反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

前回記事の間違いを訂正(キメラを作製するための胚盤胞への注入法)、生命科学研究者は過剰、玉石混合。参考資料「T細胞とは?」大隅典子4、16記事。理研広報STAP解説全文。

  前回の記事5月15日付<3、難波先生翻訳の海外研究者のSTAP実証研究の報告から理研検証委の実験方法への疑問>の次の箇所に大きな勘違いがあり訂正する
なお、文章の乱れは基本的に訂正しないことにしている。
「素人解釈では、STAP現象に適正な実験ネズミの改良実験条件及び回数を重ねることによって、稀少にも獲得できた、多能性分化細胞らしきもの(この辺は素人なので単純に再構成確認と受け取る。骨髄由来であればミューズ細胞の強い多能分化性によって確実に実験は成功する。)をESマウスの核に移植して、「分化細胞からの多能性細胞の誘導の可否についての厳密な検証(マウス実験」)としていることに誤魔化しがあるように思えてならない。」
              ↓ココが初歩的な認識不足。
「というのはウィキの刺激惹起性多能性獲得細胞や、ネイチャー論文発表時の理研の広報を読めば、STAP肝細胞が増殖多能分化して、ネイチャー論文画像に在る胎盤や胎児になった、としか記されていない。
ES細胞の増殖力の手助けをかりたなどと一言も書いていない。」
       
            <訂正事項>は参考資料によって説明。
            
      -遺伝学電子博物館ホームページよりー 
 胚幹細胞(ネイチャー論文ではリンパ球から作成したSTAP幹細胞)によってキメラを作製するための胚盤胞への注入法  
 
 
     胚盤胞とは? 
イメージ 1
この図の上方緑色の内部細胞塊inner cell massを取り出し培養したものがES細胞。
 
 
W。難しく考える必要はない。受精した鶏の卵、或いは発芽前の木の実をイメージ。
 
胚盤胞とは、卵割腔形成後から着床前の胚形成初期に形成される構造のことである。
胚の次の形態は胚盤胞内細胞塊あるいは胚結節を持ち、胎盤に外細胞塊あるいは栄養膜(en:trophoblast)が形成される。ヒトの胚盤胞は70-100個の細胞を含有する塊より生じる。
内細胞塊は身体のあらゆる細胞に分化する能力を持つことが知られており、再生医療の分野で注目を浴びた。この細胞を取り出し、培養したものがいわゆるES細胞と呼ばれるものである。一方、栄養膜は胎盤羊膜などの胚外組織に分化していく。
 
胚盤胞の細胞注入実験(キメラマウス実験)の意義
解説を理解するためのキーワード→キメラ
生物学における キメラ (chimera) とは、*同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること。またそのような状態の個体のこと。
この用語はギリシャ神話に登場する伝説の生物「キマイラ」に由来する。
近年は「キメラ分子」「キメラ型タンパク質」のように「由来が異なる複数の部分から構成されている」意味で使われることもある。」
 イメージ 2
W。左の図は混乱を招きやすいが、ネイチャー論文の実験手順では、ES細胞注入の部分を脾臓リンパ球の細胞に弱酸性溶液のストレスを与えて作成されたSTAP細胞を注入すると胎盤と胎児が生まれたとしている。
多くの批判者は左の図にあるようなそのものズバリのES細胞の注入としている。
大隅先生の説だとES細胞によって注入で胎児。
T細胞で胎盤としている。
 
W。胚盤胞には内部細胞塊に遺伝子が存在しており、そのまま増殖分化すれば、その遺伝子系の胎児に発育する。
そこに別の系統の胚幹細胞を注入するのだから、「「由来が異なる複数の部分から構成されている』マウス胎児が生まれる=キメラ
 
