反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

ホームヘルパーの認知症ケア実例集<要介護1>と介護認定の基準(イ)介護認定審査会の手引き。ロ) 認知症自立度 II以上の蓋然性。介護保険一次判定のロジック(6) 認知症加算 - リハ医

      1、介護現場の実例 
① ホームヘルパー認知症ケア実例集 
~具体例で学ぶ求められる援助~社会福祉法人 京都福祉サービス協会編~2014年刊行

   要介護1 女性79歳 独居   アルツハイマー認知症
   認知症自立度 Ⅱb W、注2 寝たきり老人度A1 
   高血圧(血圧降下剤) 
   月1回 近くの神経内科医院を受診


W、注1) 
 アリセプトの副作用について
<精神症状> 下記のアセチルコリンの特性から不適応と判断する
興奮やイライラ感、落ち着きのなさなどが出現することがあります。
これは脳内のアセチルコリン - 脳科学辞典~~~アセチルコリンは最も早く同定された神経伝達物質である。末梢神経系では、運動神経の神経筋接合部、交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで伝達物質として働く。中枢神経系の一部にもアセチルコリンを伝達物質とする神経が存在するが増加することにより、神経細胞が刺激されて生じるものと考えられています。~~~
投与開始や増量に伴い生じた場合は慣れてくるに従い自然に軽快することもありますが、
>介護者の負担が大きい場合にはアリセプトを減量・中止せざるを得ないこともあります。
またこれらの症状はアリセプトとは関係なく認知症の症状としても出やすいものであるため、これらの原因となるようないつもと変わった出来事がなかったかなど検討します。
***********

認知症自立度 Ⅱb W、注2


イ)介護認定審査会の手引き 6ページに介護審査会資料
 実例 6P記載
一次判定結果 要介護1
認知高齢者自立度     Ⅱa

日常生活自立度の判断基準一覧

レベル判断基準
Ⅰ)「何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している状態」基本的には在宅で自立した生活が可能なレベルです。
Ⅱa)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭外で多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態」
Ⅱb)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭内で見られるようになるが、誰かが注意していれば自立できる状態」
Ⅲa)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが主に日中を中心に見られ、介護を必要とする状態」
Ⅲb)判断基準「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが夜間にも見られるようになり、介護を必要とする状態」
Ⅳ)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする状態」
M)「著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態」

主治医の意見書       1

認知症Ⅱ以上の蓋然性  97,8% 
状態の安定性        不安定

W、参考資料
「中間評価項目の点数は最高100点、最低0点になるよう表示される。点数が高いほど介助が不要となるように配点される。」
# 図表25 スコア表(非該当、要支援1、要支援2、要介護1の時に使用)
  • ケア時間プラスに関係する項目
    • 「1-11 つめ切り」(介助の方法)
    • 「1-10 洗身」(介助の方法)
    • 「2-5 排尿」(介助の方法)
    • 「2-8 洗顔」(介助の方法)
    • 「5-2 金銭の管理」(介助の方法)
    • 「5-5 買い物」(介助の方法)
  • ケア時間マイナスに関係する項目
    • 『1 身体機能・起居動作』
    • 『2 生活機能』
    • 『4 精神・行動障害』
 引用する。
運動能力が低下していないという前提を考えると、
『1 身体機能・起居動作』と『2 生活機能』は点数が高くなっている推測する。
>そうなると、「1-11 つめ切り」、「1-10 洗身」、「2-5 排尿」、「2-8 洗顔」などのADL 日常生活動作 - Wikipedia~~食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動~~項目と、
>「5-2 金銭の管理」、「5-5 買い物」などのIADL手段的日常生活動作 - Wikipedia~~電話の使い方、買い物、家事、移動、外出、服薬の管理、金銭の管理など~~項目が介助となり、
かつ、『4 精神・行動障害』~~BPSD(ビーピーエスディー)とは - コトバンク Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略~~の点数が低くないと、認知症のケア時間には加算されない。

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>「認知症高齢者の日常生活自立度」を大雑把に言うと、
手段的ADLに介助が必要となったらII、

