反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

<前書き2>TPPの原協定 =P4協定の源流はニュージーランドが主導してシンガポールと締結したFTA。TPPの構想者ニュージーランドの事情を検討すれば理念なきエゴイズムTPPの裏事情が判る。

  前回の続き
 <前書き2>
 とすると、TPPの全員一致、後発参加国は修正効かずの論理から云えば、最後尾に着いた日本にはほとんど交渉の余地は残されていなかったはずである。
そこで参院選挙前の日米協議という訳だろうか。一応、事前協議の内容は文書化されはいるが、何処まで問題がつめられているのか現時点では判らないし、TPPは締結後も条文は一定年数、公表しないことが原則という。
 
 話題がそれるのでこれ以上この方向から問題に立ち入らないが、TPPにはとにかく不透明な部分が多すぎる。
米国以外の交渉参加国の事情も一回だけベトナムと取り上げた。
 
 米国以外の交渉参加国の事情を知ることがTPP全体のイメージを明らかにできる道と素人は考えた。 
研究文にもさりげなく述べられいるように日本はAPECの枠組みでニュージーランドシンガポールなどが率先して推し進めるTPP方式にメリットなしと反対して、APEC+台湾、韓国中国+インド、ニュージーランド、オーストラリアを提唱してきており、そこににアメリカは含まれていなかった。
 
 他方、撤廃する障壁の少ない農業の特殊産品特化のニュージーランドタックスヘイブンシンガポール等は、そのままでは多数派に相手にされないので、覇権国家アメリカの取り込みを目論んで、その要求を飲むつもりだった。
バブル崩壊後のアメリカはTPPのいい加減な参加基準と反面する後発国への縛りを自国の利害を押し通すことに利用できた。
TPP原国のニュージーランドシンガポール、チリ、ブルネイ、その後参加したオーストラリア、カナダ、メキシコなどにとってもアメリカの要求はそれほど腹を痛めるものでなかった。
コレがTPP拡大交渉の事実経過である。
 
 あらゆる面で違いの大きな広域経済圏構想にしては、実に雑駁で理念なきエゴイズム丸出しの政治過程であり、アメリカと対称で存在する国が皆無なのも大きな欠陥である。
 
 又そのアメリカはかつての様な融通の効く国でなくなっている。
他国からの富の収奪が国家運営システムのキーポイントになっている。
経済構造的にみれば、日本にとって、広域経済圏を共にしたくないものどもが、自分に集ってきている状態といっても過言でない。
それほど、国の経済構造社会構造が異なっている。
指折り数えてアメリカ以外の諸国に日本製品の購買力をアップさせられる国があるだろうか?
 
 TPPを調べていくうちに、次のような指摘が気になった。
ネット配信、産経ニュース
    「適者生存」の論理」
「TPPによる関税の撤廃は、強い者が生き残り、弱い者が淘汰(とうた)される「適者生存」をより鮮明にする。それにより多国間で労働力や土地、資本などさまざまな資源の効率配分がなされ、全体の生産性が高まるというのが、経済連携の眼目のひとつだ。」
 
 TPP拡大交渉参加の顔ぶれから、無思想無節操のTPPが上記のような、国民各層への分配システムを蔑ろにした経済観の眼目に行きつくしかないのは当然であろう。
交渉参加国のその顔ぶれからしても、文面の文言からしても、供給力はあっても、需要がマッタク追いつかなくなるは明白である。
 
 参加国の多数の国民が適者生存の真っ先の標的になることは間違いなく、物的不幸を背負い込むことになる。
 
 TPPの枠組みの中の人的物的資源の効率配分、全体の生産性向上を日本国家の枠組みに限定して、考えると、むしろ資本蓄積率の低下を招くだろう。TPPにも拘らず、日本国内では儲からない構造が続く。
 
 また、そういう適者生存の理屈は自由放任の産業資本の時代に盛んに喧伝された社会ダーウィン主義とそっくりである。
自分流の考えでは現在の金融資本力、生産力をうず高く積み上げたグローバル資本制は制度政策レベルで産業資本の時代に後戻りしている。
制度政策は政治的力関係に左右されるのだから、資本への対抗力が弱体化したら結局そういうことになる。
 
 従って、需要が追いつかず、架空資本の巨大な膨張はシンガポールのようなタックスヘイブンに囲われて価値破壊を逃れ(替わりに政府が国民に肩代わりさせる)、資産価格上昇の機会の度に市場に出撃するのだから、短い周期でのバブル発生を不可避とし、それを繰り返しながら適者生存で生き残ったものは大衆から遊離度を増して限定されていく。
 
 それでは人類は200年程度前に後戻りしていることになるが、世界的に反抗する物的根拠を同時に蓄積していく。
  
 そういう問題意識があって、ニュージーランドとTPPが気になって調べてみようと思った次第。
 
 ニュージーランドの大学の反対派のおばさんセンセイがイロイロ主張しているようだが、以前記事にしたように、不信感があった。講演後の質疑応答の際の日本側の一般人の質問者のほうが要領を得た話をしていた。
この本文で書かれているようなTPP原国としての自国の事情は一言も語られていない。
障壁の希少で経済規模の小さな(だから、シンガポールともども自由貿易協定締結のメリットがないから相手にされない)ニュージーランドにとって、TPP問題の焦点は米国流儀の知的財産権の保護に絞られているようだ。
 
 先回りして云えば、この記事で取り上げる研究文のいう「ニュージーランドのTPP拡大戦略:積み石アプローチ」なる視点は経済的限界から実にアコギナ戦術的対応し終始しているにすぎないニュージーランド大戦略家の如く持ち上げ、TPPが米国参加以降、急激に米国主導、米国の利益に順ずるものに変質を遂げた現実を結果的に明らかにしないものとなっている。