  遺伝子電子博物館より引用 ー胚盤胞の細胞注入実験(キメラマウス実験)の意義ーW、もう少し解りやすく
「多分化能を持つ胚性癌腫細胞や胚幹細胞が、どれだけマウス初期胚中の幹細胞に近い性質を持っているかを調べるための最適の方法は、それらの細胞を胚盤胞内に注入したときに、キメラ胚やキメラマウスをつくることができるかどうか、キメラ寄与率は大きいかどうかそして最後に生殖系列キメラをつくれるかどうかで検定することである。特に重要なのは生殖系列キメラ形成能である。つまりこの細胞株を使って、胚幹細胞を経由したマウス個体への遺伝子導入や遺伝子ターゲティングなどができるか否かを決定する性質である。」  
 
*「生殖系列キメラ”という用語を定義すると、「生物体における生殖系列を構成している細胞群が、移植操作、突然変異、その他の理由により遺伝的に異なっている」ということになると考えられる。」
 
W、同じく遺伝子電子博物館の胚盤胞への幹胚細胞(ネイチャー論文ではSTAP幹細胞)注入実験の解説の最後の下りは前回の記事の問題意識(検証委員会のSTAP新研究は実験のための実験、実験ネズミの品種改良の研究ではないのか)が必ずしも間違いでなかった、と指し示している。
 
これまで多くの研究室で行われた実験の結果わかったことは、
胚幹細胞株が由来するマウス系統と、注入キメラを作製する際の宿主胚盤胞のマウス系統の組み合わせが、生殖系列キメラ作製効率に大きく関係しているということである。
広く使われている129系統マウス由来の胚幹細胞株(W、若山が小保方に手渡したマウス系統)に関しては、C57BL/6系統のマウス胚盤胞(小保方がSTAP細胞作成として手渡したマウス系統の遺伝子)を宿主胚として使うのが最適と考えられている。
また、われわれの研究室ではC57BL/6由来の胚幹細胞株を樹立して実験に使用しているが、
この場合の宿主胚盤胞としてはBalb/c系統のものがよいようである。 」
 
W、想定する結果が得やすいマウス系統の胚盤胞と注入幹胚細胞の組み合わせがある、ということか。
何だか変な具合だなぁ~。想定する結果の得やすい最適条件を厳選して行って、仮に結果が得られたとして、それは実験ネズミの固有の条件であって、何処まで人間に適応できるのか大きなグレイゾーンがありはしないか。
 
 基礎生物学はそんなものといわれると尤もなことだが、ハッキリ云えば、再生医療分野の研究といえば、耳障りはよく、発生生物学の基礎研究はあたかも人間の生き死に貢献するようなうたい文句は喧しいが、眉唾物が多いのではないか。
 
 研究過程で派生的に生まれる成果は多いだろうが、研究の主目的とするものは、謳い文句ほどは、何時までたっても実現性がないように直感する。
京大のiPSの山中教授の研究にしても、はたして100億円の資金投下のうち、どの程度の成果が得られるか、未知数な部分が多過ぎるような気がする。
コレは率直な感想。      【大隅典子 仙台通信4月29日記事より】 生命科学の研究者過剰はハッキリ!
                        玉石混合という実態は明らか
イメージ 4
 今回の理研ー小保方騒動の顛末を見ていると、こういった研究分野のあやふやさが、あぶりだされている様な気がしてならない。
特にこの分野のトップレベルの頭脳とされてきた笹井芳樹のSTAP大発見の浮かれぶりーその後の言い訳にはいったい、この分野の研究の実態とはなんなんだろうという強い疑念がわく。
 
 STAP現象検証委員会など、論外。基礎科学への貢献さえ怪しいもので、巨大研究機関の組織維持のための
政府ー官庁ー世間への言い訳という政治目的が優先されている、ように想う。
 
 何が何でも「STAP現象らしきものは辛うじて確認できました、」という結論を導き出すための最初から予断を持って最適条件をまさぐっている、としか思えない。
 
 検証委の大まかな実験手順は小保方博士論文と同じだ。
骨髄はミューズ細胞との関係でやらないようだが、他の部位は小保方と同じように試していく。
骨髄から析出した細胞を他の系統のマウスの胚盤胞に注入するとキメラが作成される確率は高い。
 
