反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

第十一回、福島原発事故事情。週刊現代 2013年10月26日記事。現場作業員A、B、C、Dさんたちの生々しい現場証言。ご苦労様!応援しています。誰かがやらなくてはならない。

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                ー福島の悲劇を二度と繰り返さないためにー2013年10月24日 (木)
                                   
              週刊現代 2013年10月26日、引用記事
 作業員A/神奈川県出身の30代男性。事故直後、自ら志願して福島へ
 作業員B/大阪府出身の40代男性。いわき市の寮から、原発に通う
 作業員C/東京都出身の20代男性。街中で声をかけられ転職を決意
 作業員D/事故前から福島第一で働く地元・福島県出身のベテラン
 
■ 間抜けなことばかり起きる
作業員A (/神奈川県出身の30代男性。事故直後、自ら志願して福島へ~志願と略
 先日もホースの交換中に汚染水が漏れて作業員6人が被曝するトラブルがあったけど、原発汚染水漏れはほとんどが初歩的なミス。
8~9割がヒューマンエラーだと思う。
 
作業員B (/大阪府出身の40代男性。いわき市の寮から、原発に通う~大阪40と
 作業員の士気、相当低いからね。とにかくコロコロ人が替わるから、責任感みたいなものがない。
  いま一緒に作業しとる仲間の前職は新宿の居酒屋店員、プールの監視員、塾の講師、トラック運転手とど素人ばかり。熟練さんがおらん
W。全体が危険作業現場の福一は単純作業でも持ち場の作業に慣れることが必要。ころころヒトが替わったり、元々現場作業と縁遠いヒトが多くては、作業を習熟するまで時間がかかる。仕事になれたころにやめてしまう、の繰り返し。もっとも被爆という厳しい現実や労働条件、労働環境の問題が放置されていることも問題。福一はこれからの労働環境の煎じ詰めた暗示である。)
 
作業員C (/東京都出身の20代男性。街中で声をかけられ転職を決意~東京街と略
 僕はフリーターでした。原発内の前線基地である免震重要棟と隣接するプレハブ小屋に出入りする  作業員たちの、備品や汚染度の管理をする仕事をやっていまして、同僚は10代後半から60代まで数十人。
北海道から九州まで全国から来ていますけど、地元の福島の人が一番多いかな
>それはいいんですが、とにかく現場がいい加減。
 被曝講習がJヴィレッジ(福島第一原発から20kmの距離にある東電の後方拠点)で行われたんですが、ビデオを観た後にテストがあって、それをクリアすると講義を受けてまたテスト。中には居眠りしている同僚もいたんですが、全員合格。ようは形だけなんです。
 
作業員B 大阪40
>>現場でも東電が作業員に直接指示を出すことは、ほとんどない。あっても「早くしろ」「時間がない」く らいやね。
 >こないだ安倍さんが視察に来たけど、ホンマ、大迷惑でした。
というのも「安倍さんに汚いところを見せられない。ガレキを片付けろ!」と東電に言われ、1週間もかけて現場の掃除をやらされたんです。
掃除で作業が滞るというアホらしさ。
 安倍さんが見たのはほんとのイチエフ(福島第一原発)の姿やないですよ(笑)。
 俺たちは何が起きてるんか、これからどないなるんか、何もわからん。
毎日毎日、自分の作業が何のためになるんかもわからず、ただ言われたとおり動いとる。
 
作業員A/神奈川志願)
 だから、ゴムシートを現場に置き忘れて、それが排水口に詰まるなんて、初歩的なミスが起きる。  
 「それぐらいで?」と思うかもしれないけど、原発ではちょっとした落とし物でも大事故につながる
W。よく解っている!
構内には「ゴミを落とすな」という張り紙があちらこちらにあるくらい。
からしたら、ゴムシートを放置するなんて考えられない。
 原子炉からALPS(放射性物質除去装置)へ汚染水を注ぐホースにゴムのカスを詰まらせたときは、原子炉の冷却ができなくなって、温度が上昇。「何があったんだ?」と大騒ぎになった。
 
