反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

第五回、福島原発事故事情。◆検証・大震災:福島第1原発 汚染水対策、漂流2年半、(毎日新聞 2013年09月07日 東京朝刊)を俎上に徹底検討する。

 毎日新聞の当該記事は<ウインドファーム、中村隆市ブログ「風の便り」>に記載されたものを要約、修正して使用させていただいた。
 
       *本文の前提
1)福一1~4号基事故以降、大気中に放出され風の流れによって飛散した放射性核物質はチエルノの10%にも満たないものと確信している。
 
2)同時に、福一事故によって、容器や地下にのめりこんだり、海洋に放出された放射性核物質はチェルノの約3倍。
 
 しかも、チェルノは人的犠牲を伴って早期に石棺にたどり着いたが、福一は収束作業のコントロール化におかれていない。
正確に言えば、現場の状態から、チェルノの様な措置は完全に不可能だった。
 
事故レベルが同じという、意味が解る。
収束作業の経済損失は福一のほうが遥かに上だろう。
 
 >ウィキ引用。原子力安全基盤機構の支援を受けた原子力安全・保安院による<MELCOR>W。(コレはナンダ?ガイガーカウンターさえ輸入に頼っているのに)を用いた解析。
 
 W。当局そのものの発表であり、信頼性に乏しい。
素人考えでも、福一の場合、<炉心に蓄積された放射性核物質>と<放出割合>を分けることができるのかどうか、大いに疑問。
 
 しかし、A)原子炉爆発のチエルノ=密閉容器に詰め込んだ爆発物?が一気に密閉容器を破裂させた=一種の爆弾効果で膨大な核種が大気中に飛び散った、~広島原爆ウラン235の50kgのうち1kgしか爆裂が激し過ぎて核分裂しなかった。~チエルノも残存量も多い。
 
 B)ヨーロッパ規模を含めた汚染地図及び福一と同じ縮尺のウクライナベラルーシの汚染地図を厳密に比較検討すると、チエルノの低、中度を含めた汚染地帯は福島より、ズット広範囲とわかる。
 
 従って、大きな傾向は下記のものでよい。
 
ということは、住民の健康被害はあくまでも両者の比較の問題だが、福一が少ないと考える。
(キチンと食物汚染状況を検査することが前提。
又両者を比較の対象とすること自体、無理がある。
体制崩壊時期のソ連と2013年の日本では様々な条件がまるで違う。
確率の視点にのめり込むと、切捨てが生まれる。
が、大きな目安は必要だ。
 
 なお、原発と原爆の単純比較にも無理がある。
蓄積された放射性核種の比較という視点ではゆっくり大量に燃やしている原発が遥かに大きい。ここに注目する)
 
  海洋汚染はどうなんだ、ということになるが、放射性核物質の半減期の推移、希釈、拡散、水産庁の海産物汚染状況の報告にみる海産物汚染の減少は過信できない。
食物汚染の検査も含めて、検査過程に不信感を抱く。
国は全部、民間(自主検査)や地方にマル投げし、サンプル適当選択、数、も少ない。
なんだか肝心なところで国の力が空洞化しているような気がする。グローバル資本制のせいだろうか。
 
 その民間や地方は汚染程度の少ないところを選んで検査している疑いがある。
傾向はハッキリしているのでそういうインチキは可能。
 
>結論的に云えば、食品汚染は生活律を持って、自己防衛するしかない。
 
<代表的な核種における炉心インベントリー=(炉心に蓄積されていた放射性核種の存在量)および(放出割合)の比較>
            チェルノブイリ原発4号機            福島第一原発(1〜3号機の合計)
                                        
 放射性核種(単位省略) ヨウ素131  セシウム137         ヨウ素131    セシウム137  
 
炉心に蓄積された
核種の存在量
       3200   280                  6100      710
 
放出量            1760    85                   160       15
 
放出割合(%)       50~60  20~40                 2、6       2、1 
 
 27年経ったチェルノの再石棺化ー2000名の作業員収束作業に従事の現状から、その数倍、困難な収束作業を要する福一は、今20歳の若者が老人になってもまだ、事故の後始末をしている。
 
>従って福一事故は今後の日本史の大きな階段とみなす。
この長期過程において海洋汚染、の問題が発生する。 
多核種除去装置ALPSの正常運転には素朴な疑問がある。処理量が余りにも多過ぎる割りに、装置はアナログ機械装置。維持には物凄く手間がかかる。トラブル頻発と予測する。
容量の大きな温水プールの浄水装置を想定すると、並大抵でない。塩素剤をぶち込んで循環させているだけじゃない。肝心の除染装置の維持は人手間がかかる。
ましてや対象は高濃度汚染水。
後でALPSの絵図を提示して、考えてみる。
 
