反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

第6回、福島原発事故事情。<緊急会議 飯田哲也×小林武史>2011.04.10 エコレゾウェブ。

 <緊急会議 飯田哲也(注1)×小林武史(W、注2)>2011.04.10 エコレゾウェブ

                 *エネルギーは世代交代の時期がきている
飯田*そもそも原子力発電所には建設してから大体40年という寿命があります。
  今後は原子力発電所が一切建たないことを前提にすると、すでに建っている原発は放っておいても老朽化するので、
結果的に原子力発電所自体が一気に減っていくんですね。つまり、原子力は、一気に衰退していくんです。
 
飯田*この現実論からいくと、いずれにしろ原子力代替エネルギーを作らなくてはいけないんです。
原子力推進派の人はまず、そのことが分かっていないんですね。
 原子力をやっている人のほとんどは、エネルギーのプロではなかったりするので
 
小林*どうしてそんなことが起きてしまうんですか?
 
飯田*原子力というのは、ものすごく壮大なる技術体系で成り立っているんです。タコツボの専門家の集まりなんですね。 それらは原子力のエンジニアリングの話で、
 あとは原子力政策の人が一番エネルギー政策に近いんですが、原子力のことしか見ていないので、エネルギー全体のことを把握している人がいない。
 逆に政府系の研究機関の人は、エネルギーのことは見ているけれど原子力ブラックボックスで、右肩上がりで増えるものだと思い込んでいます。
原発が右肩下がりで一気に減っていくカーブは、政府系の電力中央研究所(W、注3)や日本エネルギー経済研究所がかつて出したことはないんですよね。
「一体、原子炉の寿命をどう考えているんだろう?」と、我々も不思議に思っているんですけれど(笑)。
>そうやって、原子力のプロはエネルギー政策が分からないし、エネルギー政策のプロは原子力が分からない。
>>そういうなかで「現実」が盲点になっていたんです。(W。ここが肝心)
>それに加えて、自然エネルギーが私の予想を超えて爆発的に増えてきた、という現実がある。
 
飯田*日本ではそうなんですが、世界ではこの10年間に爆発的に伸びたんです。
 例えば風力発電の市場は毎年30%ずつくらい拡大していて、去年は世界全体で約2億キロワットの設備容量になりました。
原子力は約4億キロワットなので、今、風力はその半分まで来たんです。
長くて5年、短くて3年で風力発電の発電量は原子力を追い越すというスピードで増えています。
 また、太陽光発電の設備容量はちょっと少ないんですが、それでも毎年60%ずつ増えています
そうした拡大には、経済的に自然エネルギーの買取りを支えることと、送電線の接続を保証することが一番重要です。
>経済的に買い支える仕組みは、固定価格制度と呼ばれる制度(※自然エネルギー発電事業からの電力買い取り価格をあらかじめ法律などによって公表する仕組み)のことを言います。
例えば「20年間、風力はいくらで買い取ります」、ということが保障されると企業は安心して投資ができますし、銀行もリスクが少ないので安心してお金が貸せます。
それが実現できた国や地域で、次々と発電量が爆発的に増えているんです。
2000年当時には世界で数か国しか導入していなかった固定価格制度が、今や83か国が導入するまでマーケットが拡大している。
 
飯田*送電線の制度に関しては、ヨーロッパで2000年に最初に導入したのが、
>もともとドイツとデンマークがやっていた、"優先接続(プライオリティ・アクセス)"というもので「自然エネルギーは他の電源よりも優先して送電線に繋ぎなさい」という法律です。
 電線に接続できて、それが高値で売れれば普及していくということですね
 中国はそれを2006年に導入してから倍々ゲームになっていて、今や世界で一番、風力発電による電力が増えているんです。
一番新しいところでは、カナダのモントリオール州は、自然エネルギーの企業だけでも1兆円以上の投資が起きています。
それに、フィリピンやマレーシアなどの東南アジアでも進んでいるんです。
 タイは5年前に、今回追い出されたタクシン首相が固定価格制度を導入して、太陽光などを入れると農家の人が儲かる仕組みを作ったんです。
だからタイの農村では、国王の写真と共にタクシン首相の写真が飾ってあって、拝まれているんですよ。インドネシアももうすぐ導入する予定です。
もうひとつは、小規模分散型の製品はパソコンや携帯や液晶テレビと一緒で、普及すればするほど価格が安くなる。
>>このように原子力が消えていく現実と、自然エネルギーの急速な普及とが、クロスしているというところに今ちょうど来ている

