<前回の続き>
>>漸進的な拡大を視野に入れた地域FTA において、原参加国の新規参加国に対する影響力を規定する要因として以下の3 つを挙げている。
(W。特殊小国の原参加国(ブルネイ、シンガポールは国家の呈をなしていない)は元々譲るものはなく、大国市場へのアクセスが欲しかっただけの戦術レベルの一致。ーこの研究文の云うような大それたことは想定外ー
(W。特殊小国の原参加国(ブルネイ、シンガポールは国家の呈をなしていない)は元々譲るものはなく、大国市場へのアクセスが欲しかっただけの戦術レベルの一致。ーこの研究文の云うような大それたことは想定外ー
拡大交渉に参加する後発国はアメリカ自己中ルールとの交渉になる。
元々TPPで譲るもののないアメリカ参入以前の原参加国は、譲るものの多い後発参加国にアメリカ自己中ルールが適応されても、日本のような新規参加国の市場が開かれるのだから、メリットのほうが多い、という構図。
本来こうした広域経済圏構想(TPPは人種まで違う)は大国同士の合意から拡張していくものでTPPは順序が逆転している。
最初のボタンが掛け違っている。
誰がこの付けを払うのか、各々の国民である。誰が益するのか大企業だけである。
この対比が余りにも極端に出ている。
EUの前身の欧州経済連合の時代には協議に共通の社会政策(農業政策もあったはず)が俎上に載せられていたはず。
TPPは詰まるところ、カネの話ばかり!)
第1 は、参加基準の有無であり、FTA の原参加国となれば、自らに有利な参加基準を設けることができる。
第2 は、参加基準の明確さの程度であり、参加基準が明確であれば新規参加国に対する原参加国の裁量の余地は乏しいのに対し、それが不明確であれば原参加国は大きな裁量権を持つ。
第3 は、参加承認の決定ルールであり、新規参加国の承認が全会一致であれば、全ての原参加国が拒否権を有する。
第2 は、参加基準の明確さの程度であり、参加基準が明確であれば新規参加国に対する原参加国の裁量の余地は乏しいのに対し、それが不明確であれば原参加国は大きな裁量権を持つ。
第3 は、参加承認の決定ルールであり、新規参加国の承認が全会一致であれば、全ての原参加国が拒否権を有する。
したがって、一応の参加基準はあるもののそれが不明確な一方で、全ての原参加国が拒否権を有する参加ルールでは、原参加国が新規参加国を恣意的に選択することが可能となる。
地域FTA の事例では、小国単独ではFTAの締結相手国として大国から相手にされない場合でも、小国同士で地域FTA を創設し大国もそれに参加せざるを得ない状況を作り出すことで、大国とのFTA の締結が可能となる。(W。こういう論理はアメリカ参加があってはじめて実行力を持ち得る。)
ニュージーランドがTPP を推進する目的は、米国や日本といった大国とのFTA 締結を通じた市場アクセスの確保である。
しかし、二国間ではFTA を要請しても拒否され、最大の輸出品目である乳製品が除外されない包括的な自由化の確保も困難である。
しかし、二国間ではFTA を要請しても拒否され、最大の輸出品目である乳製品が除外されない包括的な自由化の確保も困難である。
>>このため、まずは高水準の自由化が可能な国々でFTA を締結し、
その基準を維持しつつ漸進的に参加国を拡大することによって「範囲と深化のトレードオフ」を回避するのが基本的な戦略であり、本稿ではこれを「積み石アプローチ」(building block approach)と呼ぶ。
その基準を維持しつつ漸進的に参加国を拡大することによって「範囲と深化のトレードオフ」を回避するのが基本的な戦略であり、本稿ではこれを「積み石アプローチ」(building block approach)と呼ぶ。
>>その上で、それを担保するための補完的な戦略が、TPP の自由化水準を下げかねない新規参加国を恣意的に排除する<<「曖昧な参加ルール」>>や、
大国がTPP に参加せざるを得ないような参加国の構成を作り出す<<「分割統治」>??である。
大国がTPP に参加せざるを得ないような参加国の構成を作り出す<<「分割統治」>??である。
P4 協定のベースとなったANZSCEP(ニュージーランド、シンガポール自由貿易協定) に関し、グローサー貿易大臣は「やや誇張して言えば、交渉すべき貿易障壁は無かった」とし、
「当時自分は、そのFTA をアジア太平洋地域における他の貿易上の要塞への参入を狙った「トロイの木馬」(Trojan Horse)だと意図的かつ挑発的に呼んでいた」と述べている(Groser, 2011b)。
「当時自分は、そのFTA をアジア太平洋地域における他の貿易上の要塞への参入を狙った「トロイの木馬」(Trojan Horse)だと意図的かつ挑発的に呼んでいた」と述べている(Groser, 2011b)。
>「交渉すべき貿易障壁」が無いのであれば、その撤廃による貿易創出効果も無いことを意味し、
グローサー大臣は、「現在のシナリオは現行のTPP9 カ国に止まらず、これが「積み石」(building block)アプローチの意味だ」とも述べており、自由化水準の高いFTA への参加国を順次拡大することによって、「範囲と深化のトレードオフ」を克服するとの戦略を明示的に意識していることが見て取れる。
