反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

続き。現生人類単一起源説と言語の系統について 弘前大学人文学部教授 山本秀樹。参考資料、 細胞の構造など多数掲載。

         現生人類単一起源説と言語の系統について 弘前大学人文学部教授 山本秀樹
                                 千葉大学文学部講演会(2013 年 11 月 21 日)
            8.言語の遠い類縁関係の研究
 言語学者の間でさらに遠い過去における系統関係を探究する試みが、これまで皆無であったわけではありません。      
                < 参考資料 世界の言語系統>
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有名なところでは、ノストラ語族説というものがあります。
これは、デンマーク(W。言語学の研究者多いの Holger Pedersen 等によって提唱されてきたもので、
印欧語族>、<ウラル語族>、カルトヴェリ(南コーカサス)語族、<アフロ・アジア語族>、ドラヴィダ語族、アルタイ語族エスキモー・アレウト語族といった、
言語学で通常認められているこれらの語族が、さらに遠い過去にさかのぼれば、ノストラ語族という大語族を形成するというものです。
W。この学説によって、古代エジプト語やアラビア語ももアフロ・アジア語族>でくくられ同系統とされているのか?疲れる、付き合いかねる!
W。<アフロ・アジア語族>については前回の記事を参照
 
また、Joseph H. Greenberg は、必ずしも基礎語彙間の厳格な音対応が見出せなくても、多言語間で基礎語彙が類似するものを同時に比較してグループ分けする
「大量比較法(masscomparison, macrocomparison)」と呼ばれる独特の方法によって、従来の比較言語学よりも遠い類縁関係を探究しました。
*しかし、やはり、このような語彙に頼った系統証明には問題点が多く、
特に Greenberg によるアメリカ大陸先住民語の系統分類(エスキモー・アレウト語族とナ・デネ語族以外をすべてアメリンド語族とする)などは、
厳格な系統証明を重んじる多くの比較言語学者たちから、「Greenberg はあのような本(Greenberg 1987)を書くべきではなかった」、「Greenberg のやり方は、若い言語学者たちが決して真似てはいけないものである」等 の痛烈な批判を受けました。
 ただし、方法論の誤りないし稚拙さが必ずしも結論の誤りに通ずるとは限らないという点には、注意しておく必要があると思います。
 Greenberg は、世界諸言語について大胆な系統分類を提唱しましたが、
アフリカ大陸の言語の系統分類(アフロ・アジア語族、ナイル・サハラ語族、ニジェール・コンゴ語族コイサン語族の4語族に分類)は、時間的幅が過去数千年であることもありますが、現在に至るまで、最も標準的な分類として受け入れられてきました。
 また、Greenberg に対しては、遺伝学者等、言語学以外の分野の研究者たちからは、むしろ好意的な評価も時おり見受けられます。
これは一つには、ほとんどの言語学者が過去数千年間の系統についてしか答えてくれないなかで、Greenberg は、さらに遠い類縁関係も対象にしてくれていたためかもしれません。
 
        
   <恩師の松本克己先生の日本語系統研究方法の説明>
>>さらに最近では、私の恩師の松本克己先生が、従来とは異なる新しい手法によって、日本語の系統、さらには世界諸言語の遠い類縁関係を探究していらっしゃいます。
**先に述べたように、基礎語彙というのは、安定性の点で問題があります。
**一方、言語にとって最も安定性の高い特徴は言語普遍性(チョムスキー言語学)でしょうが、これは<すべての言語に共通する特徴なので、系統証明には利用できません>。
W。当たり前!
 