        注1。飯田哲也
 環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長。京都大学原子核工学専攻修了。神戸製鋼に就職。出向先の電力中央研究所(W注3)で原子力研究開発に従事した経歴を持つ。
対談の飯田発言=「福島第一原子力発電所の横に、唯一安全な状態にある使用済み燃料の貯蔵キャスクというものがあります。
あれは、私が設計を担当したもので、その安全審査にも関わりました。
その貯蔵キャスクに使われている中性子を遮蔽する材料も、私が開発したものなんです。」
 また、各電力会社の電気料金の0.2%が運営資金である電中研と原子力安全委員会(3、11によって安全神話が吹き飛んだことから、原子力規制委員会と偽装)のツーカーの関係から
原子力安全委員会のもとで新しい安全技術基準を作るという仕事に携わりました。」
 その後、スウェーデンのルンド大学客員研究員時代に日本のエネルギー政策、原子力政策との余りの違いに目覚め、現在は持続可能なエネルギー政策の実現を目的とするISEPの代表を務めつつ、複数の環境NGOを主宰。
  研究、実務、海外事情に通じた民間の理論派。日本では珍しい存在、と一応しておこう。
 2012年暮れの衆院選公示直前に滋賀県知事カタ、社民党アベ、国民新党カメイと共に民主党集団離党後、人気の上がらない小沢派=生活第一党と連携し共同代表に就任するも、
選挙結果が振るわないこともあって、小沢氏の処遇を巡って、実権を握る小沢派と敵対関係に陥り、党は早々と空中分解。
 唯一の非政治家、飯田は議席を確保できなかったことから、大きな政治的ダメージを受けたものと想われる。
 
 公示直前の深夜に及ぶ岩上安見のインタビュー長時間動画を視聴した当時の感想。
1)飯田哲也民主党によくいる高学歴議員と同じような政治傾向を持っている。(事業仕分けスタイルに現象)
必ず、リアル政治の壁にぶち当たり、そこが正念場、になるとみた。
 
2) リアル政治における個人の知の力を過信しすぎているし、現状の政治分析は安易(右、左、中道リベラルなどという色分けはこの時代には通用しない)で予知能力も甘い。日本国民の現状の政治意識に対する認識も甘い。
3)具体的には小沢一郎と取り巻き、の政治結節点において繰り返されてきた個人政治優先の懲りないあり方、に対する認識が足りなかったようだ。
小沢氏の現実政治における生の軌跡をキチンと調べて、持論を持っておくべきだった。
 小沢氏らの懲りない政治体質では、内部対立に陥ったとき、一歩引く、回り道をして最終目的を達成する、という戦略は望めない。あくまでも目先の戦術的対応に終始する。
小沢氏の政治傾向では一歩引いて、新参者を大きく包摂する道は選択できない。
政権接近や参加が叶わない場合は、個人政治への純化(政治思想的な中身なく、張りぼて。)する。付いいけないものは袂を分かつしかない。
  
       注2。小林武史
 1959年6月7日 - )は、山形県新庄市出身の音楽家、音楽プロデューサー、作詞家、作曲家、編曲家、ミュージシャン。山形県立新庄北高等学校卒業。烏龍舎代表取締役社長。
ap bank代表理事。<音楽制作者連盟理事>今までこういうヒトの存在を知らなかったがJポップ業界の実力者である。  
     <音楽業歴>本物のミュージシャンである。
 5歳からクラシックピアノを始めた。兄の影響もあって多くの音楽、特に洋楽を聴いて育った。高校の頃には、ジャズ理論なども自ら学ぶ。
後に、バークリー音楽大学から帰ってきた先生にバークリーメソッド方法で音楽理論を個人的に学んでいた。
バンドを組んで自作曲を演奏したり米軍キャンプ回りをする一方、20歳の頃にはスタジオミュージシャン(キーボーディスト)としても活動を始める。
バークリー音楽大学に行きたい気持ちもあったが、日本でもある程度学べたことと仕事が増えたことで、実践で経験をつけていった。
25歳の頃、大村憲司(赤い鳥にも参加)との出会いをきっかけに井上陽水坂本龍一高橋幸宏大貫妙子など数多くのアーティストの楽曲やライブにキーボーディストとして参加したり、松本隆筒美京平コンビの楽曲の編曲を手掛けるなど、あっという間に引っ張りだことなる。
     <TK時代>(小室哲也TKとイニシャル同じ)
 省略
     ap bankでの活動>
 2003年に桜井(ミスターチルドレン)、坂本龍一らと共に環境プロジェクトへの非営利融資機関「ap bank」を設立。
 省略
東日本大震災以降はap bankの活動をさらに精力的に進めている。
 以上。なんだかよく解らないが、そういうことらしい。ミスターチルドレンをユーチューブで数曲視聴してみたが、ヤッパリよく解らなかった。
  
