昨夜のコメントの核心部分はタイトル通り、だ。
小出さんのこのコメントはすでに事故当初から、岩上安見さんの長時間インタビューで明らかにされており、多くの方もご存じだと思う。
今現在に至っても、彼の炉心溶融状態に関する認識は変わっていないと、昨夜の放送で再確認した。
この見解を補足すると、
全体の燃料棒の一部は溶け出して、圧力容器の底に落ちる途中で止まっている。今現在はその段階でダダ漏れ承知の注水効果もあって、維持できている、と。
>>この小出さんの燃料棒メルト状況に対する基本認識はかなり詳しく圧力容器内の各器材の位置関係、量をイメージしなければ、理解しがたい面があるので、私流に説明する。
1)燃料棒のペレット(陶器状)は1センチの円柱を4M逆の高さに積み重さねジルコニウム強力合金で被覆されているが、さらに、その細長い円柱は約50本ほど、四角柱に束にされて、1本の燃料棒となっている。
四角柱の直径は不明だが、決してネットなんかで流腑している様な細いモノではない。
円柱だけで束ねると計50センチになる。各円柱の被覆の厚み、それを維持する外側の被覆を考慮すると、多分、直径70センチにはなるだろう。1本1本がデカイ柱の様なモノだ。
>だから、無人機撮影の鮮明画像で爆発の一番派手だった3号機の周辺に飛び散っている、同じような大きさの細長い物体は使用済み燃料棒なんじゃないか!と疑っている。破壊された鉄骨であれば、ジョイント部分の痕跡があるはずで、あの物体はそんなものは一切ない。径も長さもほぼ全部そろっている。
2)圧力容器内の燃料棒の四角柱の本数は約50本を超える。総重量は昨夜の小出さんの発言だと100トンにも及ぶ。ただし、ウラン比重は19、鉄の2、5倍に相当するから、圧力容器内に40トンほどの鉄が収まっているとイメージできる。それでも、量と云い、重さと云い大変なモノが圧力容器内に詰まっている。
>使用済み燃料棒のプールに1000本以上のモノが安置されているのは頷ける。
稼働している原発は想像以上の量の核燃料廃棄物を生み出す。
当たり前だろう。核分裂連鎖をしているのはウランのうち5%に当たるウラン235だけ。235ウランの核分裂連鎖を一気に起こさせ、爆発的なエネルギーを放射させる原爆と違って、ゆっくり核連鎖反応を起こさせている。核分裂している部分は超超微量で全体の量、重さは変わらない。残りの238は核分裂しない。ゴミもたくさん出るわけだ。
従って、大量の処置なし、最悪廃棄物が大量に出る。
この再処理ウラン、プルトニウムとウランを混合したMOX燃料を使用しているのが3号機だ。
プルトニウム原子炉が壊滅的に破壊されたことなんか、今まで人類史上なかった。
3)各燃料棒集合体は枠によって、核連鎖反応がスムーズ行く等間隔で納められている。
>>ここまでの大体、タイトルにある様な小出さんの「燃料棒破損と溶融との違い。全体の一部で発生している溶融は落下途中で溶融状態にあるが、メルトダウンに至らず」の変わらない基本認識はイメージできると思う。
>>私の前日の記事には誤りがあった。燃料棒損傷と溶融を区別していなかった。
だから、1号機70%損傷、3号機25%損傷と云う公式発表について、一番爆発の大きかった3号機の燃料棒損傷が25%では納得できない、と勘違いを書いてしまう。
損傷の具体的状態はイメージし辛いが、溶融とははっきりと区別しなければならない、とだけ確認しておく。科学は厳密でなければ、認識に混乱が起こる。
>>>一部で起きている溶融が底まで落下せずに途中に留まっている、状態はイメージし易い。
>>>従って、メルトダウンの危機がないとは言えないが、現状でズット留まっている、みるべきだ。
メルトダウンから引き起こされる一連の一般流譜のイメージは注水が途絶え、炉内圧力、温度が急上昇し、燃料棒全体の溶融が進んだ時に発生する。
何度も繰り返すが、圧力容器、格納容器損傷、漏れがヤカンの蒸気穴の役割を果たしている。
もう初期の様に幸か不幸か逃がし弁を開かなくておいわけだ。
従って、この面からも、容器の突発的破裂は注水している限り、ない、とみる方が妥当だ。
>>さらに岩上さんの長時間インタビューの中で小出さんは、圧力容器、格納容器の損傷個所も予想している。
圧力容器。
配管部分、圧力容器本体と燃料棒の溶接部分。
格納容器。
上部も蓋のボルト締め部分。
公式発表はどうなっているのか今、確認できない。建屋の一番破壊されていない2号機の格納容器地下の圧力抑制室が盛んに報道されているが、それにしては、汚染水は各号機、大体同じ2万トンづつとは不思議だ。
>>1、2、3各号機は其々まさしく、レベル7評価十分な個別の問題を抱えている。
こういう発表の仕方をしないで一部だけしか発表しないから、疑心暗鬼が起こる。
そこに作業員が近づいて行って作業することが可能なのかどうか?