>さらにADLにも問題が生じるか
>周辺症状BPSDが悪化したらIIIからIV

>入院しなければいけないようならMとなる。

図表25のロジックは、「認知症高齢者の日常生活自立度」でIII以上にならないと実際には加算が行われないということを意味している。」

 図表26 スコア表(要介護2)
  • ケア時間プラスに関係する項目
    • 「1-11 つめ切り」(介助の方法
    • 「1-10 洗身」(介助の方法)
    • 「2-1 移乗」(介助の方法
    • 「3-9 外出して戻れない」(有無)
    • 理解および記憶(主治医意見書): 図表27を用い、0~6レベルに分ける
  • ケア時間マイナスに関係する項目
    • 『2 生活機能』
    • 『5 社会への適応』
    • 『4 精神・行動障害』
# 図表27 理解及び記憶(主治医意見書)の算出方法
  • 「日常の意思決定を行うための認知能力」が、”自立”、”いくらか困難”、”見守りが必要” 
  •    
    • 認知症の中核症状」3項目(「日常の意思決定を行うための認知能力」、「短期記憶」、「自分の意思の伝達能力」)
      • 0レベル(障害なし): 「日常の意思決定を行うための認知能力」”自立”、「短期記憶」”問題なし”、「自分の意思の伝達能力」”伝えられる”

      • 1レベル(境界的): 3項目のうち1項目が上記以外に該当
      • 2レベル(軽度の障害): 3項目のうち2~3項目に該当し、かつ、「日常の意思決定を行うための認知能力」、「自分の意思の伝達能力」両者とも”いくらか困難”の部分に該当
      • 3レベル(中等度の障害): 「日常の意思決定を行うための認知能力」が”見守りが必要”、「自分の意思の伝達能力」が”具体的要求に限られる”又は”伝えられない”のいずれかに該当
      • 4レベル(重度の障害): 上記2項目の両者に該当
  • 「日常の意思決定を行うための認知能力」が、”判断できない”
      • 5レベル(重度の障害): 「食事」が”自立”、”何とか自分で食べられる”
      • 6レベル(最重度の障害): 「食事」が”全面介助”

 主治医意見書の項目中、図表27に用いられるのは
「3.心身の状態に対する意見」の「(2)認知症の中核症状」に含まれる3項目(短期記憶、日常の意思決定を行うための認知能力、自分の意思の伝達能力)と、
「4.生活機能とサービスに関する意見」の「(2)栄養・食生活」に含まれる「食事行為」である
************

本ロジックでは、定数項と『2 生活機能』の比重が高く設定される。
>認定審査会での経験から言っても要介護2から1ランク以上加算されることはほとんどない。
       ↓                      ↓       ↓
# 図表28 運用基準
 認知症高齢者のケア時間加算ロジックで1段階上がる時間を加算された者が、下記基準を満たした場合、さらに時間が加算され2段階上がる。
  • 「4-6 大声を出す」(有無)
  • 「4-7 介護に抵抗」(有無)
  • 「3-8 徘徊」(有無)
  • 「3-9 外出して戻れない」(有無)
  • 「4-9 一人で出たがる」(有無)
    • 自立: 1項目以上に該当
    • 要支援1: 2項目以上に該当
    • 要支援2/要介護1: 4項目以上に該当
    • 要介護2: 5項目に該当
認知機能の低下そのものに焦点をあててはいない。運動能力の低下していない認知症高齢者が正しく判別されない傾向が今後も続くと予測する。

           
      2) 状態の安定性の判定ロジックについて
要介護認定を 2 回連続して実施した者のうち、
>1 回目の認定で要介護 1 又は要支援 2 と 判定された高齢者(126,231 件)を、2 回目の認定で 1 回目より重度に判定された群と、
>2 回目の認定が 1 回目と同じ、又は改善が見られた群の 2 群に分けて、判別分析を実施しま した。

*うち、2 回目の認定で重度化する群を状態不安定
維持・改善している群を状態安 定としました。
(判別分析は集団をある条件のもと 2 つのグループに分ける統計手法です。
 条件となる認定調査項目の回答結果の組み合わせにより、
対象となる高齢者が、2 回目の 認定時に判定が重度化している高齢者か、
>1 回目の認定結果と同じ又は改善されている高 齢者かを判別することができます
>運動能力の低下していない認知症高齢者に対する加算 (認知症加算)に対しても同じ統計手法が用いられています。)


