反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

<東アラブ地域政治>の専門家 青山弘之。最新ニュース16年1月12日を解読する関連情報。本文の解読。~米トルコ安全地帯を拠点とするクルド人主導の民主シリア軍の対ISヌスラ戦の限界=テロとの戦いの本質。

 W。前回の記事で未読のままアップした青山弘之のホームページの最新のシリア情報を開いてみたが、途中で、もっと深い基礎情報がないと、スパッとリアルにイメージが湧かいないことに気づいた。
>土台となる情報は、情勢を理解するための基礎知識=いつも使えるアイテムになる。
>そこでこの際、徹底的に基礎情報=基礎知識を探求することにした。
一端、メモりながら、理解して記事にする時間がない程、大枠の情勢から探求することにした。
 
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>大枠のEU情勢から調べる、と云うとんでもないことになっている。
今回は時間不足で情報源だけ挙げておく。頭が疲れなくてよくわかる。どこまで本当か、疑問の余地はあるが、マスコミ情報よりはよっぽどまし。
 
大和総研経済の経済研究センターなるところから発信されている。
 
 
同サイトの
シリーズ・関連レポート:シリーズ一覧を表示(未読)
 
ついでに
 
 
 
 
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   東アラブシリア情勢
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YAHOOニュース 現代の<東アラブ地域政治>の専門家 青山弘之。(W。好感が持てる。専門家は研究対象を限定する。そこで得た情報を総合する。) http://bylines.news.yahoo.co.jp/aoyamahiroyuki/
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シリア北部でのイスラーム国、ヌスラ戦線掃討でロシア、米国が連携を強めるなか、反体制派に足並みの乱れ
 
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解読するために参考にした一連の記事を挙げておく。そのほうが自分も勘違いしないで、納得できる。
実際にアップしながら読み込んでいくと、大きな勘違いを見つけた。
シリア北部のトルコとの国境地帯で米軍の空爆の援護を受けながら、安全保障地帯なるものを確保し、民主シリア軍を自称し、その後、EUロシアの爆撃を頼りに、IS、ヌスラ戦線=アルカイーダの支配地域に地上制圧戦を展開しているのは、トルコ労働者党のシリア国内分派。
ここが今一はっきりしなかった。
 
 
 参考資料(1)  トルコ:政治の先行き不透明感は後退も内外に課題は山積
http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/emg/20151225_010480.html
「◆6月の選挙以降、トルコの国内情勢はISによるテロの発生やクルド武装組織クルド労働者党PKK)と治安部隊の衝突よるクルド和平プロセスの事実上の停止など、治安面を中心に大きく変化した。再選挙にむけて、AKPは治安の改善や政治の安定を訴え、事前予想を覆し単独過半数を獲得することに成功した。」
 
 >参考資料(2)   クルド民主統一党 - Wikipedia 
W。クルド武装組織クルド労働者党PKK)の分派 
「トルコのクルド分離主義組織クルディスタン労働者党PKK)の分派として2003年に結成された。主にクルド人住民が多いシリア北部(西クルディスタン)で活動している。特に2012年以降はシリア情勢の混乱に乗じて、政府軍が撤退したクルド人居住地域の多くを事実上の統治している。現在の指導者はサレフ・ムスリム・モハメドとアスィア・アブドゥッラー。軍事部門として「人民防衛隊」(YPG)を擁している
 
>W。大事なポイント→ 「2012年以降、クルド人が多数派を占めるシリア北部を事実上支配している」
>「2003年、シリア国内におけるPKKの分派としてクルド民主統一党が結成される。」
W.クルド武装組織クルド労働者党PKK)崩れの米、EU、トルコ政府の息のかかった組織とみる。
以前調べたところでは、シリア最北部は最貧地域。
コバニ包囲戦(2014年 - 2015年)(W。トルコ国境地帯の安保地帯確保の戦い)では、三方向からコバニ(アイン・アル=アラブ)に攻勢を仕掛けたISILに対して、アメリカ空軍ペシュメルガなどの支援を受けながら勝利を収めた。現在はISILと戦闘を繰り広げつつ、統治下にある町々を防衛している。」
 
W。やはり、イラク北部の油田地帯のクルド人と同様にクルド人は大きな力による分裂支配に利用された。
イラク方式であり、空爆の猛攻を享けても、民主シリア軍単独でシリア地上制圧戦に勝利することはあり得ず、完全に戦争行為が政治の駆け引きになっている。
 