 そこで、松本先生は、<言語普遍性にまでは至らず>に、<基礎語彙以上に歴史的な変化を被りにくく>、
<言語の骨格に関わる「遺伝子型」とも言い得るような安定性の高い特徴>、
しかも複数の特徴を慎重に選び出すことによって、遠い類縁関係の探究を可能にしていらっしゃいます。W。意味不明。               
         弥生時代の急激な人口上昇は「古日本語」研究では無視できない>
イメージ 2 松本先生の手法のもう一つの特徴は、たとえば日本語の系統を探究する場合にも、日本語を特定の言語や語族と直接比較する方法ではなく、
考察範囲をユーラシアあるいは世界全域にまで広げて、広域の言語類型地理論的な視点から系統を考察されている点です。
こうした手法によって、松本先生は、きわめて綿密な言語学的考察を通じて、従来の比較言語学よりもさらに遠い系統関係を探究し、人間の遺伝子的分布との関連も示唆するような、興味深い結果を出していらっしゃいます。
 しかしながら、松本先生の御研究は、先生の長年にわたる西洋古典学、歴史・比較言語学、言語類型論の研究を通じて培われた該博な知識と深い洞察力によって初めて可能になったもので、
これほど綿密な言語学的データの分析に基づいて遠い類縁関係を探究した研究というのは、言語学の世界において、すぐれて類まれなる研究だろうと思います。W。よく解らん。
 
 現在のところ、多くの言語学者の間では、先に述べた系統証明の比較言語学的手法の限界から、
やはり基礎語彙における音対応や文法形式の体系的対応によって厳格に系統を証明できる範囲、
**すなわち、過去1万年(実質的にはせいぜい8千年)の範囲でしか系統を認めないという伝統が、相変わらず根強いように思われます。
 


            9.人類が言語を獲得した時期  
W。ネアンデルタール人の言語研究をすることによって、人類が言語を獲得した時期の傍証としている。
W。ネアンデルタール人→「およそ 35 万年前からに2万4千年前かけて、一 時、現 生人類と同時期を過ごしつつ、絶 滅した人類」
 参考資料<ホモ、エレクトス(旧人)とホモサピエンス(現生人類)の拡散>
イメージ 12>ここで、そもそも人類がいつ言語を獲得したのかという問題に入りたいと思います。
*?これまで、この問題に関しては様々な考え方があり、厳密には現在でもなお不明と言うべきかもしれません。
>>しかし、現生人類がそもそも言語を持っていたということに関しては、現代人に言語が存在することもあってか、多くの研究者が前提としてきたように思われます。
 そこで、これまで言語の獲得時期に関する議論は、現生人類よりも、むしろ<ネアンデルタール人が言語>を持っていたか、あるいはどの程度話せたかという問題をめぐって行われてきました。w。??
これは、Philip Lieberman によって 1970 年前後に発表された、ネアンデルタール人の言語能力、厳密には音声言語を調音する能力に関する研究の影響が大きいと考えられます。
ネアンデルタール人は、現生人類との共通祖先から分かれ、<およそ 35 万年前から2万4千年前にかけて、一 時、現 生人類と同時期を過ごしつつ、絶 滅>>した人類です。
  
         <この項の結論>
W。最新の研究のよって「ネアンデルタール人には、少なくとも現代人とほぼ同様に母音を調音する能力が備わっていた可能性」認められる。
 以下、論証過程
 L iebermanは、<ネアンデルタール人の音声器官の形態>から次のような見解を導きだしました。
ネアンデルタール人の口蓋は現生人類に比べて十分な湾曲がなく、喉頭の位置もまだ十分には低い位置にないため、そのような形態では、
人類言語にとって最も基本的な母音であることが知られている[i]と[a]と[u]の調音上の区別がうまくできない。
また、鼻孔への呼気通路の閉鎖が完全ではないため、鼻にかかったような音声になってしまう。
 Liebermanは、この種の、音声器官の形態による調音上の限界を指摘していくことを通じて、
ネアンデルタール人>は、
*たとえ音声言語を話したとしても、単純な調音上の区別しか持たない、せいぜい幼児語程度のごく単純な言語しか話すことができなかったという結論を導きだしました。
Lieberman 以前の大部分の研究は、石器に見られる技術の程度、考古学的に推測され
当時の<<生活形態、大脳の推定容量等を基に言語の存在を推量>>するという、かなり憶測的なものでした。
 それに対し、Lieberman の研究は、音響音声学的、調音音声学的、解剖学的ないし形態人類学的な根拠に基づいた、きわめて科学的な研究であっただけに、
これを科学的に覆すことが難しく、その後およそ 20 年間にわたって、この Lieberman の見解が、半ば定説のように最も有力視されてしまったように思われます。
 
