反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

日本とドイツの解釈改憲環境は別物。日本の解釈改憲は戦前の日本帝国主義に似た「非正常な」帝国主義。多数国民の犠牲の上で国家ーグローバル資本複合体を国体として護持する道の選択。

 今国会で審議されている米日安保体制の世界展開(日本グローバル資本複合体の対米従属覇権)日本国憲法解釈改憲をする安保法制に対して、
日本国憲法劣化の経済学」相沢幸悦著に示されたドイツ基本法憲法)政治軍事状況を参考にしながら、考えてきた。
 
>9月まで国会の開期を延長して審議されている安保法制の法的実務的審議は非常に大切。成立させてはならない。
これまでの記事で繰り返し指摘したように、近現代史の激動の時代状況における憲法(国家基本法)は、ときの政治権力によって外見をそのままにして、中身を解釈替えし、運用されてきた。
ドイツの戦前のナチス体制、戦後の1989年のベルリンの壁崩壊後、戦前のワイマール憲法、戦後、東西分断国家統一後の国家基本法は、戦前は政治暴力を背景に、ドイツ統一後は解釈改憲を拡大解釈されて、戦争関連諸法案の成立で、NATO域外の戦争そのもののである攻撃的軍事行動を合憲としてきた。
東西ドイツ統一後の、西ドイツ基本法解釈改憲とユーゴ爆撃に至る経過は次のようである。

*なお、その後、2000年代にアフガニスタンへも大部隊を派兵している。
引用 ドイツ連邦軍の アフガン撤退  http://www.newsdigest.de/newsde/column/dokudan/5474-964.html 
  <一時は4500人が駐留> 
ドイツ連邦軍は当初、首都カブールに1200人の兵士を駐留させていただけだったが、2006年にはアフガニスタン北部の治安維持を任された。このためドイツは、一時4500人の将兵を同国に駐留させていた。 
   <初めて戦闘を体験> 
アフガニスタン駐留は、ドイツ連邦軍を大きく変えた。1955年に創設された連邦軍は、この国で初めて地上での戦闘を経験したからである。これまでアフガニスタンでは、米軍を中心に3000人以上の兵士が戦死し、ドイツ軍の兵士も54人が命を落としている連邦軍の歴史で、戦死者が出たのは初めてのことである。アフガン駐留は、ボスニアソマリアで経験したような平和維持任務(W?ボスニア4000名兵士派兵は単なるPKOではなく、今日本で審議されている法案が現地で具現化したもの。→その後のユーゴ爆撃は、完全な一方的攻撃)ではなく、いつ攻撃してくるか分からないゲリラたちとの、神経をすり減らすような戦いだった。
当初ドイツの政治家たちは、「ドイツ連邦軍が戦争に参加している」という言葉を使うことを避けていた。しかし彼らも、タリバン・ゲリラの待ち伏せ攻撃や、自爆テロによってドイツ人の戦死者が増えるにつれ、連邦軍兵士たちが戦争に巻き込まれていることを、公に認めざるを得なかった。(W.NATO域外内政ボスニア派兵(日本の国会で審議している内容→ユーゴを爆撃すれば次は実戦参加。なぜ、二度の世界戦争を敗北したドイツが三度、自国の軍隊を域外に派兵するのか、根本的な原因を問う!
最も肝心なことは、対米従属覇権の日本は、EU、NATOの多国間関係の経済政治軍事環境のドイツとの決定的な差異によって、戦争法案成立=解釈改憲以降に出現する事態はドイツとは全く異なるものと想定できる。
コレは両者のおかれた環境と歴史の差異だけではなく、米国との二国間関係と多国間関係の政治軍事の本質的な問題でもある
本質的に政治は1VS1の関係の中では成立しえず、3以上の関係の複数関係の中から成立する!巨大な米国に従属し、収奪されるのは目に見えている
>アベが「美しい国日本」で語る、在日駐留米軍を日本の自立の同盟軍に読み替える歴代政権の涙ぐましい「努力」は、妄想であることが、この安保法制以降、はっきりしていく。←赤尾敏路線
それは日米にわたる国家ーグローバル資本複合体の日本国民への命健康、富の収奪の巨大な装置と化す)
 
