反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

原子力学会、専門家チームの分析結果、「解けた一部の核燃料が圧力容器の底に溜まっている」は今現在のメルトダウン状態示唆。換言すると、メルトダウンー水素爆発ー原子炉大爆発の最悪シナリオの条件は乏しい。

 大阪に住む私は1179、MBS毎日放送ラジオ)の「種まきジャーナル」で京大の小出さんの毎日、電話出演する被災原発に関する刻々のコメントを聞ける。
 
 断わっておくけど、あの放送でさえ、常日頃、不満に思っているので、全く聴いていない。小出さんの出演を知って時々聴くことにしている。
 昨夜の放送。阪神タイガースナイトゲームがいつもより、早く終わった関係上、小出さんの話の途中から聴くことになったが、肝心な疑問点は聴けた。
 
 >小沢さんの支持者等々が倒閣運動と反原発運動を絡めてデモを企画しているようだが、ナンセンスも甚だしい。
 
権力につかまって、簡単に心くじけて、検事調書に署名するような政治勢力に、この期に及んでの倒閣運動を展開する資格なんて、全くない。
 断言しておく。
そういうのは単なる政治動物と云う。そういうことができる資格のあるモノは長年、反体制の戦いをやってきたものだけだ。
彼らが、管政権打倒を今現在唱えても、私は当たり前のここと受け止める。
彼らは長年、人生をかけて犠牲を払って権力と戦ってきた。
 
 そんな立場とかけ離れた安逸を貪ってきたモノが、今の時期に倒閣に動いたら、心ある人は、政治動物と、嫌悪感を覚えるだろう。同じ穴の狢とはよく云ったモノ!管もひどいが小沢もひどいと。
 
 小沢さんであろうが誰であろうが、今回の原発事故への対応にたいして違いはない。
記事で繰り返し書いてきたことである。
 
 日本国家には原発の立地条件も、本当に危機管理する国家体制もなかった。
核兵器部隊を持たない、日本のように天変地異のはげしい国で原発大災害が起これば、対応が後手に回ってしまうのは当たり前だ。
 
 初動段階で一民間独占企業に過ぎない東電が及び腰になったのは当たり前だ。
本来こうした深刻な事態への対応は軍が支える、一種の戦争の様なものである。
 
 後に書いているが、当時のソ連では軍が対応したはずだ。荒っぽい思い切った対応ができるかできないかで事態が長引くかどうか決まる。
 
 福島であれば、軍=国家が対応できる体制にあれば、東電に有無を言わさず、即座に海水注入していた。
液体窒素もぶちこめたはずだ。
 
日本では結果的に東電の力が強すぎて、即座に廃炉の決定ができなかった。
 
 政府は保安院の官僚にしか基盤がない。官僚は実際の現場を知らない。
だからそもそも、原発巨大災害時の緊急対応する体制がなかった。
 
  危機的事態の時はまず何より、状況が具体的にどうなっているのか、具体的に何ができるか、考え、行動すべきである。
   
デモをやるなら、原発問題に絞ってやった方がいい。それが、議会圏のモノの真っ当な行動だ。
 
 なお、4、17の大阪の反原発デモと東京の小沢ファンクラブの倒閣と結びつけた「反原発」デモとは次元が違う様である。
 
 私は、極端にいえば、福島原発も含めた大災害が何とかなるのなら小沢さんの政治生命など、どうなってもいい。 だから肝心な時に小沢支持者とは意見が分かれる。
 
>>タイトルと直接関係のない事を書いてしまったが、どうしても書きたかった。
 
>>>福島原発現場作業状況について、今の段階のイメージが出来上がった。
話を解りやすくするために、有名な「きっこさん」の4月13日付の記事を批判的に取り上げる。
彼女の原子炉爆発に至る記事冒頭の記述は飛躍と混乱がある。
 
 1)チエルノブイリ事故の収束9日と一カ月もたっても事態の好転しない福島を比較している
 
 福島は1~3号機は制御棒の自動差し込みにタマタマ成功し、核分裂連鎖反応は一応止められて、分裂生成物質が余熱を発している状態だった。チェルノブイリは試験運転中、原子炉が暴走し、制御棒も3分の1しか差し込めない段階で暴走を開始した。
 