       注3。電力中央研究所
東京電力などの電気料金の0.2%が運営資金である。
W。電力公共料金を支払う国民は電気料金の0、2%のカネが(予算333億円ー2012年度ー)総勢840人の民間シンクタンクにつぎ込まれていることを知らないし

 3、11原発事故を受けて、このことは国会で問題になったのか?。
 
 飯田哲也のキャリアを見れば、神戸製鋼から派遣された電中研在籍中に<原子力安全委員会の新しい安全技術基準を作るという仕事>や、
さらに驚くべきことに、「最後は、原子力安全委員会からの答申文書も私が書いたこともありました(笑)」とある

 
 総勢840名(研究員740名)にも拘らず、予算333億の機構のアンバランスな機構では、現実的な仕事内容は原子力安全委員会の下請け作業も含まれるのは当たり前の成り行きである。
 原子力安全委員会から原子力規制委員会に改組されが、実体的的な関係はどうなっているのか?
原子力の世界では専門家が<いそうでいない、らしい>から、癒着関係は断ち切ることができないだろう。
 官民融合独占企業体制の経済的基礎は不当な国民収奪にある。
低成長時代にこの本質は表面化する。原発事故と遠い収束過程は、隠れていたものが一気に噴出したとも言える。
 
 ガス料金も、元々高過ぎる料金(大口需要者、一般家庭を合計した金額は韓国の1、2倍)を極端に一般家庭の使用料金にしわ寄せしている。
韓国と比べて、旧設備網が多く、維持管理費がかかるなどと言い訳しているが、納得できない。
日本のガス需要は足元を見られて、高値で買わされてきた側面がある。究極は国際政治力の問題。
 
       *どうして日本では自然エネルギーが普及しないのか?
飯田*社会的合意不在」が大きいですね。
 大話といいますが、「鳥」、「景観」、「低周波」(※風車に鳥がぶつかってしまうバードストライク、景観をそこなうこと、風車によって発するといわれている低周波の問題)。(注。この他にも問題がある)
でもね、
 例えばデンマークでは、そういった反対運動はほとんどないんです。大きく2つの理由があります。
第1の理由は、あらかじめ風力発電を作って良い場所とダメな場所というように、地域社会との合意のもとで土地利用を分けているんですね。
 あらかじめそういう区分けを作っておけば、例えば鳥だったら「鳥に対して影響を与えそうなところは外しておきましょう」といったことができますし、
低周波だったら住宅から距離を700メートルくらい置いておけば問題ないといわれます。
 もっと大事なのが、風力発電を誰が作って、誰が持っているのかということです。デンマークにある風車の85%は、原則として地域の人が持っているんです。
その地域社会に売電の売上が戻っていくので、基本的によそ者風車ではなくてMy風車、とかOur風車という感覚なんです。
小林:大きくいうと「電力会社の独占」と「貧しい支援政策」があると思うんです。
 
      *エネルギーを民主主義で決めていく北欧。そうでない日本。
小林:原子力発電のコストってどうなってるの?
 
飯田:原子力のコストは、まさに致命的な部分です。これには、2つポイントがあります。
 
 まず原子力はコスト以前にリスクが問題なのです。これは安全性のリスクよりもむしろ、金融投資リスクなんです。
今回の福島原発の事故があって、アメリカで原子力の計画をしていたNRGエナジーも、先週、原発増設計画をキャンセルしました。
 また日本でも、東芝と東電が国際協力銀行と組んで融資をしようとしていたサウステキサスという原子力発電所は、
いわゆる2基の原発を当初52億ドル、1ドル100円とすると約5200億円で5年前に計画したところ、
今の見通しは180億ドル・約1兆8000万円にまで高騰して、アメリカの投資家がみんな逃げてしまったんです。
 
 フィンランドオルキルオト原子力発電所でも、当初32憶ユーロ、約4000億円で原発を1基作り始めたところ、どんどん追加費用がかさんで、今や1兆5000億円くらいになっているんです。
しかも、遅延に次ぐ遅延で、いつ完成するか分からない。そういった巨額投資で長期間回収しなくてはいけないものは、ものすごくリスクがあるじゃないですか
   続く