作業員D (/事故前から福島第一で働く地元・福島県出身のベテラン~福一地元ベテランと略
 汚染水タンクの配管も、どれだけ傷んでいるか想像もつかないですよね。
とにかく「急げ、急げ」と急かされて作ったから、純正品ではなく、既製品を組み合わせている。
配管として使っていた市販のホースがチガヤという雑草のせいで穴があくというマヌケな事故もありましたよね
W。メーカー発注生産は「原子力に急き立てられて」、無理だった。市場既製品の調達による組み立て~
結局、間違いや失敗を犯しながら現場で改善していくしかない。ALPS、凍土遮水壁という収束作業のキーポイントにしても実情はコレ。いいように解釈すれば、政府、東電、原発関連、プライドが邪魔をして、実情を正直に伝えられ内面がある。悪く言えば、~ま、イロイロ表現はある。丁度、この期において特定秘密保護法閣議決定された。
こういう次代に必ず露出する歴史的大きな習性?。
一方、キチンとやれと求める方にも同じような傾向がある(特にマスコミ)
 
作業員C (東京街)
汚染水タンクの設置当初から水漏れは懸念されていましたけど、そうした声は東電に伝わらない。  
W。この方もなかなか解っている御人である。
東電はタンクをパトロールしていると言ってますが、1000基あるタンクを二人で2~3時間で見るわけでしょ? 
長く見積もっても1基あたり30秒弱。連結部分は数万ヵ所あるわけで、とてもチェックできない。
 
■ 自分も海に汚染水を流した
作業員B (/大阪40)
だいたい、タンクから漏れてる汚染水なんて、雨が降ったら確認は不可能。漏れてるのか雨なのか 区別がつかん。
>地下水に至っては、想像もつかんよねW。平気で流入地下水1000トンなどという数字を出している。その処理を批判した前日記載した毎日新聞サイエンスの記事もなんだか数字の部分がよく解らなかった。「>地下水に至っては、想像もつかんよね」コレが実情ではないか。
 
 側溝にも明らかに汚染水と思われる液体がたくさん流れとるけどパッと見、普通の水。
>よく「今日は何tの汚染水漏れが見つかりました」とニュースでやっとるけど、報道される数字は少なすぎる。
ハンパやない量が流れてますよ。
>せんだって、台風が上陸したときなんて、大雨で側溝の水が溢れそうになったので、海に捨てました。
流した水の放射線量を測定しなかったことを責められましたが、あえて測定せんのですよ。数値によっては犯罪になってまうから。
 W。う~ん。こんな末端判断はあり得ない。報告、連絡、相談途切れている。
なんだか現場末端が荒んでるなぁ~。
 
作業員A (神奈川志願)
 >>ただ、外部被曝に関しては、多少はマシになった
東電がサーベイマップを公開していて、高線量の場所がわかるから。
毎時70~80シーベルトという超高線量のところは鉄板で覆ったうえで、張り紙をして、注意喚起している。
 
作業員B (大阪40)
>>でも、福島第一原発には、地雷みたいに、とんでもない高線量のところがまだまだある
 原子炉建屋の山側の道を車で走ると、いまもピューッと線量があがりますよ
W.どうして?膨大なタンク群、連結配管から汚染水漏れの影響としか考えられない
>>特に2号機と3号機の間。あそこは加速して突っ切ります。
W。この場所の高線量は解る。3号基の破壊ぶりは凄まじい。使用済み燃料プールは大破し、使用済み燃料のかなりのものは吹き飛んだ。これは後の作業員Dさんの発言によって確認できる。
>>3月にネズミが仮設の配電盤をかじって停電したよね? 
どこが停電したか、みんなわかっとったけど、線量が高いと有名なところだったから、誰も現場に行きたがらんかった。
 
作業員A (神奈川志願)
>>熟練作業員の不足は深刻。素人が10人いるより、技術を持った一人のほうが仕事は捗る。
震災後、原発作業員の年間被曝量の上限が50から250ミリシーベルトに上げられたけど、福島第一原発ではそれでもすぐ、被曝限度を喰ってしまって、働けなくなる。
>>>熟練工は『高線量部隊』と呼ばれる、原発により近い現場で働くので、だいたい1~2週間で限度オーバーになってしまう。
 
作業員B (大阪40)
>>そんなリスクをおかして、手当もピンハネされてロクにもらえんなら、イチエフを選ぶ理由はない
W.素人しか集まらない現場と労働市場の厳しい現実。であれば、東京五輪の槌音が聞こえ出したらどうなるか、火を見るより明らか。
 
作業員C (/東京街20)
 作業員には通いと泊まりがありますが、小さい下請けに入ってしまうと、16時間も拘束されることがある。
長時間労働、低賃金、残業手当なしの世界。
W.ブラック企業大国日本を目指す縮図が福一に。この現実は事実上、政府容認に格上げされた。
アベチャンは相変わらず福一に関してもしても勇ましい。
 
