反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

①孤族の国。case 16 息子介護の本音、言えた。②息子介護”の希望をさがして~NHK50代ディレクターの介護記録 、「息子」に介護される高齢者は17%に達し、初めて「嫁」を上回った。

     孤族の国 朝日新聞取材班 ~ひとりがつながる時代へ~2012年
   case 16 息子介護の本音、言えた 神奈川県川崎市

 残業を終えて帰宅すると、母は出走直前の競走馬のような眼をしていた。明け方まで続く徘徊の前兆だ。「向こうに言ってろっ」。思わず頭をたたくと、見る見るうちに白髪が鮮血に染まった。急いで病院へ。「次は通報します」と医師は言った。
 数年前のことだ。
鈴木宏康さん(51)は独身で、アルツハイマー認知症を患う82歳、要介護3の母を介護する。川崎市の築30年の分譲団地の4階、3LDKで二人の生活を続ける。
 電機メーカーの下請け会社を辞めたのは46歳。リストラ含みの配置転換でいや気がさしていた時、母の病状が悪化した。四六時中、部屋の中を動き回って、独り言を繰り返す。水道の蛇口を開けっ放し。そばを離れられなくなった。

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 W。過去にさかのぼり、5年間の症状の進行具合がこれから先の介護の見通しのキーポイントになる。下線部分は症状の進行具合を省略している。要介護3は特別養護老人ホーム入所資格のできる等級。
 
>ざっくりといえば次の通り
     要介護認定者の認知症自立度と要介護度
要介護5はⅣ,要介護4はⅢ要介護3はⅢ~Ⅱ
>W。Ⅱb(医師が主治医意見書を書く際に「内服管理が自分で出来るか出来ないか」で「Ⅱbレベル」の分岐点となる事が多いです。服薬管理が出来るならⅡbより良い状態、逆に出来ないならⅡb以下という具合です。

W「.服薬は誰が管理しているのですか?」と初対面の医者に問われた。ということは症状はⅡb→Ⅲaの進行途上。が、日常生活動作はきちんとできている。大きな目安になるが個人差がかなりある、と見なければならない。この指標で切り捨てたり、あきらめたり、不安がる必要はない。

W.したがって、文中、「そばを離れられなくなった。」の症状行動によって、この人の母親は認知症自立度、ⅢaⅢb。家庭内で見られるようになるが誰かが注意していれば自立できる状態」Ⅱbではない。

 なお、もっと具体的に言えば
認知症の中核症状・周辺症状が共にⅡレベルより悪化し、支援を受けていても在宅生活が困難となった状態です。食事や排泄といった日常生活において重要な行動←W、日常生活動作ADLの自立性不能~~のことが自力では出来ず、周辺症状←W。BPSD~~により介護者へ重い負担が掛かるようになります。このような症状が日中を中心に発生している頃がこのレベルです。

日常生活自立度Ⅲb)

Ⅲaの状態が夜間にみられるようになるとⅢbレベルになります夜間の介護負担増大は介護者にとって甚大な負担となるだけでなく、介護者自身の体調も悪化させてしまいます。また日中は傾眠、夜間に認知症状が出て覚醒するという昼夜逆転の状態となり、更にADL(日常生活動作)面の低下を招いてしまう悪循環が懸念されます。
>>なお、先回りすると、介護現場は、ここの差が大きい。その象徴は
ケース3 要介護4の母親の独り暮らしを通いながら支えている男性