 
図表 34 状態の安定性判定ロジック 定数項 -1.047
 
歩行 できる 0.000 つかまれば可 0.187 できない 0.871
 つめ切り 介 助さ れ ていない 0.000 一部介助 0.117 全介助 0.117
 洗身 介 助さ れ ていない 0.000 一部介助 0.248 全介助 0.789 行っていない 0.789

 移乗 介 助さ れ ていない 0.000 見守り等 0.332 一部介助 0.760 全介助 0.760

 排尿 介 助さ れ ていない 0.000 見守り等 0.406 一部介助 0.839 全介助 0.839

 ズボン等の着脱 介 助さ れ ていない 0.000 見守り等 0.366 一部介助 0.451 全介助 0.775

口腔清潔 介 助さ れ ていない 0.000 一部介助 0.521 全介助 0.521

今の季節を理解 できる 0.000 できない 0.525 毎日の日課を理解 できる 0.000 できない 0.438

 介護に抵抗 ない 0.000 ときどきある 0.421 ある 0.496 日常の意思決定 できる 0.000 特別な場合を除 いてできる 0.338 日常的に困難 0.618 できない 1.445

金銭の管理 介 助さ れ ていない 0.000 一部介助 0.320 全介助 0.771

 薬の内服 介 助さ れ

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1、介護現場の実例 
① ホームヘルパー認知症ケア実例集 
~具体例で学ぶ求められる援助~社会福祉法人 京都福祉サービス協会編~2014年刊行

      中核症状、行動心理症状BPSD
電気の消し忘れ、ガスの元栓や水道の蛇口の閉め忘れ。
通帳印鑑財布の保管場所や食事したことを忘れる。
ものがなくなり盗まれたことを毎日家族に連絡する。
財布が見つからないとき派には、「私の後をつけてくる人がいるからとを開けたときにときょろきょろ見るのと」」とヘルパーに話しかけてくる。

      日常生活動作ADL
自立、問題なし
意志の伝達、決定: 記憶力の低下がみられる。 同じ話を繰り返す

      訪問介護の計画
<家族の意向>  通院八ヘルパーと一緒に行ってほしい。
<援助目標>
定期的に通院できるように、ヘルパーが介助する。
薬の飲み忘れがないように確認する。
できにくくなっている家事は、ヘルパーが支援する。

     ヘルパー週2回 家族訪問週1回

     支援経過
処方箋出し忘れ 郵便局に行き忘れ
いつも同じ服装 選択や入浴をしている形跡がない 家族の依頼で入浴介助
訪問してインターホンを押しても応答がない→TELで開ける。

     担当者の所感及び考察
「何でもできている」という本人の思いや、自尊心を傷つけないように声掛けに苦慮している。
カレンダーに予定を記入し、本人にメモしてもらうが、当日の気分で行動するため、予定通り行かない。

      
         1、介護現場の実例 
① ホームヘルパー認知症ケア実例集 
~具体例で学ぶ求められる援助~社会福祉法人 京都福祉サービス協会編~2014年刊行


女性 85歳 長男アルコール依存症
認知症自立度 Ⅱb   寝たきり老人度J2  要介護1
アルツハイマー認知症 心房細動(ペースメーカー埋め込み) 高血圧

 治療状況
一人でタクシーを利用して通院(通院日を忘れていると病院から電話がいる)診療内容は理解できていないようだ。
 服薬状況
本人の自己管理だが、飲み忘れや重複がある。

 中核、行動心理症状
ヘルパーの訪問時間を覚えていない。 買い物依存がある。~食材を買い込みたい本人の気持ちに共感する~

   日常生活動作ADL
自立
意志の伝達、決定: その場の会話は可能だが、物忘れが顕著で、、理解力が低下しているように思われる
 
   援助内容
掃除 調理

   スケジュール
デイサービス 週2回 訪問介護週2回

 ヘルパーより
多くの食材があるにもかかわらず、買い物依存がある。不要な買い物をしないように本人にどのように伝えるかを工夫する。

    この事例のまとめ
>この利用者は夫の死後間もなくの状況であり、周りの環境が変化し、本人にとっては喪失感と虚無感がまだ残る中、認知症が少しづつ進んできた段階でのヘルパー派遣となりました