 核分裂が発生しているのだから、軍隊が砂と鉛、液体窒素をばらまいて事故現場を強引に封印せざる得なかった。福島はその段階に至らない、と見切っているから、不手際があっても、ダダ漏れ承知で海水注入、真水注入をしている。
 勿論後手に回ったが、液体窒素を注入している。
 
 本当は自衛隊を動かせたらよかったが、自衛隊には核への対応力は実際のところなかった。国家権力はこういう事態に軍隊と官僚機構を基盤として動くしかない。自衛隊は肉体を提供しているだけであり、現場の対応は民間の東電が主体になってやっており、事故の実態のすごさと対応能力に大きな差があり過ぎた。
保安院は権限はあっても、現場の実態を知らない集団である。
 
 事故処理が初動段階で後手に回ったのは、原発最悪事態への危機管理体制の余りの不十分性に尽きる。
 
 2)原子炉本体の圧力容器は漏れており、メルトダウンが起こっているが、爆発していない。
爆発する条件があれば、初期の段階で爆発している。
 漏れ、注水が微妙に作用し炉内の温度、圧力を保っている。
 
 当局がいま最も恐れているのは圧力容器内の爆発であり、「きっこさん」の書いている様な格納容器の水素爆発でない。
 彼女は圧力容器、底へのメルトダウンー容器損傷ー格納容器へのメルトダウンの順序で最悪事態を想定している。
 
現在、御用学者さえ、圧力容器低部へのメルトダウンは認めている。
何度も繰り返して書いてきたように格納容器は普通のボイラー程度の設計圧力のシロモノで、私の推測では航空写真で瓦礫の小山状態の3号機の格納容器は大きく破壊されているのではないか、と想う。
 
 が、それでも「きっこさん」が描き上げる圧力容器爆発の事態に今現在、立ち至っていない。
そのような形で原子炉が爆発すれば、もっと大量の放射線、核物質が周囲で計測されるはずである。
特に3号機の爆発が一番ひどかったのだから、圧力容器が爆発で壊れていたら、もっと多量のプルトニウムが外に拡散する。いくらなんでも、当局はそこまでのデータ隠しはやらなし、国際的にみてもやれない。
 
 3)格納容器に溜まった水素が爆発し、原子炉が爆発する?
多分これが、一般に伝わっているメルトダウンのイメージなのだろう。
ここに今現在の現場の実態とかけ離れた、一般常識による飛躍がある。だから必要以上に爆発を怖がる。
 
 「きっこさん」の核燃料メルトダウンー爆発はあくまでイメージの世界であって事故現場がいくら酷いといっても、実態とは大幅にずれている。
 
 そういうメルトダウンー爆発の条件がもしあったとしたら、原子炉はとっくに爆発している。水素爆発で建屋が吹っ飛んだ時点からその後の数日間ですでにレベル7に達しており、その時期に圧力容器の爆発がないということは、一般にイメージされている様なメルトダウン爆発は核分裂連鎖反応が一応制御されている以上、なかなか起こらないと云うことだ。制御棒は圧力容器内に差し込んだままだ。
 
 4)タイトルに挙げた御用学者たちがつい先頃の会見で発表した現状認識。
 
 それによれば、素人考えでも、すでにメルトダウンは発生している、と受け取れる。
当然、被覆管の溶解から水素ガスが大量に溜まっている。
それでも爆発はなぜ起きないのだろうか?と考えてみる必要がある。
 
 A)圧力容器、格納容器が損傷し、密閉性が損なわれ、半密閉状態になっていることで圧力上昇を抑えている沸騰するやかんの蒸気穴の役割を幸か不幸か果たしている。
 が、汚染水、核物質は外に漏れている。
 
 B)損傷部分が逃がし弁の役割を果たしているが、今現在の作業は先の見えない、応急措置。
炉内温度、圧力、メルトダウンの状態、損傷個所の逃がし弁的役割、現状の注水力の微妙なバランスが保たれている。だから現状の一部メルトダウン状態で均衡が保たれている。
 