有村宣彦さん、妻の智美さん、一人娘のみはなちゃん。愛語源支援を受けていても在宅生活が困難となった状態であるはず。現場実態がこの情報量だけではWには想像できない。

Ⅰ)「何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している状態」基本的には在宅で自立した生活が可能なレベルです。
Ⅱa)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭外で多少見られても誰かが注意していれば自立できる状態
Ⅱb)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭内で見られるようになるが誰かが注意していれば自立できる状態」
Ⅲa)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが主に日中を中心に見られ介護を必要とする状態
Ⅲb)判断基準「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが夜間にも見られるようになり介護を必要とする状態
Ⅳ)「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする状態
M)「著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態」
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 最初はアルバイトに出るつもりだった。でも面接で「欠勤しないで」と言われればあきらめるしかなかった。昼間預かってくれるデイサービスの利用料を差し引けば、時給275円。施設に入れる貯蓄もなく、母の年金で暮らそうと決めた。
 生活は想像を絶した。
力任せに玄関のドアをたたき続ける母を部屋にとどめておけず、昼も夜も背後から追って、何キロも歩き続けた。たびたび行方不明になり、連絡を受けては連れ帰る。やむをえずデイサービスに預けた晩は、興奮して大暴れ。地域のケアマネージャーに愚痴をこぼすと「育ててくれた親でしょ」と言われ心が折れそうになった。もう二度と行政には頼るまい、と決心した。
 たまに同僚や友人から飲み会へ誘われたが、断った。苦しい胸の内を訴えたところで難になるのか。そもそも母をおいて外に出られない。周囲に壁を作り二人だけで閉じこもるような日々。
 ボランティアの女性(63歳)が訪ねてきたのはこのころだ。「気になる親子がいる」というケアマネージャーらの訴えで様子を見に来た。片時も落ち着きかねる母の横で、ふてくされて煙草をつい続けていると、集まりに顔を出して、としつこく誘われた。足を運ぶうちに「本を書いたら」と勧められた。
 二人っきりの閉じられた空間に、少しづつ新しい空気がいっていく。
 日記を書いたこともないのに真夜中パソコンに向かった。
2009年単行本「息子介護」~全国コミュニティーサポートセンター~をだした。拙くも過激な表現で、孤立迂遠な日々に正気を失いかけてる心境をつづる。「自分の人権なんて言ったら、介護なんかできない」「日に幾度か心の中で殺すのです。お袋を」
 単行本は話題を呼んだ。同居の親を見る無職の独身男性の「本音」を聞きたいと、介護職や行政の担当者らが続々とやってくる。介護関係者の会に誘われることも増えた。
 鈴木さんは気が向くと、母親を連れて、そんな会に参加する。「キャバクラに行くほうがいいに決まっています」などと憎まれ口をたたきながら。

              <ブックレビュー>
 参考資料① 息子介護 - 息子介護~40息子のぐうたら介護録全国コミュニティライフサポートセンター発行日:2009年05月07日
2013年6月9日の朝日新聞で紹介されました。

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売れ行き好調につき、増刷決定!
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町亞聖さんや落合恵子さんのように、どんなに大変でも「おかあさんありがとう」と言えてしまう「立派な娘さん」の介護のお話が評価されている今日この頃。
>そんなん無理じゃねえ?と心の中で思っている私のような人間には救世主のような本だよね。いやあえて言おう。鈴木宏康さん神だわ!ここまで本音を語る男性介護者がいていいのでしょうか?力のある男性がよぼよぼの老女を相手にしてんだもん怪我ぐらいするじゃん、とか、行政・ケアマネ使えね~、とか、大変なのは介護者だろうよ!、とか。全国の男性介護者及びケアマネの必読本にしてほしいよね
私も困った時には読むべき本として大切にしておきます。それとも敬虔な信者として毎朝読んじゃおっかな?
でも何年やっても、介護は慣れないよ。」
自分の中の悪と戦うのではなく、共存を選びましたよ。」「介護をしている日常はつらくない。そこに楽が入ってきて、この日常がつらいと知った時に、つらくなるんです。」等々、一つ一つの言葉が重い。でも、どちらかというと生真面目な私は、多分友達にはなれないと思うけど。

       投稿者:s.k 2012.7.30(Mon) 00:18
元・介護職の私には、こういった認知症の方の家族が、どんな思いをして介護しているのか、とても勉強になります。
ショートスティに預けたら楽になれると思っていたのに、帰ってきたら、リバウンドがひどく、ショートスティを使うのをやめたこと、介護保険のサービスを使わない理由、そして、「ボランティアグループ すずの会」の鈴木恵子さんにあって、介護も生活もそして、お母さまもどう変わっていったのか、などなど

          投稿者:niko 2009.7.23(Thu) 13:19
ゆる~い文章で、すいすい読めてしまうのに、言葉が刺激的!

「介護者は修行僧じゃない」
一番嫌いな言葉は『本人(認知症)が一番かわいそうなんですよ』
「世間は介護者をまともに見すぎている」
高齢者にはいても介護者にはケアマネがいない以上、
自分で自分自身のケアをするしかない」」


読んでいて、祖父母を在宅介護する母の気持ちが重なりました。
独身男性の介護は、地域に縁がない分、よけいに大変だなあと考えさせられます。  

       投稿者:友 2009.7.23(Thu) 13:17
平常心ではいられない介護者の気持ちが素直につづられていて、とても引き込まれました。
お父様が認知症、その後お母様も認知症になられ、毎日たいへんながらも、親への愛情を感じさせる、でもお嫁さんもほしい、そんな本音も感じました。
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  参考資料②
2018年7月3日(火)  NHKクローズアップ現代
息子介護”の希望をさがして ~50代ディレクターの介護記録~
「いま、「息子」が親を介護する“息子介護”が増え続けている
厚生労働省の調査では「息子」に介護される高齢者は17%に達し、初めて「嫁」を上回った
一方で、介護中の虐待は、「配偶者」や「娘」に比べて、「息子」が圧倒的に多いというデータもある
昨年から母親の介護を始めた番組担当ディレクター(50代)。慣れない家事や介助に戸惑いながら、悪戦苦闘の日々を送っている。ディレクターが介護の悩みをネット動画で公開。同じ境遇の「息子」たちや専門家とつながり、よりよい介護をするためのヒントを探った。
 
