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神経ネットワークの要の構造、シナプスを強化する新しい仕組みを解明―認知症等の神経疾患解明への応用に期待― | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
用語解説
- 1)シナプス
- 神経細胞の情報を出力する軸索終末と情報を受け取る樹状突起や細胞体との間に形成される接触構造。神経活動によりシナプス前部の軸索終末から放出される神経伝達物質は、シナプス後部の樹状突起や細胞体にある受容体を活性化させることでシグナルを伝える。
- 2)海馬
- 大脳皮質の内側に存在する、記憶や学習に重要な役割を果たす領域。
- 3)樹状突起スパイン
- 神経細胞の樹状突起上に存在する0.5―2マイクロメートル程度の大きさのトゲ上の構造体。興奮性の軸索は樹状突起上のスパインとシナプスを形成する(図1左)。樹状突起スパインは、1個の神経細胞あたり約1万個存在し、私たちの大脳には100兆個ものスパインが存在するといわれている。神経伝達物質によって刺激を受けた樹状突起スパイン内では、シグナル伝達が起こる。また、シグナル伝達によりスパインの数や大きさはダイナミックに変化し、その拡大はシナプスの強化を引き起こすと考えられている。
- 4)シューティン
- 脳に存在するタンパク質で、これまでの研究から、神経ネットワーク形成に関わる軸索伸長の方向決定(軸索ガイダンス)や、神経細胞の移動などに関わることが知られている。
- 5)アクチン線維
- 細胞内に存在するアクチンタンパク質が線維上に連結(重合)することで形成される。筋肉の収縮や細胞の形態変化などに関わることが知られている。
- 6)細胞接着分子
- 細胞膜に存在して細胞同士や細胞と細胞外の物質(細胞外基質)を接着させる分子。
概要
引用
「ヒトの脳内では、膨大な数の神経細胞が神経ネットワークを形成し、生きるために必要な知覚、運動、記憶・学習などの脳の高次機能活動を支えています。神経細胞は、情報(神経伝達物質)を出力する軸索とこれを受け取る樹状突起の間に形成されるシナプスを介して神経細胞間の情報伝達を行います。」
「例えば、脳内で記憶を司る海馬2)では、樹状突起上に存在するスパインと呼ばれる小さなとげ状の構造体と他の神経細胞の軸索が連結してシナプスを形成します(図1左)。
このようなシナプスの構成単位である樹状突起スパイン3)は、1個の神経細胞あたり1万個存在し、
>ヒトの大脳には100兆個ものスパインが存在するといわれています。」
図1 神経活動による樹状突起スパインの拡大(赤色の●)は記憶・学習を担うシナプスの強化と神経ネットワークの変化を引き起こす
樹状突起スパインは、神経活動により軸索から放出される神経伝達物質に応答してダイナミックに数や大きさが変化しますが、
その数の増加はシナプスの数の増加を引き起こし、
その大きさの拡大はシナプスの強化を引き起こすと考えられています。また、シナプスの強化は、神経回路を模したニューラルネットワークに基づく人工知能(AI)の学習でも用いられています。
神経活動に応答したスパイン調節機構の異常は、認知症や自閉症、知的障害などの神経疾患の発症と関連することが示唆されてきました。
例えば、認知症や知的障害の患者の脳では、スパインの数が減少し、自閉症の脳ではスパインの数が増加することが報告されています。しかし、これまで樹状突起スパインのサイズを調節する仕組みはよくわかっていませんでした。
研究の内容
引用
「研究グループは、以前に脳に存在するシューティン4)というタンパク質を発見しており、これまでの研究から、シューティンが神経ネットワーク形成に関わる軸索伸長の方向決定や、神経細胞の移動などに関わることがわかっています。今回、研究グループは、シューティンが海馬の神経細胞の樹状突起スパインに存在することを見出しました。」
>「以上の結果から、シューティンがスパインの形成やグルタミン酸刺激によって引き起こされるスパイン拡大に必要とされることがわかりました。」
図2 シューティンの量の増減に伴う樹状突起スパインの数の変化。
図3 シューティンは樹状突起スパインの拡大に必要とされる。
A.グルタミン酸の局所的投与(赤色の*)により応答して拡大する樹状突起スパインの拡大の様子。
B.樹状突起スパインの大きさの変化を示すグラフ。
さらに、シューティンがどのようにして樹状突起スパインを拡大するのか、その仕組みを調べたところ、
樹状突起スパインがグルタミン酸により刺激を受けるとシグナル伝達によりスパイン内のシューティンが活性化されることがわかりました。
そして、活性化したシューティンがスパイン内の細胞骨格であるアクチン線維5)と細胞膜上の細胞接着分子6)(カドヘリンとL1-CAM)を連結することによりスパインの拡大に必要な力を生み出すことが明らかとなりました(図4)。
今後の展開
引用
「認知症や知的障害の患者の脳では、樹状突起スパインの数が減少し、自閉症の脳ではスパインの数が増加することが報告されているため、シューティンの分子調節機構の破綻が樹状突起スパインの形成とサイズ増大に障害を起こすことでこれらの病気の一因となる可能性が考えられます。」
1)シューティンの量を減少させると樹状突起スパインの数が減少し、逆に増加させるとスパインの数も増加すること、さらに、
2)シューティンの量を減少させると神経伝達物質によるスパインの拡大が抑制され、そこにシューティンを補充するとスパインの拡大が回復する」
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W.のちに検討する。
(1)現在は「供給ショック型不況」であり、供給制限が解除されれば需給ギャップの大半は自然に埋まる⇒W??
(2)財政出動は「需要ショック」による需給ギャップを埋める部分に限定するべき
(3)「インフレになれば経済は成長する」は妄信
(4)インフレと経済成長には複雑な関係があると実証されている
(5)そもそも戦前はデフレのほうが普通で、インフレが常態化したのは戦後から
(6)歴史的に見ると、失業さえ増えなければ緩やかなデフレの下で生産性向上は可能
(7)財政出動は雇用を増やす。生産性はその分だけ上がる
(8)労働参加率が限界に近い日本では、財政出動の効果はあまり期待できない
(9)よって、日本は労働生産性を上げるしかない
(10)労働生産性向上は、財政出動による需要増だけではできない。教育、設備投資、研究開発、イノベーションなども不可欠