反俗日記

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対談]ブルース・カミングスとパク・ミョンニムが語る戦後70年と北東アジア 2014.10.31 21:22

対談]ブルース・カミングスとパク・ミョンニムが語る戦後70年と北東アジア 2014.10.31 21:22
「韓国の産業・国力を考慮すれば戦時作戦統制権の移管延期は理解できない」
カミングス教授
 
安倍内閣に危険性はあるものの
日本国内に反対者が多いので心配はしていない
米国は核を保有した中国との修交で
相互間の戦争を完全に遮断
北の核を解決するには
米国の対北朝鮮関係正常化がカギ
 

ブルース・カミングス(以下、カミングス)
ただし米軍の駐留自体は一般的現象と言える。 米国は第2次大戦後、多くの同盟国家に以前とは次元の異なる安保を提供し、冷戦を経て米国の影響力は一層拡大した。
>これは歴史的に類例がない形態の安保依存だったが、(各国の)指導者はこのような構造から抜け出そうとはしなかった。
>?なぜなら、日本に米軍が仮にいなかったとすれば、実質的な大規模軍隊を持つとして東アジア安保の緊張を呼び起こしただろうし、ドイツでも同じことが起きただろう。
日本とドイツへの米軍駐留は、両国の真の‘過去克服’と‘戦後’を見えないものにした。
パク:ヨーロッパには連合国が多者間合意を通じて構築したヤルタ体制があった一方で、東アジアには米国が単独で設定した一般命令1号体制があった。 そして、こちらでは戦犯国家日本の代わりに植民または半植民国家であった韓国、中国、東南アジアが分断された。韓国戦争以後に続いたサンフランシスコ体制もやはり一般命令1号体制の変形された延長だった。 ヨーロッパのヤルタ体制は崩壊したが、東アジアのサンフランシスコ体制は今も続いている。
 カミングス:二つの体制が構築されてドイツは分断された反面、日本は米国が単独占領して分断どころか‘安楽な平和’を与えられた。ひどい歴史の不正義だった。W?歴史に正義も不正義もあるもんか!
米国は当時、日本を完全に正さなければならないとは考えなかった。 731部隊生体実験のようなおぞましいこともきちんと整理しないまま埋めた。これは朝鮮戦争とその戦後にも続く問題の種になった。日本が戦争犯罪に対してどのような代価を払うべきかも、サンフランシスコ講和条約は適切に扱わなかった。日本軍‘性奴隷’、強制徴用などについても何も要求できなくした。この点がヨーロッパとは大きく違っていた。そのうえ、西ドイツは戦争犯罪に対して贖罪するため多くの努力をした。
パク:そうだ。 戦後継続されたアメリカによる日本偏向、日本重視の政策が今日の東アジア葛藤問題の最も重要な原因だ。W。この思考経路は基調をなしている率直な国民意識の反映であろうが、国家、民族をを超えた東アジアの統一的価値基準の形成への努力を望む!しっかりしないと利用されるだけだ。
ところで、中国革命、朝鮮戦争ベトナム戦争など世界的な理念対決が、東アジアでは毎回熱戦として爆発したという要因も重要だった。
事実、冷戦初期の東アジアは激烈な熱戦地帯だった。
W。冷戦初期の熱戦地帯であったがゆえに、また米国の直接の敵国だった日本優遇、ともいえる。
カミングス:同意する。 共産主義反共主義だけが重要だったその時期、過去の問題には割り込む余地がなかった。
このような問題が議論されることを願わなかった韓国と台湾の独裁政権にも一定の責任がある
*戦後40年ほど続いた韓国と台湾の独裁体制が、1980年代末に崩れて実現した民主化は、冷戦の終息と時期的に一致した。
*この時から日本に対する過去の問題に対する謝罪要求に火が点いた。