     <クンドゥスの悲劇>
2009年9月4日には、悲惨な事件が発生した。ドイツ連邦軍アフガニスタン北東部で、「抵抗勢力タリバンのゲリラが、ガソリンを満載したタンクローリーを乗っ取った」という通報を受けた。ドイツ連邦軍のクライン大佐は、「タンクローリー自爆テロに使われる危険がある」と考え、この車両を攻撃するよう米軍に要請した。
それを受けた米軍の戦闘機が、川の砂地にはまって動けなくなっていた2台のタンクローリーを、爆弾で破壊した。
この攻撃でアフガン人は少なくとも約140人が死亡したが、当時の国防相だったユング氏は事件の3日後、「死亡者はタリバンのテロリストだけ。市民への被害はなかった」と発表。しかしアフガン政府の調べで、死亡したのはタリバン・ゲリラだけではなく、約40人の市民も空爆の巻き添えになっていたことが明らかになった。
タリバンタンクローリーが立ち往生したため、近くの村の住民を呼び集め、ガソリンを配って重量を軽くし、車両が砂地から抜け出せるようにしていた。このため、多くの住民が車両の回りに集まっていたのだ。
同年11月末に、ビルト紙が暴露した事実は、ドイツ政府を窮地に追い込んだ。空爆の翌日にドイツ連邦軍憲兵は現場を視察し、「ゲリラだけでなく市民も多数死傷している」という報告書を国防省に送っていた。つまり元ユング防相は、市民の間に犠牲者が出ていることを知りながら、数日間にわたって「死亡者はゲリラだけ」と嘘をついていたのである。つまり元ユング防相は、市民の間に犠牲者が出ていることを知りながら、数日間にわたって「死亡者はゲリラだけ」と嘘をついていたのである。W,そうしたときを仮定すると、日本ではまともな報道も行われないだろう。
 
    <アフガンの未来は?>
同国に過激勢力が復活し、ISAFに協力したアフガン人や女性たちが弾圧される事態は、是が非でも防がなくてはならない。欧米諸国は今後も、アフガニスタンと長く関わらざるを得ないだろう。
イメージ 11991年の湾岸戦争不参加(小切手外交と批判された日本と同じ)以降、
 
 
 
1995年、10月停戦まで血で血を洗う大量虐殺を含むボスニア内戦を繰り広げてきたボスニアへの4000名の地上部隊の治安維持派兵を経て(今国会で審議されている安保法制の段階に相当)、
1999年NATO軍のトーネード戦闘機によるセルビア爆撃参加と云うNATO域外の戦争そのもののである攻撃的軍事行動を合憲体制を作り上げてきた
 
←爆弾格納容器を装備するトルネード戦闘爆撃機
*「トーネード IDS(Tornado IDS)はイギリス、ドイツイタリアで国際協同開発された全天候型多用途攻撃機マルチロール機)である。トーネード30発のSG357子爆弾と時限爆弾としても使用可能な215個のHB876地雷を散布する爆弾ディスペンサーのJP233を装備し、高速で低空侵入することでレーダーの探知を逃れつつ爆撃を行い、飛行場の機能を奪うことが任務であった。湾岸戦争においてトーネード GR.1だけが滑走路破壊兵器であるJP233の搭載能力と低空侵入能力を有していた。そのため、多国籍軍空爆の第一撃を担ったF-4GF/A-18などと連携してイラクの飛行場を効率的に爆撃し、イラク軍の航空機を封じ込め、多国籍軍の制空権獲得に大いに貢献した。
 W。クラスター爆弾と地雷を格納容器から散布するトルネード戦闘爆撃機(格納容器は脱着可能)
           ↓       
イメージ 2NATOセルビア攻撃にあたっての世論調査
画像はDer Spigerl 1999年(シュピーゲル誌)
引用は
「台頭するドイツ左翼~共同と事故変革の力で」2014年発行。W。 この本は旧東西独左翼の結集した共同戦線党であるドイツ左翼党Die Linkeの反国家ーグローバル資本複合体に対する戦闘的核心(普遍性を帯びる)の理論を全くスルーして(過去の戦いを完全に清算する著者は関心がないが、独では硬い支持層をつかむ要素)、日本的にリベラル民主主義的に解釈できる側面だけを強調している。
1999年3月から4月にかけてのコソボ問題を契機として、NATOセルビアを攻撃したとく、ドイツでは攻撃性の強いトルーネード戦闘機を投入すべきかどうか問題になった時の(ドイツの)民衆意識~」W。内戦の終局の戦局の帰趨を決する戦略的セルビア戦闘能力の壊滅作戦である。
  
