反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

第8回 レジュメ、本書のテーゼの注解。  『社会脳からみた認知症』徴候を見抜き、重症化をくい止める伊古田俊夫


  レジュメ
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W。レジュメの認知症に対する解釈(仮説)は、現場の適切な対応がなければ、認知症の人への偏見、社会的排除につながる可能性を含んでいる。もっと言えば、「普通の人」の世間知を絶対化する優性思想につながる。
レジュメの最後の結論→「認知症を<忌み嫌われる病>へと追いやる判決があった」は、レジュメ本文の認識からすれば、取って付けたようなものである。

認知症の人とともに暮らす街づくり」 「社会づくり」P221 P222
    ↓
 <社会脳を守ろう>
「社会との正しい関係(W。正しい関係??) 社会の人々 自分を取り巻く周りの人との良好な関係を築くためには、社会脳の正しい活動が不可欠。(W。この文脈も怪しげなにおいがする)
 社会の在り方そのものも、大きく関係する。人間にとって暮らしやすい社会の実現こそが、社会脳の正しい活動を保証する。」←W。コレでは認知症の人への適切な現場対応は位置付かない。只今現在の関係性、活動内容の中に将来が内在しているのであって、あるべき将来~~人間にとって暮らしやすい社会の実現~~に彼岸化すべきでない。

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  本書のテーゼ
認知症とは社会脳が壊れる病気である」、と考えられる。認知症が社会的認知の障害であるなら認知症の理解は大きく変わる。」

認知症の人の不可解な言動に介護者や家族は困惑しため息をつく (P224 P225)

 W。指摘されいる4点の事態は痴呆の行動、心理症状BPSDであり
中核症状に長くとどまり、死を迎える人もいるのではないか。
BPSDへの適切な対応だけでなく、中核症状の範囲に留めることも介護現場では必要(環境の保証に尽きる)。しかし、純粋な中核症状はMCIレベルならともかく認知症が進行した段階ではありえず、
いわゆる周辺症状とは様々な潜在的発現形態があり、その事態が悪化して、BPSD症状になる。

例えば、比較的行動力があり、認知症自立度の高い人が環境悪化によって、反転し行動心理症状が露見するケースが想定できる。この場合、認知症自立度の高い段階で周辺症状は潜在化し、見る人が見れば露見しているのではないか。
従って潜在化している周辺症状を予防する環境を整える努力が必要となるが、現状の介護体制では、認知症自立度の高い人は自立の名のもとに放置されがちだ。

>介護する家族の大変さを理解してくれない。←W。本人の症状からして当たり前のことなのだが、コレは強烈な事実介護する側に自己葛藤が生まれて当然である。
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「 認知症の人には、「配慮を受けている」という自覚が乏しく、同僚に感謝の気持ちを伝えられない。

> 認知症の人に最初にあらわれるのは、<新しいことを記憶できない>こと
>そして、物忘れしているという自覚が薄れてくる
 
日課や予定、約束や期限といった緊張感が失われると、人間の記憶力は低下していく。←W。日常生活におけるアナログ的無駄は、記憶力低下に対するエクササイズになる。担当者がコレを解ってやらせているのか、ただ単に放置しているのか理解しかねるが、過去の文書を見ると、おそらく単純な「自立」の文脈で対処しているものと思われる。

認知症の第二の重要な症状は、自分の置かれた状況が分からなくなること。←W。「自分の置かれた状況が分からなくなること」は認知症の人だけじゃない。


さらに症状がすすむと、自分が病気であることを理解できなくなる。
 
>人の心の働きのなかで、もっとも重要なのは、他者の心や気持ちを理解するというもので、これは人間特有の働きである。
認知症に陥った人たちからは、苦悩が確実に減少していく。悩まなくなるのだ。」 ←W.。認知症の人が症状の進行に従って、悩めば大変な絶対的自己矛盾的同一を抱え込むことになる。幼児に悩みがあるのか?
つまり、上記の事態は人間的自然現象に過ぎない、と考えた方が良い。

   認知症の人は、周囲の人の表情や感情の変化に気づく力が落ちている。~なぜ?
 人の気持ちを理解する
 人の痛みをわが痛みとする
 自分の至らなさを反省する

認知症の人に生じる「心の変化」は、
記憶の障害や知的能力の低下だけでは説明できない。他人の気持ちを理解し、周囲の人とうまく生活していく「社会的能力の低下」としてとらえなければ、十分にその原因を究明することができない。← W?傷口にこれでもかこれでもか塩を塗り込む。


