反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

司馬遷ー史記の世界ー武田泰淳。殺されても何度でも書くよ。勇敢卑怯は、時の勢いであり、強い弱いは、時のあり様にすぎぬ。金子勝「市場」 1999年発行、終章、市場原理主義の暴走のまっすぐ来た道はアベ路線。

   
    引用  司馬遷史記の世界ー武田泰淳 講談社文庫 P409行目
「斉(斉 (春秋) - Wikipedia)の崔ちょと云う権力者は、その君、荘公を殺した人である。その故、「斉」の太史(太史(タイシ)とは - コトバンク)は「崔ちょ、荘公をしいする」と記録したのである。
そこで崔ちょは『けしからぬ奴かな』とこの太史を殺してしまった。
すると、太史の弟とが、また同一のことを記録したのである。
そこで崔ちょは、この弟も殺してしまった。
すると、その弟の弟が、また同一のことを記録したのである。
三度目には、さすがの崔ちょも、記録者を殺すことがなかった、と伝えれている。
三人の兄弟が、次々と、死を持って記録を守ったのである。
記録の厳しさは突き詰めればここに至る。
しかし、斉」の太史によって示された、歴史家の厳しさは、云わば外に対するものであった。書かせまいとする外の勢力に対して、争って書く場合であった。
何を争うべきかすでに定まっている。それを外に対して守ったのである。
 
 しかし歴史家の厳しさはもっと他の点にもある。
つまり内に対して計り知れぬ、厳しさが必要なのである。
うちに対する厳しさとは、思慮深さ、思索の幅広さである。
 
 記録はもとより守らねばならぬ。
しかし、その前に外に対して守るべきもの、死をもって記録すべきもの、それをまず決定しなければならぬ。
深き思慮と、思索の広さとによって、内に厳しく、コレを求めなければならない。」

  
   
    司馬遷 任安(じんあん)に報ずるの書(『任少卿に報ずる書』 司馬子長 司馬遷
P35
「~~要するに、勇敢卑怯は、時の勢いであり、強い弱いは、時のあり様にすぎぬことは、以上によって明らかでありましょう。怪しむに足りません。
わたしは不幸にして、早く両親を亡失い、助け合う兄弟もなく、独身孤立の状態でありました。
~~
勇者、必ずしも節義に死せず、怯者も、義を慕うあまり発奮して自ら命を絶つことがあります。
わたしも命を惜しむ臆病ものでありますが、去就進退の分は多少わきまえております。
~~
隠忍して活きながらえ、糞土の中に幽せられて、敢えて辞せぬ所以は、自己の願いを果たさぬのを恨み、このまま埋もれて、文章が後世に表れぬのを、恥ずるからであります。

    金子勝「市場」 1999年発行  終章 市場原理主義の暴走 W。1999年以降の経過と今、政府によって行われていることを対比すると、時代の大きな流れが垣間見える。
 <社会が根源から腐り始める>
「2001年に向かって、日本全体が『グローバルスタンダード』と云う名のアメリカンスタンダードに塗り替えられようとしている。
~~ペイオフ凍結解除、国際会計標準の導入年金民営化 401k型企業年金の導入、市場原理に偏重した介護保険制度、土建業界最優先の定期借地権導入労働者派遣法労働基準法の改悪国立大学の法人化~等々
その波は人々の生活のあらゆる領域に及んでいる。
 
 このグローバリズムと云う名の市場原理主義は、確実に社会を根元から腐らせてゆく。
ソレはセーフティーネットを媒介とした人々の『共同性』を切り裂いてゆくだけだからだ。
 国際会計基標準の導入をなぜ導入するか? - IFRS(国際会計基準)を契機にした年金民営化や401k型企業年金の導入によって、人々は『自己責任』の名のもとに、乱高下する株式市場、為替市場に自分の老後の運命を預けなければならなくなる。
 
 さらに、施設不足と療養型病床群(老人病院)への依存、低所得者への負担増や家族の事情を配慮せず生じる施設追い出し問題、市町村単位の保険制度故の地域格差など、現状では介護保険制度が却って、老後の不安を煽るばかりである。
 
