八ッ場ダム。
建設業界の常識として土木部門の受注額の大きいゼネコンは収益率が低い。大自然を加工する土木工事は当初の予定どうり進行するとは限らず、難工事にぶつかることが多い。当然予定より資材人材を投入する必要がある。
八ッ場ダム工事の予算が当初の2100億から4600億に増額されているのはその間の労務単価、資材費の上昇を抜きにしても当たり前のことである。工事をやっていくうちに予想外にカネが嵩んできた。加えて工事の進み具合は遅れている、という大規模土木工事の常態が目の前にあるだけだ。
ここから容易に推察できるのはこのまま工事を進めていくと4600億の枠内で収まらないし完成予定時期も怪しい。
そもそもビル工事の現場監督の認識では基礎工事が終われば後は上に積み上げていくだけだから楽なものというのがある。それほど土木工事は手間がかかるし、順調にいかないのである。
しかし建設業界の実態を踏まえた報道にお目にかかったことがない。
住民の生活権が一番大切である。そのためには住民は闘う必要がある。闘う主体のイデオロギーや職業は関係ない。ただこの戦に絶対反対の論拠は乏しい。また地権者の工事阻止闘争でもない。
施工者側にカネが下りて行かなくなれば工事は止めざる得ない。運動の最大の弱みはここだ。
住民は当事者意識をはっきり持って自分たちの有利な条件獲得を目指して政争の具にされないように気をつけるべきだ。当然、住民にも立場の違いが出てくる。これは仕方がない。
山間のひなびた温泉と農業に町は考えようによったら、この状態をプラスに変えていくチャンスを与えられた。
時間切れ。次回に続く。