まず、この情報に注目する。業態の内情を公開してくれている。
今まで調べた中でここまで語ってくれる経営者はいなかった。
反俗日記は冷蔵弁当宅配網を全国紙の販売システムに例えたが、代表者はインタビュー記事で同じたとえをしている(本日確認2021年1月31日)。
不可能に近いが、初っ端にこの記事を見つけていたら、無駄な時間が省けたし、業態の全貌をもっとよくつかめた。
↓
まず、インタビューを行っている事業所について押さえておく必要がある
上記の事業所との関連で次の情報も押さえておく必要がある。
W参考資料①
引用
「さらばベンチャーリンク
ベンチャーリンク倒産。⇒W、2012年、平成24年
そんなショッキングなニュースをききました。」
>W参考資料②
引用
「ビジネスの種を見つけ、それを自ら支援してFC本部として成功させ上場させる」という当社のビジネスモデルは、世間から大注目された。
株式会社C&I Holdings(シーアンドアイ ホールディングス)を持株会社とし、東証1部に上場していたが、
2012年平成24年に倒産した。
W資料⇒
なぜ失敗したか
最大の原因が「コンサルタントの弱さ」である。「コンサルタントの弱さ」とは何か?具体的には、人に教えたり人を叱ったりは得意だが、本当は自分でやったことはない。」⇒W.代表者の経験は後述する。
>さて、代表者インタビュー第1回
引用
「平成10年4月 警視庁入庁
平成11年9月(1999年) 株式会社ベンチャーリンク入社
↓W。FC手法+経験値
平成14年2月(2002年)有限会社マーケット・イン設立代表取締役 W。宅配店舗営業経験
平成21年9月 2007年 株式会社シルバーライフ入社 FC開発部長
******
引用
「2007年創業の株式会社シルバーライフは、
①高齢者向け配食サービス「まごころ弁当」「配食のふれ愛」のフランチャイズ本部の運営と加盟店への食材販売、
②高齢者施設等への食材販売「まごころ食材サービス」の展開、⇒W。高齢者施設の食事自給率は低い!
③相手先ブランドによる冷凍弁当のOEM販売 の3つを事業の柱とする食材製造販売会社。
>高齢者向け配食サービスでは、2ブランド合計店舗数563店舗(2017年7月末)と業界第一位。
2017年10月にマザーズに新規上場。2017年度業績は売上52億円、経常利益5億円。⇒W.下記の業務推移のグラフより毎年10億増加ペース+コロナ渦で2020年度の売り上げは90億円~100億円と想定できる。ちなみに業界の売り上げに占める原材料費は約40%少し。弁当の中身の量が少ないのは必然!計算上、収益のキモだろう。
>利用者側が物足りなくなって、追加で他の物を食すと結局、一食の弁当にケチったカネは無駄になるばかりか余計な食費の出費になる。足りずにカップ麺をくっている、とかいう話をヘルパーさんから聞いた。食費の出し惜しみは体に良くないぞ!病院に入院した場合も、病院食では飽き足らず、売店で買い食い普通にしている。ましてや在宅の弁当食に物足りなくなれば、追加でかなりの食費が出ていく。この辺のリアルな事情はあまり語られていない。
経験上、弁当を取らなくて済む人は食費節約と栄養補給の意味でも宅配弁当を取らないほうが良い。
貧すれば鈍する、という言葉が当てはまるようだ。
経済学上も資本増殖運動と他人の労働に頼ればそれだけ財布の中からその分だけカネが失われていく。弁当を取るということは、もう二つの食糧調達ルートを設けるということ。一本化したほうが安上がりのあるのは当たり前。
引用続く
「ビジネスモデルとしては、
①原材料を仕入れて、それを自社工場や提携先の工場で調理し、冷蔵の食材パックにして全国の加盟店向けに送ります。
②加盟店は、そこでお弁当箱に盛り付けをして、周辺のお客様に配送します。ルートを決めてルート通りに毎日配達していく、いわゆる新聞配達方式です。
>別の展開として、配送ルートを活かして全国の老人ホームや障がい者施設に食材パックの状態での販売も行っています。1パックから送料無料にしているのですが、
@今は人手不足でどこの施設も手作り調理ができなくなっているので需要はあります。
清水:高齢者の方が我々のサービスにたどり着くまでには3つの段階があります。
、好きなところに買い物に行って料理したい(W⇒調理する必要はない!
