前回の記事の論点を深めるために、続きを書く。
しかし、日本の特定有権者の在りのままの政治意識がポンとむき出しに提出されているので、格好の材料になる。
特定有権者という、特殊概念は、国政選挙の得票率の分母を100にしないで、繰り返される平均的棄権率を差しひいた仮定得票率の分母を基本的に70~80に想定し、各政党の獲得票を修正し%をだす、いわば、常習的投票行動者層を特定した数値である。無党派層も含まれるが、修正数値を基準にすれば無党派層は意外に少ないが、ヨーロッパ「先進国」よりはかなり多い。当然、その対極には常習的棄権者がいて、アトランダムに投票行動をする純粋政治浮遊層が存在する。
このような状態に置いて、国家共同政治幻想を基底とする国政選挙に繋ぎとめることには大きな限界がある。
個人の原理で生きて生活している層は分厚い。
グローバルなマネーの動きがアナーキーならば、個人の心情もアパシータコつぼ的に対応したほうが過ごしやすいと云う側面は見逃せない。コレは政治的無関心では片付けられない問題であるから、これらの層の前では政治的啓蒙は無力化しる。
じっさいに、ここ20年~30年間の国政選挙の平均投票率は60%近辺である。
あれだけ身近な生活に直結する問題を、それこそ路地に分け入るように両陣営が見解を叫び、当日の投票行動によるイエス、ノーのたった二つの選択肢の1票差がカギを握ると、異口同音に宣伝扇動し、投票日当日さえ、大騒ぎが許されてたのに、四捨五入して40%の人々は棄権した。
もっとも、それ以上に驚愕した事は、たった2万弱の票差しかなかったこと。
案の定、現時点と来年にかけての安保法政局の大事な場面で、議会圏を引退したはずの橋下は維新の党を割った。
なお、大阪の経済問題(←二重行政宣伝もコレに尽きる)はつまるところ、歴史的に形成された経済飽和状態、云いかえると限界利益率の低さによる企業活動の低迷、脱出であり、橋下の云う都構想が根本的な処方箋では絶対にない。
もちろん、大阪都構想騒動は日本経済の将来を先行的に物語っている。
この問題意識は橋下陣営のポスター(大阪を日本経済の成長エンジンに!)にも表現されていた。
実質上、高橋是清路線をやっているのだから、2020年以降に米国内政治のもたらす世界覇権の強化、中韓東アジア情勢、中東~ウクライナ情勢、EUドイツ問題との相乗効果もあって、今のアベ路線の延長線上の問題が噴出するだろう。
>そうすると、ハレンチな全裸女の言説はリアリティーをもつ。今後の国政選挙のリアリズムを明け透けに語っている。
「政党間で差がつきやすい小選挙区が勝負どころです。そして、過去数回の衆議院選挙における投票行動からはっきりしているのは、小選挙区の帰趨を決する有権者の約7割は保守だということです。日本政治の行末は、衆議院選挙の小選挙区における7割のハードコアからマイルドまでの保守的志向を有する有権者の支持を得た者に委ねられるのです。」
>世の中広いようでいて狭い。国政選挙と云う材料を観察して、同じ結論に達する者がいた。
と云うことは自分も破廉恥漢と云うことになるのだが、下線部分は違う。
このおんなよりもっと徹底している。
これからの日本政治は日本の行く末に対する決定権を一体どの程度、有しているのだろうか、と徹底的に疑っている。
日本の行く末を握っているのは、国民経済単位を凌駕する日本内外の国境なきグローバル資本の動向である。
日本政府は国家機構を代表して、日本のグローバル資本の複合体に都合のよい政治経済軍事路線と政策を実行するようになっていく。
必然的に、国体政治化する日本国家ーグローバル資本複合体に包含されない層は、単なる労働力の再生産費も危うい状態に置かれた単なる労働力要員=労働コストとそれ以外にすぎない。
>自衛隊の下部要員は命がけの労働力要員であり、ソレが真っ当なものであるかどうかの価値判断は、命をかける隊員たちが自主的にするものである。
アベ等の政治路線における自衛隊は国体化する日本ー国家グローバル資本複合体のメカニズムに組み込まれる私兵であり、国体政治化する日本国家ーグローバル資本複合体に包含されない層に敵対する存在である。因果関係は回りまわって、そういう次元に達する。敵の道具は、「敵」になってしまう。
上記の引用に続く三浦瑠麗 - Wikipediaの文脈を読み込むと、これからの政治過程の進む方向を暗示している。
「私は、仮に日本に二大政党制が根付くことがあれば、それは保守系二大政党制以外にはリアリティーがないということを申し上げてきました。政権交代を目指す勢力は、自民党の支持層を取りに行き、引きはがさなければいけないのです。」