 更に「正当な事由」を配慮することなく2年で追い出すことのできる定期借地権も導入され~
これからますます一人暮らしの老人が増えようとしているのに~~である。
 
 「死の選び」でさえ、まず最初に決めるのは市場なのだ。
死の在り方がその社会の不安を映しだすものだとすれば、この社会は確実に暗くなっている。
 
>このように、市場原理主義の暴走は、ますます労働力を切り売りさせようとするばかりだけでなく、それさえ超えて身体の領域にまで市場取引を及ぼそうとしている
公共空間を喪失した市場取引による『自己決定』~
身体の領域までもが市場取引に巻き込まれてゆけば、生活空間さえすべて価格で交換可能な世界へと変貌して行くからだ
そこでえられる『自由』は、すべて価格表示される。
もはやこうした状況では『私生活主義』と云う概念さえ厳密には成立しない
 
 そのことがとてつもなく暗いのは、こうした政策を推進する市場原理主義者たちの主張に正義のかけらもないからだ。
『例外なき規制緩和』論を声高に叫んでいた経済学者たちは、銀行経営、ゼネコン、医師会などの政治的既得権益に対しては一切切り込んでいないからだ。
 
>しかも自らの誤りを認めようとしない彼らは、『国際公約なのだから』と居直って、あらゆる批判を封じ込めようとしている。
 
>だがグローバルスタンダードと云われるものの多くはアメリカンスタンダードにすぎず、
国際公約』と云われるものも、選挙民に対して正当な民主的手続きも経ないで、彼らだけの『国』の将来を勝手にきめようとしているのだ。
コレは一種の経済的クーデターに近い。
 
ところが、このアメリカンスタンダードは必然的に絶えざるデフレ圧力を齎さざる得ない
 
>>それをカバーするために一転して政府はなりふり構わぬ財政金融政策の動員を重ねている
そのため国と地方の財政赤字額は返済不能な規模に達している。
 
>>更に日銀によるCP(コマーシャルペーパーコマーシャルペーパー(CP)とは - 金融・経済用語辞典の引き受けや信用保証協会による30兆円もの融資枠によって、銀行の不良債権は公的部門に付けが回されている。
 
>*市場原理主義者たちは、今や『巨大な政府』によるモラルハザードの主張者せあり、その論理破たんは白日の下にさらされている。
日本経済は、モラルなき暴走に陥っていると云ってよいだろう。
近視眼になった企業経営者も、『善き統治』を忘れた政治指導者たちも明らかに腐り始めている。」
 
W。金子勝の「市場」最終章が指摘する事態は2000年代のアメリカンバブル、(1)<3,11ニューヨーク事態>、小泉政権、第一次アベ政権、アメリカンバブル崩壊と連動する欧州金融危機民主党政権交代と尖閣領土問題、(2)<3,11東日本大震災福島原発事故>、第二次安部政権、増税解散総選挙を経て、安保戦争法案事態に至っている。
 
(1))<  >(2)<  >以外の事態は全部、一見うねりと屈曲がありそうでいて、ほぼまっすぐな巨大な歴史の流れである。明らかに一つ一つの時代は繋がって歴史として一つの方向に流れてきた。

 
 
2015/08/27 安倍政権の狙いは「大日本帝国を取り戻すこと」――院内集会でエコノミスト・浜矩子氏(同志社大学大学院教授)が安倍政権の「富国強兵」政策を徹底批判!
 
。「富国強兵」は過大評価。→明治以来の伝統的な「強兵富国」政策である
高橋是清大恐慌脱出、金融財政膨張政策=軍需主導の(1)景気浮揚→出口戦略失敗、→(2)2,26事件、(3)日中戦線拡大も一応の参考になる。
 
(1)、(2)、(3)は国家グローバル資本複合体の世界状況を踏まえリアル徹底して読み替える必要がある。世界経済の不均等発展と市場の再分割の基本視座の一つの仮説として、先進国=国家ーグロ資本複合体の国体政治化による国民経済のカネ持ち消費主導型再編成(在る所得以下の消費需要あてにせず低賃金労働提供~労働力商品の再生産費も危うい、だけで良い。ロシア中国がコレに近い)+偽国民国家主義の高揚VS
 