W,熱戦体制の時代に冷凍保存されていた、日本の植民地支配のリアルな問題が表面化した。
W.冷戦体制崩壊と同時進行した東西両ドイツ統一は、統一ドイツ出現への恐怖を周辺国に呼び起した。そのドイツを抱え込み封じ込める意味もあって、フランスミッテランとイギリスサッチャーは手を結んで、EU結成を急いだ。
W.EU結成の際の、統一イデオロギーとして、ナチスドイツのユダヤ人大量虐殺への贖罪が浮上したものと思われる。
W。また、韓国の民主化によって、独裁体制下で封印されていた、日本の植民地時代の過去の事実が表面化した。中国の場合も天安門民主化闘争の影響があるだろう。
W。ともに冷戦体制崩壊によって生まれた、過去の問題への追求だが、東西では事情が違っており、キャロル、グラックの1990年代の世界的新イデオロギー説は間違い。
パク:‘日本問題’と呼べる東アジアの過去の問題は、未だ解決の兆しが見られない。 その代わりに、今日東アジアでは強力な民族主義が台頭している。
性奴隷、領土紛争、教科書論議靖国神社参拝など過去の問題が深刻に拡大している反面、経済的には領域内国家がより一層接近するいわゆる‘アジアパラドックスも議論されている。
しかし、実際には‘ヨーロッパパラドックス’はアジアより一層激しかった。キリスト教、自由、平等、議会民主主義、国際公法体制を発展させてきたヨーロッパでは、二回の残酷な世界大戦、人種主義、全体主義ホロコーストを含む最もおぞましい反人道主義を露呈した経緯がある
W。東アジアの民族主義の台頭と、二つの世界戦争の発火点になったヨーロッパの激烈な対立を対照にするあたり、なかなか視野が広く、思考も柔軟!日本の知識層にはいないタイプ。参考になる!
カミングス:戦争は全てをあからさまにさせる。第2次大戦時期に乱舞した極端主義と葛藤を、ヨーロッパの人々は二度と体験したくないと思った。それが今日の平和と統合の土台になった。
W?2回も世界戦争をしたら骨身に染みた。人間は愚かな存在なのか? それとも、ヨーロッパの体制はそれほど矛盾をはらんでいたのか?もともと戦争をはらむ資本主義経済と政治という問題に純化することもできる。
>東アジアで民族主義が台頭することになったのは、米国が日本には‘安楽な平和’を与えた反面、別の国家を分断させたためだ。
W。確かに民衆レベルの共同政治幻想の意識のずれが生じる
 2次大戦以後、韓国と日本に進出した米資本は、1970年代に入りニクソン行政府が関係を結び始めた中国にも踏み台を用意した。
W。米国の権益の立場からはそういう見方もできるのか?初耳だ!
このような形で経済関係が好転しても、安保、過去事、領土紛争などが未解決のまま残るのは予測可能なことだった。
今日、韓国も中国も日本も全てが強い国になった状態で、領土、民族、歴史など第2次大戦の遺産が問題になるのは驚くことではない
Wこの見方は、同感する。
パク:>ところで中国の浮上以後、日本は再び米国の安保の傘に回帰して、東アジア国家らと葛藤を起こしている。 独島(ドクト)問題、尖閣/釣魚島問題、解釈改憲、集団自衛権の問題に見るように、長期的に日本要因はまた別の平和威嚇要素として迫ってくる。
W。実に参考になる!海を隔てると、こうも見方が違うのか!日本では、主として米国の強力な圧力に呼応する形で解釈改憲、集団時経験自体が生じているという見方が一般的だ
しかし、「中国の浮上以後、日本は再び米国の安保の傘に回帰して」というのは、的を外していない見方だ。日本従属論は通用しないということだ。「覇権」をもとめてきた日本の現状に対するごまかしがある。
 カミングス:独裁を経験した人々は独裁を徹底的に嫌う。 必ずしも抵抗しないかもしれないが嫌う。
>日本の人々は帝国主義日本が犯したことを嫌っている。W?
