反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

自民党総裁選の街頭演説、テレビ出演は猿芝居。

 戦後初の国民が選挙によって政権交代を選択した、という鳩山内閣成立を受けてのマスコミの常套句を聞くと高揚感に包まれる人もいるかもしれないが当たり前のちょっとした変化が起こったにすぎないと考える。むしろこれからが大切であり、始まりの端緒についたばかりではないか。
 
 鳩山内閣発足時の世論調査の結果が出ている。支持率は概ね70%。自民党の支持率は19%ぐらい。
 小泉内閣の最高支持率は80%。安倍内閣70%。
 世論調査の問題点もあるがこの際、触れない。

 まず小泉内閣の支持率80%を問題にする。
その中身を見ていくと鳩山政権発足時の野党支持19%はコアな部分と言い切ることができるので小泉支持のうち約60%が小泉デマ政治に巻き込まれていた層といえる。この層は政治に対して自分の原理原則を持たず、その時々の自分の生活、経済状態、マスコミ報道によって支持する政党を変える。
 ある意味、現状の日本人としてのごくありふれた生活スタイルで日頃の生活の中で政治的関心はなく時々の選挙の時だけ気分として政治に向き合う。生活保守、仕事保守「主義」。
 この立場は戦後政治の中である意味正しかった。冷戦構造の中で日本は経済主義にまい進できた

 しかし冷戦体制崩壊後、見せかけだけの一時的なアメリカ一極支配の頓挫は世界同時不況となって表れている。鳩山内閣東アジア共同体を掲げ、日米の対等な関係に言及している。これは何も民主党の専売特許ではなく自民党の一部の政治家も構想してきたことだ。
 
 要するに世界は合従連衡の新たな時代に突入している。
このような情勢の下、従来のような平和国家日本、と政治的無関心の平穏な日常がイコールで結ばれていくような関係はなる立たなくなってきている。

 にもかかわらず国民の約60%が生活保守、仕事保守の狭いタコつぼの住人である。普段の生活で政治は眼中にない、と言っていいだろう。

 今回の衆議院選の民主党の得票率は47%。国民新党、社民、共産、みんなの党の得票を合計しても60%程度であろう。ところが小選挙区制の魔力によって2/3に達する。大量の死に票が出た当時の自公政権側の獲得投票率を単純に議席数に比例配分すれば両者の議席数の差は6VS4ぐらいになる。

 自公側の選挙に至る過程であれほどの失政、失態があったにもかかわらず、全投票者の40%弱が政権側に投票したという事態を重く受け止める。国民の半分以上が政治的無関心、無定見、無知層でその時々の気分で政治選択をしている習性があるから、こんな事態になっているのだと思う。

 選挙で大敗したとされる自民党側に深刻な危機感はないと思う。なぜなら国民の半数以上の政治的無関心、無知、無定見をこれまでの政治統治で知り尽くしており、その意識は簡単に自分たちの方に引き戻すことができると漠然と考えているからだ。
 
 だからこそのうのうと総裁選の街頭演説ができる。自民党地方幹部、国会議員しか投票権がない総裁選に街頭演説しても意味はないはずだ。自民党総裁が自動的に首相になれた時であればアメリカ大統領指名選挙のような街頭宣伝活動もそれなりの意味はあるが、総裁になったところで単なる少数派野党の党首になるだけで国の統治には関与しない。
 本質的に滑稽であり、猿芝居なのだが、演者もそれを追認するマスコミにもその意識はない。
 
 自民党もマスコミも大敗は上辺だけで、その底流には簡単に政権復帰が成し遂げられるという政治感覚がある。だから猿芝居とは露とも思わない。関係のない街頭演説ややらせっぽいテレビ討論に意味があるとしている。繰り返すがそれもこれも大衆の無知なる大海をこれまで旨くこぎ渡ってきたという自信がそうさせている。

 しかし、自民党総裁選を猿芝居のまま終わらせる方法がある。
民主党が首尾よく自民党壊滅作戦を展開できたときだ。もちろんこれは政府がキチンと仕事をしていくことと一体だが、民主党が党として自民党の支持基盤をあらゆる方法で解体していくことである。これができるのは小沢一郎だけである。だから利権癒着を脅かされるものはあることないことで小沢攻撃を続けるしかない。

 小沢幹事長は今月の20日からイギリス訪問している。
企業団体献金禁止の法案がその成果として来年の参議院選挙まで提出されよう。
西松事件による第一秘書逮捕を逆手に取った身を切らせて骨を断つ自民党壊滅作戦の大展開だ。
選挙で大幅な議席を減らした自民党政党助成金は減額すると同時にこれまでの大口企業団体献金も規制される。兵糧攻めである。民主党は元々カネがないので禁止の影響は少ない。
 
 要するにシビアーな壊滅作戦をやらなければ息を吹き返しまた悪政の限りを尽くすこれが自民党なのだ。最も一部の人にとっては善政だが。

 自民党の本質はどんなに目暗ましをしようが財界党、利権癒着党でしかない。日本のような国情で一方に偏った政策を実行すれば国民の大多数が不幸になる。そういう政策がある程度成り立っていくのはアメリカだけである。それにもかかわらず実行すれば売国になる。民主党が国民政党の立場を堅持し中道のスタンスで政治のかじ取りをしていけば自民党のよって立つ政治基盤は狭くなる。選挙終盤のネガティブキャンペーンのようなことになる。

 自民党兵糧攻めにされ、支持基盤をひきはがされるのを最も恐れている。これができる小沢一郎の動向に注視し反小沢キャンペーンを張り巡らせてその政治力をそごうとしている。