大橋巨泉さんのサイトの記事を過去に遡っていくと、やがて、管直人が20010年、APEC(アジア太平洋閣僚会議)横浜開催の間際、突如(参院選直前の消費税増税発言と同じ次元の政治手法だ)、「平成の開国」を口走ったTPP問題を論じている?あたりに行き着いた。
主旨は次の様なものだった。
年が明けて2011年1月29日記事において秋ごろ発表のコラムの要旨が手短に記載されている。
「日本も昨秋管首相が旗振り役になって、参加検討を始め平成の開国とまで言っていた。僕も自由貿易が世界の趨勢なら、国内産業、特に農業、と両立させながら、{乗り遅れるべきでない}と書いた。」
実際の賛成コラムはもっと手が込んだ内容である。
TPPはその様な趨勢に沿って提起されているモノだから、この機会を逃さず、参加すべきだ。
以上の様に当初、賛成論を展開した論理はTPPの本質に域外への閉鎖性を認識し、それを趨勢としている。
以上から、巨泉氏の当初の賛成論の{バスに乗り遅れるな}はTPPが域外に閉鎖性を持つこと承知の上での賛成であって、単純素朴なTPP自由貿易促進論とは全く異なっている。
私が、賛成論から反対論に回った巨泉氏の議論にこだわるのは、当初の賛成論の中に賛成論者の手の込んだ庶民騙しの議論の典型を見るからだし、ニュージーランド、オーストラリア現地の実情や日本の現状を踏まえて反対論に転じた巨泉氏に、基本的な政治観、政治センスのなさ、を見るからだ。
こういうのを一言でいえば経験主義、と云うことになるが、政治家はそいう云う巧妙な立ち回り、あるいは、間違っているかもわからない試論に過ぎないモノを断定する本質的習性をもっている。
当然、そのTPP賛成のある意味筋の通った論理を駆使したコラムを読めば、多くの読者は、そんなモノなんだろうな、となる。
巨泉氏などはリアリズムの経験主義が身についているから、現地の生の声や思考を深めて、修正できる。
また、現状身軽な身分で拘束もなく発言できる。
ところがどうだ。
ほとんどのマスコミ登場の識者は彼の様にはいかない。
一端、TPP賛成の論陣をメディアで張ったら、そのまま突っ走るしかない。
途中で、解ってきても、たいていは開き直るんじゃないかな?
そういう人たちに繰り返しメディアで接すると庶民は、解ったような気分にさせられるのである。
その様な環境に晒されれいたら、抗うにも、自分の根拠が乏しい場合、巻き込まれてしまう。
>ここまで何か巨泉氏への個人攻撃の様になっているが、TPP賛成記事の半年ほど前に発生した民主党代表選挙や小沢一郎氏への検察審査会なるモノの陰謀的起訴に対する彼のコラムを踏まえて、マスメディアを生活の糧にしてきたモノたちの典型をそこに見るからだ。
巨泉氏はコラムで週刊朝日の該当件特集記事を元に、いつから朝日は小沢弁護団になったのかとまで言っている。小沢攻撃の急先鋒の本紙と区別された週刊朝日を承知で、長年の「浅き新聞」の読者と云う事実をあえて持ち出して告発調の小沢攻撃コラムを展開している。
ヤマシイことをやっているに違いない、と云う特捜検事的断定的憶測に基づき、やっているから、国会で証言できないのだ、との断定から、国会証人喚問に応じるようにとの小沢氏側への強圧終始している。
最後の極めつけは、検察審査会構成員の年齢に関する異常事態に何ら疑問も抱かず、「未来ある若者が裁判をして欲しいと望んでいる」とまで云う。
率直に言って大橋巨泉はその程度の政治観の持ち主だったとしか言いようがない。
>やはり時代が真の意味での激動期に突入すると、情勢によって政治における本ものと紛いモノが峻別されるようになる。
大橋巨泉氏は紛いモノの意見を真っ当な意見の様に良心的な?モノたちが勘違いできる幸福な時代にマスコミ前線において全盛期を過ごした非常に恵まれた人であった。
彼は鋭い。見切りができている。
東京を含めて海外の3カ国に自宅をもち、3カ国の永住権を獲得しているのも時流を読んでのことである。
現在、巨泉氏はTPP反対の論陣を張っているようである。
ま、政治的に仕分けすると、日本の現状からの社会民主主義政策の必要性、重視と云う持論を確認している過ぎないが。
しかし、巨泉氏にとっては、それは抽象論でいいが、庶民にとっては、どうしてそれを実現していくかと云う、最大の現実問題なのである。
巨泉氏の様に右傾化とかそういう呑気な次元の問題ではない。
何が起こっても不思議でない様な心構えが必要な時代に世界は突入しているのが真相である。
そうした観点から、政治への激しい渇望感が生まれ、小沢一郎を支持してきた人は全国でたくさんいる。
過剰資本、をうずたかく積み上げ、慢性的過剰生産を抱える世界にソ連東欧中国や新興諸国が本格的な資本制に離陸したら、世界はやがて群雄割拠のカオス状態になることは火を見るより明らかだった。