 ということは以上を総括して、理研検証委の検証と称した新STAP細胞研究はバカンティの芽胞様多機能分化細胞研究の枠内にとどまっているということだ。
 
 小保方STAP問題を画像捏造に切り縮め、実質的に雇用問題にして、STAP万能細胞大発見の研究の全貌を問えない理由はバカンティ=小保方=理研CDBの間にSTAP細胞への不当な入れ込みという共通点があるからだ
理研調査委員会には本質的に小保方を偉そうに批判する資格はない。
 
 さらに、いま、この時期だからこそ、若山に問うてみたい。
バカンティ、小保方、若山のトリオで先行主導したSTAP万能細胞研究とは何であったのか。
若山が本当にやるべきことは、理研調査委にサイエンス誌に投稿しボツになった論文の資料を提供することではなく、過去に熱中したSTAP細胞研究の実態を具体的に振り返り、事実関係を明らかにすることである。
 小保方は研究分野とは論外の存在。大きな勘違い、錯覚、行き違いで偶々、研究分野に闖入したキャラクターで酷いの一語に尽きる。
もっともバカンティのところでした働きを続けていたら、こんなことにはならなかった。
理研という触媒によって培養された。

  説明資料1 ー理化学研究所  笹井芳樹ー反俗日記5月5日付け記事より引用
 「STAP現象を前提にしないと容易に説明できない部分」
A) ライブ・セル・イメージング(顕微鏡ムービー)
B) 特徴ある細胞の性質
C) 胚盤胞の細胞注入実験(キメラマウス実験)の結果←キメラを作製するための胚盤胞への注入法                                       今まで、最低限の理解もなかった。
             ↓
反証仮説としての「ES細胞などの混入」「自家蛍光によるアーティファクト」などでは説明できない。
           
STAP現象の検証では二つ実験が必要
①OCT4陽性の小型の未分化な細胞の塊を形成すること(形成過程)
②この小型の細胞塊が多能性を発揮することを示すこと(多能性解析過程)

     参考資料1、 「T細胞とは?」
「血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種です。わたしたちのからだを異物から守る機構(免疫応答)の司令塔ともいうべき大切な細胞集団で、胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられました。」W、アベ首相の大腸潰瘍は胸腺(thymus)で作られる大腸系のリンパ球
変則作用で引き起こされる。正常に調整できる新薬が数年前に開発された。グーグルに載っている。
Q 「T細胞は何をしているの?」
T細胞表面にはT細胞抗原受容体(T cell antigen receptor: TCR)があり、これを用いて外から入って来た異物を認識します。1つ1つのT細胞はそれぞれ異なる形のTCRを持っていて、どんな異物が入って来ても対応できるような準備がなされています。T細胞はTCRを介して細胞表面のMHC分子(ヒトではHLA分子, 「臓器移植とHLA、西村泰治」の項参照)に結合した異物を認識して、これを排除するための免疫反応を開始します。異物を見つけたT細胞は活性化し、速やかに現場を統率して、異物からからだを守ります。T細胞は自ら増殖して感染現場に駆けつけたり、他の細胞(マクロファージ、好中球等)に指令を出して、現場に急行させたり(ヘルパーT細胞)、あるいはウイルス感染細胞やがん細胞を直接殺したり(キラーT細胞)、といったように、様々な場面で活躍します(W。良くわからないが、Kahoサンの解析結果と関係するところだおもう。