介護で虐待をしてしまうのは、配偶者や嫁に比べ、圧倒的に息子が多いというデータもイメージ 1

 <ケース1>NHKディレクターの母親介護
W.。認知症介護ではなく障碍者介護(要介護5)
私の母、大野ともは79歳。現在、生活のあらゆる場面で介助を必要とする、要介護5ですが、2年前までは元気で、同居する独身の私のために食事も作ってくれていました
 しかし、ある事件を境に、生活が激変します。
私の留守中、足の悪い母が転倒し、頭を台の角にぶつけ出血。転倒した場所が運悪く、ストーブの前だったため、足をひどくやけど。血を洗い流そうと、ようやく風呂にたどりつきますが、そこで力尽き、私が帰るまで母は裸のまま震えていました。思えば、それが“息子介護”の始まりでした。

  家族の誰が介護を担っているのかを示した、こちらのデータ。
イメージ 2
この15年で嫁が半減する一方

息子が増えて嫁を抜き、娘に迫っています

女性の社会進出や、少子化で介護の担い手となるきょうだいが減っているためと見られます。







       ケース2 酒井穣さん(KAIGO LAB 編集長) W.この方の母親は認知症ではない
~20年にわたってお母様の介護を続けながら、介護の専門サイトも運営している~
、“息子介護”が陥りがちな壁というのはどういうことがあるのか3つ。
まず男性の場合は、介護にあたって誰かに助けてっていうことを言うのはなかなか苦手で、抱え込みやすいというのが1点目。
2点目が、仕事の世界でそういうのが培われているんだと思うんですが、うまくいかないと自分の責任だというふうに、全て責任を自分のところに持ってこようとすると。
3つ目が、すごく完璧主義というか、仕事と同じようにできる限り高い品質で完璧を求めるという傾向があるというふうに考えられています。

介護って自立支援といわれるんですが
自立というのは、自分の依存先が分散されていること。依存先が一個しかないと、それはある意味、隷属ということになってしまって、自分でものを選んでいく、自分の幸せのために選んでいくということができなくなる。自立支援というのは、むしろ、
親とかの介護を受ける人のために、どれだけ選択肢を残すのかということが大事

“息子介護”の時代 チームプレーで乗り切る

介護はみんなでやらないと、自分がどんどん追い詰められるだけになっちゃうんですよ。」
イメージ 3歯科医 五十嵐史征さん
低栄養になって、筋力が落ちて、基礎代謝が下がって冷たくなる。フレイルになると、体全体が虚弱になる。筋肉量が落ちて歩くのがままならない。食事は1日のなかで大きな楽しみですので、最後の最後まで維持していくのは、その人の人生のなかで非常に大切。」



    ケース3 要介護4の母親の独り暮らしを通いながら支えている男性
有村宣彦さん、妻の智美さん、一人娘のみはなちゃん。
子育ての真っ最中に、親の介護もすることになった宣彦さん。育児と仕事を抱える妻の負担を考え、母親と同居はせず、自分が通い介護
イメージ 4実家は自宅から車で15分毎日、朝2回、夜2回の計4回通っています。母親の勝代さんは、6年前にレビー小体型認知症を発症
>症状が進み、(W。対人関係に警戒感のある表情は当然、他方、プライドはしっかり保っている
        ↓
最近は息子のことさえ認識できないこともあります
そんな母に、つい感情的になったこともありました。
そうした気持ちの暴発を防ぐための知恵があると、宣彦さんはいいます。それは、母にあえて他人の感覚で接すること。←W。要介護4のレビー小体認知症の母親の症状から、他人感覚で接しざる得ないのではないか?

