反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

課題研究→在宅介護と介護保険制度。好論文発見。引用「無理大きい在宅介護制度全体を見直せ - 見えてきた様々の欠点 -

  W。在宅介護、施設介護現場の実情を踏まえた見解であり、Wも常々そのように考えて現場担当者を前に偉そうなことを言ったことが何度もある。
もっともWの生意気な意見は介護保険制度発足当時の方が今の行政、事業者サイドの利益、都合が表面化している状況よりも利用者サイドに立って運営されていた、というものでこの見解ほど掘り下げて考えられなかった。
>以下本文を参照しながら、Wの意見を書き込んでいくことで課題を深めていくことにした。



  無理大きい在宅介護制度全体を見直せ
      - 見えてきた様々の欠点 -
 社会保障制度全般が改革されようとしている中で、介護保険はどう手直しすればいいのか。
  引用。
「もっと正確に言えば在宅介護の需要は潜在的にはいくらでもあるのだが、現状の介護保険はそれにきちんと対応できる仕組みになっていないのである。←W。在宅介護に柔軟に対応できる介護保険制度とは、財政的限界がある中でリアルにどうのようなものなのか?

そのため、施設介護への需要は、相変わらず高い水準にある。
どの地域でも介護老人福祉施設特別養護老人ホーム)は足りないのが現状である。←W。待機者が非常に多い!

 現在の制度では、老人を在宅で介護をしようとすれば、介護にあたる家族が一人以上存在しなければ無理である。
>逆に言えば、介護保険における在宅介護は、介護にあたる家族がいることを前提としたサービス給付となっている。
**そもそも、要介護度が3以上(W。圧倒的な待機者が多い現在の特別養護老人ホームの入所資格は要介護3以上を優先)で手厚い介護を必要とする老人を、在宅で介護すること自体にかなりの無理がある。

よほど特殊に家族内介護力を強化しているのでなければ、

**おのずと施設介護に移行していくことになるだろう
      ↑    ↑
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W。おのずと英語で訳すと 対訳 naturally
W。自ずととは? ( 副 ) 物事の性質や成り行きに従って自然にそうなるさま。ひとりでに。自然に。
W。筆者は介護のプロの目線、体験から「自ずと、施設介護に移行していくことになるだろう」という何気ない文言を使っているが、
W。老人を自宅で介護しようとする家族及び慣れ親しんだ在宅のままいたいという本人の目線、体験の範囲内では、在宅介護から施設介護への移行には大きなハードルが立ちはだかっており、それを超えるのは、転倒骨折などの大きな事故や病気入院を施設入所をきっかけとする場合が多い。本人家族納得づくでの施設入所のケースは少ない。
だから、在宅から施設への移行は介護のプロの言うような<自然過程>にはならない
慣れ親しんだ在宅でいたいという本人の思いは当たり前の人間的本能。

ところが介護に困難を覚えるようになった介護家族にとって、介護したいのだが介護が困難になって先行き不安が募ってくるというアンビバレント(二律背反)な思いは常に付きまとうようになる。

この場合こそが、在宅介護から施設介護への移行に際し、姨捨感情を超えて、プロ介護者の目線、体験を取り入れるときである。

症状が進行しても、家族介護で抱え込んでいき、本人もそれに応えて、用心深く過ごしていると、最悪の結果である、共倒れ状況に陥る。
>それだけはなくこういった状況が招く事故被害を周囲に及ぼす場合も出てくる。
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  <施設に入所したり、病院に「社会的入院」をせずにすみ、自宅にいられる老人>は
要介護度が1か2、あるいは要支援が主である。
そしてその層こそが、在宅介護サービスを最も必要としてい

 ところが、その程度の要介護度では、サービスの支給限度額は要介護度2でも月に194,800円であり、なかなか満足できるサービスは受けられない。
よく指摘されているように、
>より介護が困難な痴呆性老人でも、要介護度が1か2にしかならないケースが多い。
これが一人暮らしならば、なお困難は増大する。

              独居老人と「見守り」ニーズ
具体的なケースを挙げてみよう。
私たちの法人に所属するケアマネジヤーが対応している74歳の独居老人。
糖尿病が原疾患で、多発性脳梗塞と精神分裂症があり、対人関係障害がある。
ややぼけも出てきたが、介護保険では要介護度2である。

 私たちは、介護保険の以前からこの老人にいろいろなサービスを提供し、コーデイネートしてきた。
訪問看護訪問介護、デイサービス、用具貸し出しなどである。

>>ところが、要介護度2の支給限度額は簡単に超えてしまう。
彼の在宅生活を支えるためには、仕方なく私たちが直接提供できる訪問看護訪問介護の無料サービスをするしかない。←W。今、こんな事業所負担サービスを行う事業相はない!