     資料2.STAP細胞を前提にしなければ、説明できない?
大隅典子 2014年04月16日 23:30
「遺伝子発現パターンについては、現時点で疑義があるようなので~。
【追記】例えば以下のような科学者による記事があります。
   (W,Kahoさん(理研CDBの研究者)の遺伝子発現パーン解析~上記のT細胞の解説を参考にすると理解が進む~
「>Oct4-GFP発現までは正しいと思いますので
正しくないですよ.
今日笹井先生が配られた資料を見てびっくりしました.
「遺伝子発現パターンの詳細解析でも、STAP細胞は、ES細胞や他の幹細胞とも一致せず」
若山先生もトランスクリプトーム解析でSTAPは他の細胞と違うと仰っていました.
ところが,その「トランスクリプトーム解析」で分かることは,STAP細胞と呼ばれるもの同士ですら
「遺伝子発現パターン」が様々であることです.」
    大隅典子に戻る。
C)胚盤胞の細胞注入実験(キメラマウス実験)の結果「ES細胞、TS細胞の混ざり物では細胞接着が上手くいかず、1つの細胞塊にならない」と書かれていますが、現在、若山氏が注入した細胞について本当にSTAP細胞(仮)であったの疑義が取りざたされています。
「混ざり物」ではなく、「ES細胞のみ、TS細胞のみ」であれば、細胞接着には問題なく、互いに馴染み合って塊になるのではないかと推測します。

また「胎仔、胎盤、卵黄膜(←哺乳類では卵黄嚢膜が正しい)内胚葉に細胞貢献」するのは、ES細胞やTS細胞の混入では起こりえない、とされていますが、TS細胞はtrophoblast stem cellsとして、胎盤に寄与できる細胞ではないでしょうか?
 


イメージ 3
 W。この際、一気に2014年1月29日付(ネイチャー論文発表30日の直前の理研広報)を掲載する。
いづれ抹消される可能性が強いので、全文掲載する。
コレはネイチャー論文の内容を噛み砕いて解りやすく説明した貴重な資料である。  
説明は非常に解りやすく良くできている。 コレを読むとSTAPとはこんなもと解る。
リンクで資料、絵、ムービーまであり、用意周到。
 
三胚葉分化の左図を頭に叩き込んで理研広報を査読?するといかに荒唐無稽なことを主張し、実証しようとしているかわかる。
 
精卵から数えて4段階目の分化である体細胞がPH5,7の弱酸性溶液で30分程度シャブシャブすると内細胞塊の段                                階=ES細胞と同次元、iPS細胞(4つの遺伝子を導入しなければ ならないまで遡る というのである。あり得ない!
 
   体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見
   -細胞外刺激による細胞ストレスが高効率に万能細胞を誘導ー
      <ポイント>
  • 細胞外刺激により体細胞を迅速に多能性細胞へ初期化する方法を開発
  • 核移植も遺伝子導入も不要な多能性の獲得という新しいメカニズムを発見
  • 初期化された多能性細胞はすべての生体組織と胎盤組織に分化できる
       <要旨>
 理化学研究所理研野依良治理事長)は、動物の体細胞[1]の分化の記憶を消去し、万能細胞多能性細胞[2])へと初期化[3]する原理を新たに発見し、それをもとに核移植や遺伝子導入などの従来の初期化法とは異なる「細胞外刺激による細胞ストレス」によって、短期間に効率よく万能細胞を試験管内で作成する方法を開発しました。
これは、理研発生・再生科学総合研究センター(竹市雅俊センター長)細胞リプログラミング研究ユニットの小保方晴子研究ユニットリーダーを中心とする研究ユニットと同研究センターの若山照彦元チームリーダー(現 山梨大学教授)、および米国ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授らの共同研究グループによる成果です。
 
 哺乳類の発生過程では、着床直前の受精胚の中にある未分化な細胞は、体のすべての細胞に分化する能力(多能性)を有しています。
ところが、生後の体の細胞(体細胞)は、細胞の個性付け(分化)が既に運命づけられており、血液細胞は血液細胞、神経細胞神経細胞などの一定の細胞種類の枠を保ち、それを越えて変化することは原則的にはありません。即ち、いったん分化すると自分の分化型以外の細胞を生み出すことはできず、分化状態の記憶[4]を強く保持することが知られています。
 
 今回、共同研究グループは、マウスのリンパ球などの体細胞を用いて、こうした体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除されることを見いだしました
さらに、この解除により、体細胞は「初期化」され多能性細胞へと変化することを発見しました
この多能性細胞は胎盤組織に分化する能力をも有し、ごく初期の受精胚に見られるような「全能性[5]」に近い性質を持つ可能性が示唆されました。
 
