反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

(後編)ー「むしられ続ける日本」ー

     ◇日本政府、日本企業が所有する米国債の実体
 どうやら<日銀が保有する外貨準備高>とは、<米国債のうちの短期>のもので、市場で売り買い出来るものに限られているようなのだ。
例えば日銀が為替の円買い介入をする場合は、この短期の財務省証券を売って円を買い、円高へ誘導するとうことをするわけだ。

 だが米国債は10年、20年、30年と長期のものもある。それらも政府日銀は毎年大量に購入し続けていたのである。
 
 読者は、それだったらその溜まりに溜まった中長期の米国債を市場で売ればいいと思うかもしれない。
 
 もちろんそんなことは米国は日本に許可していない。
その国債が満期になるまで売らないと日銀は約束させられているというジャーナリストもいる。
『日本国破産』の著者、森木亮(あきら)氏は、途中で売るようなことを日本が強行しようとすれば、アメリカは日本の所有するアメリカの資産の凍結を行うとまで言っている。
これは戦争に近い状態を意味している。
 
 アメリカの累積赤字は99年会計年度末で5兆6149億ドル、このうち年金基金などが購入した政府保有分を除いて3兆6697億ドルが市中に流通している。
日本国及び日本企業は米国債の落札でだいたい全体の3割程度を常に落札していた実績から、
米国債の3割は日本が購入したというのが常識になっているようだ。
 これは驚くべき数字である。

 本来ならアメリカ政府の借金なのだから、アメリカ国内で賄うべきものなのに、その3分の1を日本一国に肩代わりさせているというのである。
3分の1は1兆8770億ドル。
そうち政府日銀の保有分1兆1990億ドルを引いた残りの6780億ドルを、日本の銀行、生命保険会社、企業及び投資家が保有していると思われる。
 
 
      ◇橋本元首相のブラフ
 1997年6月、当時の橋本首相が、「米国債を売りに出したいという誘惑にかられたことがある」と発言したとたん、NYダウが暴落した。
もちろん橋本元首相米国債を売ることなどアメリカが許さないことは百も承知である。ブラフをかけたのである。
日本ではその潜在的なパワーが認識されていないが、日本が本気で米国債を売り始めたら、米国経済はあっという間に破滅である。
アメリカの市場関係者はそれをよく知っているから、こんなブラフにも過剰反応を示したのである。
 
石原慎太郎氏によると中国の米国債保有は500億ドルだという。それをアメリカは非常に警戒しているというのだ。
日本の保有額1兆8770億ドルに比べたら微々たるものだが、日本なら完全にアメリカの支配下だからいいが、中国はなにをするかわからない。
もし市場で売り浴びせられたらたちまちアメリカ経済に大打撃を与えてしまうと警戒しているというのだ。
もしそうだとしたら日本も随分なめられたものだと思う。
    (注4)
 2011年5月売国保有残高1位中国約1兆1500億ドル+2位日本9000億ドル=約2兆ドル~180兆円。
日本の国家予算約100兆円。
州の独自性の強い米国連邦政府予算ははその2,5倍にも満たないだろうが一応250兆円。
日中が接近されたら米国の素顔が世界に晒される。
>よって、日中関係を分断せよ!しかる後に統治せよ!東アジア諸国の横のつながりを分断し米国をハブとする。
アジア諸国との米国主導のハブ的個別関係にもって行くのが、この地域でのプレゼンスを維持する基本戦略である。
尖閣竹島北方領土とTPP事態は表裏一体だ。
 
 こういうアイテムに踊らされるものはたくさん出現する必然性はあるが、その歴史的不自然さゆえ、対抗力も生まれる。
 
 近隣諸国の全て領土紛争を抱えた21世紀経済大国日本の不思議!
東アジアの冷戦体制の残存を加味しても、世界中見渡して、こんな異様な旧西側国家はあろうか?
政治の自律的努力の余地はあったのだろうか
 
 こういう東アジア関係、日米関係の現下の日本地域孤立と対米従属覇権性や将来の国会情勢を推移を加味すれば、日本が果たして、過去において自称他称の民主主義国家であり得たのか、将来、ありえるのか、現時点で再考でき、行動できる幸運に今現在の我々は恵まれた、と考える。
 そういう意味で参院選は善き結果だった。
長い歴史スパンの基本法則は逆転である!
 