ロシア、中国、「途上国」の「遅れた」国民国家形成。
前者は、後者の国民国家形成期の様々な規制を早急に取っ払うことで、超過利潤を得たい。
米国支配層とソレに追従するアベ等の輩第二の冷戦体制崩壊によるボーナスを狙っている。
    
 
  参考資料 
「欧州におけるドイツ」は、「アジアにおける中国」か? 『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』 (エマニュエル・トッド 著/堀茂樹 訳)(文藝春秋 刊)
   テキスト引用。
「浜氏は「アホノミクス」の内実を、「富国強兵」政策であると分析する。安倍政権は、金融緩和によって資本を大量に市場に投下する一方、その資本を軍事方面に積極的に振り分けようとしている、というわけだ(W。コレを実現させるためには部分的に「国家資本主義政策」が必要。)そのうえで、現在、参議院で審議中の安全保障関連法案が、「富国強兵」のうちの「強兵」政策に該当する、と浜氏は述べる。
 
  <アベノミクスは防衛費を増やすためだ――安倍総理が米国で語った本音とは>
「浜氏は、安倍総理が「アベノミクスと外交安全保障政策が表裏一体の関係にある」と述べた点に、安倍政権の「富国強兵」政策の一端を見出す。安倍総理は、この日の質疑応答において、「表裏一体」の内実を、以下のように具体的に語っている。
 
 W。アベ、笹川(競艇)財団講演 イン 米国
『日本は15年間、1997年からずっとデフレ経済の中に沈んでいました。その中GDP、名目 GDP は縮小し、そして世界におけるプレゼンスも小さくなってしまいました
 その間、日本人は自信を失い、もう成長できない、こう思いはじめていました。(W。そういう思考パターンはあんた等だけだろう。多くの人はもっと大人だ。)
私はこれを変えなければいけない、デフレから脱却をして、経済を成長させ、そしてGDP を増やしていく。それは社会保障の財政基盤を強くすることになりますし、当然、防衛費をしっかりと増やしていくこともできます
また、海外に対する支援も行うことができる。日本のプレゼンスを引き上げていくことができる。つまり、強い経済はW?カネを特定方向にばらまく!しっかりとした安全保障、安全保障政策の建て直しに不可欠であるとこう考えています」
 
W。典型的な<露の滴り>議論である。防衛費や社会保障まで加味しているのでなお一層その感を強くする。
そもそも、借金大国米国だけならまだしも、EU圏や中国ロシア途上国も加わった世界経済の構造に置いて、地方合わせて1000兆円も借金を抱えた国民経済がまともに高成長する訳がない。
世界超借金大国の米日が足並みをそろえる事は何をしでかすしかわからないので、世界の脅威!そう考えるのが常識と云うものである。日本の反戦の戦いの意味はここににある。
 
W。「それは社会保障の財政基盤を強くすることになりますし、当然、防衛費をしっかりと増やしていくこともできます。」おじいちゃん岸信介路線の満開である。アベ著「美しいく日本へ」の岸信介評価の部分を忠実にトレースしている。←戦時体制によって各種社会保障が実現した、誇らしげに述べている。ただし、現在もこれからも戦前のような戦争はできない。低強度戦争永続化の中でニッポン チャチャチャのほらを吹いて、イジマシイ カネ儲けに励む、この程度のことしかできない!「防衛費をしっかりと増やしていくこと」は事実だが、「社会保障財政基盤を強くする」は切り捨てを意味する。
 
W。金子勝「市場」の長い引用から、このアベの言説は、ストレートな歴史の流れの延長線上の到達点であり、そのような方向のかじ取りが日本内外に何をもたらすのかも、ハッキリと予測できる。
やることなすことこれから全部裏目に出る。TPPと日米安保体制の日本は持たざる国(hace nots)であり、EU、NATOのドイツの真似をすれば、国民は窮地に追い込まれる。アベ等は国体主義化よって、それは、織り込み済みなのである。
 
これら輩どもが口先で何を語ろうとも、日本国家ーグロ資本複合体の国体政治化とそこにインクルードされたがっている者どもの狙いは一つ、内にあってはより一層の収奪機構の拡張=(資産移転に端的に表れよう)
外にあっては最大限利潤の獲得。一にカネ、二にカネ、三、四、なくて五にカネ。黄金の拘束服に身を纏ったカネまみれのアベチャンであった。