供給量を増やしても報酬は増えていないのだから、実質的な値引きである。
>>ボランティアを導入しようにも、本人に対人関係障害があるため、やたらと入れるわけにもいかない。→W。現在の厚労省肝いりのオレンジリング運動では地域見守り活動が推奨されているが、講習会ではほぼスルー状態。
本人の対人関係の障害や家族による地域からの隔離によって、地域の見守りの実態が乏しいからだ。
そもそも、オレンジ運動の教科書の冒頭に記されている次のような認知症に対する基本認識がまちがっている。

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  引用
認知症サポーターキャラバンの展開~~我が国の重要な課題です~~
尊厳を持って最後まで自分らしくありたい。←W。多くの人の最後の実情からかけ離れた絵空事、きれいごと建前である。
コレは誰もが望むことですが←W。不条理を自家発電する生きる欲である。
この願いを阻み、深刻な問題になっているのが「認知症」です。←W。橋田寿賀子の「認知症になるくらいなら安楽死を望む。」という発言はこう言った思考ルートから発せられる。そしてこういうヒトが認知症のひとを温かい目で見守ることができるはずがない。

 <他人事ではありません>
認知症は誰でも起こりうる脳の病気によるものです。←W。いわゆる認知症は脳の老衰、自然現象である。

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>>結局、私たちが支えられなくなれば、施設入所か社会的入院しかない。←W。無料介護サービスなど行われていない現状から、事業所→社会的入院、施設入所のルートは実際のところ、利用者を非人間的状態で放置し、精神的肉体的ダメージを与え、その結果、施設や病院に担ぎ込まれるという形をとるしかない。当たり障りのない言葉を使えば、<制度>に任せておけば~云々~ということになる。
事業者はこういう鉄面皮な側面を持たなければならないような状況がある。

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 対人関係障害のある独居老人など、全国的にみたらきわめて数多くいるはずである。←W。金銭の発生する存在として利用価値がある。

>>介護保険になる以前の措置制度のほうが、痴呆や精神に障害がある老人が在宅で暮らすための様々なサービスを自由に提供できた。←W、コレは事業者の目線であり、介護保険発足以前はあくまでも金銭の多寡によってサービスが行われた。

ところが、なまじ要介護度認定が導入されたためにサービスの量が制限され、介護の水準が下がる。
>>制度設計者が施設介護しか研究しておらず、在宅介護の実態を知らなかったからであろう。
      ↑                            ↑
W。介護の教科書に載っている介護マニュアルは施設介護という自由を束縛した環境、物理力、組織力を前提に為し得るものであり、在宅介護の環境では、到底その領域に到達できない。もっとも今ではそういった理想的な介護を行っている施設は極めて少ない。

 要介護度の認定が、施設介護を前提にした調査を基礎にしていたことについては、介護保険が実施される以前から私は批判してきた。

**痴呆性老人や独居老人の介護で一番重要なのは「見守り」である
       ↑
W。対人関係に障害のある在宅の人の見守り、は厚労省の言うような地域の見守り活動にも大きな限界が生じる。
家族がいる場合も逆にその家族が本人の状態を地域に「隠す」場合があり
そのことによって独居よりも地域の側の踏み込んだ見守り活動ができない場合がでてきて、老、老(老、認)介護の当該在宅が共倒れになるケースも多々ある。最悪のケースはそのことによって地域に被害が及ぶ。
だからこの論文執筆当時の、困難ケース、独居在宅だけではなく、問題は広がり深刻化している。

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    引用に還る
「先ほどのケースでは、頻繁に自宅を訪れて、糖尿病の薬をちゃんと飲んでいるか、暴飲暴食をしていないかどうか、見守る必要がある
**だが、ういう行為は介護保険の在宅介護のメニューに入っていない
介護の実時間で計算できないような支援は、カウントされていないのである。   
 
<実は、見守りというニーズは、施設に入ればほぼ自動的に解決してしまう。>

**頭が「まだらぼけ」であっても、施設にいれば朝昼晩と一定の時間でカロリー計算された食事が取れ、着替えができ、トイレに行けてしまう。
**逆に言えば、施設介護を見ているだけでは、見守りのニーズは隠されていて分からない
>>介護の核心は、老人の生活リズムを把握した上での生活支援である
>>衣服の着脱やトイレなどの身体的サービスは、介護のほんの一部にすぎない。
>>それゆえに、身体サービスあるいは家事援助サービスだけを、在宅介護に導入してもうまくいくものではないのである。
   