都会ではおいしくて健康に良く量があって安い、パックおかず売っているよ。
スーパーではなくて地元商店街の店頭販売~副業が多い~)。これができるのが第1段階です。
それが難しくなってきたら、第2段階では大体の場合、家族に頼ることを考えます。しかし、この場合の家族というのは主に独立した子どもたちで、それぞれ生活があるのでほとんど助けにならないんです。せいぜい、週末に交代で様子を見に来てくれるくらい。そもそもお子さんがいらっしゃらない方もいらっしゃいますし。
@地域コミュニティで頼りになる人がいれば、上記のパックおかずの買い物を頼むこともできる。
@Wの理想から言えば、地域コミュニティーのコーディネイターに地方自治体が寸志を出し(純粋ボランティアの時代は終わった。有償ボランティアに時代)、孤立した独居高齢者の援助システムを構築すれば、こういった高齢者宅配業者の世話にならなくて済む。
@孤立気味の高齢者が直接、日本社会の現実に向き合わなければならない状況があるから、こういった高齢者宅配ビジネスモデルが成立する裾野が大きく広がっていく。
W.インタビュー記事の状況認識は実にリアリティーがある!
第2段階は難しいということになると、次の第3段階では、国などの公的機関に頼れないかと考えます。
この場合、主に介護保険制度(W。ヘルパーの家事支援、食事作り)を使うことになるわけですが、これで全てを賄うことはできません(介護度によって保険内の利用限度があり、オーバー分は自費)。そこで、我々が選択肢として出てくるんです。
例えば、週2回、火曜日と木曜日はヘルパーさんが来て、土日は息子さんが来るから、月・水・金の穴を配食サービスで埋めようとなるわけです。⇒W.配食サービスをこのように細切れに利用する在宅はいない。たいていは週中通しで利用する。
清水:高齢者向け配食サービスの業界ができたのは15年くらい前ですが、その頃からシルバーライフと同様の事業者は存在していました(介護保険制度成立前に創業したCOOk123である。代表者のこのヒトもそのFC加盟店を営業していた。)。ただ、自力で食事の準備をできないといった方がほとんどいらっしゃらなかった。高齢者人口の増加に伴って必要になってきたビジネスなんです。⇒W.増加というよりも存命率が高くなりスーパー高齢者が蓄積した。
@コロナ渦で、スウェーデンと日本のノーガード方式はスーパー高齢者のジェノサイド狙いの下心が丸見えだ!
スウェーデンは本音をあまり隠す必要がないほど高負担高福祉のコンセンサスが行き届いているが、日本はホンネを隠して建前の分厚い壁を設けざる得ない。なぜなら人生に置ける高福祉は保障できていないからだ。
高齢者人口は、2000年時点では2200万人でしたが、2017年時点では3514万人です。その間人口は殆ど変わっていませんから高齢者の割合が急速に増えているんです。
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⇒W。例えば、2000年の時点で70歳で買い物に行って調理できたヒトの17年後、87歳。2020年90歳!
老々介護や独居率も高くなり、調理はできないし、危ない。
デイサービスで昼食を済ませても夕食は自宅。
介護保険制度の等級によって保険適応内で利用できるサービスにも限界が出てくる。
在宅独居で週中デイ利用とヘルパー調理の両方を利用できるのは施設入所も迫っているほどの要介護度の高い人。オーバー分は自費だ。
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引用に戻る
「社会保障の費用を見ても、1990年前後では約47兆円程度でしたが、今では約120兆円に増えています。そのうち半分が年金です。このまま同じレベルの社会保障を維持したとしたら2030年代には170兆円必要になると言われています。働ける世代が減少していくのにこれは不可能な数字と言わざるを得ません。だから国は社会保障を減らしていかざるを得ない。⇒W,モダン、マネタリー、セオリーは無効である。なぜなら、日本の実体経済の現在位置は世界経済との相関関係の中にアリ、国民経済と国家の財政の視座において、海外にモノを売ること海外からモノを買うことは長期的には諸外国との実体経済における国民経済レベルの力関係によるからだ。日本の金融資本力~究極的には世界的な覇権によるところが大きい=円の権勢力~は実体経済の後退をカバーする程の力はない。別の表現で言えば、日本の先進企業が世界で後塵を拝するとMMTでいくら金融財政の拡張を行っても、長期スパンでは、庶民の台所を圧迫するインフレ=実質賃金の低下、スタグフレーションは避けられず、経済破綻の道を転げ落ちる。
そうすると、売上の大部分を介護保険に頼っているようなビジネスはこの先10年15年で立ち行かなくなると思います。⇒W.訪問介護なども介護保険適応外の利用者実費負担のサービス収入が増加している。
すでに介護保険ではカバーできない部分が出てきていて、そこで我々のような介護保険制度がなくても実費だけで成り立つシルバービジネスが最後の選択肢として出てくるという状況なんです。
清水:そのとおりです。私は実は、この業界を作った「宅配クック123」というチェーンの加盟店を15年前にはじめて、オーナー店長として売上ナンバー1とナンバー2の店舗を持っていました。