**ところが、近年になって、ネアンデルタール人の調音能力に関して、Lieberman の見解に対する科学的反証とも考えられる研究が、続々と現れてきました。
>まず、Arensburget al. (1989)によって、ネアンデルタール人の舌骨の化石が現代人とほぼ同程度>のものであることから、
舌骨の形態、発達度から推定すると、ネアンデルタール人も<現代人とほぼ同様に話すことができたという可能性が示唆>されました
 音声言語の調音には、舌を動かす能力もきわめて重大な役割を果たしています。
 
**さらにその約 10 年後、Kay et al.(1998)は、<脳幹から出て舌の筋肉を支配する舌下神経が通る舌下神経管の太さを、頭骨の穴の大きさを計測>することで推定しました。
**その結果、ネアンデルタール人も、現代人とほぼ同等の太さの舌下神経管を持っており、現代人と同様に話していた可能性が出されました
 
 また、ほぼ同時期に、MacLarnon and Hewitt (1999)は、呼吸に関わる脊椎神経の発達度をそれが通る脊椎孔の大きさを測定することによって推定し、
ネアンデルタール人も、話すときに現代人と同様に呼吸を随意的に制御できたことを示しネアンデルタール人も音声言語を話せた可能性を示唆しました。
>さらに、Lieberman が用いたネアンデルタール人の頭骨の復元模型があまり正確でなかった疑いも指摘され、
特に Boëet al. 人の(2002)は、ネアンデルタール母音空間の広さが現代人とほとんど変わらず、
**ネアンデルタール人には、少なくとも現代人とほぼ同様に母音を調音する能力が備わっていた可能性を示しました。
 
 以上のように、ネアンデルタール人が言語を話す能力は、1970 年前後の Lieberman の研究以来低く評価されてきましたが、
1990 年前後以降の研究からは、少なくとも音声言語を調音するためのハードウェアに関する限り、
***ネアンデルタール人が現生人類とほぼ同等に音声言語を使うことができたという可能性が高くなってきたと言えるでしょう
        10.言語単一起源説は成立するか?
(W、以上の傍証結果において)ネアンデルタール人(35万年前~2万4千年前、現生人類と共存)に関して見た舌骨や舌下神経や脊椎神経の発達度、母音空間の広さ等は、いずれも現生人類にも備わっている特性なので、
少なくとも音声言語を調音するためのハードウェアに関する限り、現生人類は最初から音声言語を発する能力を備えていたと考えられるでしょう。
 
**言語の獲得時期という問題は、今なお未解決の問題ではありますが、このように近年の研究により、

 祖先となったミトコンドリア・イヴが言語を持っていたとすれば、世界のすべての言語がその言語を起源として継承されてきたという言語単一起源説の成立の可能性はきわめて高いことになります


                   以下、ヒトの細胞について
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   イメージ 4              細胞の構造(ミトコンドリアと染色体)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 DNAとRNA転写因子タンパク(iPS細胞作成に必要)                                                    
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    < 染色体をほぐす>                         ヒトの染色体
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       *遺伝子の正体 産総研   W。解りやすく良くまとまっている!  
 「遺伝子、DNA、染色体、そして最近話題になっているゲノム。なんとなく分かっているような気はするけれど、
よくよく考えてみるとそれぞれの使い分けが難しいこれらの言葉。ここで一回整理しておきましょう。」
      <項目>は次の通り。
染色体  
生物の体は細胞でできています。細胞の中には核と呼ばれる構造体があります。染色体は、その核の中にあります。細胞分裂のときがくると、棒状のはっきりとした姿を現します。
>ヒトの場合、一つの細胞の中に22対の常染色体と1対の性染色体が現れるのですが、性染色体は女性では2本のX染色体なのに対し、男性ではX染色体とY染色体と、異なる染色体になっています。W。Y染色体の数が少ないというのはコレが原因なのか?
 