 
  NATOセルビア空襲を支持しますか     NATOの一員として独のトルネードを参加させることは是非
            はい    いいえ          正しい       間違い
西ドイツエリア   64%    33%          69%        30%
東ドイツエリア   39%    58%          41%        58%
 
>確かに、日本においても、正面切った改憲を国民に問う状況は、想定できないことはない。しかし、その場合の政治環境は内外の戦争事態の深化、経済破局など特定の条件のなかで、国民多数が改憲を支持したときに限られる。
 
>結論的にいえば、NATO域外に国防軍を派兵し戦闘行為をこなっているドイツの経済的基礎は、EU圏がドイツ金融資本に超過利潤をもたらすシステムに転化していることである。その圧倒的な政治推進翼はキリスト教民主、キリスト教社会同盟政治ブロックであり、それを直接間接に支持するドイツ国民である。ドイツ国民は金融資本帝国主義本国国民の利害の立場から、域外戦争行為を支持しているのである。ただその、戦争行為がUE圏やNATOの衣を着ていることが両世界大戦時との大きな違いである。
 
他方の、日本は足元の広域経済圏もなければ、後の真の意味での集団的自衛権を発動するNATOのような集団安全保障体制もアジアでは形成できず、巨大な米国との敗戦による戦後世界体制を引き継ぐ二国間の安全保障体制である
また、太平洋戦争勝利の結果、米国は東アジでは占領軍事基地を基軸とするハブ的個別軍事同盟関係を「同盟国」戦後世界体制の残存国との個別関係も維持している
 
>したがって、こうした現状のヨーロッパとまったく違った東アジアの地政学的環境(歴史の到達段階)における、今国会で審議されている米日安保法=解釈改憲は、現ヨーロッパのドイツのように、超過利潤を得てきた政治経済軍事システムを維持するための「正常な」帝国主義としての見返り戦争行為とはならない
むしろ、戦前の日本帝国主義に似た「非正常な」帝国主義としての多数国民の犠牲の上で国家ーグローバル資本複合体を国体として護持する道の選択となろう。そういう意味で歴史は螺旋的に繰り返すのである。多くの有識者の反対する真意はここにもあると考える。

小林節さんが反対論を展開しているようである。中身はまだ確認していない。小林節さんは大昔は、政治学の方面で独自の立場を切り開いてきた学者さんとして、その名を記憶している。憲法学の専門家であると知ったのはそののちであった。当時の小林さんは、政治学者として、いわゆる左翼の文献を批判的に検討しているのだが、文献の要点、問題点のまとめ方が非常に鋭い。だから、打ちだされている意見にたいして、なかなかのものだな、と思った記憶がある。いわゆる護憲「左翼」や改憲派とは次元の違うところから問題を立てるヒトである。
「左翼」右翼リベラル保守の範疇ではくくれないヒトである。
政治学の研究対象の守備範囲は広い。リアルタイムな課題を正面から研究対象にする人でもある。そいう意味では現存の憲法学者の中でNO1と評価できる。
当初は日本国憲法の問題点を指摘する立場であったが、ある時期から改憲は絶対に日本のためにならないとの立場を前面に打ち出すようになった。独自の幅広い知識による政治判断だったのではないか。
今、国会で審議されている安保法制は、結局、日本の衰退にしか行きつかないと云う思考ルート(護憲派でもなく改憲派でもない)は、政治的立場は違うが、自分と同じである。
 

 以下は自己流の意見を歴史に学びながら書き記したい。
時間の都合上、1950年~1953年朝鮮戦争に至る朝鮮半島史と当時のいわゆる逆コースの日本の歴史は記載出来なかった。 
白井聡さんは、仮に日本が台湾や韓国のような前線であったらと仮定し、この時期から形成された日本の戦後民主主義とその運動、政党を問題にしているが、以前の記事で指摘したように、そのような歴史に対するIFは、リアルな戦いの清算につながるものである。
 リアルな戦いにおいて絶対に正しいものはない。また時代状況に制約されないものもない。戦後民主主義によって、継承されてきて、今の戦いがある。
結局、1960年以降から、70年中盤までの戦いも、戦後民主主義によって育まれたものであり、そういう意味で清算できない。超えたところがあるとすれば、東アジア規模で日本の戦いを位置づけられるようになったことか
東アジア規模世界規模でその戦いを構成する必要はある。当時の日本において、全般的に厳しい状況がなかったから駄目だとはならない。もっとも最後につけは回ってくるのだが。
そういう意味で、前回の記事で憲法を守ると称して、中国脅威論のごとき言辞を連ね、蔑視さえする議論には激しく批判した。それは国家ーグローバル複合体の、表向きの政治言動に同調するものである。
 