B)次に、「曖昧な参加ルール」について検証する。
TPP の特徴は、明示的な参加基準が存在しないことにある。新規参加国が満たすべき要件は示されていない(W。初期EU加盟条件の厳しさと対照的である。この道筋が全うな社会的条件の違いを俎上に挙げた交渉ルールである。原TPPじゃ真逆で小国のエゴイズムに発し、超大国のエゴイズムのルールが加味された奇妙なダブルスタンダード、コレはアメリカにとってもっとも好都合。中東ーアジアで使用している。)
他方で、新規参加国の承認ルールに関しては、現行参加国の全会一致が明示的に合意されている。
他方で、新規参加国の承認ルールに関しては、現行参加国の全会一致が明示的に合意されている。
2010 年3 月に事実上の参加表明を行ったカナダについては、グローサー大臣は「(乳製品等の)供給管理制度は関税撤廃とは全く整合的でない」(Groser, 2011c)と述べ、参加を拒否した。
(W。大勢に関係なし。できレース)
(W。大勢に関係なし。できレース)
こうしたダブルスタンダード(W。アメリカのと読む。NZにそんな力はない)は、<TPP のドミノ的な拡大に不可欠な米国を取り込む>一方で、乳製品等の関税撤廃からの除外を求めるカナダを排除することによって、
参加国の拡大に伴う自由化水準の低下を最低限に抑えようとするニュージーランドの戦略の反映と言える。
参加国の拡大に伴う自由化水準の低下を最低限に抑えようとするニュージーランドの戦略の反映と言える。
C)最後に、「分割統治」について検証しよう。
まず米国に関してグローサー大臣は、「P5 構想の真のターゲットは米国だった」(ニュージーランド、オーストラリア、米国、シンガポール、チリ)と述べている。(W。アメリカのスタンダード受け入れは最初からOKだった、ということ)
こうした米国の方針転換をもたらしたのは、米国抜きで進展する東アジアにおける経済統合への疎外感??であり、ニュージーランドは、自国のみではなし得なかった米国とのFTA 交渉の開始を、こうした米国の弱みに乗じてTPP というツールを用いて成し遂げた。
この点で、ニュージーランドはTPPによって米国を分割統治したのである。
(政治軍事力、情報活動力で圧倒する米国の本格的参加は逆に米国の分割の分割統治を招いている。P4国内にも異論が噴出してきた。)
また、日本に関してグローサー大臣は、2009 年5月の時点で、「TPP の更なる拡大は日本の参加に依存する」とし、
日本がTPP交渉参加に向けた協議開始を表明した2011 年11 月には、「現在のTPP9 カ国では米国にとって十分に大きくなく、日本等のTPP への参加はゲームチェンジャーだ」と述べている。
日本がTPP交渉参加に向けた協議開始を表明した2011 年11 月には、「現在のTPP9 カ国では米国にとって十分に大きくなく、日本等のTPP への参加はゲームチェンジャーだ」と述べている。
こうした発言も、米国をTPP に引き込むことで日本にとっての不参加のコストを高める一方で、
日本を引き込むことで米国にとってのTPP の魅力を高めるとのニュージーランドの戦略??を裏付けている。
日本を引き込むことで米国にとってのTPP の魅力を高めるとのニュージーランドの戦略??を裏付けている。
すなわち、それまで二国間EPA の締結要請を一貫して拒否してきた日本を、ニュージーランドがTPP によって分割統治したのである。(ニージーランドが日本を分割統治したのではなく、米国が日本を分割統治した)
5.積み石アプローチの実証:TPP交渉参加国の属性に関する定量分析
>つまり、積み石アプローチは、「高水準の自由化が可能な国々でFTA を締結する」という第1 段階と、「漸進的に参加国を拡大する」という第2 段階から成る。
ここで、「高水準の自由化が可能な国」とは、例えば既に関税率が低いと言ったように、FTA への参加に伴う自由化の政治経済的な費用が低い国であり、
>そうした国々が参加するFTA の貿易創出効果は、たとえ関税を全廃しても相対的に小さいと考えられる。
>これに対して、第1 段階で当該FTA に参加できなかった国々は、FTA への参加費用が高い国々であり、そうした国々が第2 段階でFTA に参加し関税を撤廃すれば、より大きな貿易創出効果をもたらすと想定される。(W原参加国にとって、という意味)
>>したがって、「積み石アプローチ」とは、
ロ)第2 段階で、
そうしたFTA への参加費用の高い国々の参加を促す戦略と再定義することができる。
>>FTA への参加費用を規定する要因としては、
<<「経済規模」、「貿易依存度」、「保護水準」>>が考えられる。
そうしたFTA への参加費用の高い国々の参加を促す戦略と再定義することができる。
>>FTA への参加費用を規定する要因としては、
<<「経済規模」、「貿易依存度」、「保護水準」>>が考えられる。
(W。経済規模大の大、貿易依存度少、保護水準中の日本は集られる。かもがねぎを背負って状態)
6.結論
本稿の分析結果は、日本のFTA 政策のあり方への重要な教訓を示している。
>日本は、今後の地域経済統合を進める上で東アジアとアジア太平洋のどちらを重視するのかという基本戦略すら持たず、TPP 交渉参加問題に翻弄されている点で対照的である。