反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

ノーマンメイラー「死刑執行人の歌 : 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語』 -ギルモアが好んで聴いていたのがジョニー・キャッシュ。本日はSan Quentin (Live from Prison)4曲。

 主な作品
>『死刑執行人の歌 : 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語』 - The Executioner's Song (1979)
『死刑執行人の歌 : 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語』 裸者と死者』ととも記事にした。
「「反俗日記」はギルモア出所後の米国市民社会のリアルな個と他人のストレート、オープンな歓待関係を肯定的に評価。犯罪はモルモン教徒の多い地方における理不尽一方的な連続射殺事件で、犯行の動機不明。<血>のなせる犯罪だったのかゲイリー・ギルモアはメイラーの描く時代のヒップスターだったのか
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死刑執行人の歌 / ノーマン・メイラー
The Executioner's Song / Norman Mailer (1979)
岡枝慎二訳 / 同文書院 / 1998年 ←W。邦訳版20年遅れ。
引用
「マイケル・ギルモアの心臓を貫かれて - Wikipedia~音楽畑のライターの弟自身が記したもの~(邦訳発行日1996年10月村上春樹訳)が日本でも話題になったおかげで出版されることになったようだ。」
死刑執行人の歌」は、ある意味で「心臓を貫かれて」とは対極のギルモア像へと向かっていくといえる。 

心臓を貫かれて」はその過去を明らかにし、この家族は決して異常なのではなく、 極端なかたちをとることになったアメリカン・ファミリーなのだという結論を導き、人間ゲイリーを受け入れようとする。

メイラーがギルモアのなかに見出すのは、 彼が順応主義や全体主義が蔓延する50年代に発見した、同時代を生きる唯一の極端な非順応主義者としてのヒップスターの姿なのだ。彼は「白い黒人」のなかで誰も語ったことのないこのヒップの本質を追求しているが、 これと本書を照らし合わせてみると、彼が言葉で構築したヒップの本質にギルモアの存在が生命を吹き込むような感動を覚える。

 たとえば「白い黒人」のなかには次のような表現がある。「個人的な暴力でどんな代価をはらっても、われわれをわれわれ自身にかえそうとするヒップは、野蛮人を肯定する。なぜなら、人間性についての原始的情熱がなくては、 個人的暴力行為はつねに国家による集団的暴力行為にまさるべきものだと信ずることはできないからである」。

この後半部分は、死刑判決の速やかな執行のみならず、銃殺刑を要求したギルモアそのものだ。

ローレンス・シラーはこのように考える。「問題はギルモアが殺人鬼であることではなかった。彼がおもてにいる正常な人たちに挑戦的であることですらなかった。本当に困難なことは彼が人々をばかにしている点にあった。 頭がおかしくて正気でないような殺人鬼なら世間は受け入れられる。だが殺人鬼が主導権を握るようになったら――それがギルモアに対する激しい憎悪を多く生み出していた」。 人々がギルモアを憎悪するのは、「白い黒人」に則していえば、ヒップの本質が「順応主義者の心に、無意識に、だが強烈にうったえる」ためであろう

 
  <参考資料> 
W。佐藤愛子の小説「『晩鐘』(2014年、文藝春秋)(田畑麦彦)」の朗読劇はNHK新名作劇場で放送されている。この7月3日(日曜日)が最終回。偶然聴いて、面白くて感心した。残念ながら最終回も前だった。
佐藤愛子関連で資料を集め記事にしようとしたが、関心の向かう方向ではないと、断念した。
佐藤愛子の大作「血脈」の世界はわかる世界ではあるが。
 
晩鐘(全6回
「究極の悲劇は喜劇に通ず」90年分の愛憎、友情があふれかえる!
ラジオ第1
2016年5月29日~7月3日 毎週日曜 午後7時20分~午後7時50分
西田敏行 竹下景子←W。上手くなっている。
  <あらすじ>
女流作家藤田杉の戦後20代から今の90代までの波瀾万丈の生涯を、修羅場のノンストップとして語りあげる。戦後の東京、出戻り娘の杉は、同世代の若者達と文芸同人誌に加わる。そこには財界の大物の息子畑中もいた。そしてまもなく結婚。しかし、杉を待ち構えていたのは大変な借金と度重なる不幸の連続だった……。大女流作家渾身作品のオーディオドラマ化。
 
1989年 - 7月から「血脈」第一部を別冊文芸春秋に書き始める。
佐藤愛子の「血脈」 - Ne←W。このヒトの評論は「良寛」の人性で引用。文体、思考形態から同一人物だと想う。
 
W。太平洋を越えて、歴史伝統、文明文化も違いすぎる日本と米国で<血脈>の問題に直面し、行動し表現した「作家」がいた。地理的世界的普遍性を超えた現世人類単位の「家族私有財産国家起源 - Wikipedia的普遍性と云うほかない。そういう意味で上記の評論文の大筋には賛成するが<血脈>には人類次元から発した問題を視野に入れなければ、解らない。
日本的にいえば方丈記 - Wikipediaの納得した世界である。
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ギルモア (知能は高く絵の才能、死刑を求める)
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ノーマン、メイラーの『死刑執行人の歌 : 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語』 - The Executioner's Song (1979)での文中で描かれているゲイリーギルモア - Wikipediaが長期服役後出所して、好んで聴いた曲がジョニー・キャッシュ - Wikipediaであった。
昔からのカントリーミュージック愛好家としては、ジョニーキャッシュの曲調の愛され方としては、そのものズバリなんだけど、ナルホドと納得するところがあった。
   
       Johnny Cash - San Quentin (Live from Prison)
       Johnny Cash - Jackson - Live at San Quentin (Good Sound Quality)