ドイツの解釈改憲政治軍事状況と今国会で審議されてている解釈改憲政治状況を比較すると、EU経済圏、NATOにくるまれ、結果的にそこから大きな果実を得ているドイツと日本の内外の状況(東アジア史、日本史の到達段階でもあり、払しょくできない所与の条件)はあまりにも違いすぎる。
まず、重要参考資料として、ドイツの基本法解釈改憲NATO域外への軍事攻撃までの経過を再び確認する。歴史的経過が問題になっている。抽象論に走るのは間違いの元。時系列をはっきり示した事実経過を踏まえることがキーポイント。
>1947年 トルーマン=ドクトリン(「世界史の窓」より)。ソ連に対する封じ込め政策マーシャル=プラン  
>1948年 ソ連ベルリン封鎖
>1949年5月に西側管理地域にドイツ連邦共和国(西独)成立。ソ連管理地域にドイツ民主共和国(東独
*1949年、中華人民共和国成立。
>1954年、73条改正連邦の任務の中に国防が盛り込まれてた結果、再軍備が可能となった。
>1956年 再軍備の法体系整備。第12A条徴兵義務
>1961年 西ベルリンを包囲する形でベルリンの壁
 
雑駁にいえば、ヨーロッパのドイツ国家グローバル複合体は解釈改憲のダメージはない。国防軍のNATO域外への軍事作戦は、世界的に見ても飛びぬけて競争力の強いドイツ金融資本がEUユーロ圏の恩恵を最大限受けて超過利潤獲得システム化していることへの、表現は適切ではないが、結果的に見返りの役割を果した。
云い方をかえると、ドイツ国防軍の域外軍事攻撃はUE圏のソフトパワーの衣を着た(利潤獲得基盤)NATOの一員としてのハードパワーの実行である。
広域経済圏の構築もなく、多数国参加の安全保障体制もなく、巨大な金融「帝国」米国との単線的政治軍事関係との関係に終始している日本の解釈改憲によって、出現する政治軍事状況は、まるっきり違うものとして出来する、と結論付けたられる。
 
>問題は両者の違いが厳密にどこにあるかと云うことを明らかにすることである。
日本の戦前列国最低の経済規模と軍事突出、戦後の先進国で例を見ない世界経済に占める経済急成長がどいう云う具体的な道筋と時代経過をたどって、下降線をたどっていくのかと云うことである
言い換えると、急成長によって国民の側に蓄積された「富」が国家ーグローバル資本複合体に吸いあがられていく形と時期であるである。
 
ドイツ国家ーグローバル複合体も同じ新自由主義的政策を一貫して追求しているが、まず国内政党地図が日本とは大幅に違っている。また、内外制度によって、得られる国家ーグローバル金融資本への利潤によって、インクルードできる国民の範囲も広く、政府による再分配も日本より有効に機能する
日本の国家ーグローバル資本は、米国への買弁機能の様相を強化し、安保法制、TPPによって自国民収奪を強化せざる得ないだろう。
 
>したがって国民国家と国民経済が国家ーグローバル資本の利益最優先、都合によって再編されていく以上、多数の日本国民(日本原住民~日本の中でしか一生を終える人々~)は日本と米国の国家ーグローバル資本の二重収奪を受けていく一生働き蜂のような存在であり、絶対的貧窮層も拡大していく。
このような状況が強化する中では、日本原住民はその立場を弁えて、政治選択をする必要がある。国内の階層関係は単純化していく。余計なことを考える必要は一切ない。

(1)参考資料 内田樹 国家は崩壊していく「街場の憂国論」 ~内田樹、政治漫談爆発~
 
(2)参考資料 白井聡 2014年6月7日 「久米宏ラジオなんですけど」にて