 DNA(デオキシリボ核酸)
DNAは「塩基」「糖(デオキシリボース)」「リン酸」と呼ばれる化合物が一つずつ結合したものが最小単位。
その最小単位がリン酸を媒介につながり、鎖のようになります。2本の鎖の「塩基」と「塩基」がさらに結びつき、二重のらせん状の形となります。
塩基」には「アデニン(A)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」「チミン(T)」の4種類あり、各最小単位にはこの内のどれかが結合しています。そして、AはTとのみ、GはCとのみ結合します
 従って、2本の鎖の結合部は必ずその2種類の塩基の組み合わせになっています。この塩基の並び方が遺伝暗号になっており、生物の設計図になっていることが分かっています
 
 遺伝子
塩基には決まった結合のルールがあります。そしてその結びついた塩基のパターンによって、タンパク質の合成のされ方が決まるのです。(W。RNAに転写)
 DNAの中で、遺伝暗号をもっている遺伝子といわれる部分は、DNA全体の数パーセントに過ぎないと考えられています。
 それぞれの遺伝子が持っている遺伝暗号に従って、筋肉や体内でいろいろな働きをする酵素やホルモンなどの、さまざまなタンパク質が作られていきます。
 
 ゲノム
高等植物の場合、同じ染色体が対で存在します。つまり、一つの細胞に染色体のセットが2セット入っているということです。
 この、<生物が正常な生命活動を保持するための基本となる1セット全体のDNA>のことを、ゲノムといいます。
>たとえば人間の染色体は22対の常染色体(全部で44本)と、1対の性染色体(全部で2本。女性はX染色体2本、男性はX染色体とY染色体)が核の中に入っています
>このうちの1セット(22本の常染色体とXかYの性染色体)の中に入っているすべてのDNAを、ヒトのゲノム、すなわちヒトゲノムと呼びます。
 
 リンパ球細胞~T細胞受容体~の特殊性の説明はなかった。       
前回の記事にある受精卵を辿る~云々の箇所はマチガイである。
確認作業終わり 本論へ
 


もちろん、一部の現生人類が、もともと言語を持っていたにもかかわらず、その言語を捨てて、わざわざ一から新たな言語を発生させるという事態でも起こったとすれば、言語単一起源説は崩れます。
しかし、そのような事態は、きわめて異常で、まず起こり得ないでしょう。
>また、少なくとも歴史時代とりわけ近代において頻繁に起こっているような、<有力言語による弱小言語の置き換え>も、ある程度は起こったかもしれません。
>しかし、その場合でも、いずれの言語も元来は同一の起源から派生しているのであれば、やはり言語単一起源説は成立することになります。
 つまり、たとえばラテン語によってすべてのケルト語が置き換えられ、(実際には島嶼ケルト語が残りましたが)ケルト語がすべて死滅してしまったとした場合、
たしかにケルト語の系譜は途絶えますが、印欧語の系譜は継承されることになります。
 
>したがって、言語単一起源説の成立の最も重要な鍵は、やはり、そもそもミトコンドリア・イヴが言語を持っていたか否かになります。
W。Allan C. Wilson を中心としたミトコンドリア DNA(mtDNA)の分析>)により有力となった説。
    


 W.参考資料    第4部 邪馬台国から大和朝廷 
       両図は<男も着物>さん、転載。
イメージ 10イメージ 11
 
 
 
W。この図解入りの記事は、わたしがIWJ、岩上安見の研究者インタビュー動画で視聴した日本人に関する部分の要約である。   と想ったが、ザット眼を通したところ、かなり見解が違うようである。
あくまで、参考意見と、考えたい。
   08-1.ミトコンドリアDNAから見た日本人の祖先 日本人の源流を探して
 


現代のすべての人類は約 20 万年前に生存した、たった1人のアフリカ女性=るミトコンドリア・イヴ」にたどり着く。
>先にネアンデルタール人との関連で考察したのは、厳密には言語を使う能力というよりも、むしろ<言語音声を調音する能力>に関わるものでした。
さらに重要なのは<現生人類が大脳で言語を操作する能力>を持っていたかどうかという問題です。
 そこで、大脳で言語を操作する能力について、言語単一起源説に関係し得る研究として、私は2つの研究に着目しました。
 