 橋本発言でおもしろい論評をしたジャーナリストがいた。
橋本発言に対しクリントン大統領は、それを容認する発言をした。
本来なら家来であるはずの日本が主人のアメリカにたてついた発言をしたのだから、アメリカ政府は怒っていいはずだが、あえてそうしなかった。
それは、この件で騒いで日本国民が米国債の実体を知ってしまうのはまずいと思って黙ってほこを収めたというのである。ほんとかどうか知らないが、おもしろい意見である。
 
 
    ◇米国債購入による金額の目減りは親方(アメリカ)に渡す上納金!?
 金(キン)は金利はつかないが、米国債なら金利がつくからいいじゃないかという意見もある。
だが下の円ドル相場の推移を見て頂きたい。
 
 ニクソンショックといわれた1971年は1ドル=360円であった。それが図を見ればわかるように延々とドル安が続き1995年4月には1ドル=80円までいった。
2001年1月の現在は118円で、1971年と比べると30年後の今ドルは円に対してその価値を3分の1にまで減らしているのである。
仮に1971年に30年ものの米国債を買ったらその価値は今や3分の1だ。
イメージ 1
>>金利がつくから多少ましという意見もあるが、それもインフレ率とのかね合いである。わずかな金利をもらっても元本が3分の1になったら大損ということだ。
 
>>ではどの位の損が出ているかということになるが、この正確な計算は不可能に近い。
毎年毎年買い増しているのと、金利が変動することと、10年、20年、30年と様々な満期があるからである。
 
 80年代は米ソ冷戦の最終段階になり、減税と軍拡というレーガノミックスの時代で、その穴埋めとして米国債を日本が日銀を含め民間にも大量に買わされた時期であった。

 この平均レートを1ドル240円とすると、その時の米国債は今や半分の価値しかない。
>この30年間の途中で満期を迎えた米国債もたくさんあると思われるが満期到来とともに繰り延べて又買うということが行われたと推測される。
 
 そこから極めて乱暴だが一例を示すと、1997年の残高の半分の価値が失われたと計算すると、政府と民間あわせて110兆円の損失となる。
実際は数十兆円か数百兆円かはわからない。
 
 どちらにしろ日本の損失はアメリカの利益である
(注5)財務省関連国際資金フロー研究会報告書も認めるところである。ウィンウィンの関係など大嘘だった。それは極一握りの輩同士の利害の一致に過ぎない。別途に当該原文を引用する
当たり障りのない表現であるが、日米利害の相反はキチンと伝えている。
研究者は事実関係を無視できないのである
 
 これこそ日本がアメリカに収めた上納金ではないだろうか。
 
 政府日銀が米国債を買う原資は日本国民の税金である。
銀行、生保が買う原資は日本国民の預貯金や生保に払った金である。
皆さんが、米国債を買ったつもりはないと言っても間接的に買っていたのだ
そして、その損失は日銀や民間金融機関の不良債権として日々増殖しているのである。
 
 そしてその損失の穴埋めは結局、増税という形で我々が払うことになるのだ。
日本国民の大多数はアメリカに上納金を支払うことを了解した覚えなどないのにである。
 
 おそらく数年以内に増税の話が出てくるだろう。
>私の情報だと、現在の自民党中枢部は消費税の10%は容認したというのである。
それから15%になるのは比較的早いと思われる。

 彼らは、日本の財政破綻を回避するため増税は仕方ないとか、安定した年金の確保の為に増税は必至であるという説明をするはずである。

 この文章を読んで、もしそんな政府関係者に質問をする機会のある人がいたら、ぜひ質問してほしいことがある。
それは、国の財政が破綻寸前であるというのなら、何故今まで長期の米国債を買い続けてきたのか、又これからも買い続ける必要があるのか」ということである。
 
 ハイ!解りきったこと。巨額のカネは(架空資本は)簡単安全安定に利息が得られるところに投資する。運用する側の立場に立てばリアルにわかるのではないか。
おそらく彼らはこれからも買い続けるだろう。