 この初期化現象は、遺伝子導入によるiPS細胞(人工多能性幹細胞)[6]の樹立とは全く異質のものです
共同研究グループは、この初期化現象を刺激惹起性多能性獲得(STAP)、初期化された細胞をSTAP細胞と名付けました。
STAPの発見は、細胞の分化状態の記憶の消去や自在な書き換えを可能にする新技術の開発につながる画期的なブレイクスルーであり、今後、再生医学のみならず幅広い医学・生物学に貢献する細胞操作技術を生み出すと期待できます。
 
         <背景>
本研究成果は英国の科学雑誌『Nature』(1月30日号:日本時間1月30日)に掲載されます。
ヒトを含めた哺乳類動物の体は、血液細胞、筋肉細胞、神経細胞など多数の種類の細胞(体細胞)で構成されています。
しかし、発生をさかのぼると、受精卵にたどり着きます。
受精卵が分裂して多様な種類の細胞に変わり、体細胞の種類ごとにそれぞれ個性付けされることを「分化」と言います。
体細胞はいったん分化を完了すると、その細胞の種類の記憶(分化状態)は固定されます(図1)。
従って、分化した体細胞が、別の種類の細胞へ変化したり(分化転換)、分化を逆転させて受精卵に近い状態(未分化状態)に逆戻りしたりすること(初期化)は通常は起こらないとされています。
 
 動物の体細胞で初期化を引き起こすには、未受精卵への核移植(クローン技術[7]や未分化性を促進する転写因子と呼ばれるタンパク質を作らせる遺伝子を細胞へ導入する(iPS細胞技術)など、細胞核の人為的な操作が必要になります(図2)。
 
 一方、植物では、分化状態の固定は必ずしも非可逆的ではないことが知られています。分化したニンジンの細胞をバラバラにして成長因子を加えると、カルス[8]という未分化な細胞の塊を自然と作り、それらは茎や根などを含めたニンジンのすべての構造を作る能力を獲得します。
 しかし、細胞が置かれている環境(細胞外環境)を変えるだけで未分化な細胞へ初期化することは、動物では起きないと一般に信じられてきました(図2)。
小保方研究ユニットリーダーを中心とする共同研究グループは、この通説に反して「特別な環境下では動物細胞でも自発的な初期化が起こりうる」という仮説を立て、その検証に挑みました。
 
      <研究手法と成果>
小保方研究ユニットリーダーは、まずマウスのリンパ球を用いて、細胞外環境を変えることによる細胞の初期化への影響を解析しました。
リンパ球にさまざまな化学物質の刺激や物理的な刺激を加えて、多能性細胞に特異的な遺伝子であるOct4[9]の発現が誘導されるかを詳細に検討しました。
なお、解析の効率を上げるため、Oct4遺伝子の発現がオンになると緑色蛍光タンパク質GFP」が発現して蛍光を発するように遺伝子操作したマウス(Oct4::GFPマウス)のリンパ球を使用しました
 
こうした検討過程で、小保方研究ユニットリーダーは酸性の溶液で細胞を刺激することが有効なことを発見しました。
(1)→リンパ球を30分間ほど酸性(pH5.7)の溶液に入れて培養してから、多能性細胞の維持・増殖に必要な増殖因子であるLIFを含む培養液で培養したところ、7日目に多数のOct4陽性の細胞が出現しました(図3)。
酸性溶液処理[10]多くの細胞が死滅し、7日目に生き残っていた細胞は当初の約5分の1に減りましたが、
生存細胞のうち、3分の1から2分の1がOct4陽性でした
ES細胞(胚性幹細胞)[11]やiPS細胞などはサイズの小さい細胞ですが、酸性溶液処理により生み出されたOct4陽性細胞はこれらの細胞よりさらに小さく、数十個が集合して凝集塊を作る性質を持っていました
 