 まず、古人類学者による社会文化的な証拠に関わる研究があります。
(1)Klein and Edgar(2002)は、現生人類が、石器の製作技術、狩猟技術、芸術感覚等において、<約5万年前に飛躍的な進歩を遂げている>(W。初耳だ!)ことに着目して、
これらの急速な進歩をもたらした大きな要因は<大脳に起こった変異によって人類に音声言語が生じた>W???ことにあるだろうと考えています。
**つまり、もし現生人類が最初から言語を持っていたのであれば、もっと早い時期に社会文化的な発達を見せていたはずではないかというわけです。
 
**先に述べたように、現生人類がアフリカから出た時期は約6万年前と考えられますので、もし人類が言語を持ち始めた時期が5万年前であれば、
**すでにアフリカから出て各地に移動した後ということになります
W。5万年前に大脳の突然変異が発生した結果のなのだから、当然、出アフリカ以降だ。
**もしそうであれば、世界のすべての言語が単一の言語から発達したとは必ずしも言えなくなってくるでしょう。W。ナルホド。が、5万年前大脳突然変異という前提が怪しい。
たしかに、言語を持つかどうかによって社会文化的な進歩の仕方、程度が大きく変わってくることは、十分に考えられることでしょう。
 
>>しかしながら、彼らの言う、約5万年前に人類に起こった大脳ないし神経系の変異というのは、<物理的な直接の証拠があるわけではなく>(W、だろうな)、あくまでも状況証拠に基づく推測にすぎません。
>>また、今日でも社会文化的には旧石器時代さながらの生活をしている人々の言語が必ずしも単純ではないことは、言語学的によく知られた事実で、不用意に文化的な発達と言語の発達を関係づけることには、慎重でなければならないでしょう。
W。このセンセイの論証能力はなかなかのものである!法廷弁護のようだ。
 
 もう一つの研究は、いわゆる<「言語遺伝子」をめぐる遺伝学的な研究>です。
Lai et al.(2001) は、遺伝的にしばしば言語障害が見られる家系の遺伝子を精査した結果、
FOXP2という、第7染色体の長腕部に存在する遺伝子に問題があった場合に言語障害が生じていることを突き止めました。(W。STAP細胞問題を調べていたときに知った。)
 FOXP2 は、主として、言語に関わりの深い<ブローカ野>、その反対側の大脳半球における相同領域、頭頂葉縁上回に現れていて、「言語遺伝子」とも呼ばれるようになりました。
イメージ 9W。<ブローカ野>は「脳は文法を知っている」のなかで、図が載っている。
赤色  文法判断 ブローカ野 
緑色  記憶判断 
     
       
 
 
 
 
 
 
 
 
 
          <ココからこの項の最終結論>
>>そこで、言語単一起源説にとっては、この遺伝子が現代人のもののような形態をとるようになった時期が、重大な問題なってきます。
その時期について十分に限定された数値は出ていないようですが、
**最も可能性が高いのは、<10 万年前から1万年前で、20 万年以上前にさかのぼることはない>だろうということです(Enard et al. 2002、正高 2004)。
 この数値は、たしかにおおよそ現生人類の存在時期の範囲内と見ることもできるでしょうが、あまりにも幅がありすぎます
もし、この時期がミトコンドリア・イヴの生存時期と一致すれば、言語単一起源説にとって有利ですが、
この時期が、たとえば約5万年前であったとすれば、むしろ Klein and Edgar (2002)の説にとって有利ということになります。
W。上記の現世人類約5万年前、大脳突然変異説を再び引用する。
 「Klein and Edgar(2002)は、現生人類が、石器の製作技術、狩猟技術、芸術感覚等において<約5万年前に飛躍的な進歩を遂げている>(W。初耳だ!)ことに着目して、
これらの急速な進歩をもたらした大きな要因は、<大脳に起こった変異によって人類に音声言語が生じた>W???ことにあるだろうと考えています。
つまり、もし現生人類が最初から言語を持っていたのであれば、もっと早い時期に社会文化的な発達を見せていたはずではないかというわけです。」
(W確かに状況証拠だけであり、物的証拠を伴っていない、推測の域を出ない。もっとも、大脳の突然変異の物的証拠を示せといっても、できない相談だ)