**痴呆性老人の要介護度認定に問題があることはしばしば指摘されてきたが、制度設計者は、独居老人についても想定していなかったと言わざるをえない。
>>おそらく、脳梗塞の後遺症による片まひなど、頭がしっかりしていて身体に不自由がある人を典型例としていたのであろ
介護保険法第一条は「(要介護者が)能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」と掲げたが、「自立支援」というコンセプトは、よく言えばお題目、悪く解釈すると自立できる人だけを支援するということである。            

        
         不遇なるケアマネジヤー
旧制度の下で長く在宅介護を続けてきたケースにおいては、ボランティアや障害者福祉制度まで含めたありとあらゆる社会的資源が利用されるのが通例であった。
そのために在宅介護支援センターという仕組みもあった
>だが、介護保険施行後は報酬が半減され、スタッフはケアマネジヤーとして食べていかざるをえないことになった。

 ケアマネジャーの報酬は、介護保険の給付内容に対するケアマネジメントとして支払われる。
ところが、老人によっては介護保険以外の相談をしてくる場合もあるが、当然のことながらこれには報酬は支払われない。
私たちの法人の在宅介護支援センターはこの4月に124件の相談を受けたが、そのうち介護保険のサービスを受けたのは107人。
ほかの17人は介護保険は受けていない。

 介護保険の制度設計者が在宅介護について甘く考えていたことは、ケアマネジャーの待遇問題を取り上げてもよく分かる。
現在、一人のケアマネジャーの担当は50人までということになつているが、とてもそれほどは手がけられない。
せいぜい30人が限度だろうと言われている。
しかも、実際の仕事はケアのマネージ(立案・管理)より、給付管理が主になつている。
給付管理の仕事が煩雑すぎるのである。

 ケアマネジャーの報酬は、大きく言って要介護者への給付額に比例する。
ところが報酬の高い要介護度3以上のケースは1、2割にすぎない。
つまり、8・9割は2以下である。
それでは、ケアマネジャー一人当たりの報酬額は、月に30万円程度にしかならない。
ここから経費を引けば、給与はその半額程度となってしまう。
とてもではないが人を雇える給与額にはならない。
実際にはケアマネジヤーが所属する組織が赤字を補てんしているわけだが、担当人数を増やして目いっぱいの50人までやれば、ケアマネジヤーの仕事は形骸化してしまう。

 後で再び触れるが、日本の福祉制度は建て増しを繰り返した温泉旅館のようなもので、仲居さんが優秀でなかったら複雑怪奇な館内で迷ってしまう。
この場合、仲居さんとはケアマネジャーのことである。

しかも、ケアマネジヤーは介護保険だけ理解していてもだめで、医療保険も障害者福祉も全部分かっていないといいマネージはできない
旅館の中で迷わないためには優秀な仲居さんに心付けをはずまなければならないのは自明の理なのであるが、現在のシステムはそうなってはいない

     
     中間施設の減少と社会的入院
何らかの疾病で病院に入院していた患者が、もはや入院でやることはなくなったが家ではすぐには引き取れないという場合に入る施設を中間施設という。
旧制度では、医療保険適用の老人保健施設(現在は介護老人保健施設)と療養型病床群が中
間施設の役割を担っていた。

ところが、介護保険実施で介老人保健施設介護保険適用となり、療養型病床群医療保険から介護保険に移ることが認められた。

医療保険では入院期間が長くなると報酬を減らし、病院に退院を促す仕組み(逓減制)が採られている。
だが、介護保険には逓滅制がない
報酬が減らなければ入所者を適所させる必要はなく介護保険適用施設は中間施設としての性格を担い難くなった。
一方で、介護老人保健施設介護保険適用の療養型病床群(W。資料 2
018年度介護報酬改定:療養病床の廃止について は、施設間のたらい回しがなくなつた半面、永住施設化した 

一般病院の逓減制は以前よりも厳しくなり、2週間程度で赤字になるので、ますます早期に退院させるようになっている。
院期間が短くなれば、中間施設はより必要になる
ところが、介護老人保健施設が中間施設でなくなり、旧制度では中間施設として使えたショートステイも、自由に使うことは難しくなった。

