPPベース)が世界の約6割を占めていたという推計がある。
外国からの<直接投資等を促進し>それを通じて伝播した技術により、急速に工業化を進めている。
この結果、両国のGDPが世界経済全体に占める割合は拡大しており、
また、現在の一人当たりGDPは、90年代と比較して、中国は約13倍、インドは約3倍となっている。
>>こうした両国の存在感の高まりは、産業革命後の200年の文脈でみれば「新興」であるが、長い歴史的文脈で見れば「再び勃興する」と呼ぶべきものともいえる
主なリスクとして、
1)一次産品の需要増大と価格高騰、
2)所得格差の拡大に伴う政治社会の不安定性増大、
3)依然として低い新興国の所得水準と国際協調、
4)国際金融システムの変質の可能性の4点。
1)まず一点目。
2) 一次産品、特に賦存量に地理的な偏りがある資源については、供給国の政治社会の安定度合いにより価格が乱高下する可能性がある。その結果、当該産品が必要となる各国産業に影響が現れるリスクがある。
3)、新興国のGDPが世界経済に占めるシェアは増えるが、先進国では経済規模がもともと大きい一方で人口は減少していくこと、新興国では経済成長が続くが人口も増加していくことから、新興国の一人当たりGDPは先進国と比べて今後とも依然として低いと考えられる。
しかしながら、今後は、現在の先進国とは異なる所得水準の新興国が経済大国となる。
新興国と先進国が足並みを合わせて、グローバル・インバランスの是正や、為替レートの過度な変動や無秩序な動きに対する監視、地球温暖化等の諸課題について政策協調を行っていくことが重要であるが、異なる所得水準の多様な国々が多数存在することから、新たな国際経済秩序が見出しにくくなる可能性もある。
世界各国の外貨準備の構成の推移をみると、2000年以降、ドルの構成比が継続的に低下傾向にある一方、08年以降は金の保有が増えていることがみてとれる。
世界各国の外貨準備の構成は多様化しており、外貨準備の面でみて基軸通貨たるドルの存在感が徐々に低下しているともいえる。
また、例えば、中国、インド、ブラジル、ロシア、南アフリカのいわゆるBRICS5か国は、11年4月に行われた首脳会議において、相互の融資や信用枠の設定等を行う場合に米ドルに代えて各国通貨を使用することで合意した。
(2)全球一体化によるリスク
全球一体化が進む中では、資本は魅力ある市場を求めて即座に動くことから、ひとたび国際金融市場の信認を得られない状態となれば、たちまちに投資が引き揚げられる可能性も考えられる。
労働市場の全球一体化については、金融資本市場が一体化し急激に資本が移動することに比べれば、進んでいない。
しかしながら、優れた人材は国境を越えて活躍の場を求めて移動している。
今後、多くの先進国において人口減少が見通されるが、そうした中では、自国人材の能力開発とともに優れた人材を惹きつけられる国は、質の高い労働力を得ることができると考えられる。
逆に、仮に優れた人材を惹きつけられなければ、そうした人材が活躍の場を他国に求めて流出し、質の高い労働力が自国の労働市場にいなくなってしまう可能性がある。
3.日本も含めた先進国の経済政策への示唆
例えば、リーマン・ショックにおいては
世界的な実体経済の落込みの中で、我が国の輸出の6割は<世界中で需要が急減した機械類及び自動車>であったことから、輸出は急激に落ち込んだ。
<片や輸入は内需の減少幅が小さかったことなどにより輸出ほど減少しなかった>ことから、
<外需の減少を通じたGDPの落ち込みは先進国の中で最大>となった。
1)世界的な需要拡大により一次産品価格が上昇し続けるであろうことを大前提に、中長期的なエネルギー戦略や<<食料安全保障を推進すべきである>>。
2)、輸出型産業においては、製品差別化により非価格競争力を伸ばし、一次産品価格が高騰しても交易損失が発生しないような貿易構造とすること。
3)金融資本市場
アメリカの財政規律の緩みといった懸念、金融機関の寡占化による金融システミック・リスク増大の可能性を直視し、
>>金融監督の強化や金融システムの健全性を確保するマクロ政策が重要。
さらに、国際金融環境がいかに厳しく、変動が大きくても、<<日本国債の信認を確固として維持>>するため、<財政の持続可能性確保に向けた取組を強化>することが極めて重要。
労働市場については、
<外需の動きに雇用が大きく左右されないよう輸出型産業に過度に依存しない経済>を目指すべきである。