業界自体ができたのが15年くらい前なので、正直言って私以上にこの業界で店舗での販売実績を作った人はいないと思っています。だから、店舗の経営のことだったらわからないことはないと言えますので、「全てお教えします」といって加盟店さんにお話をさせていただいています。
小林:加盟店側で行うオペレーションとしては、基本的に発注、盛り付け、配送だけですか?注文数の変更なども簡単にできるんですか?⇒W.注文数の変更というよりも柔らか弁当などの手間のかかる弁当は割高。
清水:そうですね。店舗調理を行わないのは、食中毒防止も兼ねています。手作り調理というのは個人に資する部分が多いのでリスクが高いんです。衛生的に管理された工場で、食材を調理し菌検査も行い、リスク低減をはかった食材でないとお客様に安心・安全は提供できないのです。また、食数の増減に関しては柔軟に対応できますが、この業界では、顧客はずっと同じパターンで注文してくるので、加盟店さんから見れば発注の時点で将来のその日に何食売れるかがほぼわかっているんです。だからその部分は特に難しい事はありません。⇒W。柔らか弁当などはどの業者もかなり割高に設定されている。
引用
小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):2014年からフランチャイズのブランドとしてそれまでの「まごころ弁当」に加えて「配食のふれ愛」を増やし、2ブランド展開にされていますが、この2つのブランドにはどのような違いがあるんですか?
清水貴久(シルバーライフ代表取締役社長。以下、清水):実は違いはありません。業界内での我々のシェアを高めていこうと考えているので2つのブランドで展開しています。やりたいこととしては、1つのビルにいろんな店舗が入っていて店舗を選べると思ったら、実は経営は同じ会社だったといったような、飲食業界でやっていることに近いですね。屋号は違うけれど経営は同じ。
>最終的には、この業界内で、セブンイレブンとファミリーマートとローソンを一社でやれるような存在になりたいんです。⇒W??
清水:そういうわけではなく、その時期に関東工場を作り、第2のメニュー群を作ることができたので、第2のメニュー群の生産を増やして小売を上げるために新しいブランドの店舗を意識的に増やしていったという背景です。
清水:そうですね。この、まずシェアを取っていくという戦略は、今から40年くらい前の国内向けマーケットで伸びた会社はみんなやっていたことです。マーケット全体がどんどん伸びていくときには有効な戦略だからです。この戦略は、マーケットが頭打ちになっていくと通用しなくなっていくんですが、今の我々の業界は40年前の国内向けマーケット(W。スーパーマーケットの意味と解釈するが高度経済成長時代の庶民の食を預かるスーパーと日本経済停滞の時代の高齢者の食事情(絶対的貧窮化法則が起動している!)を対比すればこのビジネスモデルの全体像が解る)とほぼ同じ環境なので、この戦略でやっています。そのころのダイエーさんやすかいらーくさん(W。後者はなかった!)の戦略も参考にさせてもらっています。
一般的な食品工場では大きな機械が同じものを大量に生産することで一個あたりの単価を下げます。しかし、我々の配食サービスは日常食で、毎日出すものがまったく違っているのが望ましいので、それに最適化した。日々まったく違うものを作る工場が必要になります。しかも、それを適切な単価で出せる工場です。そのような多品種ランダム生産の工場は、非常に効率が悪いので、あまりこのような工場は日本にはありません。⇒W。ワタミ宅配の利益率アップも特別な生産ラインの確立にいるという。
@超労働集約産業における労働力商品の剰余価値率を高める方法は二つしかない。
@長時間労働、単位時間内の労働強化。
@もう一つは、生産手段への投資、改善。
@しかし、利潤率を普遍的に挙げる方法は前者しかない。
そのことは、販売面で必要になることにもつながります。
多品種ランダム生産の工場で、適切な単価で生産するためには、販売規模がないといけません。
>だから我々はまず店舗網を作り、販売規模を作り、工場を後から販売規模に合わせて作るということをやってきたんです。モデルとする工場がほとんどなかったので、かなり苦労しましたが、私自身も4ヶ月くらい工場に泊まり込んで一から全部工程を組み直して、なんとかノウハウは作ることができました。
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W参考資料
工場の特徴がよく出ている写真が固定できないので本文記事参照。
@建設現場のモルタル練ミキサーの要領の機器や、菓子製造ラインの改造型とおもえばよい。
見た目、食品生産にありそうなラインを工夫した感じで、そんなに複雑、高級な機器とは思えない。衛生管理はキッチリしている。仕方がないが機械生産の仕様枠内は限られているので消費者はある期間内で同じ調理品が繰り返し出現していると察知する。その場合のバリエーションの付け方は機械生産ではできない。手作りならひと手間、アクセントをつけられる。
村上:スケーラビリティが価格競争力を生んで、それが参入障壁になるということですか?
