反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

坂東眞理子 上野千鶴子 対談 「女は後半からが面白い」。 W。参考資料、 徹底した介護の社会化 介護は他人の専門家に? 「介護はプロに」への賛否  「無縁社会」に高齢期を生きる 森岡

       坂東眞理子 - Wikipedia 上野千鶴子 - Wikipedia 「女は後半からが面白い」
  
    いつかは必ず「弱者」になる
上野高齢化社会が到来しています。女性は子供を持つことで「弱者」になる。それに加えて超高齢社会というのは、かつてどんなに強者だった人も、いつかは必ず弱者になるという社会でもあります。
誰であれ、自分が「弱者」になることを予期したり、想像したりしないわけにはいかない社会が来ているということですね。
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上野:老いに対する認識も変わりましね。老いるというのは、誰もが中途障碍者になることでもありますから
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W。上野の語る以下の「物語」は、一言でいえば、<介護する者が介護される!>という、今だけ自分だけカネだけのグローバル資本制渦中の庶民ネットワーク形成の試みである。
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上野;例えば、重度の脳こうそくで寝たきりの母親を、8年間支えぬいた母一人娘一人の女性を知っていますが、その方は周りの中からボランティアを募って、集めた33人でチームを組んで、入れ代わり立ち代わり母親の介護をしてきたんです。その介護をした人たちの「交換日記」みたいな記録「バッチンして!おばあちゃん」というアニメになりました。
医者が「このおばあさんは植物状態」って宣告したのを、ボランティアさんたちが声をかけてよみがえらせたんです。声をかけると、おばあちゃんは瞬きで反応するようになり、冗談を言うと笑うようになりました。

ボランティアの人たちはそのおばあちゃんを介護しながら「おばあちゃんがこんなに一生懸命生きているんだから、私が生きるのをさぼって、申し訳ない」と記録につづったりしているんですよ。
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上野:そう、介護したボランティアの人たちは、おばあちゃんとはアカの他です。
私がうれしいのは、他人の介護をちゃんと支える人たちがいるということ。
そして以前とは違って今では、そういう人たちが曲がりなりにも介護保険のおかげで生活できているということ。この二つの条件(W。無報酬介護の拡大組織化と制度)が、誰もが「弱者」になる社会を構築するために、大事なことだと思います。だから介護保険ができて本当によかった、と私は思っているんです。
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         W。介護の社会化
   労働報酬
① 心の糧、パワーにできる→介護する者が介護される!。
② カネと制度→21世紀の日本資本主義の停滞は支配層に必然的に低強度世界戦争戦略を選択させ、それによって社会保障福祉財政難と社会福祉切り捨てを呼び起こし(軍事費増強しても本格的戦争経験皆無、高齢化した兵士の報酬費がかなりの割合を占める脆弱軍隊は米世界戦略の一部を代替えする方向しかない)
家族介護の伝統的な基盤をますます掘り崩す
>様々な形態の無報酬介護とそのネットワーク形成で埋め合わせながら連合していく。~)
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   W。参考資料
  徹底した介護の社会化 介護は他人の専門家に? 「介護はプロに」への賛否
  Wの問題意識はこの社会の多数派の立場で云々する議論よりも(現在将来の日本の形だけ手続きだけの代議制「民主主義」に収れんする)よりも少数派の個々の特殊性にこだわり、それを普遍的核心に拡張し、総体の糧とパワーに替えていくこと。
>その意味で以下の議論は、前者の立場だが、論点が鋭く提起されており、後者の問題意識を深める材料を提供している、モノと考える。

無縁社会」に高齢期を生きる 森岡清美 - Wikipedia アースの森新書 2012年刊行
        第3章 介護との取り組み
     1 家族に介護は可能か
    1 弱体化した介護機能
 (省略)
    2 介護は他人の専門家に?
  「介護はプロに」への賛否
 問題の所在を解り易くするための長い引用
「1990年代の中ごろ、(W。介護保険制度施行 2000年) 介護負担の荷重を訴える家族の声が聞かれる中、介護は専門家にゆだねるべきではないか、という意見が新聞紙面に散見するようになった。
 たとえば、京都市の男性医師(68歳)は次のように言う(朝日新聞
『我々医者の間では、自分の家族を自分で見ると、情が絡んで必ず誤診するから、他人の医者に見てもらうべきだというのが、昔からの常識である。
>今老人医療、介護の末端に連なって見分していると、介護に関しても同じ事がいえると思う。
家族の情が本人の自立を妨げることがあるのだ。←W。よく使われる<自立>という用語は誤用である
健常者においても社会経済関係を厳密に考えると、<自律>という用語がふさわしい!
>まして介護保険制度の規定する要支援者、要介護者の日常生活おいて<自立>ありえず、実態は<自律>的日常生活を過ごすことを目標とすべきである。具体的目標は、自覚あるタイムスケジュールを認識し、実行することがキーポイントになる。
 
>要介護者を抱えたら、介護は報酬を払ってアカの他人の専門家に任せるべきものであり、家族がやるのは例外的なことと考えるべきである。
>もし余裕があれば、正式に介護者として教育を受けて、他家の要介護者のために働くのが良い。』

老人医療、介護の現場での見聞をもとにして、医療と介護を同列に考え、老親の介護は他人である専門家にゆだね、余裕があれば、専門家になって他家の介護をやれ、という意見は挑発的で、人々に衝撃を与えた。

数日後、館山市の無職の男性(83歳)の「老人介護は家族こそ本筋」という反論が、同じ声欄に掲載された。

『妻は84歳。ここ10年間はほぼ寝たきりに近い状態で、最近では時折ボケの初期症もみられる。
用便、入浴、食事とかなり手数がかかるがその介護には私と後二人の家族が当たっている
イロイロと苦労もあるけれど、本人の安らかな寝顔を見ると、そんなものは消し飛んでしまう。
今一番の私の願いは、このままの状態が少しでも長く続いてくれることである。』