まず要介護認定が必要だからである。
要介護認定を受けてケアプランを立て、サービスの供給が始まるまでには3ヵ月かかる。
2週間と3ヵ月の間はどうしたらいいのか。
制度上は前倒しでサービス供給を受けてから要介護認定を受けてもいいことになっているが、現実にはこれは難しい。

施設介護が過剰供給されているような状況ならば、サービス提供者たちはそういう人たちに無理してでも便宜を図ろうとするだろうが、介護老人福祉施設に入所待機者がいるような状況では、無理をする動機がない。

 結局、中間施設の減少は、病院における社会的入院の需要を増やしている。
介護保険の目標の一つは社会的入院の解消だったが、よく考えられていない制度設計が、目標を裏切る結果を生んでいる。 

          医療と介護の区分けが不明
日本では医療と福祉の関係が以前から不明瞭だったが、介護保険が導入されてもなお分かりづらい。
入院医療はいわば一種の緊急避難であり、どうしても患者を管理する側面をもたざるをえない。
それゆえ、福祉(生活支援)施設を医療施設という位置づけにすべきでない。
植物状態のような特珠な例はともかく、少なくとも意識のある人間に対しては、生活のアメニティーから考えなければならない。
だからこそ社会的入院は解消すべきなのである。
福祉施設の肩代わりを病院がしている先進国は、日本のほかには存在しない。
 介護保険の導入は、医療と福祉の区分けをはっきりさせ、社会的入院を解消する一つのチャンスではあった。
だが、本来、第一段階としてすべての療養型病床群介護保険適用にすべきだったのに、介護保険料の上昇を恐れた旧厚生省が、医療保険に残ることも認めてしまった。
そのことで、社会的入院を制度化したのである。 
医療と介護の区分けがはっきりしないのと関係があるのが、

そもそも、特別養護老人ホームが圧倒的に不足していたことが、社会的入院を生んだ一つの背景であり、療養型病床群は特養の代替施設として増えてきた
また、先にも述べたように介護老人保健施設介護保険適用となって、中間施設から永住施設化した
つまり、この3施設は基本的には提供する機能がもはや同一化している。
ところが、報酬は、同じ要介護度でも療養型病床群介護保険適用型)と介護老人福祉施設、介護老人保健施設では異なる。
制度設計者がそのような設定をしたのは、療養型病床群には給与水準の高い医師等が雇われているからであろうが、介護報酬が異なれば、入所者の自己負担も異なってくる。

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 W。参考資料
介護療養型医療施設のメリット・デメリット
   介護療養型医療施設の入院条件
65歳以上要介護1~5対応可
必須
入院の申請には、施設への申し込みから面談・主治医意見書・診断書を通して、本人の健康状態や介護度を審査し、入院判断を行っています。
  
  メリットについて
医師は利用者100人に対して3人配置され、最低1名は常駐ですし、病院に併設されていることも多いですから、胃ろうやカテーテルインスリン治療、たん吸引などの医療ケアが常時必要な方や寝たきりの方にとっては利用価値の高い施設です。
また、一般病棟を併設していることも多いですから、容体が悪化すればすぐに一般病棟に移ることができる点も人によっては大きなメリットとなるかもしれません。
さらに、専門的なリハビリ知識を持った理学療法士作業療法士が配置されているので、寝たきりであっても機能訓練などをしっかりと受けられる体制が整っているのも大きな魅力と言えるでしょう。
入院にあたって一時金は不要、利用料も民間の有料老人ホームと比べて比較的安い方に入りますから、同じ医療ケアを受ける際に医療保険を使った場合と介護保険を使った場合、介護保険を使った場合の方が安い方にとっては利用メリットが大きいですし、1ヵ月で部屋代も含めて相部屋であれば10万円程度から利用できるので、経済的に制限のある方にとっては人気の高い施設です。

介護療養型医療施設の大きな特徴は「療養病床を持っている、医療施設である」という点ですね
あくまでも法律上は、病院や診療所と同じ扱いであり、老人ホームではないのです。

糖尿病などの慢性的な病気の方や認知症などによって徘徊症状のある方も入院ができる点が、大きく他の介護保険サービスを提供する施設とは異なります。

2010年10月時点での介護療養型医療施設利用者の平均要介護度は4.36という数字からも分かる通り、比較的介護度の高い利用者が多い施設であることから、介護療養が大量施設に入院した人の多くが何らかの医療ケアを必要としています。