「2008年5月2日、トルコ東部に居住する少数民族であるクルド系住民の利益を代表する左派政党として結成された平和民主党(BDP:Barış ve Demokrasi Partisi)が2014年7月11日の第3回党大会で党名改称して発足した[。前身政党となるBDPは社会主義政党の国際組織である社会主義インターナショナルにオブザーバー参加していた。」
W。今回は深入りしない。スンニ派政権党が長期政権になっている原因は、野党側の分立も原因である。目もくらむような政党乱立状態であり、世俗政党側のイデオロギー対立、国民の20%を占めるクルド人民族問題による分裂があるようだ。
そうすると当然、スンニ派政党の集票力が優位になる。

と云う事前情報を抑えながら、
YAHOOニュース 現代の<東アラブ地域政治>の専門家 青山弘之。
 
W。この記事を読んですいすいと頭の中に入ってくるヒトは、大したもんだと思う。普通は途中で詰まってきて、最後まで読めない。
記事冒頭だけでコレだけの用語に一々引っかかる。全部、政局的、政治的、歴史的、背景がある。スルーするのでなく、きちんと調べることが、流動する情勢を理解するアイテムを確立する絶好の機会である。
 
①米国、ロシアによるシリア民主軍への連携支援がより明確になり~
 
W。民主シリア軍と云う怪しげな戦闘集団とは何ぞや?その源流をたどる。
この状況は②を読むとなんとなくわかる。
 
②青山記事に載っている地図参照。シリア最北部のトルコ国境地帯の米国、トルコの設置した「安全保障地帯」
「  」付きであるところが意味深!
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「(A)W。第一段階。 
サウジアラビアとともに、シリアでの「テロとの戦い」で孤立感を深めていたトルコは、
 
>W.どうやらサウジとトルコのIS、ヌスラ戦線支援の独り歩きは、米EU露の連携で、抑え込まれつつあるようだ。
 パリ事態がターニングポイントになった、ともいえるが、あれは謀略ではない。仮に謀略性を見出すことができても、シリア情勢における、ISヌスラの外部勢力依存性(兵站と財力)は決定的なので、謀略を云々しても大した政治的意味はない。
 
>大きな力に利用されるだけ利用されて、役目が終われば、力で圧迫される。
 
>そして彼らは、又別の政治軍事空白を求めて流浪する。
この中東の基礎的政治経済環境がわからなければ、ISやアルカイーダの実体(実態ではなく実体)はつかめない。
 
>圧倒的な若者人口に対して、職は保障されることなく、職業的な武器とカネのリクルート網が存在しており、宗教的理屈は後から付いてくる。
 
>武器使用と殺人行為へのハードル経済的政治的宗教的理由で、極めて低くなっている。
そういう認識がから、決してイスラム原理主義に問題を集約しているわけではないが、イスラム原理主義そのものを取り上げる必要があった。経済や政治情勢分析ではわからないところある。
 
又地域の西洋化の急伸している時期であり、無展望な急進主義政治の土壌がある。
 
>日本でイメージすると、55年前の1960年安保や1960年代後半の若者の大衆叛乱の時期だが、内発的経済発展の契機がほとんどないから、安易な理想、勘違いと現実のギャップが大きい。
 
>また、国家ーグローバル複合体の主導する世界情勢で、そういった氾濫する若者が存在する事は、大きな力に利用される要因になり易い。時代の大きなフレームが変わってきている事を認める。
 
>生きた歴史において、何事も早くやって苦しんだ方が優位に立てる。
>そういった意味で先進と後発の落差はあり、なかなか間がつまらない。
日本の様に先に立ったつもりでも、後から帳尻を合うようにできている。戦後70年は特殊な時代、最大の恩恵に預かったのは日本だった、と総括できる。
 
>情勢の激動を怖がるその歴史的文化的保守性によって、またまたイロイロな方便を使って、結局は一塊りに凝縮している。
>素朴な民主主義的政治感覚さえ少数派になるという、情けない状況だと思うが、コレ以上は書かないことにする。
戦争的事態と民主主義は相対立するものではない、とこれまでの歴史は示している。古代ギリシアに発する欧米史のだが。
 
(B)W。第二段階 
「<W。トルコは>、
>一方で西クルディスタン移行期民政局国境地帯で勢力を増すことに警戒しつつ
>他方で同民政局の人民防衛部隊(YPG)主導するシリア民主軍への国とロシアに服するかたちで
「安全保障地帯」でのシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団などによるダーイシュ掃討戦を砲撃支援し、限定的に関与した。」
 