;社会脳科学は「社会脳」という脳の新たな姿を提唱している。
;明らかになってきたsy会脳の解剖マップは、社会脳と称される脳の領域が、認知症によって侵される脳の領域とほぼ重なることを示した。

;ところでその社会脳とは? P56
①目つき、顔つき、表情を見て、人の気持ちや心の内側を推測する(表情の認知)←W、思考力、理解力判断力が低下すれば自然とそういう状態になるのであって、この状態を敢えて、社会脳(この「定義」が仮説であるのかないのかがまず厳密に問われるべきだ)の劣化や破壊としては、世間の認知症に対する常識に、医学的見地によるさらなる偏見を植え付けるのではないか。

②他人の心の痛みを自分の痛みと感じる(共感同情)

③相手の気持ちを推し量りながら自分の行動を決める(駆け引き)

④みんなで協力し、物事を行う(社会性協調性)

⑤事故の感情、欲望を適切に抑制する(理性的抑制)

⑥自分を振り返る、反省する(自己認識し、自己モニタリング

W。以上ほとんどの項目は小学校の義務教育の人となりの評価にそっくり。性格的優等生モデルを頂点に評価している。

;新しい認知症の診断基準~米国精神医学会編『dsm-5』(精神障害の診断と統計の手引き<第5版>の紹介←W。主として高齢者特有の症状である認知症は若者も罹患する精神障害なのか?


              第1部 (基礎知識)
     認知機能とは何か? その分類
① 新たなことを学習し記憶する (学習と記憶)
② 自分の置かれた状況を理解する (見当識
③ 言葉を正しく理解する (言語)
④ 物事を正しく実行する (実行機能)
⑤ 自分の周囲のことに注意を払う (注意)
⑥ 自分で見たものを正しく理解する (見分け)
⑦ 人の気持ちを理解する、共感し同情するなど (社会的認知<前出>)

    認知症の代表的な疾患P40
前頭葉側頭葉変性(前頭側頭型認知症、意味認知症
<以上の4つは原因不明>
<以下の4つは原因が明確>
;血管性認知症
;アルコール性認知症
;感染後遺症型認知症
:頭部外傷型認知症

 複数の疾患が重なる「混合型認知症
アルツハイマー認知症の3分の1は脳卒中後遺症を合併している
W。省略 

 認知症はどんな症状(P42 P43)
1、記憶障害
2、見当識障害
3、病識の欠如
→1 の物忘れだけで生活上のトラブルを起こすことはまれ。2、の見当識が重なったときに注意が必要。
→2、や3、は脳の前頭葉頭頂葉の広い範囲が侵されることで生じる。
W。参考資料 反俗日記 2017/9/18(月) 午後 1:28
MCI(軽度認知障害)段階では
海馬(イソギンチャク)🔁記憶の壺<前頭葉頭頂葉の広い範囲>の連関機能がある程度働くが、
W。→症状が悪化(認知症)2、見当識障害 3、病識の欠如)すればイソギンチャク器官がぜい弱化し、記憶障害、見当障害が多発する。

W。超重要→新しく接する人物の誤認は是正できないが、← W。科学的事実。
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「カプグラ症候群とは、近親者などが瓜二つの偽物と入れ替わったと確信する妄想であり~~
成因論的には、1960年代までは対象の妄想的否認や感情的判断などと言った心因を重視する見解が支配的であったが、1970年代以降、器質因を重視する立場が出現し
知覚相貌認知の障害として解釈しようとする立場が優勢となっている。大脳の右半球や前頭葉の病変との関連が指摘され、カプグラ症候群を認知心理学的に説明する仮説も提唱されている。」
 
      相互変身症候群
 周囲の身近な人々が相互に変身してしまうという妄想的確信である[16]。自分の主たる関心を占める対象同士が、同一の人物の外見を保ちながら次々にお互いに入れ替わる。見かけの対象と本物の対象のいずれもが、患者にとって何らかの愛着ないしは迫害の対象であることが多い[9]。」

古い付き合いの人物は誤認しない。←W。記憶障害の程度が低い段階で記憶された人物はなかなか「忘れない」
もっと認知症が進行すると古い記憶も失われる←W。見当識障害が出てくると古い記憶と比較的新しい記憶の混濁が始まる。
>W。身近な者との通常の交流に障害が生まれる。認知症自立度スケールにおける進行度のⅡa Ⅱb基準は、家庭外トラブルⅡa(緊張し外面はある程度整えられる)→家庭内トラブルⅡb(本人の病状が最も現れるのは、取り繕う必要のない家庭内)の順番~可読介護に難しさはここにある。
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    中核症状と行動心理症状
;;中核症状は脳の障害にも続く症状で、すべての認知症患者に表れてくる。
冒頭の認知障害の①から⑦までも含む。