>買い物をするのは、家族を思うやる気持ちの表れだったと思われます。
本人の中には家族の存在があり、妻として母親として家族を思いやる気持ちが、特に買い物という行動に表れています。
>また物忘れがひどい状態であっても、、息子に対しては「働いてくれたら」と将来を案じています
>ヘルパーとしては、このような家族に対する思いやりをいつまでも忘れない本人の気持ちを引き出し、共感的に理解し、さらに安どの表情を引き出すのが大切ではないかと思います。


     1、介護現場の実例 
① ホームヘルパー認知症ケア実例集 
~具体例で学ぶ求められる援助~社会福祉法人 京都福祉サービス協会編~2014年刊行

女性 73歳 独居 認知症自立度Ⅱa   寝たきり老人度J1 要介護1
 
  病歴疾患
慢性肝機能障害  椎間板ヘルニア 自律神経失調症(発症時期は不明 症状を抑えるために服薬)

  服薬状況
血圧降下剤(ラジストミン)ラジストミンの効果・副作用 - くすり・薬検索 - goo辞書 カルシウム系
コバンダキン(自律神経改善) 
アリセプト (認知症進行抑制剤)

    中核症状 行動心理症状BPSD
物忘れによる短期記憶障害が顕著。眼鏡や財布、テレビ、エアコンのリモコン、選択後の衣類を片付けた場所がわからなくなると「泥棒が言って盗んでいった」という訴えになる。
「夜間誰かがいえの中に入り込んできている」
「出かけている間に誰かが勝手に入り込んでエアコンを使っている」などの被害妄想がある。
>特に夜中に一人で過ごすことへの不安が大きく「夜中だけで求めてくれる施設があれば利用したい」という相談がある。
>また結婚していれば夫がいたはずで(寂しさや不安があってもい)こんなことにはならなかった。

「女一人で暮らしていると泥棒にいられる」と話すことがある。
浴槽の線を開閉する方法がわからなくなった。(知人に開閉ボタンの位置を教えてもらった)ということがある。
炊飯以外の調理はほとんどできなくなっている。
>>見当識障害があり、ゴミ出しの日を間違えることがある

ほぼ自立
意志の伝達、決定
問いかけには応答できるが、買い物内容を決めるときには時間を要する。

>短期の記憶を保持できない場合があり、同じ質問をしてもすぐに答えが変わり、数分前に話した話題を忘れて繰り返すことがある

   援助目標
一人暮らしに不安がある半面、自分の行きたいところに行けるなどの自由な暮らしを続けられることで、在宅生活への意欲が保持できるように援助する。

  援助内容
買い物 掃除の介助

 スケジュール
訪問介護3回 デイサービス月1回
月2回程度の友人の訪問

内科には自分で通っている。
認知症外来には今年から通っているが(月1回)、友人が付き添っている。付き添えないときは一人で通院。

  家族親類 
月に2~3度、妹が訪問している。
>本人の物忘れが目立ち「ものとられ」の相談をされたことで、このままでは、近隣に迷惑をかけるので、一人暮らしは難しいと考え施設にゅしょを検討したことがあった。
現在は友人の支援を前提に、在宅生活の継続を了承している

  地域 
知人が時々様子を見に来てくれる。一緒にカルチャースクールに通う友人との交流が続いており、月に何度か自宅に訪ねてきて一緒に食事をしている。




  担当者の所感
友人などが協力的で、認知症外来への通院を付き添っている。
ただ認知症に対する理解がどの程度かは不明で、本人に対しても「もっと頑張れば自分でできる」という思いで接している
本人は「身体がしんどく、友人のように動けないので気持ちがついていかない」
「保育士として長年働き、は保谷の介護で拘束されてきた生活を送ってきたので、70を過ぎてやっと自由になった、長い間頑張ってきたので、今は好きなように過ごしたい」ことを友人などには話せていない。

  うまくいったこと
友人の協力で認知症外来の受信などの導入につながった。

今は自由にしたいという在宅生活への前向きな意向を聞き取れた。

  ヘルパーより
話の真実性は不明だが、本人の訴えにつながる「原因」を探る必要がある
一度だけ本人の訴えを「そのようなことはないでしょう」と否定したことがあり、「もう話さない」と怒られた
すぐに謝罪して受け入れてもらったが、現実感のない話に合わせることに戸惑った。