 現在の安倍内閣の過去に対する態度もまた、日本の人々は好きでない。 私は安倍内閣について大きな心配はしていない。日本国内の世論調査を見れば、憲法改正核武装などに対して友好的でない。安倍内閣が見せている傾向は危険だが、日本も民主化された国家であるから政治的に限界がある。
W.この発言内容はパクの前言と重ならないところがある。キャロルグラックも同じような日本国民の民主主義意識への信頼を語っている。
しかし、日本の現状の国会の党派別構成だけ見ても、彼らの楽観の根拠もあやしくなる。ヨーロッパの二度の失敗のケースもある。
現状の日本の多くの「とにかく憲法の平和主義、国民主権基本的人権の3原則はを守ろう」という人たちの心の奥底には改憲すれば民意は暴走してしまう、という危惧というか政治的直観がある。
>たとえ形式に流れているにしても、市民革命を実質的にGHQにやってもらった日本国民には大きな歯止めがいるんですよ意匠で縛るしかない、というあやふやな状態なんだ。
 パク:では朝鮮半島問題を見よう。 歴史的に見れば、米国はかつて敵対したほとんどすべての国家と一世代以内に外交関係を回復してきた。ロシア、ドイツ、日本はもちろん、中国、ベトナムともそうだった。そして、その正常化を通じてアメリカは国益と領域内の安定を得た。しかし、北朝鮮とは二世代を越えて敵対関係を持続している。朝鮮半島問題の未解決も、実際は北朝鮮と米国の敵対関係の例外的長期持続から来ている側面が大きい。
オバマ政府も事実上核保有国になろうとしている北朝鮮との距離を狭められずにいる。 これまで北朝鮮と米国は関係正常化ができない理由が常にあった。
パク:北朝鮮-米国関係の正常化と韓半島統一は、世界および東アジアで第2次大戦の遺産と冷戦の残滓を終息させる最終契機になるだろう。 それだけに世界史的意味を持っている。
>過去には米国が‘ソ連封鎖-日本偏向’のために韓国を分断させたとすれば、現在は‘中国牽制-日本重視’のために再び北朝鮮カードを使おうとしているのか?              
W。対談を解読するために冒頭部分に帰る。
ブルースカミングス>「東アジアで民族主義が台頭することになったのは、米国が日本には‘安楽な平和’を与えた反面、別の国家を分断させたためだ」。
「パク:そうだ。 戦後継続されたアメリカによる日本偏向、日本重視の政策が今日の東アジア葛藤問題の最も重要な原因だ。
ところで、中国革命、朝鮮戦争ベトナム戦争など世界的な理念対決が、東アジアでは毎回熱戦として爆発したという要因も重要だった。事実、冷戦初期の東アジアは激烈な熱戦地帯だった。
W。冷戦初期の熱戦地帯であったがゆえに、また米国の直接の敵国(危ない存在!)だった日本優遇、ともいえる。
W。以下、カミングスは問いかけにまともに答えていない。米朝中関係のアウトラインがぼんやりわかる。
W。*はっきりしていることは、米中朝関係において日本はプレイヤーとして割って入る余地はないということだ。
結論的にいえば、拉致問題で政治家としてのステータスを急浮上させた、アベでは、小ピョンヤン宣言以下で、独自のプレイヤーには絶対になりえないということだ。
 カミングス:米国が中国を一層牽制しようとしたならば、北朝鮮とすでに関係を結んでいただろう。 北朝鮮と中国の関係は史上最悪の緊張状況であるから、論理的には米国が中国牽制のために十分に選びそうな選択肢だ。
北朝鮮もこのような状況をよく理解しているため、対米関係の正常化を通じて米国と中国の間で綱渡りすることが、ロシアと中国を相手にゲームをするより理想的だと判断したのだろう。
だが、米国には北朝鮮の政治的立脚点がない。 米国のいかなる勢力も北朝鮮との関係正常化を促したり圧迫したりはしない。
>もちろん経済的関係が1970年代以来ねばっこくなった中国はそうではない。
カミングス:中国の改革・開放と対米関係正常化はほとんど同時になされた。 以後、米中関係の勝者は米国だった。中国の人々は世界経済に飛び込んで金を稼ぎたがったし、中国の若い世代は米国に憧れて留学したがった。中国は民主化デモや言論の自由の要求のような望まざる開放の結果にも直面することになった。
 結局、中国を孤立から引き出したことは、米国から見れば‘神の一手’だった。
>中国の変化は途方もなく、今後1020年後には韓国や台湾のように民主化がなされると見る。