さらに2年前には、自宅で「認知症カフェ」も開始。←W。男介護者はこういう介護する自分を起点とする組織化方向に流れる人もいる。社会化したプライドが邪魔をして裸になれず意匠を着る。
近所の人や福祉関係者を招き、母の症状や介護生活について、赤裸々に打ち明けました
勝代さんが歩き回っても、地域の人が見守ってくれるようになり、介護している宣彦さんにまで、励ましの言葉が届くようになりました。

 ケース4 アルツハイマー認知症と診断された、母・あさこさん。同居で8年前から介護している、鈴木日出生さん、62歳独身です。←W。介護保険制度における認定委員が調べた情報や医者などの専門家の意見を参考に認定機関がコンピで決定する介護度が示されていないので話にならない!(~また専門家が目安にする認知症日常生活自立度という指標もある~在宅介護者が認知症の人の症状の影響を一番被ることがこの指標でわかる。~~介護難易度~~~認知症には等級が上がらない判定が下ることが多い!
 ただし、アルツ系で8年介護なら、症状の進行具合が緩やかな場合でも要介護2程度にはなる。この等級になると日常生活動作ADLにおいて介護が必要になる。
イメージ 5
日出生さんが母と通っているのが
「男の介護教室」。
妻や親などの介護をしている男性が、介護の技術を勉強したり、悩みを打ち明け合ったりする場です。
W.。62歳。8年前から介護。苦労している様子だが、もともと介護に向いている人なんだろう。そういう人はいる。特に女性に多いと思う。

ここで築いた人とのつながりが、心の余裕を保つ上で助けになるといいます。


W。在宅介護のオリンピック級の人を取り上げる所がいかにもマスコミらしい。
こういう風潮をマスコミがまき散らすから、<息子介護>のような本が売れて、専門家すら話を聞きたいと言い出す。
「腕あげたんじゃない。」
鈴木日出生さん
「すごいですね。皆さんうまいですね。」
鈴木日出生さん
「ドキドキするってその切り方。」
自由放任も大切な流儀。あさこさんの包丁さばきが危なっかしくても止めません。
鈴木さんの母 あさこさん
「うまい。」
鈴木日出生さん
認知症の人と戦っちゃだめ。遊ばないと。」←W。作り上げた遊びのチャンネルは、異常言動の増幅する事態に直面すると壊れる。これが普通。~~介護者の脳内にショートサーキットの回路できてしまう=<トラウマ>、というのがWの持論。
もちろんその導引となったはずの被介護者の異常言動被介護者側にも同様な回路ができて共鳴しあうから修復は非常に困難!
 お互いに傷口が広がるというトラウマの共鳴関係ができてしまう。
結局、フットワークの効く介護者が察知してその場を即刻離れるしかない。脳内にショートサーキットの回路できてしまう=<トラウマ>事態には教科書に載っている話題を転じるなどという悠長なことをやっているとまたもめる。会話は無力。決断と行動力がいるもともと症状進行とともに残念ながら正常な人間関係が形成できずらくなってくる、という大状況がある。話せば一層わからなくなる。

~~。壊れては修復壊れては修復の、その繰り返しだと認知症キャラバンの若い講師(認知症の母親介護の自宅はデイサービスに使用)は授業中ふと漏らしたが、講義は、本音トークをスルーして教科書の原則論の解説に終始した。
しかし、介護者被介護者双方にトラウマ共鳴関係が積み重なっていくので、在宅介護には限界がある。介護者が壊れていくケースが多い。
その意味でケース2のレビー小体型認知症の要介護4の母親介護の実際現場がどうなっているのか、知りたい。
認知症の要介護4の介護困難度は非常に高いく、施設でしか対応できないレベル、と思うが。

認知症の介護は個別条件(当人の歩んできた人生、親から受け継いだDNA、過去現時点の環境)に左右される。立ち入って実践してみなければわからないことは実に多い。  
 
 そもそも人間の脳の状態などまだまだ解明されていないところが多すぎるし、現生人類の進化過程の負の側面が出ていることまで考えなければならない。
そして何よりも、ざっくり言えば、認知症は脳の老衰。脳のアンチエイジングなど根本的にできるわけがない!
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鈴木日出生さん
「おふくろ、ご飯食べるか?」
さらに極意があります。それは、あさこさんに気軽に話しかけ、コミュニケーションを楽しむことです。
鈴木日出生さん
番組を作るのに、鈴木さんみたいなうちいいよねって←W。?お母さん、癒やし系だから。」
鈴木さんの母 あさこさん
「めんこいの。」
多少会話がずれていても責めず、あさこさんの行動を尊重し、丸ごと受け入れようとしています。そのことでケアされる側も穏やかになり、日々の介護も楽になるのだといいます。
「お食事おいしかったですか?」
鈴木さんの母 あさこさん
「おいしいんだね。『自分が作るから』だけどね。何でも食べるの。」
鈴木日出生さん
「いなくなることはいつかなるんだろうけど、いることの、この楽しさ。(母が)存在することの幸せを感じることを思いながら。」