::行動心理障害は、個々の体調や生活環境に影響されて出てくる症状。
>行動症状
徘徊 不穏 安易興奮性 焦燥 逸脱行為 脱抑制行動 身体攻撃 介護拒否 叫声 多動、落ち着かない
>心理症状
妄想(ものとられ、不倫) 幻覚(幻視、幻聴) 睡眠障害 抑うつ 無関心 無意欲 不安 誤認 安易怒性
>近年の研究では、レビー小体認知症における幻覚症状や、前頭葉認知症での立ち去り行動、常道行動などは中核症状に移した方が適切と考えられる。

    認知症タイプの画像診断
タイプ判断は医師が主に臨床症状を基に診断する。
>大雑把に言って10人に一人二人の割合で「誤診」の可能性。
>画像診断としてはCT(コンピューター断層撮影)とMRI(核磁気共鳴画像法)が一般的。
→しかし、認知症は形変化に表れにくい病気なので無力の場合あり。

>現在の画像診断法は「脳SPECT(単一光子放射断層撮影)が広く利用されている。
;脳SPECTで映し出されたものは、『脳の血流低下した部位』
;放射同位元素を含む薬剤を静脈注射し、ガンマカメラで撮影し画像処理
>新しいSPECT用薬剤の開発(ダットスキャン)
ドパミントランスポーターに結合し脳内のドパミン代謝の一端を画像処理化することに成功
レビー小体型認知症の早期診断に期待

>研究面での検査法(社会脳科学の研究においてこの2つの検査法が必須)
機能的MRI(~脳の活動を画像化する検査)
PET(ポジトロン断層画像診断法) 陽電子を用いて血流や代謝を断層が増加する方法)

 
           社会的認知の視点       
上記にしるしたので省略

社会脳の特徴~脳性地学で云う中枢とどこが違うか(P162 P165)
>脳生理学では、日筒の役割を担う神経細胞の集団、脳の領域を「中枢」と呼ぶ
>社会脳は脳生理学で云う中枢に似ているが、かなり違った特徴を持つ。
  
  <相違点>
①社会脳の脳領域は、中枢と異なり、一か所でたくさんの働きを担っている。
>社会脳の大部分はネットワーク(多数の脳領域をつなぐ神経回路)で働いている
②損傷を受けたときの症状も異なる
>中枢と呼ばれる部位を傷つけると、必ず一定の症状が残る。
>社会脳はどこか一か所が壊れても、意外に明白な症状は出ない。

  <ということは>
頭部外傷や脳卒中などの部分的に脳が壊される病気では、社会ののネットワークの一部が壊れても意外に症状が出てこない~~この点が社会脳の特徴。
>>逆に言えば、認知症のように脳全体が侵される疾患では、ネットワーク全体がじわじわと傷つけられるため症状が出やすいともいえる。

 認知症が「社会的認知の障害」であるなら、認知症の理解は大きく変わる。(P168 169)
①まず、認知症という病気の中心症状が、従来の記憶障害から社会的認知の障害へと大きくシフトしていくことが予測される。
認知症の人が抱える困難の中心は、穀の障害によるというよりも、周囲の人の気持ちや思いを理解できず、自分の持つ問題点を的確に把握できない点にある。これがすなわち社会的認知の障害である。
「人を無視する脳」 「ジレンマに苦悩する脳」 「危険な者や危険な人の見分けができなくなる脳」
「平然とうそをつく脳」など人間の工事の精神メカニズムを解明することに成功した社会脳科学によって、認知症の様々な「機構」を科学的に説明できるようになった。

しかし、未解明なことも多い。
幻覚や妄想といった精神症状 徘徊などの機能的MRI怨嗟の対象となりえない症状、常道行動 時刻表的生活など前頭側頭型認知症特有な症状の神経基盤や脳内メカニズムの解明は手付かずの状態。

  <認知症の促進因子>
社会的活動への不参加
過度のアルコール摂取
高カロリー高脂肪な食事
高度なストレスの持続
喫煙

  <認知症防御因子>
ウォーキングなど日常的に
知的余暇活動、社会活動、人との交流への積極参加
ぼりフェノールの摂取(緑茶、ナス、コーヒー、トマト、カレースパイス)
不飽和脂肪酸イワシなどの魚、オリーブオイル)
十分な睡眠、慢性的な過労の予防