東日本大震災、福一原発事故はウクライナベラルーシと意味合いは異なっているが、同じく日本の人口減少の加速要因。
>そうした歴史傾向に陥った場合、日本人が過去にとってきた措置は<間引き><姥捨て>しかありえなかった。
>内向的になってしまうが同時にそれは外に向けての排外を伴う。
上がったものは下に落ちていく。下がったものは上がっていく。
 
         本論引用◆検証・大震災:福島第1原発 汚染水対策、漂流2年半
                     (毎日新聞 2013年09月07日 東京朝刊)
 
   <福一原発汚染水多核種除去装置(ALPS)で除去できない三重水素トリチウム)の行方>
  W。勝手にタイトル変更。
 この視点で本文を読みたい。
共産党の国会議員幹部は最近のインタビューにおいて、トリチウム半減期、約12、年。ベータ崩壊を待って、希釈して海に放出拡散を是認する、とも受け取れる見解を述べていた。
 
 しかし、まず、膨大な貯蔵タンク必要。あの海岸段丘に一日タンク2杯半分の汚染水を無事にを貯め切れるのか?
第二。多核種除去装置(ALPS)は上手く機能するのか?
以下の文中の(W注は後にまとめる)
 
「近藤勉強会では、TMI事故処理対策を徹底的に分析。
>汚染水対策が廃炉に向けた大きなハードルになると認識していた
 TMI(注1)でも汚染水からセシウムなど大半の放射性物質は除去したものの、トリチウム三重水素(注2)は分離できず、最終的には地元の了解を得て、<大気中に蒸発させて処分>した。
 
 だが、日本の場合「湿度が高く放射性物質が拡散しにくいことや、風評被害を広げる恐れがあり、蒸発処分は困難」(原子力委幹部)だ。
>>>このため、近藤勉強会では、汚染水の処分について「トリチウムを<規制値以下に薄めた上で海洋に放出>するしかない」との考えが支配的だった。

 それには福島県など地元の理解が不可欠で、近藤氏は政府・東電が事故処理の進み具合などを地元に丁寧に説明し、対話ルートをつくるように進言していた。
 しかし、国や東電と地元の対話ルートは細かった。(注3)
近藤勉強会に参加した会津大(福島県会津若松市)の角山茂章学長は「TMIのケースでは米規制当局がタウンミーティングまで開いて地元の意見を事故処理に反映させたというが、
福島の場合、意見を言う機会はあまりなく、議論がオープンでなければ不信につながる」と指摘する。TMIの教訓が生かされることはなかった。(注4)
  細野氏の周辺は遮水壁への国費投入について「必要があれば出せる仕組みは作った」という。
W。とりあえず陸側、遮水壁建設計画~陸側に壁を作っても膨大な地下水は海に流れる。陸側には汚染水タンク群が存在する。
 
イ)しかし、政府が予算措置に動いた形跡はない
ロ)当時の政権幹部は取材に「なぜだか分からない」「経緯は知らない」と言うばかり
ハ)財務省にも「事故処理費用は事故を起こした企業が負担するのが原則」との慎重論が根強く、
>ニ)結局、遮水壁着工の是非は東電の判断に委ねられた。」
(注5。イ、ロ、ハ、ニの背景)
 
 地下水流入が汚染水対策の最大の障害であることは誰の目にも明らかだった。
 
W。<東電は陸側、遮水壁よりも井戸からの汲み上げ、バイパスによる海洋放出~海側遮水壁の工法を選択した>。W。カネがかかりすぎというだけじゃない、それなりの合理的な理由はある。

 地下水は海へ一方向に流れており、陸側に遮水壁を設けても汚染水が(しみ出て)海に漏れるリスクは変わらない。
11年10月末、東電はこう説明し、建屋への地下水流入を防ぐ陸側遮水壁の建設を見送る。建設を決めたのは海側だけだった。
 
  W。東電の<地下水くみ上げバイパスで海へ放出、海側遮水壁があれば効果があるだろ計画進行
 
 東電は建屋周辺に井戸を掘り、流入前にくみ上げて海に放出する「バイパス計画」を提示。
経産省資源エネルギー庁も「陸側遮水壁を大規模にやろうとすれば高線量の中、作業が大変でお金もかかる。バイパス計画と海側遮水壁があれば効果があるだろう」と受け入れる。
>>そして、安易な事故終息宣言。
 