(2)次にOct4陽性細胞が、分化したリンパ球が初期化されたことで生じたのか、それともサンプルに含まれていた極めて未分化な細胞が酸処理によって選択されたのかについて、詳細な検討を行いました。
 
イ)まず、Oct4陽性細胞の形成過程をライブイメージング法[12]で解析したところ、酸性溶液処理を受けたリンパ球は2日後からOct4を発現し始め(図3)、反対に当初発現していたリンパ球の分化マーカー(CD45)が発現しなくなりました。また、このときリンパ球は縮んで、直径5ミクロン前後の特徴的な小型の細胞に変化しました。(YouTubeリンパ球初期化3日以内
 
ロ)→次に、リンパ球の特性を生かして、遺伝子解析によりOct4陽性細胞を生み出した「元の細胞」を検証しました。
リンパ球のうちT細胞は、いったん分化するとT細胞受容体遺伝子に特徴的な組み替えが起こります
これを検出することで、細胞がT細胞に分化したことがあるかどうかが分かります。
この解析から、Oct4陽性細胞は、分化したT細胞から酸性溶液処理により生み出されたことが判明しました。
(W、TCRの再構成を確認した、と主張
 
これらのことから、酸性溶液処理により出現したOct4陽性細胞は、一度T細胞に分化した細胞が「初期化」された結果生じたものであることが分かりました。
これらのOct4陽性細胞は、Oct4以外にも多能性細胞に特有の多くの遺伝子マーカー(Sox2、 SSEA1、Nanogなど)を発現していました(図3。また、DNAのメチル化状態もリンパ球型ではなく多能性細胞に特有の型に変化していることが確認されました。
産生されたOct4陽性細胞は、多様な体細胞へ分化する能力も持っていました。
 
ハ)→分化培養やマウス生体への皮下移植により、外胚葉(神経細胞など)、中胚葉(筋肉細胞など)、内胚葉(腸管上皮など)の組織に分化することを確認しました(図4)。
 
ニ)→さらに、マウス胚盤胞(着床前胚)に注入してマウスの仮親の子宮に戻すと
全身に注入細胞が寄与したキメラマウス[13]YouTube100%キメラマウス_STAP細胞)を作成でき、そのマウスからはOct4陽性細胞由来の遺伝子を持つ次世代の子どもが生まれました図5)。
W,ここまでくると完全に、文字と通り、ES細胞iPS細胞に匹敵する新万能細胞の出現だが、読んでいて頭がおかしくなる思い。
 
>これらの結果は、酸性溶液処理によってリンパ球から産生されたOct4陽性細胞が、生殖細胞を含む体のすべての細胞に分化する能力を持っていることを明確に示しています
小保方研究ユニットリーダーは、このような細胞外刺激による体細胞からの多能性細胞への初期化現象を刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency; STAPと略する)、生じた多能性細胞をSTAP細胞と名付けました。
 
ホ)→続いて、この現象がリンパ球という特別な細胞だけで起きるのか、あるいは幅広い種類の細胞でも起きるのかについて検討しました。
脳、皮膚、骨格筋、脂肪組織、骨髄、肺、肝臓、心筋などの組織の細胞をリンパ球と同様に酸性溶液で処理したところ
程度の差はあれ、いずれの組織の細胞からもOct4陽性のSTAP細胞が産生されることが分かりました。
 
ヘ)→また、酸性溶液処理以外の強い刺激でもSTAPによる初期化が起こるかについても検討しました
その結果、細胞に強いせん断力を加える物理的な刺激(細いガラス管の中に細胞を多数回通すなど)や細胞膜に穴をあけるストレプトリシンOという細胞毒素で処理する化学的な刺激など、強くしすぎると細胞を死滅させてしまうような刺激を少しだけ弱めて細胞に加えることで、STAPによる初期化を引き起こすことができることが分かりました。
 
 STAP細胞胚盤胞に注入することで効率よくキメラマウスの体細胞へと分化します。
ト)→この研究の過程で、STAP細胞はマウスの胎児の組織になるだけではなく、
その胎児を保護し栄養を供給する胎盤や卵黄膜などの胚外組織にも分化していることを発見しました(図6)。
 