下のグラフからも分かる通り、療養病床への利用者は平均在所期間が1.3年となっており、特別養護老人ホームよりも短いものの、4割の利用者の退所理由が「死亡」によるものとなっています。

公的に介護保険サービスを提供する高齢者向け施設のなかでも、介護保険3施設と呼ばれるのが特別養護老人ホーム、介護老人保健施設介護療養型医療施設です。

    介護療養型医療施設介護保険を利用する病院
まず大きくこの介護保険3施設で異なるのが、特別養護老人ホームと介護老人保健施設介護施設という区分になるなかで、唯一、介護療養型医療施設が病院という位置づけとなっている点です。
いずれも介護保険給付を受け利用する施設ではありますが、介護療養型医療施設を運営する事業所の多くが病院や診療所である点は、大きな特徴と言えるでしょう。
さらに、関係する法律もそれぞれ少しずつ異なり、介護療養型医療施設は医療法と介護保険法に基づきますが、特別養護老人ホームは老人福祉法と介護保険法、介護老人保健施設介護保険法が関連法規となってきます。

介護老人保健施設は、特別養護老人ホームと病院の中間に位置する施設で、必ずしも利用が入院のみとは限りません。
地域のリハビリ拠点ともなっているので、ショートステイや日帰りで専門スタッフによるリハビリテーションを受けるデイケアサービスを提供している点が、他の2施設と大きく異なる点と言えるでしょう。

院までに時間がかかるケースも多い
認知症への対応も施設によってさまざま

   2018年度介護報酬改定:療養病床の廃止について
介護医療院   Ⅰ Ⅱ 基本的性格 根拠法 主な利用者像 設置基準 (最低基準) 面積低所得者への配慮
要介護高齢者の長期療養・生活施設
介護保険法 ※生活施設としての機能重視を明確化 ※医療は提供するため、医療法の医療提供施設にする。
重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者等(療養機能強化型AB相)左記と比べて容体は比較的安定した者
介護療養病床相 医師●48:1 看護●6:1 介護●6:1老健施設相当以上 医師●100:1 看護●3:1 介護●3:1※うち看護2/7程度
老健施設相当(8.0㎡/床) ※多床室の場合でも、家具やパーテーション等による間仕切りの設置等、プライバシーに配慮した療養環境の整備日を検討
補足給付の対象




介護療養型医療施設(療養病床)は、医療と介護の境目があいまいな上に、医療施設であるのに介護保険が適用されるという"ねじれ"の問題も表面化してきたことから、厚生労働省は介護療養病床の廃止と介護医療院の新設を決定しました。
介護医療院の特徴は以下の3点です。
  • 長期療養のための医療ケアが常に必要な要介護者を受け入れる
  • 看取りやターミナルケア(終末期医療)も提供する
  • 生活の場としての機能を持っている
「Ⅰ型」は、施設基準が「介護療養病床」に相当し、身体状態が急変する危険性の高い人を受け入れる施設です。
通常の介護施設における人員体制では対応しきれないケアを行える点がⅠ型の強みです。
その分、現場の職員には介護と医療に関する高い知識やスキルが求められるので、人手不足が著しい業界の現状を考えると、「適正人員を配置できるかどうか」という問題もあります

「Ⅱ型」は、施設基準が「介護老人保健施設」に相当し、Ⅰ型よりも介護や医療ケアの必要度が低く、容体が安定している方が入院対象です。

基本的に24時間体制ではありますが、オンコールによる対応時のみ、ターミナルケア加算が発生するという仕組みです。
介護老人保健施設における月額利用料の相場は8~13万円ほどなので、Ⅱ型に転換することで、従来の療養病床に比べて費用が安くなる可能性があります。
なお、介護老人保健施設では3ヵ月単位で入退所の判定が行われ、退去の場合は自宅もしくは別の施設に移る必要がありますが、Ⅱ型は終身制の施設です。

      介護医療院 医療外付け型
医療外付け型」は、施設基準が「医療機関+有料老人ホーム」に相当し、医療機関が特定施設入居者生活介護を包括するという新しいタイプの介護サービスです。
入院基準は、Ⅱ型および特定施設の指定を受けている介護付有料老人ホームなどと同じですが、Ⅱ型よりも自立度が高い人を受け入る施設となっています。
特定施設は、個室タイプの居住スペースが確保されていることや介護サービスが充実していることなどが施設としての特徴です。
ほとんどの療養病床が1部屋4~8人の多床室タイプであったことを考えると、療養病床よりも居住性能はかなり高いと言えます。

      <次回に続く>