「そして、維新は、大阪ではそれを実現させました。大阪府市双方の議会で第一党となり、双方の首長の座を獲得したわけですから。大阪では、政権交代が実現して8年が経過しています。看板政策の都構想はまだですが、これまでにも多くの改革案件を実現させてきました。国政レベルで民主党による政権交代と挫折がおき、日本政治が旧来の自民党一党優位体制に戻ったように見える中、大阪の地では、より持続的な変化が起きているのです。」
W。大阪維新に対する評価は寝言、うわごとの類だが、
まさに出口なしの政治状況が現出すると云わなければならないが、その経済基盤は云うまでもなく、出口なきアベノミクス延長路線である。
>結局、このおんなの言説を手短に取りまとめると、これからの日本の政治座標軸は今よりも、もっと右傾化すると云うことである。
>民主党の岸本らの解党主義は間違いある。
本人たちの思惑が大外れの選挙結果になること必至とみる。
ただし、有権者から沸き起こってくる願いを結集するものであれば、仕方がない。
今の安保法制への反対の世論調査の結果と国政選挙時点の政党選択にはかなりの落差があるのではないか。
特定有権者の政治意識は変わってしまった。元には戻らない。
(1)前回の記事でその理由をバブル以降の1997年を頂点とした給与所得数の推移500万円~1000万円、1000万円~2000万円の急伸と急落と云う低成長をしり目にした中間層の急増と、その後の急落による経済基盤の動揺に求めた。
(2)加えて、三浦瑠麗 - Wikipediaは政権交代時の民主党の統治能力の欠如を挙げるが、現実問題として、2008年世界恐慌ー鳩山由紀夫首相、小沢一郎幹事長への司法権力を利用した政治圧迫、マスコミの一方的反民主党宣伝、東日本大震災~福島原発事故の3重苦、4重苦を想定しないで、統治能力1点に絞りあげて、識者本人が、論評するのは、公平な見方ではなく、一種の政治イデオロギー判断である。
その場合、自公体制と橋下「いしん」の過剰評価と云うか訳の分らぬ意味付与である。
(3)何はともあれ社会民主主義の伝統があるヨーロッパの「先進国」の有権者であれば、政治による再分配の大問題のからみから、政治潮流の歴史の中の自己を意識するので、政権交代時の民主党政治を統治能力の欠如だけには集約しないで、政権のおかれた条件を考慮して、自分たちの判断を修正復元する。政権の限界を分かって選択をしていると云うことだ。未熟な過大な想い入れは大きな失望の反動を招く。
「がんばれ日本」の手を変え品を変え、手練手管の国民への刷り込みは、現実から遊離させ、知らず知らずのうちに悪性ナショナリズムを培養させた。その方向はいまだに続き、頭の柔らかい若者が感染している。
引用、 加藤紘一「テロルの真犯人」
「<ナショナリズムを利用するな>
冷戦構造が崩壊したのち、世界各国は自国のアイデンティティをもう一度捉えなおす必要に迫られた。
固有の文化、宗教を再認識し『自分の国は自分で守る』と云う発想が主流になってきた。
それぞれの国がこうした「閉じられたナショナリズム」の中にあるうちは、外交の摩擦は永遠になくなることがない。
W。ここまで現時点のナショナリズムの在り方を明らかにするため敢えて引用している。
「がんばれ日本」の手を変え品を変え、手練手管の国民への刷り込みは、現実から遊離させ、知らず知らずのうちに悪性ナショナリズムを培養させた」とは、小泉→アベ的戦うナショナリズムの扇動に巧妙にプラスする形で、
マスコミが、自国のアイデンティティ、つまり独自の文化文明を見つめ、それを誇う情念を過剰に刷り込み続けることである。
まさにナショナリズムの十字砲火に視聴者、読者は毎日さらされて、その気になった層に対して、さらに高度なテクニックを用いた刷り込みが行われる。
>国民政治意識の日本のおかれた内外環境の現実から遊離した偏重には、大震災ー原発事故以降のこういったマスコミの刷り込みによるところが大きい。
ソレは国民サイドからの日本の窮地を深める作用になっている。
大阪経済の停滞は「いしん」政治になってから、ますます進んでいる、と自民党国会議員は他地域と比較した一人当たりのGDP推移の後退の数値を具体的に挙げて説明していた。
政治分野では、出直し選挙を始め、「いしん」による対抗軸を常に作り上げる騒動が続き、安定性を欠いてきた。
ハシズム政治では政治的対抗軸を作ることが根幹となり、その言説が実現できない足元の現実は、自らの政治の欠点とはしないで、「改革」を阻害する対抗勢力や既存の体制の所為にするので、意図的に作り出された政治騒動は橋下「いしん」政治が続く限り終わりはない。
コレは政治騒動によって、増殖を絶えず求める政治運動体であり、ファシズム政治の特徴である。
この疫病神に取り付かれると政治不安定からくる経済衰退の道をたどるしかない。
なにしろ政治権力の全権を委任せよと云う含みを持たせた運動体なのだから、それまではいつまでたっても言説にふさわしい成果はない。
都構想を実現させよ!しからば与えられん!