追加的事情も含めて、途方もない作業だと想像する。
短時間労働で限度いっぱい被曝した作業員は2度と現場に現場作業できない。従って代替えの作業員が次々に控えていなくてはならない。作業員の質の維持の問題もある。
ロボットで建屋にチョット入った所の線量測定で4時間労働限度の数値をたたき出している。
漏れ個所はもっと放射線量は多い。
どうするのか?想像できない。
無駄な回り道のように思えてならない。
>>>最後に御用学者の日本原子力学会、専門チームの見解によれば燃料棒は一部が溶融して圧力容器底に溜まっていると。
>これは小出さんの見解よりもっと過激な状況認識である。
溶け出したモノは底まで到達していると。
爆発が起こることを今から想定することで、追及逃れの保身を図っているのか?あくまでも科学に忠実になれば、そういう過激認識になるのかどうか解らないが、一つだけ云えることは、メルトダウンから一連の一般流譜のイメージは安易すぎたということだ。
それらは今まで誰も実験で実証したわけでなく、机上の想定だった、と云わなくてはならない。
>原子力学会の御用学者は云う。
「強い余震などによって核燃料が2~3日、冷やせなくなると事故が発生した直後の様に、温度や圧力が不安定になり、予断を許さない状態に戻る」
この見解の過激部分を含めると、メルトダウン、イメージに関して私がズット書いてきたことが証明されている。
メルトダウン爆発の条件は、もっと早い最初の段階にあったはずだから、爆発するとすればとっくに、爆発している。
一般に流譜されている様なメルトダウンからの一連の事態は安易すぎる。
あたふたと東京から疎開した方はそこまで急ぐ必要はなかった。
私なんかもっと若かったら作業員に志願していたかもしれないよ。
人生は短いのだ。濃密に生きることもいいではないか。
歴史に生きるモノの喜びもある。
全く素人の自分でさえ、少し情報を収集すると、少しは厳密に考えられるようになる。
>科学は常識、イメージの世界で理解してはいけない部分が多すぎる。
原子力学会の御用学者はこの部分を無視している。
曰く。「今後、たまった汚染水を取り除き、核燃料を本格的に冷却するシステムを完成する必要がある。汚染水の処理にもよるが、復旧作業が順調に進んでも、核燃料を安定した状態にできるまで2,3カ月は掛かる」見通しだとか。
これは机上の空論そのものだ。タラ、やレバの前提を巧妙に振っている。
しかし、そのタラやレバが現状の超困難な現場作業の悪循環のキーポイントになっている。
注水量を調整しながらの炉内温度圧力管理。漏れ個所からの大量の汚染水。処理施設の限界。建屋内の高度放射線量。炉に近付いての手作業不可避。大量の人員必要。
イロイロな困難な状態があるが、彼らはそれをすっ飛ばして、見解を発表できる身分だ。
実際の設計、研究はメーカーでやっているはずだし、メーカーの研究者の方が金銭的待遇がいいはずだ。
小出さんの様な方を大切にするのが大学原子力研究、教育の枠割だ。
真逆のままでここまで来てしまった。
この現状は原子力分野だけに限らいない、と考える。
<<<追記>>>
大事なことを書き忘れた。
ウラン燃料棒の溶解点は1200度、ジルコニウムの溶解点は900度だ。
原子炉圧力容器は300度の蒸気でタービンを回している。
火力発電の圧力容器は600度の蒸気でタービンを回す。
だから原子力発電の熱交換率は火力より悪く、熱の大半は海に流されている。
従って、原子炉内の温度圧力はそれを目安に設定しているはずだ。
事故発生初期の緊急冷却装置不作動が続いて一切冷却できず、圧力容器内の温度、圧力が一気に上昇して、900度溶融点のジルコニウム被覆を溶かし、1200度溶融点のウラン燃料棒を溶融させた。
東電側に海水注入の果敢な緊急措置冷却措置が取れず、圧力温度急上昇を招いたからだ。
理由のいかんにかかわらず、結果的にそういうことだ。
従って、緊急冷却装置不作動、時点から、溶け出したジルコニウム合金から発生した水素ガスを逃がし弁解放で建屋内に放出し、水素爆発を招いた時間帯までがもっとも炉心溶融(メルトダウン)の最悪シナリオが発生する条件が整っている機会だったと、考える。
今現在の圧力容器内の温度、圧力は適時現場から公表されているはずであり、温度圧力管理は注水によって曲がりなりにも行われている。
>>以上からから、必要以上に条件を考えず、原子炉爆発イメージを抱くのは非科学的である。
>>>>一番心配しなくてはならないことは、解決手段が見つからない、その間に汚染が拡散し、人体、環境に蓄積することである。
そういう観点から、遠くに避難することは間違いでないが、爆発イメージ優先でそうしているのだったら、お門違いである。