作業員B (大阪40)>>ウチの会社はプレハブの寮に住んでいる人が多いかな。
 事故直後は地元の温泉街の宿やったから、ランクは相当落ちた。
それにこの寮というのが、メシがまずくてね。「東電が全然、お金をかけてくれない」って食堂のオバちゃんが嘆いてた。
 
作業員D (福一地元ベテラン)
>作業員の装備が野田政権の収束宣言('11年12月)以降、ずいぶんと軽くなりましたよね。
実態を無視した事実上の犯罪行為。
東電が予算を削っているからでしょう。
>>性能のいいチャコール(活性炭)フィルター付きマスクから市販の使い捨てマスクになった。
>>それどころか、マスクなしで作業するエリアもできた。
>>作業員を運搬する車両で汚染物を運ぶこともあるんだから、マスクなしのエリアなんてありえないのに
 
作業員B (大阪40)
メディカルチェックは受けとる?
 
作業員C (東京街20)
3ヵ月に一度、ホールボディカウンターで内部被曝の検査をしてます。
その他、契約している総合病院での定期検診が3~4ヵ月に1回ありますね。
 
作業員B (大阪40)
一緒に働いていた人で、東京の人と広島だか山口だかの人が突然死しましたわ。被曝とは関係ないって言われとるけど……。ただ、労働条件が過酷なのは間違いない。夏なんて、シャワー浴びたのかってくらい、汗をかく。
 
作業員D (福一地元ベテラン)
 ケアの面もどんどん悪くなってます。
以前は線量オーバーで離職した人間は、半年か年に1回は人間ドックを受けられたり、無料の健康相談があった。
 それがいまはよほど高い線量で被曝したケースじゃないと、そういうケアはない。
私は最近、すごく風邪をひきやすくなった。過労のせいもあるだろうけど、すごく不安です。
 
作業員C (東京街20)
>>使い捨てにされてる感がありますね。
作業員は原発内のプレハブで休憩したり、食事をしたりするんですが、誰がどこで何の作業をしていたか、一切知らされない。W。横の繋がりができたら、現場管理上拙いことに発展することを恐れて分断している。
将来の市場原理主義の収奪の檻の典型をここにみる。
僕はそんな作業員たちが着ていたものの廃棄や処分をやるんです。
>>ハサミを入れて脱がせるんですが、下手したらこっちも被曝する。
>>なのに東電は放射線測定時間の短縮を求めてくるからチェックが甘くなる。
>>一番ヒヤリとしたのは、作業中に何かが指に刺さって血が出たとき。
>>トラブルが表沙汰になれば現場責任者も咎められるから、黙ってました。
 
 
■ 毎日、放射能を浴びている
作業員B (大阪40)
汚染水処理にしたって、いまはそれを最優先にしているけど、肝心の汚染水を流すホース さえ、事故当時のまま使っているから、劣化が激しく、あちらこちらから水漏れする有り様。
原子炉建屋もボロボロのまま。満身創痍ですわ。
>>>3号機なんていまも、原子炉の中がどうなってるかわからないですからね。
>>>放射線量が高すぎて、ロボットも入れない。
 
作業員D (福一ベテラン)
汚染水以外のことが後回しになっています。たとえば1号機、2号機の排気筒のヒビ。
崩壊すれば毎時10シーベルト放射性物質が放出されかねないのに、まったく報道されない。
これ、1時間浴びれば死んでしまうレベルの線量です。
>>>ヘドロ化した汚染物や、
>>>原子炉建屋が水素爆発した際に飛び散った燃料棒の欠片が海に流れる可能性だってある
W.この箇所注目。使用済み燃料プールから飛び散った航空写真に写っていた使用済み燃料棒の後片付けも万全じゃないんだ。だろうな、相当散らばっていた。その中にはまだホットなものもあったはず
 
作業員A (神奈川志願)
余震も怖い。地震が発生したら、免震重要棟へ逃げるようになっているけど、指示がおおざっぱ。
 
作業員B (大阪40)
地震が起きると構内放送で知らせてくれるんやけど、マスクをかぶっとるから、なかなか聞 こえへん。
>しかも、防護服を着ていては機敏に動けない。
震度4くらいの揺れでも「うわ!」ってみんなパニックになっとるもんね。
ずっと原発で作業しとれば慣れるんやろうけど、人がコロコロ替わるから。
そういえば、「現場で大ケガしても、ドクターヘリが来ますから」なんて東電は胸を張ってたけど、実際にケガ人が出たときにヘリが来るまで1時間以上もかかって、「救急車のほうが早いわ」と怒られとったな(笑)。
 