政治家に任せるとうまくやってくれると云うものではない。コレは自民党政治が長く続いた悪癖である。
IWJテキスト 小沢一郎政界再編発言 引用
<狙いは軍事大国か>
小沢 「邪推かも知れないですけど、安倍さんは経済大国日本であると同時に軍事大国日本というイメージを心の中に描いているのではないかと思います。
ただ現時点では日米同盟と言った方が、『仕方ない症候群』に合うので、言葉でもって衣の下の鎧を一生懸命隠していると言うことだと思います。
W.結局、小沢の「普通の国日本物語」は、アベ個人の普通でない行き過ぎた政治的思惑、異常性に持っていかなければ、収まりがつかない。
小沢→小泉→アベは一つの政治系譜であり、民主合流時点の小沢は、この系譜の先駆者ではあるが、旧時代の残存政治現象に転化していたのである。
自民党旧田中派内を二分する構想で劣勢になったこともあって小沢は、小選挙区制導入などを目玉に、政治改革を旗印に、自民党を集団脱党するが、しばらくの紆余曲折のなかで、自民党時代の日米安保利権などの日米関係人脈を失い、政治基盤を縮小させていく。
しかし、前回の小沢の言説を読む限り、自民党離党時の政治主張の政治本質に野党的なスパイスを効かせたものとわかる。
彼は朝鮮有事には自衛隊の現地派遣さえも口走っている。
一方、旧自民党は、紆余曲折を経て、冷戦体制崩壊の米国一極支配体制の一時的出現にぴったりと寄り添う形で、米国共和党的新自由主義政策体系に純化し、イラク戦争、米国バブル崩壊以降も、日本国民経済の衰退、財政事情の悪化による経済政策の選択肢の縮小、東日本大震災のエネルギー基本政策である原発直撃などの歴史的マイナス要因もあって、米国民主党オバマ的軌道修正の自助努力も一切放棄して、政局の困難性と積もり積もった難題の一切合財を民主党政権に丸投げすることで、単なる保守政党の枠をはみ出して、新自由主義政策と日本的極右政治思想の合体した特殊日本的な右翼政党になり果てたのである。
したがって、上記の20数年に及ぶ政局の中で、前回の小沢発言の最後の方で、小沢が指摘しているように、両者の立ち位置の隔たりは、拡大した。
>政治傾向的にいえば、小沢はあまり変わらず、衰退の道を歩んだのに対して、自民党は大きく変わった。言い換えると官僚層が変わり、国民政治意識が変わった。
>前回の記事の挙げた小沢の安保法案に対する保守政治としての一定の整合性をつけた主張でさえ、「有権者の7割を占める保守層」の投票行動を、左右するものでないと、残念ながら予測せざる得ない。
引用。 季刊「創作と批評」日本語版
「もちろん、こうした安倍政権の「暴走」が安倍個人の「非正常性」から生じるのではないことは言うまでもない。
**つまり、安倍首相が右傾化させたのではなく、日本社会の右傾化が安倍首相という「怪物」を作ったのである。」
**つまり、安倍首相が右傾化させたのではなく、日本社会の右傾化が安倍首相という「怪物」を作ったのである。」
W。ヨーロッパ「先進国」の政治座標軸は各政治勢力のリアルな歴史的形成、とその後の経過もあって真中に中道、その「左」と「右」という分類が適応できる。各政治潮流は支持者の実体、支持基盤に支えられて、東アジアの日本韓国と比較して安定的に推移してきた。
例えば、ヨーロッパ「先進国」の政治地図では、破廉恥な全裸女の指摘するごとく、日本の政権交代時、民主党を支持してきたものが、「民主党の統治能力に不安を抱き」自民や維新、みんなの党に急激に鞍替えするような劇的変節はない。