>しかしながら、FOXP2 については、これが真に言語能力にのみ関わるものか否か不明確で、言語能力の獲得には複数の遺伝子が関係している可能性も考えられるようです(斎藤 2004)。
>したがって、FOXP2 にしても、これが必ずしも人類の言語獲得時期にとって決定的な鍵となるとは限らないかもしれません。
 
            11.むすび
**今日、近年の目覚ましい遺伝学的研究の進展によって、現生人類の単一起源はほぼ確実となりました。
しかし、それによって直ちに言語単一起源説が成立するかというと、以前に比べて、その可能性が高くなったとは言えますが、
現段階では一つの仮説にとどまり、今の私としては、やはり結論を保留せざるを得ないだろうと考えています。
 
>>ただし、近年、現生人類がアフリカを出て種々の人種に分かれていったのが、せいぜいここ6万年程度にすぎないと考えられていることに照らせば、
(W。ネットでは、未だに出アフリカ10万年説もでまわっているようなので、コレまでの記事は、6万年~10万年の巾を持たして書いてきた。ウィキペデアのこの関連の解説も、未だに現世人類単一起源説と多地域進化起源説の両方を載せている。当然にも、多地域進化起源説を採用すると、現生人類はもっと古い時期にアフリカから出て、枝分かれして、多地域同時進行的に人種や現世人類の系統に進化し、言語の系統分化もソレに基づくものとなる。しかし、この説の最大の弱点は、最新の細胞学の発展を取り入れていないことである。物差しが、古すぎる。
最新の細胞学などの発展は、1980年代後半を境としている事から、コンピューターなどの最先端技術が一挙に開発されたされたことと深い繋がりがあるのだろう。
遺伝子学の最新の研究成果に基づく、最先端の人類学の研究者の詳しく、わかりやすい包括的解説はIWJの岩上安見インタビューの動画に載っている。2013年新年、特別インタビュー動画であったと想う。記憶では現生人類の出アフリカは6700万年前、167人ということであった。)
>>少なくとも世界の大多数の言語、特に現生人類の出アフリカ後の言語が同系である可能性はきわめて高いと言えるのではないでしょうか。
 また、言語学者たちも、言語単一起源説を単なる荒唐無稽な説と一笑に付すことなく、特に言語の系統を考えるとき、その可能性を常に念頭に置いておく必要はあるだろうと思います。
(W。ネットでは、未だに出アフリカ10万年説もでまわっているようなので、コレまで記事では、6万年~10万年前などと巾を持たして書いてきた。この講演によって、確信を持ったのでコレからはキチンと書く。
 ウィキペデアのこの関連の解説も、未だに現世人類単一起源説と多地域進化起源説の両方を載せている。
当然にも、多地域進化起源説を採用すると、現生人類はもっと古い時期にアフリカから出て、枝分かれして、多地域同時進行的に人種や現世人類の系統に進化し、言語の系統もソレに基づき同時多発的に進化したとなる。しかし、この説の最大の弱点は、最新の細胞学の発展を取り入れていないことである。警察の物的証拠にもBNA鑑定が重要な位置を占めるようになってきている。文系研究分野では真理が全般化するまで、タイムラグがあるようだ。
最新の細胞学などの発展は、1980年代後半を境としている事から、コンピューターなどの最先端技術が一挙に開発されたされたことと深い繋がりがあるのだろう。
遺伝子学の最新の研究成果に基づく、最先端の人類学の研究者の詳しく、わかりやすい包括的解説はIネットで閲覧できる最良のものは、WJの岩上安見インタビューの2013年新年、特別インタビュー動画である。記憶では現生人類の出アフリカは6700万年前、167人ということであった。)