作業員C (東京街20)
私の所属する下請け会社には保安担当者がいて、地震の際は彼らの指示に従うよう言われています。
地震が起きると、保安担当が現場を見まわって、異常の有無を確認して会社へ報告していますね。
 
作業員D (福一ベテラン)
浜岡原発は防潮堤のかさ上げをしているけど、イチエフにはお粗末な、石を金網で包んだ仮設防潮堤しかない。順番が逆でしょう。
 
作業員A (神奈川志願)
東京オリンピック招致に際して、安倍首相が「状況はコントロールできている」と安全 宣言したけど、あれはどこの話なんですかね
それどころか、ゼネコンが集めてくる作業員たちはいずれオリンピック関連工事に取られると思う。
安倍は無責任すぎるよ。
 
 
■ じきにヤクザも逃げ出す
作業員D (福一ベテラン)
>>もちろん、我々にもやらなくちゃいけないという思いはあるんですが、正直キツい。
>>>作業員の数は変わらないのに、仕事は増えていくばかり。
>>>トラブルが起きれば、その対応でまた仕事量が増える。
>>>キャパシティを超えて、みんな疲れきっています。「汚染水を処理する」ことばかり注目されていますが、>>>現場の感覚からすると、放射性物質を取り除いた低濃度の汚染水を海に流せるように政治の力で話をつけてもらわないと意味がない。
>>>処理後の汚染水が貯まる一方で、いまでもタンク工場みたいになっている。
W,現場感覚で福一事故現場作業の全体像と展望をみた正直な意見。
恐らく東電、政府の本音とも大して違わない。
 
作業員B (大阪40)あとは作業員を増やすべき。
>>特に熟練工を福島に戻さんと。
 
作業員D (福一ベテラン)
>>東電は、最初は威勢のいいことを言うんです。
『お金がかかってもいいから、ちゃんと収束させましょう』と。
>>ところが、実態が伴わない。
>>>これから廃炉まで30年も40年もかかるのに、作業員の詰め所はプレハブにクッションシートを敷いた簡素なもの。
汚染水用のタンクもそう、「カネがないカネがない」でも「急げ急げ」で造ったから、トラブルが絶えない。
 
作業員C (東京街20)
一部の東電の協力会社がバカみたいな安い値段で入札して、イチエフの労働価格のデフレを引き起こしたのも問題。
>>労働者の中には借金などでヤクザに送り込まれた人や食い詰めたヤクザ本人がいる。現場はヤクザとど素人ばかりです……。
 
作業員B (大阪40)
原発に潜入したジャーナリストが「作業員の1割はヤクザ」と本で書いとったけど、たしかにヤクザ者は増えた。刺青入れた作業員にも会ったことあるわ。
>>安く人を派遣して中抜きしたり、単純にシノギとして若い衆を派遣したりしとるんやろね。
>>>一方でヤクザに頼りでもしないと、人が集まらんのも事実。
 
作業員D (福一ベテラン)
>>>>そもそも事故対策を考えてなかった会社に事故対応をやらせることが間違い。
W。核心を突いたパラドックス。もっとも、国が前面にでてきたからといって、肝心な局面で国民を大切にしない、ことがモットのなのだから。
>>しかもプライドは高いから「このままでは無理です」と頭を下げることもできない。
>>汚染水はどんどん増えるのに、作業員はどんどん減っていく。
それなのに子ども・被災者支援法はあっても被曝労働者の支援法はないというんだから、そのうち素人もヤクザもイチエフからいなくなってしまいますよ。
 
週刊現代 2013年10月26日     終わり
 
    <追記>
 福一原発現場作業は少しずつ前に進んでいると考える。
が、福一原発事故は今後の日本の歴史的局面である。日本の現状と将来の核心を知りたい。
 
 2013/10/24 「民間大使が見た日本外交―これからの日中関係を考える」丹羽宇一郎×鳥越俊太郎 新外交イニシアティブシンポジウム 。
日中、日米は鏡、相似形である。参考意見を聞く。歴史の動力を知る。