 C)そもそも、メルトダウン=爆発は福島には当てはまらない。
 
 京大の小出さんの解説もタイトルの御用学者の現状認識もその点は一致している。
 
小出さんの部分再臨界ー停止ー部分再臨界説でも燃料棒が溶けだして垂れ下がること即、爆発的再臨界とはしていない。炉内圧力温度変化に対応してゆっくり再臨界ー停止を繰り返す。
彼の説明による原爆原理によれば、核爆発はウラン相互に一定の条件が整わなければ、起こらない。
だから、溶け出す~再臨界~爆発はイコールでない。爆発反応が発生するためには条件がいる。
  勿論繰り返すが、自動制御棒は差し込まれて燃料棒それ自体の核連鎖反応は止まっている。
溶融した燃料棒の大規模な再臨界の環境は注水と漏れで収まっている。
このままいけば、大規模な余震のような突発的なことが発生しない限り、放射線と核物質をまき散らし、周囲の環境を徐々に悪化させるだけだろう。
 
 まして、御用学者の「燃料棒の一部、溶解による原子炉の底に溜まっている」説はこの事象そのものがメルトダウンである。それでも爆発は起きていない。
 
5)3号機の状態が最も危険。多分格納容器のかなりの部分が破壊されている。
 
 勿論、圧力容器も漏れている。爆発の状態が他と違うのは当たり前である。MOX燃料だから、緊急冷却装置が働かなくなれば、一番早く、高熱がたまり、900度溶解の被覆管を溶かして大量の水素ガスを発生させる。
爆発力が大きくなるのは当然だ。
 
6)京大小出さんの云うような新たに緊急冷却循環を作る作業によってしか、今の放射能ダダ漏れ状態を解決していく道はない。
 
 昨夜の放送で、今現在の炉内冷却作業の現状がハッキリわかった。
ポンプでただ真水を注入しているだけであり、炉内に注水した水の一部は熱で蒸気になり、一部は水になっている。外にも大量に漏れている。冷却循環はない。勿論、湯の温度を下げる熱交換器もない。
 
 云い換えると、それでも「間に合っている」程度の発熱量しか炉内にはない。
「きっこさん」も書いているように注水が余震などで途切れると水素爆発ー原子炉爆発のシナリオが現実化する
 どちらにしても、放射能、核物質拡散、蓄積が続く危ない事態だが、その程度の現場状態と弁えるべきだ。
 
 >そこで冷却循環を構築できるかどうかとい点なると小出さんも言葉を濁す。
 
 被ばく覚悟の手作業で配管系統を作らなければならないからだ。
短い時間で人員を交代するローテーションが組めるかどうか。そういう作業環境で緻密に作業できる職人が確保できるかどうか。作業員の量と質が揃わなければならない。
  机上で図面を引いてもその通り、現場が動かない典型だ。
 
7)御用学者は「冷却システムを完成する必要がある。復旧作業が順調に進んでも後。2~3カ月かかるだろう」などと無責任極まりない主張をしている。
 
 人ごとの様に誰でも解っていることをいう。
そんなことは現場では100も承知だ。
さすが小出さんは現場の苦労が解っているから、言葉を濁す。
 打開の方途は一つしかない。
全ては現場状況次第だ。
 
 「復旧作業が順調に進めば」って?
今、現場がやろうとしていることは、旧来の一次冷却循環、それを冷やす海水による熱交換器における二次冷却ではないと思う。もう廃炉にするのは決まっている。 
 現場の被災状況から、そんな複雑な配管を復旧する必要も余裕もはない。
単純な注水程度で何とかなっているのだから、熱を冷ますためには稼働時の様な大量海水はいらない。
修理作業がより危険作業になる。
直すより、新たに付け替えた方が手間がかからないと思う。
 
   <<<もっとも重要なこと>>>
 現場に作業員の人員と技術を結集できるかどうかだ。
人手は多ければ多いほどいい。技術も高ければ高い方がいい。士気の高さの問題もある。
ある種の戦争状態がこれから続いていかざる得ない。
 
 東京電力が現場を取り仕切るには荷が重すぎるが、他にになうモノがいない。
日本国家にも人命を顧みず、戦えと云うだけのバックボーンがない。
 
だから原発なんかに手を出したこと自体が誤りだった。
 
>>多分このままズルズルと時間だけを経過させていくのではないか。
>>本来軍隊、国家が前線で指揮をとってやるべきことを民間一企業がやっている。
>>公共部門の完全独占企業体の東電の様ないい加減な会社にその任が務まるわけがない。
だから、初動段階で泣きが入った。ある意味自分が解っている。