清水:そうですね。まず販売規模がないとランダム生産の工場ではラインが維持できないので、まず販売規模を作らないといけないわけですが、すでに我々が低価格の販売網を全国に拡大したあとなので、今から同じような規模を作るのは難しいと思います。我々も10年前は550円で弁当を提供していたのが、スケールメリットで現在は450円でできるようになっているんです。そこに今から参入するのはかなり難しいですね。
村上:他の差別化要因は考えられないんですか?
清水:日常食の業界では、外食系のようにいわゆる付加価値戦略、ブランド戦略、差別化戦略はほとんど通用しません。肉じゃがはどこが出しても肉じゃがで、そこに付加価値をつけてストーリーをつけて高く売るということは難しいんです。
朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):シニアビジネスというと豪華列車のようなラグジュアリーなものを想像しますが、現実には逆側のほうがほとんどということですね。
清水:前期高齢者(65歳から74歳の方)の場合は、ラグジュアリーな戦略もありますが、我々のメインとなる後期高齢者(75歳以上の方)に対してはまた違った切り口が必要になります。
後期高齢者の方たちは、お金の使い方が保守的で、お金をとにかく使いたくないんです。自分が何歳まで長生きするかわからない、いつ病気して入院するかわからない、定期収入はごくわずかのお金しかない、そういう状況ですと、怖くて1円でも使いたくないと思ってしまいます。第一優先が医療費で第二優先が食費なので、そういう人たちに付加価値戦略で売るといっても難しいんです。⇒W。弁当の量は付加価値と関係がない。この業態には弁当の量を増やせない、というジレンマがある。増量は価格上乗せ。
結局ターゲットは、体力が弱り食い気の無くなった年寄!
言葉は悪いが終末食業態!究極の核家族化も背景にある。
だったら、「税と社会保障の一体改革」に当局が邁進すればするほど、この業態の販路は拡大するという比例関係が成り立つ。
スケールがあれば他社は入ってこられない
小林:伸びる市場だということは、競合が参入してくる市場だということでもあると思うんですが、競合はどのような状況なんでしょう?
清水:ある程度工場も作ってやっていこうというプレイヤーも現れています。しかし、その中でも我々が最も勢いがあって伸びています。今までほとんどが地域の小さなプレイヤーだったところに、我々のようなチェーンが現れて、スケールメリットを活かした販売価格でシェアを伸ばしているという状況ですね。
W個人商店が潰れてスーパーができる、という資本制の不可逆な道筋が、高齢者の食事の領域で進行しているのか。後者は命と健康に直結する領域である!
小林:そういう状況で、競合として思いつきそうなのは給食のような業態ですが、そういったプレイヤーが入ってくることはないんでしょうか?
清水:過去に何回も入ってきていますが、うまく行かず撤退していっています。実はこの事業は店舗の経営を成り立たせるのが結構難しいんです。
@需要はあるので売上は立つんですが、配送コストが高くつくので、事業としてなかなかペイできないんです。
そこをペイさせるために、どのような店舗づくりをし、どのようなルート作りをすればいいかというノウハウを我々は持っているので、それを加盟店さんに提供できるということが一つの差別化要素なのかもしれません。
小林:弁当製造業から来るとラストワンマイルができず、逆にラストワンマイルを持っている人は製造のノウハウが無いということなんですね。よくわかりました。
朝倉:新聞配達に近いとおっしゃっていましたが、朝日新聞は出前館と業務提携して、飲食店の宅配代行などをしていますね。
清水:彼らに製造が出来れば高齢者向け配食サービスに参入することも可能だとは思いますね。ただ、我々はそうならないようにダブルチェーンモデルでまず店を出し、シェアを獲得するということをやっているんです。
この業界はスケールメリットがかなり強めに出るんです。仕入れから製造を一括で行うことによる効率性の高さに加え、
@店舗密度が高まることによる店舗間物流の効率性向上で大きく優位に立てます。(需要の伸びとの兼ね合いもあるが、ふたつのFC システムの配達地域が競合すれば1店舗の売り上げは落ちる、という臨界点はできる。)に立てます。こういった日常食の業界では、どちらがより良いものをより安く出せるのかが完全に差別化要因になるんです。だから、後から参入してきた他社さんに対しては競争力が違うとは言えると思います。
@W。業界売り上げナンバーワンのワタミの配食弁当も同じことをやっている、と思うが。
@W。以前の中身のままだで改善されていないとすればワタミ配食の方がワンランク以上、上。1食当たりの価格差も¥50程度だったと思う。