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「反俗日記」の中東問題特集で、わかりやすくするために乱暴に展開したIS、ヌスラ戦線(アルカイーダ系)兵站トルコ、サウジ、カタールの図式は、米EU露の介入強化によって、彼らを用済みにする戦局に転換してきているが、
>アサド側の政治軍事力とトルコ労働者党崩れの『兵士』(注。1)や、その他、ISヌスラ以外の勢力主体の民主シリア軍の今後の力関係によって流動的である。
 
>民主シリア軍の地上軍の力では、アサド政権に圧力を加え、崩壊に追い込む展望が開けないと、反アサド軍事力としてISヌスラの利用価値は残されている
 
注。1)
>米EU政府のアサド政権打倒と主導権確保及び
イラク北部の欧米利権と連携するクルド人制圧下の油田地帯から、完全コントロール下に入らないクルド人勢力を排除したい思惑と
>国内にクルド労働党崩れのクルド人政治勢力を抱え込んだトルコの思惑が一致。
 
トルコ国境地帯のシリア領土内に<安全保障地帯>なるシリア分割地区をもうけて、そこにイラク北部とトルコに分散した政治勢力を寄せ集め、(もっとも居場所の確保で勝手に集まってくる)西クルディスタン移行期民政局を認知し、人民防衛部隊(YPG)に治安維持を任せると同時に、拠点として民主シリア軍、自称を容認し、空爆を主体にシリア内のISヌスラの支配領土を侵食する。
 
>戦略的にはイラク戦争後の地上制圧戦におけるクルド人分離主義利用と宗派主義利用のイラク国家分断方式であり、
>戦術的にいえば、IS、ヌスラ戦線へのアラブの春リビアカダフィー軍空爆壊滅作戦のシリア版である
ただし、作戦に参加しているとか云うロシアの思惑もあるし、クルド人武装力ではイラク全土を制圧できる軍事的政治的力根拠がない。将来の国家機構の編成問題があり、少数派クルド人利用には、限界がある。最終的にアサド側との政治的駆け引きになる。
イラクの様に国家を分断して油田地帯の利権を確保するという動機にも乏しい。
ということで、国家ーグロ資本複合体の内外基本戦略であるショックドクトリン、低強度世界戦略を前提にすると内戦を長期化させる選択肢もある得る。
シリア更地化戦略であり、難民放置である。
 
>追い詰められ、利用されてきたIS等の単純な視点で見ると、頭が沸騰し、フランス事態のような暴発で、墓穴を掘る
アフガンの対ソ英雄ビンラーディンの裏返しの反米暴走の構図である。
 
>なお、シリアISはサウジの米軍訓練の下でシリアに送り込まれるような関係もあった。
 
>ISとイスラエルの対立関係は基本的に存在しないとみてよい。対イスラエルの視点で見るとISは行動は過激だが、「穏健勢力」に分類されてもよい、と云う日に肉な見方もできる。
 
>ヌスラー=アルカイーダの<もともと、いい加減な反米>はビンラーディーン殺害以降、一応、代替わりして、カリスマ性喪失で鎮静化の方向にある、と思う。組織の体をなしていない、大衆武装テロ組織と云う矛盾した戦闘団の集まりのような形態は大きな力に利用され易い。
 
>欧米イスラエルの最大の目標は(複数政党制、市場経済世界システムへの直結の邪魔になるアサド政権打倒。
W流にいえば、国家ーグロ資本複合体のショックドクトリン、低強度戦争戦略。
そういった目的に将棋の駒として、IS、アルカイーダのパルチザン戦闘部隊は利用されし、今後も利用されていく。
 
なにしろ<テロとの戦い>の旗印に世界を釘づけにして、内外を引き締め己の利害を貫くためには、
<テロが映像的に現実的に恒常的に実行されている必要>がある。収束してもらっては困るわけだ
世界中の自己保存願望に対して、安全のための保険の論理を大衆的に刷り込むためには、<テロは恒常的に実在してもらわなければ、機能しない。
 
③ダーイシュ コトバンクの解説が適切であるかどうかの問題意識が必要。
イラク制圧戦に従軍した米軍将校が、イスラムを別称する意味で、ほぼ同じ発音の用語を使いだし、米軍兵士に広まった。「冬の兵士」反戦イラク帰還兵の会 岩波書店にはその辺の事情を述べた反戦帰還兵の話が載っている。
 
続く。