 W。上記の社会的実態から遊離した情緒満載の投書には、妻の介護のために研究生活を放棄した老研究者もさすがにこう答えている。
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「右の幸せな例は、介護者が3人もいるから実現できたことではないだろうか。←W。それでも想定 介護度4or5の当人の家族介護は苦労を伴う。だからこそ、その視野から「介護はプロへの挑発投書への反発は理解できが~。
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有職女性が一人で介護を担当せねばならぬとなると、そうはいかない。
相模原市に住む自由業の女性(42歳)の意見はその一例である。
ほんの少しでも誰かに手伝ってもらっていたら、私も優しさを失わずに済んだかもしれない』と言い『身内であるがゆえの我儘がお互いの心を蝕む』危険を指摘して『老人介護は他人に任せよう。』との意見への共感を表明している。
>この事例は介護相手が州都であったこと、それなのに夫の理解が欠けていたことが、一人介護を担った彼女の負担感を耐えがたいものにしたのであろう。←W。よくあるパーンである。
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しかし、介護相手が実親で、介護者が独身でも、一人で介護を背負い込めば、その重圧に苦しまねばならない。
東京都の女性(55歳)の例はその一つである。
『96歳の寝たきりの父、心臓病はじめ、あらゆる病にかかり、痴呆が出ている87歳の母を在宅で介して6年間、休養なしの日々、、自分自身も体調を崩しただけでなく、仕事をはじめ友人など、あまりにも失うものが多かった。家庭もちであれば、離婚に追いやられたことであろう。独身の私は自殺を思った
介護される側も甘えがあって、家族で見るのは限度がある
老親の介護は他人にお願いするのが良い。
ーーこれが在宅で介護祖てみた結論だ。
自分の親は他人に頼み、自分は他人の親を看るよう、
(W。この事例の老両親は)→<社会的存在>として<たすき掛け介護>が行われることを望む』
>この女性は、区の社会福祉サービスに関する情報不足のため、一番大変なときに区に相談しなかった自分の無知を悔いている。←W。本人自身の社会性が欠けていた。介護する側も自己を社会的存在と位置付ける必要がある。同時に介護する者が介護されるという存在論も必要になる。
><社会的存在>の認識もその苦い体験から生まれたものであろう。

    心のケアは家族
介護に民間業者が参入して、とくには利益本位の経営がみられる現在では、~~
老親介護を福祉サービスのプロに任せることは、介護を他人に名飲むことであるから、これを恥とする家族側の家族観の切り替えと、社会福祉の充実によって可能となる。
しかし、介護に実際を人任せにして、見舞いに行くだけでは心のケアにならぬとすれば、老親の心のケアはどのようにすればよいのか。
スウェーデンでは、おそらくピンと分かることも、日本では見当がつかないのである。

      3 介護の外部化と社会化
  介護保険法の影響

 要介護認定の流れ 
W。図式化されよくまとまっている。認定される側もこの流れを知っておく必要がある。
この文言による詳しい説明と合わせるとよりわかりやすい。
    ↓
要介護認定の流れ W。コンピで自動的に決定され5の介護認定審査会はスルー。
  1. 申請を受けて、市町村は被保険者宅(あるいは、入院・入所先)に調査員を派遣し、認定調査を行う
  2. 同時に、市町村は申請書で指定された医師(主治医)に対し、主治医意見書の作成を依頼する。
  3. 認定調査結果と主治医意見書は、あらかじめ国の定めた基準により、介護にかかる時間(要介護認定基準時間)に評価される。(一次判定
  4. 5名以上(更新申請の場合は3名以上)で構成される合議体にて介護認定審査会が行われ、一次判定結果および認定調査結果、主治医意見書を総合的に勘案し、要介護度および認定有効期間が最終的に判定される。(二次判定
  5. 市町村は、介護認定審査会の二次判定結果を受けて、要介護認定の結果を被保険者に通知するとともに、介護保険被保険者証に要介護認定の結果を記載する。
  6. 市町村は、介護認定審査会の二次判定結果を受けて、要介護認定の結果を被保険者に通知するとともに、介護保険被保険者証に要介護認定の結果を記載する。

要介護度(要介護状態区分等)
認定は申請日から(認定があれば申請日にさかのぼって効力を生ずる)有効期間内(原則、申請日の属する月及び翌月から6ヶ月間)に限り有効である。

要介護状態
身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間(原則として6ヶ月間)にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態

要支援状態
、身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間(原則として6ヶ月間)にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状であって、支援の必要の程度に応じて←W。前記の文言は、要支援認定から要介護認定にランクアップする間に大きなハードルを設けている、と解釈する。状態がかなり悪化しても要支援2のまま留め置かれる可能性が生まれる。
 この項目の引用は今回の記事でとりあえず留め置くが次回に引き継ぐ
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坂東:最後まで在宅でターミナルケアする人たちは、今、どれくらいいるのでしょうか。少ないでしょう。

上野:在宅死は13%ぐらいでしょう。病院死が80%、施設死が5%ぐらいで徐々に増えています。

坂東:意外と施設死が少ないんですね。

上野:施設でターミナルケアまでやっているところはまだ少なくて、代替医療系法人と提携しているので、最後は病院に担ぎ込むんです。
最近はようやく施設死が増えてきましたが、施設死は施設にとって負担が増えるだけで利益にならないので、施設で看取りまで実践するのは、どちらかというと心ある施設でした。最近では看取り加算さんが付くようになりました。