ト)→STAP細胞をFGF4という増殖因子を加えて数日間培養することで、胎盤への分化能がさらに強くなることも発見しました。
一方、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞[14]は、胚盤胞に注入してもキメラマウスの組織には分化しても、胎盤などの胚外組織にはほとんど分化しないことが知られています。
このことは、STAP細胞が体細胞から初期化される際に、単にES細胞のような多能性細胞(胎児組織の形成能だけを有する)に脱分化するだけではなく、胎盤も形成できるさらに未分化な細胞になったことを示唆します
STAP細胞はこのように細胞外からの刺激だけで初期化された未分化細胞で、幅広い細胞への分化能を有しています。
 
チ)→一方で、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞とは異なり、試験管の中では、細胞分裂をして増殖することがほとんど起きない細胞で、大量に調製することが難しい面があります
小保方研究ユニットリーダーらは、理研が開発した副腎皮質刺激ホルモンを含む多能性細胞用の特殊な培養液[15]を用いることでSTAP細胞の増殖を促し、STAP細胞からES細胞と同様の高い増殖性(自己複製能[16])を有する細胞株を得る方法も確立しました(図7)。
この細胞株は、増殖能以外の点でもES細胞に近い性質を有しており、キメラマウスの形成能などの多能性を示す一方、胎盤組織への分化能は失っていることが分かりました。
 
       <今後の期待>
今回の研究で、細胞外からの刺激だけで体細胞を未分化な細胞へと初期化させるSTAPを発見しました(図8)。これは、これまでの細胞分化や動物発生に関する常識を覆すものです。
STAP現象の発見は、細胞の分化制御に関する全く新しい原理の存在を明らかにするものであり、幅広い生物学・医学において、細胞分化の概念を大きく変革させることが考えられます。
分化した体細胞は、これまで、運命付けされた分化状態が固定され、初期化することは自然には起き得ないと考えられてきました。
しかし、STAPの発見は、体細胞の中に「分化した動物の体細胞にも、運命付けされた分化状態の記憶を消去して多能性や胎盤形成能を有する未分化状態に回帰させるメカニズムが存在すること」、また「外部刺激による強い細胞ストレス下でそのスイッチが入ること」を明らかにし、細胞の初期化に関する新しい概念を生み出しました。
 
 また、今回の研究成果は、多様な幹細胞技術の開発に繋がることが期待されます。それは単に遺伝子導入なしに多能性幹細胞が作成できるということに留まりません。S
TAPは全く新しい原理に基づくものであり、例えば、iPS細胞の樹立とは違い、STAPによる初期化は非常に迅速に起こります。
iPS細胞では多能性細胞のコロニーの形成に2~3週間を要しますが、STAPの場合、2日以内にOct4が発現し、3日目には複数の多能性マーカーが発現していることが確認されています。また、効率も非常に高く、生存細胞の3分の1~2分の1程度がSTAP細胞に変化しています。
 
 一方で、こうした効率の高さは、STAP細胞技術の一面を表しているにすぎません。
共同研究グループは、STAPという新原理のさらなる解明を通して、これまでに存在しなかった画期的な細胞の操作技術の開発を目指します。それは、「細胞の分化状態の記憶を自在に消去したり、書き換えたりする」ことを可能にする次世代の細胞操作技術であり、再生医学以外にも老化やがん、免疫などの幅広い研究に画期的な方法論を提供します(図8)。さらに、今回の発見で明らかになった体細胞自身の持つ内在的な初期化メカニズムの存在は、試験管内のみならず、生体内でも細胞の若返りや分化の初期化などの転換ができる可能性をも示唆します。理研の研究グループでは、STAP細胞技術のヒト細胞への適用を検討するとともに、STAPによる初期化メカニズムの原理解明を目指し、強力に研究を推進していきます。
 
W。以上を世紀の大発見といわず、ナントいおう!


              刺激惹起性多能性獲得細胞 STAP過去現在の包括的資料 優れもの