>>しかし、翌年の稼働をめざした頼みのアルプスは動かなかった
W。ALPS機能を過信したところに、現場柔軟対応派ではなく、総括原価方式=コストの0、26%利益上乗せの施主、保守屋、せいぜい原子炉設計の東電の最大の限界露呈。
>しかもかかる輩は産業、金融の中枢に位置してきた。
それが今回の事故TPPによる経済構造の大再編によって清算されようとしている。
複雑骨折した外圧による日本資本主義の反国民的超格差社会への急激な再編過程が進行中である
 
◆今年4月 「推定120トン漏水」
 
 ◇地下貯水槽ー破れた信頼
 汚染水をためる地上タンク増設が追いつかなくなる中、東電は12年4月、地下貯水槽の建設に着手。
同時に、地下水が建屋に流れ込む前にくみ上げて海へ流すバイパス計画を実行する準備に入った。
   <注6。建設途上の地下貯水槽のリアルな絵>
 
W。地下貯水槽はアルプスによって、除染した海洋放出用のトリチウム汚染水の一時的な貯蔵所として建設されていた。
低い汚染度を想定していた東電は、シート張りの地下貯蔵所(タンクなんてシロモノではない)とした。

 <地下貯水槽からの高濃度汚染水流出で態度硬化した漁協幹部のジレンマー最後は汚染水の放出を迫られかねないー>
 
 地下貯水槽は穴を掘ってポリエチレンやベントナイトでできた3層の防水シートを敷く。
東電が設計し、ゼネコンの前田建設工業が施工した。
>>アルプスで浄化した低濃度汚染水を入れる予定だった。
しかし(W。アルプスの)設備の強度不足などで本格稼働できず、地下貯水槽には高濃度汚染水が約2万7000トン流し込まれた。
 
>>東電は「貯水槽の安全性は鋼鉄製タンクと差はない」と説明した
(W。この時点でアウト。なし崩し対応。基本的に専門知識乏しい、といおうか土建屋感覚がない。)
 
 福島県漁連の野崎哲会長ら幹部は苦悩した。地下水の海への排出を認めず、このまま汚染水が増え続ければ最後は汚染水自体の海への放出を迫られかねない。
W。冷却水循環?系ではセシウムだけを除去し地下水と混ざった汚染水は地上タンクに移送している。
勿論残り半分以上の600トン/日は垂れ流し~海に流失中。

「自分で自分の首を絞めることになる」。
4月26日の組合長会議で、野崎会長がバイパス計画容認の姿勢を示すと、翌日新聞やテレビが「漁連が放出合意へ」と大きく報じた。
W。地下水の原発施設迂回のバイパス汲み上げる井戸の位置は120トン漏洩の汚染水地下所の下手側と認識する。従って、マスコミ報道を受けた抗議の電話、なりっぱなしは道理がある。
 漁連事務所は組合員からの抗議電話が鳴りっぱなしになった。
7月 後出しの「海洋流出」(コレは300トン漏洩問題)
   (省略)
コレとオリンピック誘致が重なって、陸側、凍土遮水壁300億決定(+ALPS200億)計500億に一気に雪崩れ込む。
 
  ◇泥縄の果て、遮水壁
>>対策委が5月末に打ち出したのは、地下水の流入を防ぐために建屋を囲む遮水壁の建設。
原発事故後の11年6月に東電が「コストが高い」と棚上げした方策の「復活」だった。
 
 土を凍らせるため、地中にある複雑な配管も施工の支障にならない。
工期も18〜24カ月と短く、コストも数百億円で済むとされる。一度は見送られた工法だ。
効果は確かなのか。W.当局方針ヨイショして、反面、逃げを打っている。
 
 W。ま、この辺の記事の持って行きようが、当局の大枠の動き是認追従の日本マスコミの御用の面目躍如。
最初の東電の地下水陸側の井戸汲み上げーバイパス-海放出もそれなりの合理的背景はあり、全面否定できないはず。
遮水壁建設と兼用したいが、地下水バイパス放出にはアレルギーができてしまった、ということか。
 
 大西委員長は毎日新聞の取材に「ベターだがベストではない」と語った
W。ベストなんてあり得ない    
   
    <失敗したら誰が責任を取るんだ。>W.責任感が強いのと真逆じゃないのか?
 9月3日、政府は陸側遮水壁整備などへの国費投入を柱とする汚染水対策の基本方針を発表した。
 だが党内には「国費ではなく、あくまで東電の責任でやるべきだ」という声は少なくない
財務省幹部は「税金を使って対策に失敗したら誰が責任を取れるのか」と冷ややかだ。(注7)
 
 国の迷走はいつまで続くのか。このままでは廃炉計画全体に大きな影響が出るのは必至
>>各(注)は別途提示。