その自制が解き放たれ、そこに更なる、眠れる巨人たちの資本制的目覚めと蠢動が加味された
今事実、目の前に進行しているのは多数派の国民が一握りの利害優先のために犠牲を強いられている事態である。政権交代した権力が奴らのところに移動しているからそうなっているだけであり、野田らはその使用人に過ぎない。
TPP窓口は外務省が独占しており、マスコミが宣撫を繰り返しているのは、もっと国民から、日米共同で絞りとっていこうと画策にすぎない。
そしてもはや明らかになっている。
日本は民主主義の先進国では過去もなかったし、今もない。日本国憲法はこの事実を隠ぺいしてきた。
周りが急速に非民主主義的に変わったのではなくて元々、ズットそうだった。
確かに昔は酷い非民主主義的事態は一部、特殊な事態だった。しかしその一部特殊は日本資本主義の成長に覆い隠されていたが、実は本質だった。逆に一般的事態が特殊歴史的条件を基礎とする特殊事態だった。
ここでも、そういう意味で「パンドラの箱は開かれた」のだ。
これから日本で酷い非民主主義がはびこっていくであろう。
支配層は一端自分たちの利権支配の利害がからんできたら、法を思う存分拡大解釈して政治弾圧をする。
止める力が弱かったら、やりたい放題をやる。もう恥も外聞もなくなっている。
こういう状況下での社会民主主義的要素を踏まえながら、現状に適合性をもった多数派形成への政治行動を実現していく道は険しい。
日本の様な非民主主義的政治環境の国で巨泉氏の様な政治見解を政策的に実現する道は現実的に力で多数派獲得を目指す道しかないのは明らかだ。
それを実現しようと現実の国政の場で行動したら、国家、官僚組織、マスコミ、アメリカ、経済界が総出して襲いかかって来ている。
この事実が逆に、この政治方向に奴らは恐怖を感じていると指示している。
戦わずして妥協するよりも、血路を切り開くべく、戦って敗れたほうが、党として後に力を持てる出発点になる。
この政治世界原則の体験者が反小沢派には存在せず、目先の延命にきゅうきゅうとした。
その点、小沢氏の民主党代表選に臨む「負けると解っていても戦わなければならない時がある」と云う言葉の意味は3秘書への政治判決の出た今、正しかったと、リアルに解る。
想いきって戦って早めに潰れていたほうがむしろ良かった。
>所詮他人のふんどしでとる相撲は支持した大衆にとって醜い。
いつまでも、旧来利権層に手をつけられず、逆に事実上、その走狗とさえなって不本意な最高政治責任を負わされ、国民から怨嗟の罵倒を浴びつつも、それでも、とりあえず政権の座にいる事から、目先の俗物権勢欲がむくむく党全体に蔓延し、首相をはじめ各種ポストを粗製乱造しつつ、今日に至っていると云うのが真相だ。
11月に交渉のテーブルに着くかどうか決定するらしいのに、TPP窓口の外務省は情報公開による反対運動の発生を恐れて、隠密行動をとっている。
そもそもが交渉する前から、推進の急先鋒の様なスタンスなのだから、相手にとってこんな都合のよい交渉相手はいない。政治家が判断する前に外務官僚が勝手に判断埋め込みのおぜん立てをし、しかも情報を陰ぺしているている。政府がなめられているとしか言いようがない。管はそれに乗ってその後は野田である。
>とにかく民主新政権になってから、内外にオカシナ事態が続発し過ぎている。そのほとんどがアメリカがらみであり、いつの間にやら、向こうのタイムスケジュールを設定されている。
その最中は小沢派と政治資金疑惑でマスコミは一方的な情報を垂れ流して大騒ぎしていた。
今回のTPPにおいても直前に政治陰謀めいた小沢3秘書有罪判決から、連動する形で小沢強制裁判が始まっている。
>推理小説の犯人探しでよくある手は、事件で一番得をした人間こそが真犯人と云うのがある。
一体これら一連の事件で誰が一番得をしているのか?
戦後日本歴史の転換点においてアメリカが実際に大胆な政治的軍事的謀略を駆使したことをもはや既定の事実となっている。
敗戦直後の混迷期、GHQのメディアその他への言論統制はもとより、戦前報道の残滓が残る新聞には労働組合を意図的に育成したり、正力松太郎の様な戦前頑固派を追放したり、記者クラブ特権や再販制度を設けるなど様々な介入行為を行っている。
TPPは成長するアジアに背を向け、結果的に敵対し、没落傾向アメリカと没落同盟を結ぶことになっていく。
日が西に傾きあっている者同士の支配層が手を取り合っても互恵平等にはならない。
であれば、その他の平凡な参加国は良い様に国内をかき回されるだけに終わる。
参加国はある意味特殊国家ばかりである。
それが解っているから、韓国中国台湾インドネシア等々の有力国は参加しない。
日本のすぐ傍のそれらの不参加国の人口を合計すると16億人にも及ぶ。